大理の歩き方 かさこワールド

大理という町が大変な奥地でホテルもないような場所、と思っている方が多そうなので、
大理の町がどんなところか簡単に紹介しよう。

まず大理には新市街(下関)と旧市街(古城)の2つがある。
2つの町は15kmほど離れていて、引っ切りなしに市バスやミニバスが出ているが、
その町の姿はまったく違う。

1:新市街・下関
新市街(下関)はまったく後から造られた新しい町だ。
端的にいえば、中国のどこにでもある、漢民族支配の経済拠点となる衛星都市といえる。
道路はすごくきれいだし、近代的なビルも建っている。
観光するところはない。政治・経済拠点としての真新しい町だ。

そのせいか生活感はなく、あまり住んでいる人もまだ少ないように思う。
未だに赤茶けた空き地に新しいビルや建物や新興住宅街を作っている。
ここには百貨店もあれば5ツ星クラスのホテルもあれば三菱自動車の支社のようなものもあった。
ペー族の民族衣装を着た人は少なく、政府機関や企業があるような場所だ。

だからここには観光客はまったく用はない。
見所もないし、いる必要もない。
まあしかしツアーなんかで申し込んだりすると、
このつまらない新市街のわりに新しいホテルに泊まったりする可能性はあるが、
観光の拠点となるべき大理古城まで15kmもあるので、こんなところに泊まったらさぞつまらないだろう。

2:大理古城

こちらが大理の旧市街。古い町並みも残っており、観光すべき城門やちょっとした市場もある。
大理滞在者はまずこちらに泊まるのが常道だろう。
ここの中心部は非常に観光地化されている。
観光地化されすぎてやりすぎ感もあるぐらい。
町の中心部を南北に走るおよそ500mぐらいの通りは歩行者天国になっていて、
古い家を真新しく改装したようなおみやげ屋がずらりと並んでいる。

さらには「洋人街」という通りがあり、ここには英語で書かれた西洋料理メニューが並び、
ハンバーガーやらピザやらパスタやらカフェやらビールやら日本食やらがあり、
夜になると大音量で洋楽が流れるような、ちょっとしたナイトスポットでもあり、
西洋人、中国人ツーリストであふれかえっている。
上海の新天地なんかよりもすごいかもしれない。
そのぐらい観光地化されてしまっているほど。
ここにいる限り、大理にいるということを忘れてしまいそうな場所なのだ。


ただ旧市街であることは間違いないので、それほど大きなホテルはない。
中規模な中級クラスのホテルが旧市街に点在している。
私も空港からこの旧市街に来てホテルを探し、日本でいったら7000円ぐらいの、
必要最低限の揃ったきれいなビジネスホテル級の設備があるホテルに5泊していた。
ただし値段は1泊ツインで2人で200元(3000円)である。
テレビもあり、バスタブもありお湯もいつでも出る。
別に大理でなくても中国ならこのクラスのホテルの値段は200元前後だ。
北京でもこのクラスのホテルで180元とかぐらいだ。
このぐらいの値段を出せば滞在するにはなんら問題ない、快適さを確保できる。
日本から予約する必要もないし、5000円とか6000円なんて馬鹿げた値段を出す必要もない。

ちなみにホテル探し最中に100元(1500円)の中級ホテルもあったが、
こちらは幾分、老朽化していてちょっと清潔感にかけてはいたが、
このぐらいでもお湯は出るしテレビは新しいし、まあ問題ないクラスである。

このように拠点とすべき大理古城は観光地として非常に有名なところだから、
一般の日本人が想像するような不便さはない。
ここにあるチベタンカフェからインターネットをやって、日本語で書き込みしたりメールしたように、
インターネットもできる。
カメラ屋もあって、デジカメを持っていけばカメラ屋のパソコンでCDに焼いてだってくれる(10元=150円)。

私にすればここまで観光地化されていない方が多少雰囲気があっていいのになと思うぐらい、
想像以上に中心街は観光地化されてはいるけど、でも旧市街だけあって、
中心部の通りと洋人街をのぞけば、古めかしい家並みがずらっと続き、
昔ながらの生活を送っているような雰囲気を垣間見ることができる。

3:大理郊外の村

そんな観光地化された不便のない大理古城に滞在しながら、
観光自体はそこから10〜30kmほど行った村を観光した次第である。
月曜日に大きな市場が開かれる沙坪(シャーピン)、5日に大きな市場が開かれるワーサー、
古い町並みが残る喜州(シージョウ)、藍染と市場の町・周城(ジョウチェン)といった村に、
大理古城からタクシーやミニバスや自転車を使って行き、観光してきたわけだ。

こういった村の人物を写した写真がそのほとんどで、大理古城から日帰りで行けるので、
こういった村には泊まっていない。
泊まれないこともないしホテルもそれなりにあるし、観光客も多いのでレストランもあるが、
大理古城のような観光地化まではされてはいない。
基本的に村のそばにある田畑で農作業をしている生活が主だ。

大理古城と郊外の村の違いを端的に表すものがある。
民族衣装だ。
大理古城では観光地化されているせいで、スーパーの店員からホテル、カフェ、レストラン、おみやげやの店員など、
真新しい民族衣装を着ている。
ちなみに中国人団体旅行客のツアーガイドも真新しい民族衣装に身をまとっている。

ところが、郊外の村になると、こんな真新しい民族衣装を着ている人はどこにもいない。
まるでその人の体の一部となっているかのように、
着古して体に張り付いたような民族衣装をまとっているのが郊外の村だ。
生活と民族衣装とが密着しているのだ。


このように大理の町のレベルには3つの姿がある。
観光すべきは郊外の村、観光拠点に最適なのは大理古城、観光に関係ない近代都市が新市街というように、
役割分担が明確に分かれている。
観光拠点の大理古城は上述のように極めて観光地化されているので、
別に辺境でもなんでもないし、一般的な日本人が思うほど奥地でもない。
だから逆にいうと秘境とか奥地を期待して大理古城に行くと失望するかもしれない。
まあそれはチベットのラサも同じなんだけどね。

というわけで大理古城は極めて快適な観光拠点の町なので、
別に旅慣れしていない普通の人でも旅行に行くことができます。
ただし観光地化されすぎているために、中国では珍しくうざい客引きが多いのが難。
そのほとんどはケーブルカーの客引きと遊覧船の客引き。
ただインドだとかエジプトだとかああいうところほどしつこくないので、
「いらない」と手を振ればまずすぐにはあきらめてくれるが、
中にはしつこい客引きもいるので、そんな時は「バカヤロー!」といって追い払おう。
私は2度ほどしつこくて切れそうになったが、今回は我慢した。
ただどうしてもトイレに行きたくって急いでホテルに帰っている時に客引きしてきたしつこいおばさんには、
「オレは早く帰ってウンコがしたんだよ!」と叫んでやったが。