ワーサー かさこワールド

大理近郊の村4:湖畔マーケット・ワーサー

大理旅行最後に訪れた近郊の村ワーサー。
ここは訪れた村の中でも一番おもしろかった。
店や人も多く、活気にあふれていた。
大理古城から約50km。
ちょうど湖の対岸にあるのでタクシーをチャーターしたが(100元=1500円)、
予想以上に時間がかかり2時間ほどかかった。
大理古城からシャーピンを通って湖を右回りでいったために時間が掛かってしまった。
ただ途中途中、湖畔の古い町を何度か通っていけるのは楽しい。
もしかしたら大理古城から大理新市街下関に行き、そこからワーサーに行った方が、
近かったかもしれない。
バスで行くなら下関経由がいい。
(帰りはこの経由でワーサー→下関は所要1時間10元=150円)

このワーサーという町は毎月5、10、15、20、25、30日に、大きなマーケットが開かれている。
町の到着すると入り組んだ路地にずらっと露店が立ち並んでいて人でごったがえしていた。
路地をどんどん進んでいき15分ほどで、ぱっと広がった湖畔に出る。
ここがマーケットの中心地のようで、野菜類が中心。
ざっとみてもここだけでも50軒ぐらいあるだろうか。
大きな買い物カゴを持ったペー族の衣装を着た人々があふれていた。
ここが一大スーパーの役割をしているんだろうな。
ちなみに欧米人旅行客もちらほら見かけた。





ここで写真を撮りながらうろうろしていると、どっかで見かけたペー族の女性が。
藍染売りで私に買っていかないかと声を掛けられた途端、思い出した!
3日前、シャーピンで藍染売りをしていた女性だったのだ。

行なわれている市場は地元の人たちのための生活用品を売る場所なので、
観光客用のみやげを売っているものは皆無に等しい。
だから市場に行ってしつこく客引きに声を掛けられることはないんだけど、
シャーピンでわりにしつこく客引きしていたのがこの女性だった。

「なんだ!シャーピンに3日前にいたでしょ?覚えてない?会ったでしょ。シャーピンで」
片言の中国語とほとんどの日本語であとはゼスチャーとニュアンスで伝わるだろうと思ったら、
思い出してくれた。
そういえば、3日前に出会ったねえなんて感じで、その時、買わなかったのを覚えていたせいか、
ここでしつこく買え買えいうのは無意味だと思ったらしくセールスはやめてくれた。


私らが市場が開催される日に合わせて村をめぐっているように、この人も市場めぐりをして商売をしているのだ。
だから真っ黒に日焼けしている。
こうして市場を渡り歩いて売り歩いている人もいるのだなと感心した。
ペー族とは漢字で白族と書き、白色を尊ぶからなのだそうだが、
この人に限らず、みんな日焼けして、精悍な顔つきをしている。
でもだからこそ白を尊ぶのかもしれない。

再会したことがうれしく、写真を撮らせてもらった。
写真を撮り終え、また会いましょう、さようならというと、
追いすがるように藍染を買わないかとセールスがはじまった。
さすがアグレッシブだなあと思いつつ、ごめん、いらないんだといって、
苦笑いしながらその場を立ち去っていった。
この女性もシャーピンで買わなかったことを知っているからしつこく追っては来なかった。
その後、市場に来ている地元の人をつかまえ、熱心にセールスしている姿が印象的だった。

この湖畔マーケットに小さな食堂があったので、ここで食事をした。
普通の中華料理を食べれた。市場めぐりで疲れていて腹もへっていたので、食堂があって助かった。

その後、さらに奥に進んでいくと肉市場があった。
さらにその先には豚市場が。
生きたままの豚がそのまま売られている。
日本で普通に生活している限り、豚を売っている市場をみる機会はないけど、
考えてみればわれわれだって豚肉を食べているわけで、
豚を育てている人もいればそれを売る市場もあり、それをさばいて売っているところもある。
ただそういう直接的な光景が見えず、スーパーに並んでいる時には、
きれいに加工された製品としてしか目にしないから、
それも1つのネット社会以上にバーチャルな世界なのかもしれない。

豚とか鳥とかがそのまま売られている異国の地を見て「汚い」だとか「野蛮」だとか思ったとしても、
実はわれわれだってそれと同じことをして、それを食べて生きている。
ただそういう光景が日常から隠されてしまっているから、
身体感のない、実体感のない、バーチャルな大人が育ってしまうのだろう。
藤原新也の東京漂流の話の1つ「豚は夜運べ」というタイトルが思い起こされる。

そんなことを思いながら、
市場をぐるぐるとめぐりながらその活気あふれる様子を眺めていた。
行きは大理古城からタクシーをチャーターしたが、
帰りはどうにかなるだろうと思っていた。

現地で聞くと選択肢は2つ。
湖を渡る船を利用するか、バスを利用するか。
船は遊覧船気分で観光も兼ねられて移動できるのでいいかなと思ったが、
大理下関に行くバスに乗ることにした。
下関に行き、そこで大理民族博物館に行きたかったからだ。
そんなわけで帰りは下関経由で帰ることにした。
ワーサーは訪れた大理近郊の村の中でも最も印象的だった場所。
大理に行ったらぜひ、このワーサーに市場が開かれる日に訪れるとおもしろいと思う。



・ワーサー写真