韓国レポート かさこワールド 韓国写真目次

・2007年8月3日 ソウル置屋街レポート


ソウルにはカルチャーショックを受けるほどの、
ものすごい風俗街が町の中心地にある。
まるで人身売買とおぼしき造りの置屋街だ。
犬が売られているのを「先進国らしくない」と、
食べているくせしてのに撮影されちゃ困るという、
コンプレックスを持っている韓国の、
もう1つの「前近代的」ともいえる“恥部”である置屋街。

別に韓国の後進性を暴くためにレポートしようと思ったわけでもなく、
風俗「体験」レポートをするためでもなく、
うわっつらの韓流ブームだけでなく、
韓国にはこんな場所もあるのだという社会実態を、
日本人は知っておくべきじゃないかという観点から、
レポートしたいと思い、撮影を試みるため、一人で行ってきた。

ソウルの中心地近く、地下鉄・清涼里駅から徒歩2分。
なんとロッテ百貨店のすぐ裏に置屋街がある。
全面ガラス張りの美容室とおぼしき店が、
3通りにわたって何十店舗も並んでいる。
そこにはまるで叶姉妹のような、
ド派手なゴージャスな衣装をまとい、
不自然で人工的な感じのバストを強調した若い女の子が店に立ち、
行きかう男たちを懸命に誘惑する。

こんなあけっぴろげな店がソープランドだという。
なぜこんな造りになっているかというと、
店の中に入らずとも女の子の吟味をできるというメリットがあるからだ。
ネット等の情報によると、15分で7万ウォン(約1万円)が相場だという。

このような場所が韓国にあると知ったのは、
はじめて韓国を訪れた1999年のこと。
韓国に留学している友達が「おもしろいところがある」
といって、今回撮影した場所とは違う場所に連れていってくれた。
今回の場所よりもっと通りが狭く、
かつ若い女の子だけでなく、おばちゃん客引きがいて、
強引に通りを歩く男たちをむりやり店に引っ張る様子が見受けられ、
ものすごい衝撃を受けたのを覚えている。

ただここはそのような強引さはない。
きちんとしたルールができているのか、
女の子は絶対に店から出ずに誘いをかける。
だから懸命に声をあげたり、ガラス戸を叩いて、
店に立ち止まってもらおうと試みるのだ。

ソウルにこんなとんでもない場所があるということを、
ぜひ知ってもらいたいと思い、撮影のために訪れた。
明るいうちの方が撮影しやすいだろうと思って昼間に一度訪れた。
ところがさすがに昼間はほとんどの店が開いていない。
呼びかけられた女の子に聞くと19時頃開くという。
そこでもう一度、夜に出向くことにした。

しかし夜になっても2/3ぐらいの店は閉まっている。
土曜日の夜にもかかわらず、客はほとんどいない。
やはり犬市場の追放と同じく、
こうした実態を思わしくない政府が、
2004年に性売買特別法を施行。
この取り締まり強化により、
こうした置屋街は相当な打撃を受けたようだ。
1999年に訪れた時に感じたものすごい衝撃を、
なんとかカメラに収めたいと思ったが、
活気はすでになくなっていた。

そのせいか歩いていると異様に目立つ。
小さなコンパクトデジカメを首からぶらさげ、
動画モードで撮影しっぱなしにしつつ、
一眼デジカメを取り出し、1枚でも撮影できればと思ったが無理だった。
首からさげたデジカメに気づく女の子がいて、
「カメラ、カメラ」と騒ぐので焦ったが、
ほとんどは気づかれなかった。

ところがそっと一眼レフカメラを取り出したところ、
通りがかりのお兄さんが、
「ここはカメラはやめておいた方がいい。
ヤクザ、ヤクザ、ボコボコボコボコ」
と親切に教えてくれ、仕方がなくしまっていると、
カメラを見つけたヤクザ風の男が、
「何やってるんだ、おまえ」とすごんできて、
あわやというところではあったが、
その親切な人のおかげで事なきをえた。
ということで写真はないが、
動画で多少ここの雰囲気だけはわかってもらえるかと思う。

風俗業という問題は非常に難しい。
もちろんないにこしたことはないが、
古来、金貸しと風俗はいつまでたってもなくならない、
「必要悪」として存在し続け、
かつ景気の浮沈にかかわらず、しぶとく存在している業種だと思う。

最近、非常に悪質な痴漢、セクハラ、強姦など、
性犯罪が多発している社会において、
ビデオなどはそうした犯罪を助長させる危険はあるが、
誤解を恐れずにいえば、
金を払えば合意の上で性欲を満たせるところがあるわけだから、
痴漢やセクハラ、強姦なんて非常に愚かで許されない犯罪を犯すぐらいなら、
こうした風俗に行けばいいわけである。
そういう意味では風俗を単純になくせばいいというのは難しい。
逆にそういう場所が存在しないことで、
性犯罪が増える危険性もないこともない。

問題なのは、風俗業で働く女の子の労働環境と、
(まあこんなところで働くような女の子に、
労働環境もへったくれもないという意見もあるとは思うが)、
そうした商売が反社会的な団体の資金源になっているのは見過ごせない。

ただ、2004年の性売買特別法は、
なんと韓国各地の売春婦から猛烈な反発にあい、かつデモも行われた。
自発的に仕事をしている。
これで収入を得ているのにその手段を奪うなというものだ。
これも誤解を恐れずにいえば、
売春というウルトラC的職業があるからこそ、
借金や低所得層の家庭で生まれた「下流」であっても、
かつ何の知識も資格も学歴もなくても、
通常以上の高収入をあげる、
いわば下流からの脱出の「再チャレンジ」的意義もあるといえばあるのである。

ただ石原都知事が歌舞伎町の客引き禁止条例で取り締まり強化を行ったように、
過剰な営業・宣伝行為は取り締まるべきだろう。
その意味ではサラ金も風俗も同じで、
堂々とテレビや雑誌で広告ができたりすることや、
駅前の目に付くところに金を借りる(風俗に行く)のを誘発するようなものは、
やはり問題で、必要悪ではなく、必要以上の需要喚起を助長させるからだ。

さて、そのような観点から考えると、
風俗が必要悪で存在が認められたとしても、
ソウルにあるような置屋街の造りや、
それがロッテ百貨店のすぐ裏にあるというのは、
やはり社会問題視されても仕方はないだろう。
この置屋街のある清涼里は、2008年以降消滅する可能性があると、
朝鮮日報が報じている。
これは取締りで禁止するからではなく、
単に再開発地区に指定することで事実上追い出すという手段のようだが。

ただ私が気になるのは、
ソウルになぜこのような置屋街が存在できたか、
そして働く女性側が取り締まりに反対してまでなぜ存続にこだわるのか、
日本社会とは違う大きな2つの理由である。

1、韓国はクレジットカードで借りまくって、
多重債務になる人が非常に多いということ。
つまりは、カードのステイタスに踊らされ、
カードの便利さに踊らされて、ファッションなどに金をつぎこみ、
金が返せなくなって、風俗で働かなければ金を返せない女の子が多いから、
このような風俗街が存在するのではないか。

2、韓国は整形天国であること。
風俗で稼ぐには容姿が重要になるわけで、
置屋街のようなシステムの場合、
容姿をもろ外にさらされるから、ごまかしがきかないわけだけど、
日本と違って美容整形を簡単にしてしまう社会だから、
人工的なバストアップや顔の整形に金をつぎこむことで、
風俗の商品として容易に成り立ってしまうのではないか。

ちなみにソウルにこんな前近代的な置き屋街があるなんて、
なんて韓国は後進的な国なんだろうと思うかもしれないが、
日本にも未だにこのような場所が存在している。
大阪の飛田新地という場所だ。
ガラス張りの美容室ではなく、2階建ての花街的和風建物で、
やはりそこにも外から見えるように、女の子が座らされていて、
システムもソウルのそれと実によく似ている。
そんな場所が今でも日本に堂々とあるということも、
日本人として知っておいた方がいいと思う。
※ここも撮影を試みようと思ったが、さすがに無理だった。

このようなレポートを書くと、
抵抗感や嫌悪感を覚える人もいるかもしないが、
社会問題を解決しようと思ったら、
風俗とかサラ金とかそういう本当の「底辺」にまで、
視野を広げ、実態を客観視する必要があるんじゃないかと思う。
切符が買えないようなのが政治家をやっている日本では、
国民目線の政治なんてできるはずもない。

日本人はとかく臭い物には蓋をしたがり、
そこを見ようとしない悪い習性があり、
それが何十年にもわたる年金問題のずさんさとかに、
つながっているのではないか。
臭い物に蓋をすることでは社会問題の抜本的解決にはならない。
そのような意味では韓国もしかりで、
置屋街で働く女性の反発を招くような一方的な規制強化や、
犬市場の表面上の一掃などは、臭い物に蓋をしただけで、
本当の意味での問題解決をある意味では放棄している対応ではないかなと思う。

・2007年7月31日 納税・兵役の義務がない「自由」の村〜板門店レポート3
「ここに住んでいる人たちの年収は1000万円。
税金も納めなくていいし、兵役の義務もないんですよ。
すごく豊かな暮らしをしているんです」

韓国と北朝鮮の国境からそれぞれ2kmの非武装中立地帯(DMZ)。
両国がにらみ合うこの緩衝地帯に、
韓国側には「自由の村」と呼ばれる小さな村がある。
緊張状態の国境沿いにあり、
かつ、あちこちに地雷で埋まったこの危険地帯ゆえ、
政府が無税、兵役を免除し、
ここでとれた農作物を高く買い取っていることから、
ここに住む人は一般の数倍もの年収を手に入れているという。
国境を接した場所にこんな「特区」が存在するなんて、
思いもせずに驚いた。

しかしこの「自由」の村はぜんぜん自由じゃない。
非武装中立地帯は厳重な検問がある、鉄条網で囲まれた場所で、
許可した人間以外は入れない。
この村人たちは自由に村の外に出ることはできず、
門限もあり、消灯時間も決められている。
かつ毎日、村人の人数が合っているか、点呼もあるほどだ。

こうした普段の不自由だけでなく、
軍事緊張状態の最前線にあるわけだから、
何か有事があれば真っ先に戦争被害にあう、
とんでもないリスクと隣り合わせに生きている。

さらには地雷だらけの場所ゆえ、被害にあう村人も多いという。
ここに埋められた地雷の中にはわずか数百グラムの、
非常に軽い地雷があるゆえ、
地雷危険区域から雨が降った時などに、
地雷が流れてしまい、
本来安全なはずの場所にも地雷が流れてくるというのだ。

こんな不自由だけど、税金免除・兵役免除ならいいかも、
と思う人がいるかもしれないが、残念ながらここに住む彼らは、
ここに好き好んで住んでいるわけではないようだ。
もともと「板門店」なんて名もなき小さな農村に過ぎなかったこの場所が、
たまたま国境にされ、かつここで両国の休戦協定が行われたことから、
こんな場所にされてしまったのだ。
先祖代々の土地を見捨てるわけにもいかず、
否応なくここに住んでいる人が多い。

一般の年収数倍と無税、兵役免除という「特典」と、
彼らが背負っているリスクと不自由が見合っているのか。
世界遺産に指定されてもおかしくはない貴重な自然環境の中、
彼らは「自由の村」という名称をつけられながら、日々生きている。

・2007年7月21日 板門店レポート2:統一を阻む南北格差と屈折した韓国人意識
南北統一または共存に向け、このところ雪解けムードがあり、
今年5月には、南北鉄道が56年ぶりに運行(試運転)されたというニュースがあった。
ソウルから非武装中立地帯を抜け、
北朝鮮・ピョンヤン(平壌)へ向かう鉄道があり、
板門店ツアーでは韓国側の最北端駅、都羅山駅も見学した。

ツアーガイドさんがこの鉄道について、
こんな言葉を発していたのが印象的だった。
「北朝鮮の鉄道はボロイのでスピードが出せず、
補修工事しなければならないんだけど、
その補修費用はみ〜んなみ〜んな韓国の税金で払ってあげている」
それをバスの中で、そして鉄道駅の前で、彼女は二度繰り返した。
自分たちの税金が北朝鮮のための使われていて、
たまったもんじゃないというニュアンスがありありと浮かんでいた。
それは、いかに南北格差が深刻かということを物語っている。

日本がわあわあ騒いでいる「格差」なんてもんじゃない。
韓国の一人当たりGDPは18372ドルだが、
北朝鮮の一人当たりは914ドルだ。
(韓国銀行推計値でGNI(国民総所得)だが実際はもっと低い可能性もありうる)
なんと20倍もの格差がある。
いってみれば平均年収200万円の国民と、
平均年収10万円の国民が合併するようなものだ。
(ちなみに日本は約35000ドル)

これが統一したら大変なこと。
いわば北朝鮮という倒産寸前の企業を、
韓国という優良企業が救済するようなものだ。
その不良債権費用はすべて韓国国民にのしかかってくる。
北に離散家族がいるなら別だが、
そうでない人にとっては、統一によって税負担が増え、
しかもそれが自分たちのためではなく、
北朝鮮のために使われることに、
我慢ならない人もいるということなのだ。
統一を阻んでいるのは、単に北朝鮮側だけの問題ではない。

実際、北朝鮮から韓国に亡命した人が、
生活苦で悩むケースが多いと聞く。
東西ドイツ統一でも両国の格差は、大きな問題になったが、
朝鮮半島はより大きな格差があるだけに、深刻な局面に立たされるだろう。

しかし、不思議だなと思う。
板門店を目の前に、ただ一線を隔てただけの両国で、
民族も言葉も地理的条件もそんなに変わらないのに、
一方では外食して食べ残すほどの食料もあり、
映画や遊園地などさまざまな娯楽に囲まれて生活しているのに、
その線を越えてしまうと、
食べるのにも苦労するほどの貧困が広がっている。
そしてそんな両国の分断線を、
わざわざ金を払って観光する余裕のある日本という隣国もある。

国家とは企業のようなもので、政府とは経営陣のようなもの。
北朝鮮という国家の経営陣が運営したら、
こんな悲惨な状況になってしまい、
そこで生活する社員(国民)は生活苦に悩んでいるのに、
韓国という国家の経営陣が運営したら、
先進国並みの物質的にも豊かで自由な生活を送れる。
それがたった1線で分け隔てられてしまう皮肉。

日本の経済状況を見れば、
実にいい経営陣に恵まれたということになるはずだが、
日本もうかうかしてはいられない。
国の借金が800兆円を超えるどうしようもない企業である。
経営陣(政府・与党)を変えないと、企業が倒産するように、
国家が破綻してしまう。
韓国と北朝鮮の経済格差に学び、
日本も優秀な経営陣(政治家)を選んでいかないと、
無駄遣いのツケが全部国民の税負担になることを、
肝に銘じなければならない。

先ほどの南北統一鉄道だが、韓国人は異常な期待をしている。
「この鉄道が開通すれば、ソウルから北朝鮮を通って、
中国、モンゴル、ロシアを通りヨーロッパ、パリまでつながるんです。
そしたら鉄道での貿易もできるようになるんです」と。

思えば韓国はユーラシア大陸にありながら、
唯一大陸の国境を接している国が、
戦争中の北朝鮮のために、大陸づたいでどこへも行けない。
その閉塞感は相当なものなのだろう。
日本のようにもともとが島国なら、
大陸づたいに他国とつながっていたいという思いは希薄だろうが、
大陸にいながら他国とつながれない鬱屈は、
韓国人の意識に相当根付いているんじゃないかと思った。

だからこそ南北統一鉄道は、
北を飛び越え、ヨーロッパなど他国とつながる「ユートピア」なのだろう。
ユーラシア大陸の鉄道路線図を駅に掲げているあたり、
その痛々しさが伝わってくる。

北朝鮮がやばい国だという認識はあるが、
どうも韓国人の屈折した意識も相当問題だなと思う。
それは不自然な形で民族分断されてしまった、
世界でも例のないケースだからいたし方がないが、
統一か共存か現状維持か、
どんな選択をしても、韓国にとって乗り越える苦難は大きそうだ。

そのことを隣国である日本も認識しておいた方がいい。
単に北朝鮮が悪い、金正日が悪い、南に統一されるべきだでは、
片付けられない多くの問題がはらんでいることを。

ま、だからこそ、政治・外交にしたたかな中国あたりが、
現状維持が一番自国の国益になると、
北朝鮮をうまく利用しているのだろうけど。

・板門店写真


・2007年7月16日 犬食が野蛮だという意識と食べたい現実〜犬市場写真〜



韓国の食文化として有名なのが、犬を食べること。
4月に訪れた際、市場で犬が売られているのは1軒しか見なかったが、
今回、ソウル中心部から地下鉄40分ほどの、
牡丹(モラン)市場に行ったが、
なんとそこには生きた犬を檻に入れて販売する店が、
10軒以上、立ち並んでいた。

ここの牡丹市場は、日本人観光客の観光名所となっているような、
南大門市場とは違って、ローカルな市場。
別に犬だけ売られているわけではなく、
野菜、果物、ニワトリ、ヤギ、魚など、
さまざまな食品が売られている。

写真を撮影していると、
なぜか犬だけ「撮るな!」と怒られる。
不思議だなと思う。
ニワトリを撮影しても怒られないのに、犬を撮影すると怒る。
別に違法な闇取引をしているわけでもないのに。

ただこのような背景には一種の後ろめたさがあるからだろう。
犬が売られている姿を撮影されると、
野蛮だとか犬を愛護する人から批判される。
だからまずい。
公然とソウル市内の市場で売っているのに、である。

つい、先日、おもしろいニュースがあった。
韓国で犬肉を販売するネットサイトができたらしいのだが、
国内で猛反対にあって閉鎖に追い込まれたというものだ。
市場で売っていいのに、ネットではだめ。
ようは、国際的な体面を気にしているのだろう。
地元の市場で売っている限りでは世界に知られないけど、
ネットで売ってたら多くの人に見られてしまうからそれはまずいと。

犬食の体面を気にするようになったのは、
1988年のソウルオリンピック。
国際的な批判に配慮する形で、
犬肉料理店は表通りから排除された。
まるで今の中国と同じ。
表面だけはきれいにしましょうと、上っ面だけできれいにして、
根本的には何も変わっていない。
表通りから排除されたところで、愛好者に根強い人気があり、
韓国メディアによると、年間約200万頭が消費されるという。

なぜ犬だとこんなに反発を受けるのだろう?
なぜ犬食がいけないんだろう?
なぜ犬食の体面を気にするのか?
犬がだめでなぜ牛や豚や鳥はいいのか?
犬がだめでなぜ魚や貝はいいのか?

犬食がだめという人間は根本的に人間が生物だってことや、
食物連鎖とは何かがわかってないんじゃないか。
犬食がだめなら、あんたら何食って生きてるんだと。
菜食主義で魚も肉も食わないというかもしれないが、
野菜だって立派な生き物である。

思うんだけど、隠す必要なんかなく、
撮るなという必要なんかなく、
自国の食文化として名物だぐらいの、
もっと堂々とした態度をとった方がいいんじゃないか。
隠したり撮るなとかいうから、
余計おかしな「愛護」主義者から批難されることになる。

犬食文化を国際的な配慮から隠したいという韓国の精神構造には、
欧米が文明の先を行っていて、
自分たち韓国はまだまだ「遅れている」という意識が、
根強くあるんじゃないか。
変なコンプレックス。
戦争しているような野蛮な国の批判なんか、
まったく気にする必要ないのに。

それにしても犬はダメという人の精神構造は、
動物を見た目のかわいらしさでしか判断しない動物差別と、
人間のおもちゃ(ペット)になる動物だけは、
食っちゃいけないという人間のご都合主義がありありと見える。

乱獲して絶滅させるような食い方なら別だろうけど、
犬を食ったっていいじゃないか。
韓国人も自国文化に誇りを持たず、
そういう変なコンプレックスを持っていると、
その心の歪みは妙なところで爆発する危険があるから、
もっと堂々とした態度をとるべきだと思う。
それができない限り、いつまでたっても韓国は、
どれだけ欧米文明をモノマネしたところで、
心の幸せを得られることはないんじゃないかな。

牡丹市場写真

・2007年7月14日 板門店は自然の楽園?!/北朝鮮警備兵、板門店写真



同一民族を38度線という1つの線で分断した、
そのボーダー(休戦ライン)のある板門店を見れば、
誰しもが戦争や南北問題について考えを巡らすと思うが、
私が板門店を含む非武装中立地帯(DMZ)を訪れて、
最も印象的だったのは、
非武装中立地帯は手付かずの自然が残された、
希少な生態系が維持された場所であるということだ。

両国が再び戦争をしないよう、
38度線の停戦ラインを境に、南北2kmずつに非武装エリアを設置した。
そこには両国側から幾重にも鉄条網や高圧電線が張られ、
かつ地雷があちこちに埋め込まれている。
そのためほとんど人間が立ち入らず、
朝鮮戦争停戦した1953年以来、
約50年以上にもわたってそのままの状態で残されていることから、
豊かな自然環境が保存され、野生動物の宝庫となっているという。
絶滅種や希少な種も多くいるそうだ。

何と皮肉なことだろうか?
戦争の悲劇によってやむなく作られた緩衝地帯。
両国がにらみ合いを続け、双方が牽制しあっていたおかげで、
美しい自然環境が残された。
人間が立入禁止になれば、こんなにも美しい自然環境が取り戻せる。
板門店付近が豊かな自然なんてイメージはまったくなかったので、
これは大きな驚きだった。



板門店は同一の民族が分断された悲劇のシンボルとして、
またいつか南北が統一された暁には、
両国の交流のシンボルとして世界遺産にすればいいんじゃないかなんて、
私は板門店に行く前に思っていたけど、
ツアーガイドはこんなことを言っていた。 「南北が統一されたら、板門店のあたりは、
間違いなく自然世界遺産になるでしょう」

世界遺産には豊かな自然を守る自然遺産と、
歴史を守る歴史遺産があるわけだけど、
板門店周辺は歴史遺産である前に自然遺産なのだ。

人類が残すべき貴重な自然環境が、軍事対立によって生まれた皮肉。
板門店が投げかけているのは、
単に戦争の愚かしさだけでなく、
人間そのものの愚かしさと、
現代文明への警告、環境問題まで示唆しているのだ。

非武装中立地帯(DMZ)の観光スポットには、
必ずといっていいほどDMZグッズが記念品として売られているんだけど、
その中に「DMZ米」という米も名産として売られていた。
非武装中立地帯の韓国側には、
特別に許可された人が住んでいるエリアがあり、
そこは米や豆などが名産品として知られているという。



「誰が軍事的にきな臭いエリアで作られた米なんか、
わざわざ買うんだろう?」と思っていたのだが、
上記のように非武装中立地帯は手付かずの自然が残る環境のため、
そこで作られた米ということは、すなわち絶好の自然環境で作られた証明なのだ。
だからDMZ米は、両国分断をエサにした、
したたかな観光客用商売品としてではなく、
品質の良いブランド米として認知されている。

非武装中立地帯を見ていると、野鳥が実に多く飛んでいて、
人間が決めたラインなんか関係なく、
自由に両国をまたいで羽ばたいている姿を見ると、
戦争だけでなく環境問題的観点からも、
人間の愚かなる過ちを見直すべき時なのかなと思った。

・2007年4月20日 黄砂&海賊版あふれる韓国
<黄砂で霞むソウル>
ソウルには町を一望できるソウルタワーというのがある。
晴れ渡る春日和にもかかわらず、
町はどこか霞んで見えるのは、中国の黄砂の影響だという。

その時は、そんなもんか、なんて思っていたが、
日本の週刊誌では中国・黄砂問題を取り上げていて、
黄砂が大気汚染物質やウイルスなどを中国から運んできていて、
喉や体内の異常を訴える韓国の人たちが多く、
黄砂問題は韓国のみならず日本も深刻に考えた方がいいという内容だった。

眠れる獅子の中国が“妙な”目の覚め方をしてしまったがために、
また安い賃金、公害垂れ流しの規制の少ない法制度に目をつけた、
日本をはじめとする先進国企業も含めて、
中国でばんばん汚染物質を排出することが、
実は結果として、自らの体内に入り込んで病気になるという、
皮肉な結果を生んでいる。

環境だのエコだのってそんな崇高な理想の前に、
公害というもう一歩前段階での世界的な取り組みが、
必要な時期に来ているのかもしれない。

<海賊版あふれるソウル>
プラダやルイヴィトンといった有名ブランドバックのたぐいの海賊版が、
ソウルでは非常に横行していて、
あまりに精巧な造りのために、日本人観光客が買い漁っているという事実を、
目の当たりにした。

海賊版・模倣品というと中国や東南アジアのイメージが強いかもしれないが、
韓国も未だにこういうことをしていると思うと、
やっぱり「途上国」なのだなと思ってしまう。
しかし、それを目当てにしているというのが日本人という皮肉な現実。

ブランドニセモノ専門店がソウルにはいくつかあり、
ガイドさんが日本人を連れて行く。
入口はまったく何の店かわからないような造りになっていて、
かつしっかり鍵が掛けられ、ガイドさんが連絡しないと扉が開かない。
あやしげなビルのフロアに案内されると、
そこには見事なまでの精巧なブランドニセモノ品がずらりと並び、
1〜2万円というそこそこの値段で売られている。
そこに日本人が群がるというわけだ。

ニセモノでもブランド品にこだわりたいのか。
ブランド品のニセモノを平気で作り、売り、買っていく現実が、
中国や東南アジアではなく、韓国ソウルで行われていたことが、
ちょっと私にはショックだった。

・2007年4月18日 韓国屋台&料理写真/キムチが爆弾?
韓国・ソウルには首都にもかかわらず、
至るところに屋台が出ていて、
おいしそうな匂いを漂わせていた。
繁華街の通りだけでなく、市場内にもよく屋台が出ている。
屋台文化が盛んな町だからこそ、食のレベルが高いのかもしれない。
しかも、高級な料理ではなく、庶民が手軽に食べれる料理として。

韓国のレストラン、食堂に行って驚くべきことは、
キムチは何種類もおかわり自由で無料でつくことだ。
日本人がキムチと呼んでいる辛い白菜のキムチ(ペチュキムチ)だけでなく、
さまざまな種類のキムチがついてくる。
これはすごいな〜と思う。
この慣習を知らない人が韓国に行ったら、
「頼んでないのにいっぱいキムチがきた」と思うに違いない。
南大門市場の食堂でチヂミ5000ウォン(650円)を頼んだのだが、
チヂミだけ頼んでもとても食べきれないほどのキムチがついてきた。

韓国といえば焼き肉が有名だが、
市場に行くと種類雑多な魚があり、
屋台には海鮮鍋も結構見かける。
今回、食べたので実にうまかったのは、活きタコ鍋。
活きたタコを鍋で煮て食べるんだけど、
これがまたプリプリしていて実にうまかった。
私が入ったレストランは、2人前で1万ウォン(1300円)。
安くはないが、これはぜひ食べてみるといいと思う。
鍋に限らずタコ料理は結構多いので。

韓国で毎食のようにキムチを食べていると、
キムチがクセになり、おみやげにぜひ買って帰りたいと思うのだが、
残念ながら現在の韓国は、テロ対策のため、
液体ものの機内持ち込みが厳しく、
キムチも液体があるということでNGになる。
預け入れの荷物に入れればOKだが、
荷物がキムチの惨劇になることは非常に高い可能性なので、
なんとも悩ましい。

液体ものの機内持ち込みの厳しさは、
やはり北朝鮮、米軍、二分された国という、
現在の韓国の“異常”状況を物語っている。
キムチや化粧水がテロ爆弾と疑われず、機内持ち込み可能になる、
正常な朝鮮国家になることをいち早く望んでやまない。

・2007年4月17日 韓国の王宮&衛兵交代式



韓国ソウルといえば、グルメ、ショッピング、エステばかりで、
いわゆる「観光」というのが思いつかないわけだが、
李氏朝鮮時代の王宮があって、そこが見所といえば見所。

単なる王宮ならそのまま素通りしてしまうんだけど、
景福宮(キョンボックン)では2005年から、
伝統衣装をまとった衛兵交代式が行われている。
これはなかなか見応えがあるので、
数少ないソウル観光の1つの選択肢として、
検討してみてもいいと思います。

・景福宮&昌徳宮写真

ちなみに、ソウルの世界遺産は、昌徳宮(チャンドックン)と宗廟(チョンミョ)で、
この景福宮(キョンボックン)は世界遺産にはなっていないわけだけど、
「世界遺産」なんていう誰かが勝手につけただけの肩書きに捉われず、
自分の見たいものを見るのがいいと思う。
世界遺産連載コーナーを担当している私が言うのもなんだけど。

・2007年4月15・16日 韓国は安くない!〜ここでしかできないこと
仕事(取材)で4/13〜15まで韓国のソウルに行ってきました!
旅行系でも金融系の取材ではなかったのですが、
仕事の合間にいろいろと撮影してきましたので、
随時、アップしていきます。

焼肉が安い、エステが安い、メガネが安い、化粧品が安い、
はたまた女が安い、といった理由で、
高い国内旅行、国内ショッピングするより、
2時間で行けるお手軽な隣国に行って、
「安い」尽くしの旅をすれば、
航空券&宿泊代ぐらいもとがとれるなんていう物価安は、
数年前までの話で、今の韓国というかソウルには通用しないのではないか、
というのが、今回、私がソウルに行って一番感じたことである。

今回は仕事の合間で、しかもたった2泊3日だから、
そう感じたのはたまたまかもしれないが、
韓国人ガイドの方もちらっとその話をしていた。
「そんなに安くはないです。日本と物価はあまり変わりありません」
嘘だろうと思ったが、旅行後、そう思った。
そんなに安くはない。

私は韓国には今から8年前、1999年にたった2日間だけ訪れている。
(下関から船で釜山へ、釜山から電車に乗り、ソウルへ。
その後、ソウルから船で中国へ。
http://kasako.web.infoseek.co.jp/asia.files/8-2.html
その時、感じた物価の安さの面影は、タクシー以外はどこにもなかった。

単純に、日本円と韓国ウォンの両替レートからもわかる。
以前は、1万ウォンが1000円だったが、
今は、1万ウォンが1300円ぐらい。
今日食べたプルコギが1万ウォンだったが、
数年前なら1000円で「日本で食べるより安い」といえるかもしれないが、
今のレートなら1300円になり、それほど安いとはいえない。

韓国のローカルな食堂の値段表を見ても、
一番安い食い物が3000ウォンぐらい。
ということは390円ぐらいである。
地元の人しかいかない、狭くて小さなローカルな食堂の、
うどんなのか粥なのかわからないけど、
最低が390円とすると、
日本の牛丼チェーンや格安ラーメンチェーンなら290円だから、
「韓国が安い」とはちょっと言い難い。

焼肉も店によってピンからキリまであるけど、
日本人がいけるような、ガイドブックにも載っているそこそこの店にいくと、
結構いい値段するので、
「この値段だったら、同じ値段で日本で焼肉屋行けばいいんじゃないか」
ってことになりかねない。

バラマキみやげ用に韓国のりを探したのだが、
ツアーで連れて行かれた日本人用みやげ店はかなり高かった。
※8〜10パック・8000ウォン〜15000ウォン(1040円〜1950円)程度
のりといっても味や品質はピンからキリまであるので、
「高級のりにしては安い」と言われればそれまでだけど、
テレビ番組のグルメ度テストではないが、
のりを食べて、どの程度の品質のものか見分けるのは、
よほどの違いがない限り難しいんじゃないかと思う。

バラマキ用のりを買ってこなければならなかったので、
仕方なく、みやげ店の裏手にあるファミリーマートにいって、
8パック1200ウォン(156円)という安いのを見つけてきたものの、
8パック300円程度のものなら日本でもあるので、
値段がもともと安いだけに「すごい安かった!」、
といえるほどの違いがあるか微妙なところではある。

メガネもすごい安くって、
一時、韓国に行ったらメガネをつくるって流行ったみたいで、
ソウルの町を歩いていても日本語対応可能で、
20分で作ってくれる格安メガネ店があるんだけど、
だいたい安くても3000ウォン(3900円)〜というから、
韓国で4000円のメガネを買うか、
日本の格安メガネ5000円を買うかといったら、
これまた微妙な価格差ではある。

すべての値段をきちんとリサーチしたわけではないので、
なんともいえないし、同じ物でも質によって値段が大幅に異なるので、
一概に、値段比較はできないけど、
間違いなく韓国の物価は以前より上がっていることは間違いない。
だから、「安いから韓国へ」「安いから買う」といったものは、
韓国旅行の動機付けにはならず、行ってもがっかりするんじゃないかと思う。

私が旅先を選ぶ時、また旅行中に考えることは、
「ここでしかできないことは何か」ということ。
エジプトのピラミッドはエジプトでしか見れない。
チベットの寺で真摯に祈る巡礼者の姿はチベットでしか見れない。
ヨーロッパの石畳の街並みはヨーロッパ(厳密にはヨーロッパのかつての植民地も)でしか見れない。
安くておいしいパスタはやっぱりイタリアでしか食えないし、
安くておいしいカレーとナンはインドでしか食えない。
ものすごいスケールのカジノはラスベガスにしかない。
(マカオもすごいらしいが)

旅行をするなら、その場所に行ってしかできないこと、
味わえないことを体験したいなと思う。
だからそれが心に残る。

ただ最近、ネットの影響だけでなく世界経済のボータレス化が進んでいるせいか、
その場所に行かないと体験できないということが減ってきたように思う。
そこの場所でしか売っていないものは、
ネット通販で簡単に買えるようになったし、
各国の本場料理店の出店も多い。

たとえば、名古屋といえば味噌かつで、
名古屋出張の際、よく名古屋駅地下街にある「矢場とん」に行くんだけど、
実は銀座にも店があるので、
別にわざわざ名古屋で並んで食べる必要はないといえばない。
まあ食べ物の場合、同じ食べ物でも、
そこの場所で食べるからうまいということはあるんだけど、
名古屋と東京ぐらいじゃたいして雰囲気も環境も変わらないわけです。

日本じゃ体験できないことがあるから海外に行く。
東京じゃ体験できないことかあるから国内旅行に行く。
非日常体験ができるのが旅の醍醐味というか、旅の基本だとするなら、
韓国旅行の動機付けは「安いから」は残念ながら通用しない。

韓国に行くことでしか体験できないことって何だろう?
特にソウルは日本語もすごくよく通じるだけに、
すごく難しいなと思いながら、
ソウルでの限られた時間でどこを回ろうか、考えていた。

ま、ほんとはそれを考えてから旅先を選ぶのが通常の旅行なので、
ブレはあまり生じないんだけど、
仕事ついでの「旅行」だけに難しいなと思った。

そんなわけで、ソウルでしか体験できないことなのかはわからないが、
限られた時間の中であちこち見て回って写真を撮ってきたので、
随時これからアップしていきますのでお楽しみに。

ちなみに「ここでしかできないこと」という意味で、
ソウルで前回訪れた時も今回も真っ先に思いついたが、
残念ながら叶わなかったことが1つある。
板門店ツアーだ。
「1つの国」1つの民族が人為的な線で区切られ戦争状態という不条理。
それは韓国で、かつ今しか体験できないこと。
今度行く時はぜひとも板門店ツアーに行きたいと思っている。

「ここでしかできないこと」という意味では、
もうすっかり沈静化してしまったけど、
韓流ドラマのロケ地めぐりは理にかなっている旅の動機なのかもしれない。