上海レポート かさこワールド


・1日目:12/27(土)成田→上海
<1>凱旋帰国
年末年始にやっととれた航空券は、成田空港21時30分発、上海23時55分着という、
あまりいい時間ではないもの。値段は82000円。ちなみに1/7以降なら航空券は32000円。
冬休み初日で成田空港は大混雑かと思いきや、さすがにこの遅い時間だけあって、人はまばらだった。

中国国際航空で行く。
乗客の8割、9割方は中国人。
みんな大はしゃぎであちこちでデジカメ記念撮影をする。
きっと「凱旋帰国」ということになるのだろう。
月収ベースで考えたら多分10〜20倍も違う日本に来て働き、
日本人と同じようにデジカメや携帯電話を持ち歩いている彼らは、
中国に帰ったら、金持ちのエリートなのだろうから。

資本主義経済が各国で段階的に発展することで格差が生まれ、
その格差を利用して、たとえば日本の企業は中国に工場を持ち、
安い労働力を使って儲けることができるように、
日本語を学んで日本に渡り、自国の経済価値では考えられない莫大な給料をもらって、
中国に帰ればとんでもない金持ちになれるという、「マジック」が可能になっている。
しかしそういったトリックを使った場合は得てしてどこかに無理や矛盾が生じるわけで、
それが犯罪や国際摩擦につながったりすることも忘れてはならない。

<2>巨大新空港

日本と中国は時差が1時間。成田ー上海はわずか3時間のフライトだ。
あっという間に到着する。
この距離の近さは、今後さらに日本人と中国人の行き来を盛んにするに違いない。
SARSうんぬんで一次的に観光客が減ったとしても、ビジネスは儲けの論理、
SARSなど関係なく、容赦なく両国間の移動は激しくなるだろう。

そのSARSの影響か、入国カード、税関申告書のほかに健康申告書のようなものも書かされ、
SARS患者と接触していないかなどを書かされる。
さらに上海浦東空港で待っているのは、体温チェックである。
冬に台湾、そして広州でSARS患者が出たばかりとあってか、かなり神経質になっているように思える。

さてさてこの浦東空港だが、超近代的な巨大空港である。
私が以前、上海を訪れた1996年は、まだ市内西にある虹橋空港が国際空港だったはずである。
中国、上海の高度成長に伴う建設ラッシュの一貫として、この新巨大空港が1999年に建設され、
2002年に完全に国際線はすべて虹橋空港からこの浦東空港に移行したようだ。
国際競争に打ち勝つための重大インフラの1つとしての国際空港。
上海はこの点でも間違いなくアジア一だろう。

夜中24時過ぎに着く。
これまで中国に5度訪れたことがあるとはいえ、やはりこんな遅い時間に空港に着くというのは不安だ。
北京は4度訪れたことがあるが、上海は2度目。まして以前訪れた時ははるか7年も前。
空港が変わったように、上海は大きく変貌し、
経済成長・経済発展したことにより間違いなく治安の悪化と犯罪の増加は否めないだろう。
とすると1番、危険なのはやはり空港だ。

<3>ぼったくり?ミネラルウォーター
ゲートを抜けると予想以上に客引きが声をかけてくる。
タクシーとホテルの客引きだ。
どこの国でも空港の客引きについていかないのは鉄則中の鉄則である。
まして中国のように国家権力が強大な国は、タクシーにしてもホテルにしても、
システムがしっかり整えられて、個人での横暴・裁量を許さないような制度作りがされているはずだから、
タクシーはタクシー乗り場に行って乗った方が安全にきまっている。

それより、まず両替。
1軒開いていた両替所で両替する。2万円が1477元。1元=15円ぐらい。
ホテルはさすがに夜遅いのでHISに頼んでホテルだけ取ってもらってある。
1泊7000円と高いがまあ致し方がない。上海という大都会だし。

これからホテルに直行して、多分買い出しにでる元気もないし、やっている店があるかもわからないので、
空港でかろうじてやっていた1軒のレストランを見つけて、ミネラルウォーターを買う。
1本2〜4元程度だろうと思ったのだが、なんと1本25元だという。
僕は覚えたたての中国語数字を聞き間違ったのかと思った。
2本で「ウー(5)クァイ(元)」かと思い、10元札を出すと、「ウーシー(50)クァイ(元)」だという。
まいったな。信じられない値段だ。でも仕方がない。
ホテルに行って水が買えなかったら、水道水が飲めない中国では死活問題になるからな。
仕方なくミネラルウォーターを2本50元というとんでもない金額で買った。
(翌日知るのだが、上海には至るところにコンビニができていて、
ホテルのすぐ近くにもコンビニがあり、そこならミネラルウォーターは1本1〜2元程度で買えた)

<4>ニューヨーク!
水を買うとタクシー乗り場を探す。
空港から市内へは安いエアポートバスがどの空港でも中国では走っているのだが、
さすがにこの時間のせいか、バスがない。
高くつくがタクシーで市内に行かざるを得ない。
タクシー乗り場には小型車ではなく、中型ワゴン車が待ち構えている。
不安ながら値段を聞くと「200元前後だろう」という。
ガイドブック情報と照らし合わせてもまあそのぐらいだろう。
いずれにせよメーター料金になる。タクシーに乗り込み、やっと一息。

24時過ぎ。空港周辺はまったく車も人気も建物もない。
浦東空港は市内から東側、
海に面した何にもないところに作られたとあって、まだ町らしきものはない。
だからこそこれだけ巨大な空港を作れたのだろうが、
その分、市内から遠くて不便は不便だが。

道路と併走して道路ではないレールのようなものがあった。
きっとあれが噂の世界初の一般開放されたリニアモーターカーに違いない。
すでに試運転ははじめていてものすごい人気だったそうだが、まだ正式オープンしていないらしい。
世界初の一般運行されるリニアが上海にあるということも、
今後の世界経済の中心地としての上海を印象づけるメルクマールの1つであろう。
乗ってみたいな。最高速度は430kmという。

30分ぐらい過ぎるとやっと町らしきものが出てくる。
徐々に徐々に建物が増えてくる。
2002年、大連や青島で見た30階建てマンション建設ラッシュがやはり上海にもあるようで、
まだ人が住んでいない完成途上の30階建てマンションがぼこぼこ建っている。
ここまでなら、大連や青島と変わらんなと思ったが、車に乗ること1時間が過ぎ、
浦東地区と市内中心区を分けている黄浦江の橋を渡っている時に見た、
市内中心部のとんでもない超近代的ビル群のシルエットに驚いた。

これはすごい!大連だの青島だの、いや東京だの大阪だの目じゃない。
ニューヨークに匹敵するほどの超巨大都市じゃないか!この上海は!!

まだまだ開発途上とはいえ、まさしく21世紀の近未来都市を予感させるような、
超高層ビル群があちこちに建っている。
これは、想像以上に上海というところはすごいところだなと思った。

<5>今の上海を垣間見る
ホテルに到着。メーターは165元(2400円)。
気のいいおっちゃんだった。タクシー運転手にしては随分愛想がよく、ほっとした。
料金トラブルもなく、レシートもくれた。
ホテルは上海青年賓館。
ツインで7000円。2人で泊まるから1人3500円と考えればまあ安い。
レセプションは拙いが英語が通じる。

部屋は7階。7000円出すだけあって申し分ない部屋だ。
懸案はお湯が出るかだが、幸いにしてシャワーから熱湯がでる。
夜遅くや昼間になると熱湯が出ない中国のホテルが多いからな。
ま、この値段なら出て当然か。

部屋の窓をあけると、まさしく今の上海が象徴されているような光景が広がる。
ホテルの目の前はぶち壊された空き地。
その前には4〜5階建ての古い住宅街があり、その背後には近代的超高層ビル群がひしめいている。
ホテルの向いも広大な空き地があり、巨大ビル群を建設しようと、工事中。

まだまだ相当の空き地があるし、まだまだぶっ壊せる古い住宅街もある。
とすると、まだまだ上海は伸びるな。

恐ろしいというか凄まじい。
上海はまだコンクリートジャングルにはなっていない。
巨大高層ビル群はいっぱいあるが、空き地もいっぱいあるし、工事中もいっぱいある。
あと5〜10年で、東京を抜き、ニューヨークを抜き、世界一の国際都市になるだろう。
それがここで暮らす人々にとって「幸せ」になるかは別問題として。
深夜でも工事は続けられている。