雲南・大理 かさこワールド

国は中国になるが、中国の「辺境」といっていいだろう。
地図を見ていただければわかるが、
雲南省は、チベット、ミャンマー、ラオス、ベトナムと国境を接している。
地理的にいってもいわゆる「中国」とはかけ離れているわけだが、
省自体も中国を構成する漢民族ではなく、その他のさまざまな「少数」民族が住んでいるエリアだ。
雲南省は中国の少数民族人口の約1/3が住んでいるという。

ただ「少数」という言葉には語弊がある。
中国全土の少数民族人口は約8%という(漢民族が92%)。
中国人口が13億人もいるのだから、その8%でも1億人である。
少数民族は約55いるといわれているから、単純にその1億人を55で割っても、
1少数民族は約180万人もいる計算になる。
単にバカでかい中国のバカ多い漢民族と比べて「少数」なだけであって、
いわゆる私たちがイメージする「少数民族」というほど少なくはないだろう。

雲南省の代表的な都市は3つ。
昆明(クンミン)・大理(ダーリー)・麗江(リージャン)である。
(間違っても日本語漢字読みしないように(「こんめい」「だいり」「れいこう」)。
なぜなら現地で日本語読み地名で発音してもまったく通じないからである)
昆明は雲南省の省都で日本からの直行便もあるほどの大都市。
ビルが建ち並ぶ経済・政治の中心地で観光客に見るべきところは少ないと思われる。
そこで私はペー族の住む大理とナシ族の住む麗江に行こうと思ったわけだが、
1週間で2つの都市を欲張るのはやめようと思い、大理のみ5泊することにした。

大理は大理ペー族自治州という行政区分の名称からも分かるように、
いわゆる中国とはまったく違う場所である。独自の文化を築き上げている少数民族の町なのだ。

大理は標高約2000m近い町だけあって、風景がとてもチベットに似ていた。
チベタンも住んでおり、北に300kmほどいけばチベット族が住む町もある。
空がとても近い。標高は高いが起伏はあまりなく、盆地のような平地が広がっている。
そしてすぐそばに4000m級の山々が取り囲んでいる。
自然に囲まれた別世界のような、非常に美しい風景で、この場所にいるだけで心洗われる。
想像以上によい場所で私はとても気に入った。

大理空港から大理の町の中心部まで行くタクシーの運転手と片言の中国語で話をしていた時のこと。
大理に何日いるのかという話になったので「5泊する」といったら驚かれた。
「大理に5泊もするのか?」「麗江には行かないのか?」
確かに大理をさらっと見ようと思えば1日ないし2日あれば十分だろう。
現にツアーなどでも上記3都市を1週間ぐらいで見て回ろうとするので、
当然、大理には1泊2日、せいぜい2泊が精一杯。
5泊6日もする旅行者というのは、陸路で来る特に予定のないバックパッカー以外は考えられない日数なのだろう。

大理中心部だけを観光していたわけではなく、大理のすぐそばには大きな湖があるのだが、
その湖沿いにある村々を見て回っていた。
だから5泊もすることにしたのだ。

主に大きなマーケットが開かれる曜日や日にちにあわせてその村々を訪れた。
景色の美しさと空が近いことのとてつもない開放感だけでなく、
市場めぐりで会う人々のいきいきとした表情にほんと心洗われた旅だった。
彼らを撮ることによって、自分の心を浄化していった。
そしてその写真を見返すことでまたあらためて心洗われる。
そんな旅だった。

というわけで人物中心の写真を中心に更新していきます。

・ペー族
ペー族といっても舌をペーと出す民族ではない。
ちなみにペー族とは「白族」と書く。
だからペー族レストランなどには「白族風味」といった看板が掲げられている。

白色を尊ぶから白族なのだそうだが、
写真を見ていただければわかる通り、多くの人は肌が焼けている。
私もわずか6日程度の滞在で真っ赤に焼けてしまったが、
農業を主体とした生活だからなのだろうか、
また、特定日に開かれるマーケットも青空市場が基本、
さらに、滞在した5月でも、日の出は6時ぐらいで、
日の入りがなんと20時過ぎぐらいと、日が長いことも1つの理由か、
とにかく、多くの人は肌が焼けて浅黒くなっているのが特徴ともいえる。