中国水郷村旅行記・西塘→周庄 かさこワールド

・3日目2:12/29(月)西塘→周庄

<7>西塘→嘉善→青浦→周庄

西塘からミニバスに乗り込み嘉善へ。
バスは3元。思ったより近く40分ぐらいで嘉善バスターミナルに到着した。
ところが嘉善バスターミナルの案内板を見る限り、周庄行きのバスは走ってなさそうだった。
ここからタクシーをチャーターしようかと思い、タクシーを探していたのだが、
なぜかバスターミナル前に到着するタクシーはすべて乗合タクシーで、市内だけをぐるぐる回っているらしい。

仕方がないので、タクシーはあきらめ、この嘉善から青浦に戻ることにする。
青浦から周庄行きのミニバスが出ているはずなので、青浦まで出れば周庄に行けるはずだ。

ところが、この嘉善→青浦行きバスが思ったより時間がかかった。
料金は9.7元(150円)ぐらいだが、1時間半から2時間近くかかった。
14時に西塘を出て、嘉善に14時40分着。
嘉善15時発のバスに乗り、青浦に着いたのが17時近かった。
もうすでに外は真っ暗だった。こんなに遅くなるとは思いもしなかった。

もし仮に西塘で車を捕まえることができ、直接、周庄に行ったら、2時間ぐらいで到着できたのではないか。
しかし思わぬ遠回りを強いられ、青浦のまた、デパート前で降りたのだ。

バスの乗り継ぎで着かれたのでデパートのケンタッキーで一休憩。
青浦から周庄行きバスを発見できなかったこともあり、時間も遅いことから、
またもや青浦からタクシーをチャーターし、周庄に行くことにする。

暗闇の道を走ること約1時間、途中、高速道路に乗ったこともあって料金は141元(2000円)だったが、
周庄行きのバスを追い抜き、バスで行くよりかなり早く周庄に着くことができた。

<8>客引きに助けられ?!
とりあえず周庄の町中らしきところ、大きなホテル前で降ろしてもらったのだが、
ここが一体周庄のどの辺りなのか、水郷村に近いのか、さっぱりわからない。
もうすでに18時30分近くで、暗いので、
最悪、この目の前にあるかなり高そうなホテルに泊まってもいいかなと思ったが、
明日、朝から観光するのに、水郷村に遠くては困る。

どうしようか迷っていると、タクシーを降りた僕らに、なんとホテルの客引きが声をかけてきた。
スクーターに乗ったおばちゃんだった。
ホテルの名刺を差し出し、強引にいいからわたしんとこに泊まりなさいって感じだった。
周庄は最も観光地化された水郷村で、上海からの日帰り観光客も多いことから、
「地球の迷い方」には地図が掲載されている。
おばちゃんのホテルは水郷村に近いのか?ということを指し示すために、
「迷い方」地図を差し出し、あんたのホテルはどこにあるんだと身振り手振りで聞く。

すると、この地図をほんとに見ているのかどうかわからないぐらいすぐに返答し、
「うちのホテルは水郷村のすぐ近くだよ!」と地図を指し示す。
ほんとかどうかあやしいので、筆談で確認する。
すると「水郷古鎮内」と書くので間違いないらしい。
このやりとりを片目に見ていた大ホテルのポーターも、
かなり遠慮気味ながら「うちのホテルに泊まったらどうですか?」と誘いをかけていたが、
圧倒的な強引さを誇るおばちゃん客引きにはかなわない。

ホテルの客引きについていくのはどうかと思ったが、
水郷村にできるだけ近いホテルに泊まらなければせっかく泊まった意味がないわけで、
このホテルより近い可能性があるおばちゃん客引きを信じることにする。

ただ謀ったように、おばちゃんのホテルにいくまで自転車タクシーが待ち構えていて、
これに乗ってホテルに行くということになった。
おばちゃんはスクーターで先導し、自転車タクシーに乗っておばちゃんのホテルへと向ったのであった。

<9>周庄到着
成り行きにのったとはいえ、なぜタクシーを降りた場所にタイミングよくホテルの客引きがいたのか。
そう思うと、不審な点も多く、この客引きのホテルに泊まらない方がいいのではないかと、
そんな警戒もしながら、自転車タクシーに揺られる。
しかし幸いなことに、おばちゃんの言う通り、タクシーで降ろされた場所は、相当、水郷村からは遠いようだった。
自転車タクシーに乗ること10分ほど、周庄という門をくぐり、水郷村の中心地に着いたようだ。

門をくぐる時、スクーターで先導したホテルの客引きおばちゃんが何事か叫んでいる。
「明天(ミンテン)・・・票(ピョウ)・・・」
何を言っているかほとんどわからなかったが、2つの単語と状況をふまえて、彼女が何をいっているかがわかった。
この門が水郷村の入口なので入村料の入場チケット(ピョウ)を買わなくてはいけない。
しかしもう夜遅いから今はやっていないから、また明日、チケットをここに買いにいきなさい。
といっているようだった。

門をくぐると驚いた。
見事に観光地化された、整備された街並みがそこに広がっていたからだ。
さすが水郷村の中でも最も観光地化されているといわれる周庄である。
きれいな道路が整備され、その脇にずらっと店やレストランやホテルが並んでいる。
町が新しく、そして大きいことに、西塘とは違った寂しさを感じながらも、
都市社会に慣れた僕にとっては、これだけ店がある明るさにふと安心するところもあった。

<10>ホテル到着
その並び沿いのホテルに到着した。
「東方客房」と書かれた小さな2階建ての建物だった。
とりあえず、自転車タクシーに金を払う。
ホテルの客引きおばちゃんの言われるがままに自転車タクシーに乗ってしまったので、値段の事前交渉をしていなかった。
本来であれば、値段のトラブルを避けるために、絶対に事前確認をしておくべきなのだが、
まあこのおばちゃんがいるから、自転車タクシーで暴利はむさぼらんだろうと思った。
なんとなく20元ぐらいかなと思うと、自転車タクシーのおやじも20元だというので、互いにまるくおさまった。

さてさて、問題は、このホテルに泊まるか否かである。
おばちゃんに連れてこられたとはいえ、値段や部屋の設備との兼ね合いもある。
とりあえずここですぐチェックインせずに部屋を見せてもらうことにした。
「看看(カンカン)」=見せてくださいといったらすぐ了解した。

部屋は思ったよりきれいだった。
ひょっとしてトイレも浴室もついてないかなと思ったが、ちゃんとついていて、お湯が出ることも確認した。
テレビもついている。
値段はこれで160元(2400円)という。
ちょっと高いような気もしたが、まあえらくぼったくっているという感じもしないので、ここに決めることにした。

何より、連れてきたホテルのおばさんがタクシーで降りた時、暗闇で交渉した印象より、優しそうだったこと、
そしてその旦那さんと思わしき人もチェックインする際、随分親切だったことが、
客引きに連れられてきたホテルとはいえ、ここでいいかなと思った理由だった。
ホテルに着くなりすぐに周庄の地図をくれ、場所の説明もしてくれた。

地図を見て、いろいろな謎が解けた。
やはり「迷い方」地図ではあてにならない。
まず、僕らがタクシーで降ろされた「周庄大酒店(ホテル)」の前に、バスターミナルがあることがわかった。
なるほど、それであの場所に客引きがいたわけだ。

そこから大きな橋を渡り、門をくぐると、例の観光地化された町が広がっている。
東西に500mぐらい店が連なっていて、そこにホテルがあった。
南北にも1本通りがあり、ここも店が連なっている。
ホリデイインホテルもあるようだ。なるほど、たいした観光地というわけだ。
その新しい町のすぐ南側に、水郷村の古い街並みが広がっている。
さすが一番の観光地だけあって、見所もそれなりに多そうだ。
現地でわかりやすい地図を手に入れ、やっと一安心したのだった。

<11>阿婆茶のキョウフ
ホテルに着き、地図で周庄の概略がわかり、ほっと一息、
腹が減ったので夕食を食べに行こうと思った。
実はホテルに到着した際に、レストランの客引きが来てわあわあ騒いでいたのだが、
別にこれだけ観光地化した周庄でレストランに困ることはないと無視していた。

ところがそのレストランの客引きが、ホテルから出るとまだいたのだ。
おばあちゃんでとにかくしつこい。何をいっても執拗についてくる。
まあ、そんなにいうなら行くだけいってみようと、おばあちゃんのしつこさに負ける結果となった。
さすが、観光地化された町。ホテルの客引きの次はレストランの客引きか・・・

水路沿いにあるレストランで、ホテルからも近く、
値段もそんなに高いわけではなさそうで、ま、ここにするかと決めた。
2階の個室に案内され、「まず阿婆茶でもいかが」というので、
中国では当然のことながらお茶が出るのでそれでOKした。
これがあとで大変な目にあうことになるのだが・・・

メニューを見ると、はじめに周庄名物メニューがあって、
これが魚中心で結構な値段がする(1品40〜80元ぐらい)。
とりあえず、値段の安いレギュラーメニューである、
チャーハン(6元)と麻婆豆腐(18元)とスープ(10元)を頼む。
客引きおばあちゃんがしきりに名物料理をすすめる。
せっかく水郷村に来たのだから、どこかで名物料理を食べてもいいかな、
という気もしていた隙をつかれ、魚料理を頼むことにした。
1匹36元(700円)とかなり高いが、西塘でもやはり魚料理はそのぐらいした。
水郷村名物の魚料理ということで、まあ致し方がないだろう。

注文が終わったと思うと、商売熱心なおばあちゃんがバケツを持ってきた。
何かと思いきや、蟹である。
蟹か・・・
確かにこの辺では蟹がとれるらしい。
蟹といっても手のひら程度の小さな蟹なのだが、これ1匹で45元(900円)という。
まあ、蟹もどこかで試しに食べてみようと思っていたし、
高いことは覚悟だったという隙をつかれて、
おばあちゃんの罠にはまり、1匹注文することに。
しきりに1人1匹で2匹頼めとしつこかったが、1匹でいいとこちらの意志を押しとおした。
その後、お酒もどうかとかなり執拗にいわれたが、
ここで飲む必要はあるまいと断った。
まったくやれやれである。

そんなわけで注文が済み、できたものから料理が運ばれている最中に、
店員かと思ったら来たのは胡弓弾きのおじいちゃん&おばあちゃんである。
まいったな・・・
つまり胡弓を弾いてやるからチップをよこせということなのだ。

しかしまたとないチャンス。写真を撮りたいという思いがあり、
1曲だけでいいから弾いてくれという。
そして引き出した曲はなんと「北国の春」である。
日本人観光客がいっぱいくるのだろうな。そしてそれに慣れている。
さすが観光地化された周庄・・・
にがにがしい思いがしないでもない。

北国の春が終わったのでもういいといったのが、
とどまるところを知らず、何曲も演奏しはじめた。
もうとめることはできそうにない。気の済むまで弾いてくれと思う。
まあ写真も随分と撮れるし。
しかし料金が心配だ。1曲3元だとはじめにいっていたが、随分と弾いているようだった。
ま、いっか。これも旅の思い出の1つか。10曲以上は弾いていたかと思う。
5曲ぐらいで十分写真は撮り尽くし、その後ははっきりいって飽きてきた。
料理もすべて運びこまれていて、冷めていく一方だった。

やっと終わった。1曲3元ということからすると30元ぐらいは払わなくてはいけないのだろうが、
まあなんとなくそれは払いすぎのような気もしたし、あんたら勝手にやったんだし、
ま、20元(300円)ぐらいかなと思ってお金を渡したら随分と恐縮していた。
失敗したかな、あげすぎたかな。
まあ、それはいい。ひとまず楽器隊は去り、やっと夕食にありつけることになった。


1匹36元もする魚だが随分と小さかった。そのせいか2匹あった。
見た目より結構おいしかったが、魚に食べなれた日本人からするとたいしたものではないというのが正直な感想だ。
そしてメインイベントである蟹ではあるが、小さいのでほとんど身がない。
でっかい蟹をいっぱいかぶりつけるのとは違って、身がどこにあるのか小さい蟹を探しまわるのは、
やはりたいしたことはない。
ま、物は試し。来たからには食べて失敗することもそれはそれだろうと思った。

途中、楽隊の乱入騒ぎで、なんだか食欲もすっかりなくしてしまった。
今日はえらく疲れた。
西塘のような静けさ漂う町から一挙にこのような客引き攻撃をくらうような町に来たのだから。
早めにレストランをあとにした。

ところが、である。料金を見て驚いた。
221元(3400円)!というのである。そんなアホな。明細を見せろと迫る。

チャーハン:7元
麻婆豆腐:18元
スープ:10元
魚36元×2匹=72元
蟹:45元
阿婆茶35元×2杯=70元


「おいおい!阿婆茶1杯35元ってどういうことだ!!!」
ぼったくりトリック見破ったりと思ったら、メニューを見せてくれた。
そこには阿婆茶1杯35元と書いてあるのだ。どおりで200元以上もしてしまうわけだ。
阿婆茶が無料だと思い込んでいたので、それがなければ140元なのだから。

おいおい、ふざけんなよ。
でも確かに阿婆茶35元というのは間違いないらしい。
他のお茶も1杯20元〜というメニューがあったからだ。
確かに洒落た茶館などでお茶を飲むと1杯20元ぐらいする場合もある。

しかし、それにしても・・・
無料で出てくるお茶(日本でいうところの無料の水)を勘違いして、阿婆茶を頼んでしまい、
それが700円もするというのはある種の詐欺ではないか、いや違う。
値段を確認しなかった私がいけないのだという腹立たしさが収まらない。
私をひっかけるとはたいした輩じゃあないか。

仕方がないので領収書をくれという。221元という領収書をもらう。
領収書を素直に差し出すところをみてもぼったくりではないらしい。
まったく、このばばあにやられたな。

ちなみにこの客引きばばあ、レストランを出てからも私らをしつこく追い、
明日も食べていけとしつこく着いてきた。
「あのね、ばあさん、あんたんところは高いんだよ!」と日本語でいうとやっとあきらめたようだった。

翌日、いろいろなレストランを見たが確かに阿婆茶は1杯20〜35元ぐらいするらしく、
魚料理や蟹もそのぐらいの値段はするので、この店がぼったくったわけではない。
ただメニューの値段を確認させずに阿婆茶を頼ませたのは、ちょっといただけないかな。

店の名は「百年老店水●古酒楼」である。しつこいばばあに注意だ。

それにしても、周庄というところは強盗だな・・・
着けばホテルの客引き、次にはレストランの客引き、高い阿婆茶を頼まされ、
頼みもしない楽隊が乱入し金をまきあげる・・・

やはり、観光地化したところは便利なんだけど腐敗する。
みんな貨幣価値の違う観光客から少しでもお金をもぎとろうと必死になるから。
そういった意味で、ある程度は予想されていたが、
水郷村に行くなら観光地化された周庄よりも西塘のような静かな町の方がいいなと思う。