世界で最も美しい町、プラハ かさこワールド 写真貸出


・教会コンサート
プラハでの大きな楽しみの1つが教会コンサートである。
あちこちにある教会で夏にはほぼ毎晩クラシックコンサートが行われ、
パンフレットをあちこちで配っている人にでくわす。
何日も前に予約する必要もなく、正装する必要もなく、
気が向いた時に、2000円程度のお金を払えば当日コンサートが聴けるという、
その気軽さが何よりも魅力だ。

私はクラシック音楽にとりたてて興味があるわけではないが、
教会で行われるコンサートとはいかなるものか、一度、入ってみることにした。
行ったのは旧市街広場にある聖ミクラーシュ教会のコンサートで、値段は350kc(約1750円)だった。

コンサートの開始時間は20時が多く、ここも20時。
30分前に行ったが前方の席から7割方、すでにお客で埋まっていた。
20時になると教会はお客でいっぱいになり、補助席も含めて、
ざっと200人ぐらいが入っていただろうか。

前方にステージが用意されていたが、はじめは後方にあるパイプオルガンでのコンサート。
しかしその荘厳さは感動ものであった。
パイプオルガンの響きを聞いて私が真っ先に思ったのは「ドラクエ」だった。

ドラクエ=ドラゴンクエストというファミコン史上最も人気がありすばらしいRPGロールプレイングゲーム。
このゲームは勇者や戦士、僧侶、魔法使いなど仲間を集めてパーティーを組み、
世界各地の謎を解き明かしながら、悪の魔王を倒すというものであるが、これが実によくできている。
特にドラクエの音楽はすばらしく、すぎやまこういち先生が担当し、
ドラクエの世界観を壮大なものにしている。
城、町、教会、洞窟、塔、戦闘シーン、海、空などシーンによって、
それぞれにあった音楽が作られているのも特徴的なことだ。
音楽にこだわったゲームの先鞭をつけたのがドラクエといってもいい。

そのドラクエで教会で聞く音楽を、ふと思い出したのである。
別に音楽が似ていたわけではないが、「教会で聞く」という共通点から、
まさかチェコの教会でドラクエを思い出すとは思わなかった。

パイプオルガンでのコンサートが40分ぐらい、
前方ステージで5人の奏者がトランペットなどで演奏するのが、20分ぐらいか。
構成の問題でちょっと飽きる部分もあったが、教会というのはまるで音楽を聴くために作られたような場所だなと、
その音響効果とインテリアのすばらしさに感心していたのであった。

思えば、町の中心にある教会こそが生活、文化の発信地なのだ。
教会を作ることで建築技術が発展し、ステンドガラスやシャンデリアなどの工芸が発展し、
絵画などの美術が発展し、教会で必要とされる音楽から音楽や楽器が発展し、
そして生活規則としての法が発展した。
ヨーロッパにおける建築、工芸、美術、音楽が素晴らしいのはこの教会文化があったからではないか。

荘厳な教会コンサートは実にいろいろなことを考えさせてくれた。
プラハにいったらどこでもいいので1つ教会コンサートを聞くことをおすすめしたい。