世界で最も美しい町、プラハ かさこワールド 写真貸出

・アジア食
ハンガリーでは完全に自分1人で取材をしていたが、
チェコのお店取材ではチェコ人の英語ガイドさんと行動を共にした。
ハンガリーにしてもチェコにしても、首都でツーリストがいくような、
レストランやお店であれば十分英語が通じるので、
現地語を話せるガイドさんがどうしても必要というわけではないのだが、
やはり何事も現地の人がいるとはかどり、私が聞きたいことを英語でガイドさんに言うと、
ガイドさんがお店にチェコ語で聞いてくれるといった具合で取材をしていた。

こうして店取材時には完全にガイドさんに頼りっきりの取材をしていたわけだが、
その立場が逆転した時が2ヵ所あった。
中国料理屋と日本料理屋である。
中国料理屋では、店長とおぼしき中年のおっちゃんには、ガイドさんの話すチェコ語も英語もうまく通じなかった。
そんな時、私が出て行くと、店長は片言の日本語と、非常にブロークンな英語で会話をしたのだが、
なぜかよく通じ合ったのだった。
不思議だなと思う。

この店の前に取材先のレストランでチェコ料理の昼食をご馳走になっていたにもかかわらず、
中国料理店の店長が、撮影した天津飯とチンゲンサイを「食べてもいいよ」と何度もいうので、
おなかいっぱいにもかかわらず、「まったく手をつけないのは悪いよな」と思って、
手をつけたんだけど、意外や意外、おなかいっぱいにもかかわらず、結構、するするっと入るのである。
しかも食べるスピードがなぜか早い。
ガイドさんは手をつけず私の様子を眺めていて、
私がまるでさっきのチェコ料理が不満だったかのように映っているのではないかと不安に思うぐらい、
すごい勢いで食べていた。

多分それは久々にアジア料理を食べることに恵まれたからだろう。
食べなれた料理と食べなれない料理では食うスピードもキャパも違う。
別にハンガリー料理やチェコ料理が口に合わなかったわけではないが、
猛烈に中華をむさぼる自分の姿を見て、普段の食習慣というのは容易に変えられないものなんだなと思った。

次に日本料理屋に行き、こちらでも寿司をご馳走になったのだが、
その時、なぜ自分が中華料理屋であれほどむさぼるように食べたのか、もう1つの理由を発見した。
食べる道具、箸だったからだ。

チェコ人ガイドさんが日本料理屋で箸の使い方がまったくわからない様子を見て、はっとした。
そうだよな。こっちの人は普段、箸なんか使わないんだから、
箸の使い方なんかわからないよな。
でも自分にとってはナイフとフォークで食べるより、箸で食べた方が食べやすい。
この日本料理屋でもそうだし、中華料理屋でも、
自分がチェコ料理を食べるのと違ってスムーズに食事をしている大きな要因が、
箸であることに気づいたのだった。
ちなみにチェコ人ガイドさんは、箸がうまく使えず、あまり料理に手をつけなかった。
料理そのものが合う合わないという問題もさることながら、
食べる道具がいつもと違うということが食べる上での大きな要因になっているのだなと、
あらためて気づかされた。

海外にいくとそんなささやかな日常の当たり前のことに気づかされるのでおもしろいよな。