2008.3.2表参道FAB

メリディアンローグ・ワンマンライブ写真&レポート 

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●第一部:オープニング〜メドレー
ライブ会場は始まる前から異様な熱気と緊張に包まれていた――。
開演10分前頃には、ライブ会場はほぼ身動きのとれないほどの観客でいっぱいに。
およそその数300人。
開演前からすでに観客のテンションは盛り上がりをみせていた。
待ちわびたファンから「早く!早く!」の歓声が沸く一方、
1年ぶりとなるワンマンライブへの期待から、
緊張し祈るような姿で待つファンの姿も。

どちらかというとこれまでのライブでは、
どんなバンドなのか、「お手並み拝見」的なスタンスで待っていた観客が多いように思う。
しかし今回は期待と緊張が渦巻く、まったく違った雰囲気。
それはすでに彼らのCDやライブを聴き、
その実力を知って待っている観客が、
以前よりも圧倒的に増えたからかもしれない。

開演予定の18時30分から約10分が過ぎ、
さらにテンションがあがる観客を前に、
予想外の登場シーンに会場は固唾を飲んで静まり返った。

深紅のライトに照らされ、ベールをまとった一人の男だけが、
古文書のようなものを片手にゆっくりと現れたからだ。

(あれは誰?)といったささやきが聴こえながらも、
何が始まるのか男の一挙手一投足を逃すまいと、
開演前のボルテージが嘘のように300人の観客は静まっていた。

そして“物語”は始まった。
「フェアリーテイル」。
1冊の物語的アルバム「アクアリウム」をリリースした当時のライブでも、
書物を読み聞かせるがごとく「フェアリーテイル」を奏でたように、
これから始まるメリログ伝説の1ページを開くように、
「朽ちた書物の扉を開いて」ワンマンライブが始まった。

神秘的な雰囲気に沈黙が支配する会場の中、
メンバーがそれぞれ所定の位置につくと、
男は書物を投げ捨てベールを脱ぐとボーカル涼さんの姿に、
観客がどよめき立つ中で、
メリログは一挙にボルテージを上げるライブ一発目にふさわしい、
これ以上ない曲を選択した。
「スターフライト」。

昨年のワンマンライブ明けのライブで初披露した新曲で、
ファンの度肝を抜いたアップテンポの曲。
ピアノでじっくり聴かせるような、
スロー&ミディアムテンポの曲が多いメリログにあって、
「スターフライト」は今までにない新鮮味のある曲だ。

曲が始まると勝手に体が動いてしまうノリのいいこの「スターフライト」に、
静まり返った観客はこれまでの期待と緊張を一挙に爆発させ、
会場が揺らぐような大興奮のるつぼへとなだれ込む。

スターフライトが終わると涼さんから簡単に挨拶が。
待ちに待ったワンマンライブという気持ちはメンバーも同じ。
涼さんの表情からは緊張よりむしろ、
久々にワンマンができる喜び、楽しさに満ち溢れているようだった。

次にアルバム「マクロポリス」から、
「ストリング」「ラティメリア」の2曲を披露。
他のバンドにはないメリログ的世界観を知るには申し分ない2曲。
近未来世界にタイムスリップしたかのような異空間へと誘いながら、
今を生きる我々に突き刺さる、刺激的な歌詞とメロディーが心地良く響く。
伸びやかでハイトーンが見事な歌声と、
その歌声の良さを最大限に生かした力強い演奏に、
すべての雑念が吹っ飛び、頭の中がメリログのメロディーだけで占められてしまう、
そんな錯覚を覚える魅惑的な音楽だ。

2曲が終わった後はなんとメドレー!
しかも昔のアルバムの中からいいとこ取りという贅沢さ。
「マクロポリス」とはまた違ったメリログならではの神話的世界観を醸し出す、
初期三部作の曲たちをダイジェストで知ってもらおうという新たな試みだ。

優しくささやきかけるような「N」で始まる新しい物語は、
それとは対照的な力強さを持つ「EXIST」「バベルの塔」と続き、
夢のような世界へと誘う「ロストガーデン」で幕を閉じるという見事なリレー。
ワンマンライブとはいえ、限られた時間の中で、
やりたい曲がいっぱいからこそ、
初期作品はメドレーという形で凝縮して披露するナイスなアイデア。
観客にとっても初期作品をダイジェストで聴けた上、
メドレーそのものが一つの物語であり曲のように聴けるので、
非常に良かったのではないか。


●第二部:アコースティックスタイル
そしてこれまたサプライズ!
今度はメンバー3人によるアコースティックでの演奏を2曲やることに。
これこそ昨年までのメリログとは違った新たな進化の一面だ。
昨年1年間、彼らは通常のバンドスタイルではなく、
路上ライブでアコースティックでの演奏を何度となく行っていた。
いわばその「成果」が1年後のワンマンライブに反映されたわけだ。

どんなアーティストのライブでもそうだけど、
いくら好きでも長時間のライブを一本調子で演奏されても、
聴く側はやや辛い面がある。
そこにたった2曲でもアコースティックという「変化球」が入ることで、
聴く側にメリハリが生まれ、ライブがより聴きやすくなる。

ボーカルの涼さんはキーボードを弾き、
ドラムの海保さんはカホーンを叩き、
ギターの長田さんはアコギに持ちかえる。
バンドスタイルとはまったく違ったメリログの一面を見れるのも、
ワンマンライブならではの楽しみの一つだろう。

アコースティックで演奏したのは「フロンティア」と「バードケージ」。
双方とも原曲はミディアムテンポだが、
アコースティックになることで、テンポがよりゆったりとなり、
シンプルな演奏の中で、涼さんの歌声がまた違った形で際立って響いてくる。

2曲を終えると涼さんのみキーボードを弾きながら、
バンドスタイルに戻っての「イカロス」。
1stアルバム1曲目に収録され、
涼さんが作詞作曲をするようになってからの記念碑的作品で、
メリログの原点ともいえるこの曲は、ほんと何度聴いてもいい。
もうずっと前から涼さんがキーボードを弾きながら、
「イカロス」をやっているようなそんな錯覚に捉われるぐらい、
このスタイルがはまっていた。


●第三部:新曲&ギター、ドラムソロ
「イカロス」を終えると再びバンドスタイルになって演奏スタート。
そしてついに未発表の新曲登場!
新曲について涼さんからMCが入る。
「環境問題を考えて作った曲」といいながら、
ありふれたエコメッセージソングなんかじゃなく、
メリログならではの独特な解釈ともいうべき、世界観が加わっていた。

僕たち一人一人は地球にとってガン細胞のようなものではないか――。
ガン細胞が人間を蝕むことによって、
人だけでなくそこに巣食うガン細胞も消滅してしまうように、
人間が地球を蝕むことによって、
蝕んだ人間自身も生きられなくなってしまうという逆説。
アルバム「マクロポリス」的世界観とはまた一味違った、
異世界へと誘うメロディーに乗せて、地球の「悲鳴」を歌い上げた。

メリログのいいところは、
ややもすると説教くさくなりかねないメッセージを、
そうしたことは感じさせず、
美しいメロディーと歌声で見事に音楽として聴かせてくれることにある。
新曲「悲鳴」はまさにそれを体現した曲といえる。
音楽としての聴き心地の良さがありながらも、
歌詞を追えば、そこに意味深な、
逆説的メッセージが忍び込まされている“隠し味”がたまらない。

新曲を演奏すると会場の雰囲気が一変した。
メリログの新たな魅力に魅せられて、
時を忘れて夢中になってしまう、そんな雰囲気が充満していた。

新曲の勢いを後押しするように続いて長田さんのギターソロインスト。
これがまたすごかった!
初めてメリログのライブを見た人は、
まずボーカル涼さんの素晴らしい歌声に聞き惚れ、
次に長田さんが奏でるギターに驚く。

“歌詞がないのにギターがまるで歌っているようなフレーズ”
ギターの演奏をただ魅せつけられるんじゃなく、
自然と体が動き、テンションが上がっていくギターフレーズがたまらない。

続いては「レプリカ」。
もうすっかりお馴染みとなった、
ライブバージョンでの音がまったく「なくなる」数秒間のシーンは、
逆に音の存在感とか音楽の素晴らしさとかを、
自然と考えさせられてしまう、絶妙な間合いだ。

そして今回はここに海保さんのドラムソロが入るという新たな趣向に。
ボーカル涼さんの歌声に驚き、ギター長田さんのソロに驚き、
そしてメリログを見た人が三度目に驚くのが、
ドラム海保さんのドラムプレーのすごさなのだ。

通常の演奏でも海保さんのドラムの存在というのは際立っている。
単に大きく打ち鳴らすだけの「存在感」じゃなく、
全体の調和を考えてその曲が最も素晴らしく聴こえるような、
調和役・引き立て役としてプレーする見事なドラマー。

そんな海保さんがソロでは自らが主役となり、
ドラムという楽器が演奏できる魅力を、余すところなく発揮する。
これに観客は驚く。
ここまで魅せられた頃には、完全にメリログにやられてしまっているだろう。
私が初めてワンマンライブを見た時がそうだったように。

●第四部:新曲〜蒼星へと続く、怒涛のような盛り上がり!
そしていよいよライブは終盤。佳境に入る。
ワンマンライブのタイトルともなっている、
「ひとりひとりが元素となり創り出されるもの」という、
その意味が明かされる。
新曲「エレメント」にその想いを込めて。

一人ひとりが1つの元素のようなもので、
たとえば3つの元素が集まって、
メリディアンローグというバンドを構成しているように、
このライブ会場にみんなが集まることによって作られた空間がある。

「蒼星の系譜」のメッセージと通ずる新曲「エレメント」。
一人ひとりはバラバラだけど地球人類(蒼星)の系譜を辿ってみれば、
みな同じ1つの祖先に辿りつくように、
一人ひとりはバラバラな元素かもしれないけど、
集まることによって形づくられる社会、国家、地球、宇宙は1つ……。

こうしたメッセージを込めた新曲「エレメント」は、
一度聴いただけでも感動的な曲だった。
人類の神秘を感じさせながら、その原点に立ち返り、
さあ僕たちは今、どうやって生きていくかみたいなことが、
美しい歌声とメロディーに乗せられ、体内に染み入っていく不思議な感覚だった。

「ライブは演奏する側だけじゃなく、聴く側も一緒になって作るもの」、
とはよく聴く言葉だけど、それを言葉じゃなくって、
曲でそういうことを見事に表わしたのがこの「エレメント」ではないか。
「エレメント」が奏でられると、演奏する側と聴く側が、
ライブ会場が一体化していく感覚が強烈にあった。

新曲「エレメント」の勢いに乗って、さらに観客を盛り上げてくれる、
メリログ代表曲ともいえる「パノラマ」へ。
曲のつなぎでちょっとしたハプニングがあったものの、
新曲「エレメント」によってあがったボルテージは下がることなく、
「パノラマ」で加速がつき、ライブ会場の一体感がさらに強まっていく。

「パノラマ」はこのライブ会場に来ている人の中でも、
多分最も知られている曲だろう。
それだけにこの時を待ってましたとばかりに、
会場全体が盛り上がいくのがわかる。

でもこの「パノラマ」でライブが終わっちゃうのかな、なんていう、
ちょっとした心配はすぐさま杞憂に終わり、「ソレイユ」が続く。
この曲もほんとメリログっぽい代表曲の一つ。
アコースティック後の「イカロス」から始まった旅を、
エピローグへと導く「ソレイユ」。
ギターソロの見せ場もあり、会場はさらにヒートアップしていく。

そして最後は待ってました、ついに登場、「蒼星の系譜」!
ほんとこの曲はヤバイ。
ファンの中でも一番好きという人も多いのではないだろうか。
この曲の持つ形容しがたい素晴らしさは、
初めて聴いた人でも虜にしてしまうすごい魅力があって、
とにもかくにも「エレメント」「パノラマ」「ソレイユ」に続き、
「蒼星の系譜」で締めるというこのすさまじい流れは、
これ以上ない盛り上がりを見せていた。

「悲鳴」する地球に「エレメント(元素)」となる一人ひとりが、
「蒼星の系譜」を辿って、みな手を取りあいながら、
壮大なメリログ劇場の幕を閉じるのであった。

終盤の怒涛のような名曲ラッシュに、
ハイテンション覚めやらぬ会場では、
メンバー退場後もすぐアンコールの声が沸き起こっていた。


●アンコール:未来に向けた「透明の羽根」
アンコール後、ドラムの海保さんが一人で登場。
「もしかして発表があるんじゃないか」とファンなら期待していた、
待望の次期アルバムについてのリリース情報が!
なんと夏ごろに発売する予定という。
ライブで披露した新曲「スターフライト」「悲鳴」「エレメント」を聴けば、
次期アルバムはものすごいものになると誰しもが思っただろう。
まだどの曲が収録されるのか、いつ発売かなどは決まっていないとはいえ、
そう遠くない未来にニューアルバムが発売されるという発表は、
ファンにとってこの上のないプレゼントだったに違いない。

そしてメンバーが登場後、最後の曲は昨年後半のライブから、
すでに何度かやっていて、ライブには欠かせない新曲「透明の羽根」だ。
こんな夢、無理なんじゃないかって、
自分自身で夢をあきらめてしまうこともあるかもしれないけど、
でもそれでは何も始める前に終わってしまうわけで、
自分で無理って決めつけないで、
「透明の羽根」をつけて、自ら手を伸ばして、
空に向かって飛び立とうという、
すごく前向きなメッセージが込められた、
メリログ最新にして最強のバラードに、
会場に来ている一人ひとりが、自分自身の人生と重ね合わせながら、
「透明な羽根」に聴き入ってライブは終わりを告げた。


1年ぶりのワンマンライブはほんとすごかった!
これからのメリログの活躍が目に浮かぶような、
メリログ伝説のプロローグ的ワンマンライブだったのではないだろうか。
2008.3.2。表参道FABから始まるメリログ快進撃の歴史が、
今まさにスタートが切って落とされた。

セットリスト
1:フェアリーテイル
2:スターフライト
3:ストリングス
4:ラティメリア 5:メドレー(N〜EXIST〜バベルの塔〜ロストガーデン)

6:フロンティア(アコースティック)
7:バードケージ(アコースティック)
8:イカロス

9:悲鳴(新曲)
10:ギターソロインスト
11:レプリカ(&ドラムソロ)

12:エレメント(新曲)
13:パノラマ
14:ソレイユ
15:蒼星の系譜

アンコール
16:透明な羽根