アジア90日間旅行
  
「アジア90日間旅行」の写真のリンクもあわせてご覧ください。

・17日目 北京(中国)(1999年8月17日)
10:30、モンゴルの空港到着。中国人であふれかえっていた。
12:30、この旅はじめての飛行機。
30時間かけてきた道程をわずか1時間半で行ってしまう。
便利過ぎて、旅情はない。距離感がつかめない。
あっという間に北京到着。
北京に帰ってくると、なんだかすごくほっとした。
まるでもう日本に帰ってきたような安心感がある。

ずっと北京で泊まっていたホテルに帰ってくると、階の服務員の人は僕を覚えてくれていた。
そんな些細なことが無性にうれしい。
今度はすぐ北京を発ってしまうので、親切にしてくれたその服務員にモンゴルからのおみやげをあげようとした。
筆談のやりとりで、はじめ僕がプレゼントしたいということがわからなかった。
親切にしてくれたのでこれをあなたにプレゼントしたいとやっと伝わったが、
「お気持ちだけ受け取っておきます」みたいな感じでプレゼントは受け取ろうとしなかった。
彼女の毅然とした表情には、服務員として当然の仕事をしたまでだから、
それに対してプレゼントをもらうわけにはいかない、といったものが見受けられた。
その態度にまた感心した。
中国ではどこにいっても接客態度は悪いのが普通である。
そんな中で彼女の態度は素晴らしかった。

・18日目 北京(中国)(1999年8月18日)
韓国・北京・モンゴルと半月の旅が終わった。これで一区切り。
これから当初の予定である中国シルクロードを進んでいく。
韓国・北京・モンゴルは本当は当初の予定では行くつもりのなかった場所だった。
はじめの旅の計画ルートは、大阪から船で上海へ。
上海ー南京ー徐州ー洛陽ー西安と行く予定だったが、韓国と北京に後輩が留学することになったので、
韓国ー北京とルートを変えた。
さらにこの際、北京からなら列車1本でモンゴルに行けることを知り、モンゴルも行くことにしたのだ。

これから北京ー洛陽ー西安と本来の旅のスタート地点に戻ったような気分。
あっという間に半月が過ぎてしまった。
これからどんどん西へ西へとシルクロードを進んでいく。
いよいよ本当の旅がはじまるのだなという気分だった。

・19日目 洛陽(中国)(1999年8月19日)
中国シルクロードを進む旅が始まる。
最初の目的地は、古都、洛陽へ。
9:30、北京発の列車に乗る。

同じコンパートメントには英語を話せる人がいて、
その人と中国語しか話せないおじさんと3人でしゃべって列車の時間を過ごす。
一緒に話している中国人に、僕が今までたどってきた旅のルートとこれからの予定を世界地図を見せながら話すと、
「信じられない」といった表情をされた。
昼食は、買ってきたせんべいとインスタントコーヒーで済ませる。
長距離列車なので食堂車はついているのだが、まずくて高いと聞いていたからだ。
洛陽に着いたらたっぷりうまい夕食を食べようと、それを楽しみにする。

列車に1日中乗り続け、20:00、洛陽に到着。
夕食は、マーボー豆腐とご飯とスープで9元(約140円)。うまかった。
昼間ずっと列車に乗り続けているのは結構疲れて、すぐに寝た。

・20日目 洛陽(中国)(1999年8月20日)
中国三大石窟の一つ、龍門石窟に行く。
洛陽の駅からローカルオンボロバスで1時間。石窟前に到着。
入場料を払って中に入ると、パンプレットを買えとしつこいおばちゃんたちが群がってくる。
あまりにうるさいので、僕はいいことを思いついた。
リュックから「エジプト旅行記」を取りだし、これを買ってくれたらあんたらのパンフレットも買ってやろうと、
逆にこっちも売りつけたら、さっさと逃げていった。
売りつけるのには慣れているようだが、売りつけられるのには慣れていないようだった。

石窟はとにかく岩山のあちこちに仏が彫られている。
石窟の穴ぼこが多くて、仏教遺跡というより、何かの巣のようだった。
よくもまあこれだけのものを昔に作り上げたなと感心すると同時に、
きっと幾人もの民衆の犠牲があったのだろうなと思った。

石窟から帰ってきて洛陽の町を散歩していると、街頭で喧嘩があって人が群がっていた。
中国ではよくこのような光景を見かける。
明日は西安。列車で行くかバスで行くか迷ったが、バスチケットを購入した。

・21日目 洛陽(中国)(1999年8月21日)
西安まで列車がバスで行くか迷ったあげく、バスにしたのが間違いだった。
出発は2時間遅れ。挙句の果てにタイヤがパンクして2時間修理。
11:00にバスに乗り、西安に到着したのは夜中の2:00だった。
もう二度とバスなんか使うものかと思った。
列車の方が快適だし、時間は正確。ただ切符がとりにくいのが難点。

しかし旅の思い出とは不思議にもすんなりといったことよりも、トラブルがあったことの方がなつかしく思う。
バスが修理している間、暑くてしょうがないと思っていたら、どこからともなくアイス売りがやってきた。
バスを修理中、暑くてしょうがない乗客はこぞってこのアイス売りに群がって買った。
僕もアイスを買った。わずか5角(約7円)。
夜の早いうちに西安に着くことができなくなったので、途中で乗客全員で夕食を食堂で食べる。
一人だけ乗っている外国人の僕にみんな興味津々で、ビールをくれたり、おかずをくれたりする。
言葉はわからないが、なんか多くの中国人に囲まれてとても楽しかった。

・22日目 西安(中国)(1999年8月22日)
11:00起床。西安に来るのは2回目。
この町には謎がある。
北京にはマクドナルドがあちこちにあるが、西安にはマックは一つもなく、
なぜかケンタッキーばかりがある。KFC占領地区なのだろうか?

シルクロードの出発点、西門に立ち、これからの旅を思う。
ちょうど2年前、僕はこの西門からシルクロードを眺めていた。
いつの日か、この西門からシルクロードを進んでいく旅に僕は出るのではないか。
そんな2年前の予感が早くも的中していることに自分でも驚く。
自分の意志が、自分の意識が、どこかで現実の行動の源になっているのだろう。

夜、北京ダックの店を見つけて入って食べてみたがおいしくなかった。
やはり北京ダックは北京で食うのが一番なのだろう。
カード式の鍵のホテルのくせして、部屋にこおろぎが住みついていてうるさくて寝れない。
何度も退治をしたのだが、何匹も出てくる。
どうも部屋にこおろぎの巣があるらしのだ。
こおろぎの鳴き声に眠れぬ夜を過ごす。

・23日目 西安(中国)(1999年8月23日)
今日は町をぶらぶら歩く。デパートや店をのぞいて歩く。
あちこちでバーゲンセールをやっていて、早いテンポの曲が大音量で流されるのは、
日本のバーゲンと変わらないなと思った。
西安は2年前に来て主要な観光地は見ているので、今日早速西安をあとにする。
次の目的地はちょうど中国のど真ん中に位置する蘭州。西安から約670km。

17:10西安発、夜行列車に乗る。寝台車両が取れず座席で行くので、かなり辛かった。
とにかく中国の列車の中はにぎやか。ケンカははじまるは、おしゃべりはつづくは、
熱湯が備え付けてあるので、カップラーメンの匂いはひっきりなしに漂ってくるは、
車内販売は夜中12時になっても声を張り上げて売りに来るは、
まるで修学旅行の貸し切り列車のような騒ぎだ。
ほとんど眠れず、中国人の騒ぎと体臭に混ざって、目的地、蘭州には翌日の朝7:00着。
体のあちこちがいたいし、疲労が激しい。

・24日目 蘭州(中国)(1999年8月24日)
朝7:00蘭州着。駅前のホテルに荷物を置き、昨日はろくに寝れなかったので、寝ようと思ったが、
朝は明るいのと、新しい町についた喜びとで眠れず、散歩しにいくことにした。
駅から20分ほど歩くと、黄河が見れる。
その名のごとく、川の色は泥水のように濁っていた。
そして昼食は、蘭州名物牛肉ラーメンを食べる。
1杯2元(約30円)で、あつあつのラーメンを食べる。名物だけあってうまかった。
蘭州は中国のかなり内陸部に入っているにもかかわらず、高層ビルが立ち並ぶ大都会。
中国パワーのすごさを見せつけられた感じがした。

・25日目 蘭州(中国)(1999年8月25日)
今日は蘭州の町から100km離れた、炳霊寺石窟に行く。
町から車で1時間半、山道を走り抜け、劉家峡ダムに到着。
そこから小型ボートに乗って川を下っていくこと1時間。人里離れた石窟に到着。
岩壁に巨大な石仏が彫られている。
こんな奥地にこれだけの迫力ある大仏をはるか昔に作ったというのはすごいことだと思う。
ボートで一緒になった、日本人の女の子大学生3人組と石窟を見学した。
その人たちに僕は韓国人にはじめ間違われた。
一層のこと韓国人に成りすまそうかと思ったが、韓国語を僕は知らないので、日本人だといったら驚かれた。
それから僕は石窟探検隊長として「にーさん」と呼ばれ、一緒に石窟観光した。
川を下って、山に囲まれた中に突如として現れる岩壁に彫られた石窟見学は、秘境感あふれるものだった。
帰りはまた小型ボートに乗り、車に乗って2時間半かけて町に戻った。
蘭州は日本人にはなじみのない観光地だが、こんなにいい場所はなかなかない。
中国に来て蘭州を訪れないのは実にもったいないなと思った。

・26日目 蘭州(中国)(1999年8月26日)
今日は町をぶらぶらする。日本でいう100円ショップのようなものがあった。
中国では100円ショップではなく、2元(約30円)ショップ。
そこで昔なつかしい「ルービックキューブ」を発見し、2元で買った。
長い中国シルクロードの列車の旅の中でのいいひまづぶし道具になるだろうと期待した。
夕食にまた蘭州名物牛肉ラーメンを食べ、今日は夜行列車に乗る。
21:33、蘭州発。次の目的地は万里の長城の西端、嘉峪関をめざす。
蘭州から約770km西へ行く。いよいよ砂漠乾燥地帯へと入っていく。
これからこうしてしばらくは夜行列車で中国シルクロードを旅していく。