まあまあ
★★★ |
「ゲド戦記」「菊次郎の夏」「リトルダンサー」「プリンスオブエジプト」「となりのトトロ」「ゲーム」「有頂天ホテル」
「三銃士」「アンナと王様」「スタンドバイミー」「I am Sam」「コーリャ 愛のプラハ」「グッド・ウィル・ハンティング」
「生きる」「おばあちゃんの家」「解夏」「キッズリターン」「バッファロー66」「太陽の雫」
「ぼくらの七日間戦争」「この素晴らしき世界」「小説家を見つけたら」「トレイン・スポッテイング」
「ホテルヴィーナス」「ハウルの動く城」「世界の中心で愛を叫ぶ」「ジョゼと虎と魚たち」
「運動靴と赤い金魚」「深呼吸の必要」「エイミー」「交渉人・真下正義」
「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」「 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード」
「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ」「クレヨンしんちゃん ブリブリ王国の秘宝」
「クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦」 「涙そうそう」「ニュースの天才」「ミステックリバー」「スクラップ・ヘブン」
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・映画「涙そうそう」とかけて「HERO」と解く、その心は・・・
とりあえず、結論から(ネタバレではありません)。
見に行っても損はしない映画でしょう。
多くの人が涙することでしょう。
前半はもう最高の映画だなと大絶賛していたけど、
私は後半ある出来事をきっかけに、そしてその結末に、
「なんだ結局は・・・」と思い、正直失望したけど、
それでもほんと前半は最高傑作の映画です。
妻夫木君と長澤まさみという、
もうこれ以上ない素晴らしい演技を見せてくれる2人なら、
多分ストーリーが多少へぼくても、
それを補ってあまりあるぐらいのものを見せてくれるだろうと思い、
映画を見に行った。
ほんとこの2人は素晴らしい。
特に長澤まさみ。
こういう演技って多分この人しかできないし、
映画の世界のヒロインとして、こんな名女優はなかなかいないし、
特に高校生役をやらせたらピカ一だろう。
ほんと私、彼女の演技を見るためだけに金払っても惜しくないと思う。
セカチューで見た時、ほんと彼女は衝撃だった。
こんなに素晴らしい演技を、
しかも名脇役とかじゃなく、しっかり王道・主役をはれる女優が現れたことを。
またこの2人の組み合わせが最高。
妻夫木&長澤コンビで映画をやると決まった時から、
もうこれは見に行くしかないと思っていた。
・・・ここからネタバレ注意・・・
TBSがテレビで必要以上にネタバレし、
宣伝に執拗に力を入れているのが気に食わないわけだけど、
でも映画はじまってから7割ぐらいまでは、もうほんと最高の映画だった。
TBSのネタバレ販促によると、
単に兄妹だけどほんとは兄妹じゃなくて、
そこに愛が生まれてしまってどうしようっていう、
非常に安直で作りやすく、かつ感動させやすいテーマなんだけど、
映画をみるとそれだけではないから、私は大絶賛した。
店を持ちたいという夢を持つ妻夫木君が、
若さゆえいとも簡単にあやしげな男に騙され、借金を背負ってしまうこととか、
大学医学部のお嬢さん学生と付き合っているんだけど、
高校中退し働いているがゆえの彼の学歴コンプレックスが、
学歴なんか関係ないといいつつ、妹の長澤まさみには、
なんとしてでもいい大学に行かせたいと思うその屈折した心とか、
そういうことを見抜いてしまって疑問を呈する妹や、
その彼女とか、ほんとリアルな社会でよくいる、
学歴のないものほど学歴にコンプレックスを抱いて、
出すぎたマネやおかしな行動をしてしまう、
その滑稽さを見事に描いていて、
そういうリアルなテーマを交えているのがすごくよかった。
また本当の兄妹ではないと互いが知っているだけに、
そこに微妙な関係が漂い、
お互い好きだけど、別々の住まいを選ぶようになるといったところも、
非常に共感できてすんなり見える。
そして私が最高にリアルを感じたのが、
子供を捨てた父親が登場するシーン。
妻夫木君が殴りかかって、くそおやじをめっためったにするものばかりと、
予定調和的に眺めていると、
なんとこのくそおやしが反撃し、妻夫木君を負かしてしまうあたり、
「いやーこれが現実だよな」と実に納得してみていた。
それとか医学部女子大生の親が、妻夫木君に手切れ金を持ってくるんだけど、
それに対して彼は怒ったものの、
結局は彼も「つりあわない」と思い身をひいてしまうあたりも、
意外とこういう方が現実社会の話としてはあり得るよなと思っていた。
テレビ会社にありがちな、
とにかく有名俳優を使って美談的なドラマに仕上げない、
そこに私はリアルを感じ、さまざまな社会の問題を提起され、
なるほどなるほどと見ていたわけだ。
・・・ここから、さらにネタバレ注意・・・
ところがね、妻夫木君を殺しちゃう!
病気であっさりと。
私、これみてほんとがっくりきたね。
結局、殺しちゃうのかよ。
彼が「妹」と結婚するのかしないのか、
その葛藤の結末をつけずに、
殺すという安直なというか「逃げた」結末。
しかも彼のような素晴らしいいい役を殺してしまえば、
そりゃ、みんな観客は涙流して泣きますよ。
殺して泣かせて「よかった」といわせる、
情けない映画なのかよとがっくりした。
ちなみにでも私は殺してしまう結末に衝撃を覚えなかった。
妻が映画を見る前に「きっと妻夫木君、死んじゃうよ」とさらっと言ったからである。
まあ「涙そうそう」という曲をタイトルにしていることから、
もうすでにネタバレといえばネタバレなわけで、
作詞した森山良子が死んだ兄のために書いた詞らしいから、
まあその時点で「殺される」ことはわかってしまうわけだけど、
それにしても殺してしまうなんて最悪だなと。
ミスチルの「HERO」を引用するでもなく、
“ダメな映画を盛り上げるために 簡単に命が捨てられていく”
という典型的な映画にしてしまった。
前半が良かっただけにほんと残念。
しかも殺してしまうと、その後の説明的シーンがほんとだるい。
葬式のシーンとかね。
そして最後の最後の最悪は、兄が生きている時に成人式の日に、
送った荷物が届くシーン。
背景に兄の遺影を置いてね、妹が「何コレ?」っておまえわかってんだろう!
てな具合に贈り物がきて、そこに兄の手紙が入っていて泣いてしまう。
あーこれみてかえりてえ!くず!くず!くず!と思った。
もちろん映画館は「くすんくすん」。
泣ける映画を見てストレス発散したいという、観客のニーズにもろ媚びた映画ともいえるけど、
ほんとこういうくだらないことしないでほしい。
そんなことでストレス発散したって、何の問題もカイケツシナイデスカラ!!!
あ〜、もったいない。
妻夫木君と長澤まさみの素晴らしい名演技。
前半の示唆に富む素晴らしいテーマ。
それをすべて台無しにする安直な結末。
登場人物を殺さないで泣ける映画を作れないのか?
まあ、力のない人間には無理だろうな。
・ゲド戦記
公開初日にゲド戦記見てきました。
すごくおもしろいというほどではありませんが、
つまらなくて見る価値なしということはまったくありません。
ただ、焦ってすぐに映画館で見るほどというと微妙で、
レンタルになってみれば十分かなという気がしますが。
ただ「ハウルの動く城」より圧倒的にいいです。
というわけで下記からネタバレ注意です。
1:まさしく「父親殺し」がテーマ
この映画、ほんとに皮肉というかなんというか、
実におもしろいことが起きている。
この映画のストーリー自体の1つのテーマとして、
「父親殺し」があるわけなんだけど、
なんとこの映画、監督をしたのは宮崎駿監督の息子らしいのだが、
息子を映画監督に抜擢することに駿監督は猛反対したという。
それをプロデューサーが「紅の豚」の若手女性整備士にまかせることにたとえて、
息子だろうがなんだろうか経験よりインスピレーションが大事、
といって説得したらしいのだが、
いつの世も、父親というのは息子を抑圧し、
過小評価することで過大なプレッシャーをかけることは、
まさにあの奈良の放火事件(医者になれとうるさくいった父)を思い起こさせ、
タイムリーな話題だなと思う。
2:生と死というわかりやすいテーマ
「ハウルの動く城」のようなわけのわからん意味不明なテーマではなく、
非常にはっきりしたテーマがあって、シンプルにストーリーを展開しているのは、
非常に好感が持てる。
思えば初期宮崎駿作品もそういう良さがあったと思うんだけど、
年々、作品を積み重ねていくごとに、抽象的でわかりにく話になっている。
そういう意味で初監督といいながら「父親越え」を見事果たしたのかもしれない。
わかりやすい明確なテーマがあるので非常に見やすいことは見やすい。
3:素晴らしい町の絵は前半だけ
ただ非常にこの映画、残念なことがある。
宣伝CMなどには非常に美しい作りこまれた町の景色が出てきて、
この絵を見ただけで「とりあえず大失敗作品ということはなさそうだ」
と判断したわけだが、ほとんどここでは舞台にされず、
中盤から後半以降はこの町を離れてしまい、
非常に単調なのっぱらと非常に単調なださい城が舞台になってしまうのが残念。
4:あれがボスキャラ?登場人物も非常に少ない
残念なのがボスキャラ。なんだか小ボス程度の情けないキャラが、
この映画の大ボスになっているのが情けない。
しかも敵キャラも3人ぐらいしか出てこなくてまいど同じ。
いろんな個性的なキャラクターが登場することが、
物語の広がりとともにファンタジー映画の見所の1つと思うのだが、
敵に限らず味方にしても登場人物が非常に少なく、
物語に広がりが感じられないのが残念。
5:歌が圧倒的に素晴らしい
この映画は歌のための単なるダシに過ぎないのではないかというぐらい、
歌が素晴らしい。
新人を使ってヒロイン役の声優もさせているのだが、
この女性の歌の素晴らしさを宣伝するための、
大掛かりなプロモーションビデオの映画と考えても申し分ないぐらい、
歌が素晴らしかったです。
・ハウルの動く城
宮崎駿監督の待望の映画「ハウルの動く城」が11/20より公開。
前作「千と千尋の神隠し」が非常に良かっただけに期待して、公開初日に見に行った。
2時間。
見終わって「難しい映画だな」と思った。
つまらないわけじゃないし、駄作ではない。
ただ、しっかりしたストーリーがあるわけではないし、
しっかりした結論があるわけではない。
いろいろなテーマがシーンシーンにちりばめられている。
それはよくわかるのだが、でもそれも判然と描かれているわけではない。
非常に小さな子供連れのお客さんも多かったので、余計「難しいな」と思った。
<ここからネタバレ注意>
この映画はイギリスの原作がある。
しかし原作を忠実に描いているわけではなさそうだということは映画を見てわかる。
本だったらこんなぼやけた書き方はしないだろうから。
映画を見ていてまず思ったのは「反戦」がテーマなのかなということ。
でもそういうわけではないらしい。
それだったらもっとしっかり描くだろうし。
ところが映画の終わり際になって、唐突に、前後のストーリーとまったく関係ないのに、
主人公が戦っている魔法使いが出てきて「戦争はやめようか」という。
これはちょっと解せないな。
すごくむりやり最後にくっつけた感じがあるし、
もし反戦がテーマだったら、それまでにずっとそういう戦争の描き方をすればいいわけだし。
でも映画全体でいうと反戦も1つのメッセージなのかもしれないが、
決してそれだけがテーマなのではない。
だからこそ、最後の「戦争をやめようか」という言葉がとってつけたように思えてしまう。
まあ強いていうなら、何を人生の生き甲斐にしたらいいかわからない女の子が、
ひょんなことからトラブルに巻き込まれたけど、
出会った運命の相手をみつけて、その人を愛する生き方が、
その周囲の運命を「いい」方向に変えていくという、
愛がテーマなのかもしれないけど、まあそれはそれかな。
ファンタジー性に少し欠けていたのが残念だったかな。
アニメというフィクションを生かした、
現実社会にはない世界観(たとえば千と千尋の舞台の世界とからラピュタの世界とか)を、
もっとしっかり作りこんで描いてくれたら、別にたいしたテーマがなくても、
そのファンタジー性のある世界を舞台にした物語というだけで十分楽しめるんだけど、
期待していた「動く城」の中は普通の家だったし、
舞台となっている世界も普通のヨーロッパの町といった感じだったし、
かつそれにしっかりした謎解きやストーリーがないとなると、
少々物足りなくなってしまうのは致し方がないか。
もっと時間をかけて非日常的な空想世界観を作り上げてほしかったな。
その辺は逆に原作に縛られ過ぎたのだろうか。
ストーリーや謎解きがないので子供が見たら「なんだこりゃ?」という映画構成なのだが、
逆にそれでいい面もあった。
まず善玉と悪玉を明確に分けないこと。
主人公が愛したハウルも善の部分もあり悪の部分もあるし、
敵とおぼしきハウルの先生である魔法使いも悪の部分もあるし、善の部分もある。
主人公ソフィーに呪いをかけた魔女すら、仲間になってしまう。
そういう善悪を分けない態度っていうのは、分かりにくいけど非常にいいと思う。
だって人間に完全な正義の味方と完全な悪者という区分けはできないのだから。
謎解きに縛られない自由な描き方もわかりにくいかもしれないがメリットにもなっている。
主人公ソフィーという少女が呪いをかけられておばあちゃんになってしまうのだが、
その呪いを解くための戦いなのかと思いきやそうではなく、
主人公の心情や場面によって、平気で元の姿に戻ったり、おばあちゃんになったりする。
そういう場面場面で巧みに両方の顔を使い分けることは、
その女の子の心情の揺れをそれで見事に表していてとてもよかったと思う。
ある意味では「変身」が1つのテーマになっていて、
ハウルも醜い鳥人間の姿と美男子の姿があり、
主人公は少女と老婆、魔女も老化したバージョンと比較的若いバージョン、
城に住む子供も子供の姿と変装した老人の姿があり、
ある意味では人間の多面性を「変身」で描くことが1つのテーマとなっているのかもしれない。
特記すべきことはキムタクである。
準主人公ともいうべきハウルという美男子の声をスマップの木村拓哉にさせていて、
せっかくの映画が台無しになるのではないかという危惧を抱いていた。
別にキムタクが嫌いだからという理由ではなく、
しょっちゅうテレビに出ている人間の声が出てきてしまうと、
その映画のキャラクターではなく、本人そのものをイメージしてしまわないかという危惧だった。
スタジオジブリの最低くず映画「平成狸ぽんぽこ」の野々村真などがその典型的な例で、
本人の姿がイメージされてしまい、キャラクターに違和感を感じてしまうのだ。
しかししかし、キムタクの声優は素晴らしかったですよ。
多分、事前に知らなければキムタクってわからないんじゃないかな。
そのぐらいキャラクターにマッチしていた。
しかしそういう敢えて危険な賭けにでる声優キャストにするのは今後もできれば辞めてほしいなと思う。
一説によると宮崎監督が声優を知らないから、テレビで見る有名人にしているそうなのだが、
別に声優候補ぐらい多数いるスタッフに集めてもらいその中から、
監督がイメージにあうものを選べばいいのだから。
残念ながら当然、前作「千と千尋」以下。
「ラピュタ」「ナウシカ」「耳をすませば」「魔女の宅急便」「紅の豚」以下。
つまらないわけじゃないし、そこそこおもしろいけど、それほどのことはない。
もしこれから期待して映画を見に行こうという人がいるなら、
まあレンタルで十分かもしれない。
それからこの映画は設定とか背景とかがしっかり描かれていないんだけど、
それを突っ込んでいったらキリがないし、そういう映画ではないのだと思うので、
ここでは割愛させていただく。
(たとえばなんで主人公が魔女に呪いをかけられたのかとか、
なぜ隣国の王子が呪いにかけられたのかとか、城に住む子供は何者なのかとか、
なぜハウルの先生は戦争をしていて、最後にいともかんたんにやめてしまったのかとか)
世界の中心で愛を叫ぶ
悪くはないけど、大ヒットするほどの名作ではない。
たとえばラピュタとか黒澤映画とか、そういう大ヒット映画は何年たっても、また見られるだろうけど、
この映画は多分単なる一時的ブームに過ぎない、どこにでもある、そこそこの邦画という位置づけだと思う。
すごくストーリーとかもいいんだけど、はじめ映画を見ているとなんのことなのかよくわからない。
この辺は小説とかの方がきっちり書き込まれているのかもしれない。
映画はちょっと不親切な感じがする。
はじめの30分なんかはまったく意味不明だし。
光っていたのは長澤まさみさんの演技。
彼女のすがすがしい演技がほんととてもよかったな。
それにしても大沢たかおは私は「深夜特急」の主演ということもあって大好きなのだが、
ちょっと邦画に出すぎじゃないか?
あんまり出過ぎて、しかもどれも同じような役柄で、
ちょっと「またか」みたいな印象を受けてしまう。
これは映画製作側に問題があるんだろうな。
なんでもかんでも大沢たかおにすれば無難だみたいな姿勢がちょっと解せない。
まあ、そんなことはともかくとして、それなりにおもしろいけど、
映画としては別に普通だな。
ただ敢えていちゃもんをつけるとすれば「愛」の物語にもかかわらず、
昔、死んだ彼女を忘れられない男が、これから結婚しようという女性を巻き込んで、
未練たっぷりの態度をみせつけ、わざわざそのためにオーストラリアまで行き、
結婚する女性を置いてけぼりにして、自分だけ砂山にのぼり、
死んだ彼女の灰をまくというその一連の行動は、
いくら結婚する女性が死んだ彼女をお姉さんと親しみ、
テープの受け渡し役をしたとはいえ、
これから結婚する男性が、いつまでも死んだ彼女のことばかりを思う態度を、
自分の前であれだけ露骨に出される態度は、私はどうなのかと思う。
強いていうなら、そういうものは男性だけの心の胸の奥に秘めて、
一人でやるべきじゃないか。
愛の物語にもかかわらず、これから結婚しようとする目の前にいる女性の気持ちを、
何も考えていない行動が、果たして本当の愛の物語といえるのか、
まあ、強いていえばそこは疑問ではあるが、
そういうところをつっかかっていっちゃうと、まあ、この手の、
主要人物を殺して物語を盛り上げるタイプの話は破綻してしまうのかもしれないけど。
・I am Sam
非常に難しい映画だな。
なんとも言い難い。
すっごく感動するわけでもないし、くずなわけでもない。
テーマがあるようでないし、どこに焦点がおかれているか微妙な感じもする。
映画のつくりとしては非常に工夫されていて、よくできているとは思うけど、
圧倒的にぐっとこさせるようなインパクトには欠けている。
でも、それがこの映画なんだと思うし、なんとも言い難いな。
杓子定規に障害者から子供を奪う、頭の堅いお役所連中批判というところまではいかないし、
実際、映画では主人公を応援したくなるけど、冷静に考えると、もし本当に7歳の知能なら、
愛情うんぬんとか勉強うんぬんではなく、経済生活で破綻しないかと思うんだけど、
障害者ということで援助が出ていればその問題はクリアできるんだろうし。
子役の圧倒的かわいらしさで持っている映画かなと思いきや、
映画中盤になるとまったくでてこないし。
唯一、おもしろいなと思わせたのは、
弁護士の家庭環境の方がまずく、逆に励まされるエリート弁護士みたいな、
その展開はなかなかだとは思ったけど、でもそれもすっと終盤になると消えてしまうし。
結果的には幸運な里親のおかげで、
みんながハッピーになるような結果になっていいわけなんだけど、
そんな風に簡単にうまくいく話なんて実際なかなかないだろうし、
そういうことでかたをつけちゃうと、この話の意味がないような気もするし。
そもそも設定に無理がある部分もあり、
7歳の知能を持った親といいながら、子供を7歳まで立派に育ててるわけだし、
なんとなくふむ?と思ってしまわないところもないわけではないが、
まあそれなりにうまくまとめている。
映画を見て、感動・感激させられる、考えさせられる、おもしろい、悲しい、恐いとか、
いろいろな感情を想起させられるから映画をみておもしろいと思うんだろうけど、
これはどこに主眼がおかれているのか、ちょっとわかりにくくって、
悪くはないんだけどわかりにくい。
悪くもないしでもよくもない。
なんとも評価しようのない、僕には難しい映画に思えたな。
有頂天ホテル
非常によくできているし、
まとまっていておもしろいことはおもしろいんだけど、
何か作りこんでいるわりに、
決定的に足りないものを感じてしまうのはなぜだろう。
ここからネタバレ注意
ホテルを舞台にさまざまな人たちがトラブルや悩みを抱え、
いろんなハプニングが起こるわけだけど、
最後にすべての人たちがハッピーエンドで終わってしまうというのが、
えーって感じを思わせてしまうのか。
笑わそう笑わそうという意図があまりに見え透いていているからなのか。
いろんな人たちが出てくるわりに、
結局パターンは一緒で「やりたいことがやれない」ということだけだからか。
なんかね、テーマもいいし、言いたいこともわかるし、
舞台装置も個性派キャスト陣もいいんだけど、
何か底の浅さみたいなものを感じずにはいられない。
どうせ笑い飛ばすんだったら、もっともっと浅はかにやればいいし、
シリアスに描くなら徹底してシリアスに描けばいい。
浅はかでもないシリアスでもない、
その中途半端さ加減こそ、もしかしたら三谷監督の持ち味なのかもしれないのだが、
よくできているだけにその中途半端さが際立ってしまって、
それが物足りなさの原因になっていると思う。
生きる(黒澤明監督)
いやー、なかなかよかったです。
これが昭和27年に作られたというから驚き。
市役所の怠慢ぶりを描いた作品なんだけど、
その腐れ根性は50年たった今も変わってないと思うと、
ほんとこの世は闇ですよ。
非常によくできた作りをしていた反面、
140分とだらだら長いこと、それから結構直接的過ぎる訴えかけがあることから、
★3つにしたけど、十分楽しめる作品です。
市役所の縄張り主義を打破した一人の男を見習ってと通夜で盛り上がるも、
それをみんな忘れたかのように、
オープニングと同じように、課をたらい回しするシーンは爽快ですらある。
おばあちゃんの家(韓国映画)
韓国で大ヒットしたという映画。
ありきたりなストーリーという部分はあったにせよ、
非常に好印象で見られる、なかなかよい映画でした。
とにかくカメラワークがいい。撮り方がうまい。
すごく工夫して撮っているから、普通のシーンがぐっとくるんですね。
あとは舞台となっている田舎町もすごくいい。
ソウルのような都会的生活に慣れ親しんでいる現代社会の人々が、
「生きる」ってことを見つめなおすヒントが隠されているような気がする。
ただその辺を強調し過ぎる面もあって、
ソウルから来た子供に、ポケットゲームを持たせて、
さらにはケンタッキーにコカコーラ。
そこまでダメオシ的にやらなくても十分、伝わると思うんだけど。
驚くのは主人公とさえいえるおばあちゃんが女優ではなく素人だということ。
まあでも素人だからこそあれだけの「演技」ができたのであって、
本業の人だったらあの役はわざとらしくなってしまったかもしれない。
90分足らずというコンパクトな時間にまとめられていて、
ありきたりのストーリーとはいえ、とても見やすいおすすめ映画です。
バッファロー66
すごくいいわけじゃないけど、普通によかったです。
こういうものこそ「映画」というんだと思いますね。
お手本みたいな映画。素直に良かったです。
突飛なストーリーでもないし、こてこてのラブストーリーでもない。
スーパーボウル狂とその結末ということもでない。
日常に潜む病理を見事に描き出した、現代社会の心の病をうまく浮き彫りにしている映画だと思う。
現代人の幼児性ともいうべき心の病が登場人物すべてに表れている。
みんな普通の人なんだけど、どこか歯車が狂ってしまった箇所がある。
でもバランスを取りながら生きている。
そういう狂気と病理の日常性みたいなものを映像でぐっと見せる手法はなかなかだと思う。
ただ金をかけて有名俳優並べたり、大掛かりなロケしていくら制作予算に使ったと、
無駄遣いの無能さを自慢したり、単なる映像美にこだわったオタク映画とか、
無茶苦茶な設定やストーリーでしらける驚かせ方をさせたりとか、そういったことがまったくない、
ほんとよくできた映画らしい映画作品。
何なんだろう?ってすごくいろいろ考えさせられる映画ですよ。
よかったのは彼女とセックスしなかったこと。
キスすらできない主人公の幼児性に見事な病理が現れている。
洋画のラブストーリーといえば決まって濃厚なキスしたりセックスシーンだったりするんだけど、
そういうものがなくても、主人公の中学生ぐらいでとまってしまったような、
恋愛観みたいなものとませた女性とのこのギャップで見事に「恋愛」を描いている。
ただラストはどうなのかなと一瞬疑問に思わなくもなかった。
スコットを殺して自分も死んじゃったんだと思いきや、それは空想シーンで、
結局それをしなかった。
まあでもそれでよかったのかもしれない。
よかったけど、もっともっと日常に潜む心の闇をクローズアップしてもよかったんじゃないかな。
もっとその分の演出はやっていいと思う。
見る人が見ればこの映画のそのテーマをよく理解できると思うけど、
下手をすると何を言いたいんだかわからない映画と見られてしまう恐れがある。
まあかといってやりすぎると台無しになってしまうから、そのバランスが難しいとは思うんだけど、
もっとぐっとくるようにテーマに突っ込んだ映画の構成にしてもよかったとは思う。
「花」「デットマンウォーキング」「イングリッシュ・ペイシェント」「ガタカ」と、
くず映画4連発でまいっていた私ですが、久しぶりに「普通に」よかった映画でした。
でもほんと「普通に」おもしろい映画とか「普通に」おいしいラーメン屋とかが、意外と少ないんだよね。
コーリャ 愛のプラハ
1989年の民主化をテーマにした映画ということで、興味を持った作品。
総評としてはなかなかよかった。
そんなに堅苦しい政治的なテーマを全面に押し出さず、
むしろかわいらしい子供が登場するので 一般受けするおすすめ映画ではある。
ただ僕からすると、もうちょっと政治的テーマというか、
物語の背景を説明した方がいいような気がした。
でないとこの映画が「民主化をテーマ」にしたものだと、普通の人が見てもわかりずらいし、
下手をすると単なるかわいらしい子供で引っ張る、中身のない映画になりかねないからだ。
もちろん全面的に政治テーマを押し出す必要はないわけだが、
ちょっと説明があまりになく不親切だなと思う。
まず主人公の説明がない。
彼はチェロの名手で交響楽団で活躍していたにもかかわらず、
わけあって追放されざるを得ず、今のような怠惰な生活を送っている。
ところがこの「追放劇」の真相がはじめに語られないために、
見ている方としては、単なる借金たれの女ったらしにしか見えないわけである。
その追放された事情というのが極めて当時の「チェコ」の政治状況によるもので、
後になってわかるのだが、弟が亡命したために共産党=秘密警察に目をつけられ、
どうやら追放されたらしいということが、ほんと最後の方になってわかる。
もうちょっとはじめの方にそのようなことがわかるヒントを織り交ぜてやらないと、
はじめの映画のシーンが「くだらない」ものに映りかねない。
その部分が一番気になった点だが、あとは実によく政治的テーマをさりげなくシーンに散らしている。
何気なくラジオでその当時の状況を流したり、
ビルにソ連の国旗を飾らねばいけないといったこと、母親のロシア嫌いや、
チェコ人はドイツもロシアも嫌いといったセリフなど、大国に阻まれ歴史を翻弄されてきて、
社会主義体制に組み込まれた悲劇の社会状況を見事に現している。
そしてまた最後、ちょっと物足りないとはいえ、
やっぱりこれが現実なのかなと思わせてしまうのが、
せっかくいい感じで、預かったロシア人の子供との生活がはじまったにもかかわらず、
「民主化」の成功で、国境が自由になり、母親が迎えにきて子供を迎えにきてしまうこと。
きっと映画ですぐ泣きたい人は、このラストシーンで簡単に泣けるだろうと思うのだが、
ほんと、このシーンは「民主化の成功」による、それぞれの新しい人生のスタートと、
共産圏時代の悲劇によって別れ別れになっていた家族と、
その悲劇の中で助け合って生きてきた人々の逆に「別れ」をもたらすという、
政治社会体制のせいで、人生を翻弄されてしまう人々の悲喜劇を見事に現しているといえる。
この素晴らしき世界
チェコを舞台にしたナチスドイツとユダヤ人絡みの映画。
この手の映画にしては暗くなく、またほとんど主要な人物が死なないのはいい。
全体的に単調で、可もなく不可もなくといった感じだが、
ナチスが破れた後の状況はなんとも人間の狂気というか運命を見事に表していて、目が離せなかった。
戦争の悲惨さ、人間の狂気、
ユダヤ人をかくまった主人公がいった言葉、
「一番信じられないのはチェコ人だった」
ナチス支配下に置かれた状況で、住民は密告しあっていた。
そしてナチ撤退後、偉そうにチェコ軍司令官補佐になっている男が、
まさに、ユダヤ人を助けようとはせず、ナチスに通報しようとした男だった。
その運命のあや。
さらには、ナチに協力していた親友が、今度はチェコ人からナチ狩をされてしまう対象となってしまうが、
主人公が、彼がナチ協力者の権力を使って助けてくれたことの恩返しをする。
それもまたすごいなと思った。
そして、最後、主人公もナチ協力者として殺されてしまうのでは!と思ったが、
かくまったユダヤ人が逃げずに発見され、なんとか命拾いをする様子もまた運命のすさまじさだ。
チェコの司令官が「すまん、誰も信じられなくて」という言葉が印象的だ。
すごいおすすめというわけではないが、全体を通して暗くはなく、
また最後のそのめまぐるしい各々の運命を見るのはおもしろい。
あともう1人、親友と主人公の上司だったナチ司令官は、
子供が脱走したということでナチからも追放され、
しかし、チェコ人からはドイツ人ということでなぶりものにされる様子。
これも忘れてはいけない人間の狂気だと思った。
小説家を見つけたら
可もなく不可もなく、といった映画。
前半は少し単調だが、後半最後の30分は、予想だにつかない展開と、その早さで、
思わず見入ってしまった。
一番よかったのは、主人公が、百発百中のはずのフリースローを2本外したこと。
てっきりここで劇的に2本とも入れるか、
もしくは1本だけ決めて同点になってどっちつかずの結果で終わるのかと思いきや、
まさか2本外させるとは思わなかった。
それを「わざと外したのか」という質問をする小説家役のように、
もしかしたら彼はわざと外したのかもしれない。
それはどうだったか明かさないのもまたいいのだが、
あのフリースロー2本外したことで、この映画は非常に素晴らしい映画だと思った。
別に予想外の結果だったから「素晴らしい」といっているのではなく、
この物語でいいたかったことの必然性から考えても、わざとかわざとじゃないにしろ、
外させる必要性があったからだ。
その後の展開は予想はついたが、まあ見事だった。
ただものすごいおもしろいかといわれると微妙だ。
別にみなくてもいい。
トレイン・スポッテイング
悪くないです。90分とコンパクトだし。
ただ絶賛するほどのことでもないかな。
非常に描き方が難しい映画をよくここまでまとめあげたなと思う半面、
前半と後半では描き方が微妙に違っていて、ちょっと戸惑う。
前半はね、どちらかというとストーリーで描くんじゃなく、
シーンで描くというか、カットで描くというか、
ドラッグに溺れる若者たちを、
ストーリーに連続性のない、日常の断片を、映像ならではの視覚と音楽で象徴している。
その最もすごいのが、はじまって10分もしないうちの、
「スコットランド一汚いトイレ」の便器に主人公が吸い込まれてしまうこと。
はっきりいって気色悪い映像だけど、そういう日常では絶対ありえない映像を、
連続カットではさむことで、日常性の歪みというか現代人の心の歪みを描いている、
この方法でずっといくのかなと思って少々退屈していた。
ところが後半になると、急に「ストーリー」仕立てになってくる。
ドラッグに溺れる→捕まる→自宅で監禁さながら脱ドラッグ→
サラリーマンになって真っ当な生活→悪友たちとの再会→またもやドラッグに→
悪友たちと金儲け話→その金を持って主人公は旅立つ
前半のカット映像はなんだったのか、
まあ後半の方がストーリー仕立てだから見やすいんだけど、
じゃあ前半の構成はいらなかったんじゃないかと思う。
だっていきなりあのトイレの映像見せられたら、そこで映画見るのやめてしまう人もいると思うよ。
ただ、後半ストーリー仕立てになって、見やすくなった半面、
せっかくの前半の日常の歪みみたいなものが消えていってしまい、
非常に平板なよくありがちなストーリーになってしまったという愚も拭い去れない。
そういう意味で、ちょっと中途半端だったけど、
全体的にはすごく現代人の病理を表していてよかったと思う。
特に、現代人が望むものは「出世、家族、大型テレビ・・・」と続くメッセージが、
映画のはじめと終わりにあるのは非常にいい。
はじめは「そんなもん、くそくらえだ」と思っている若者たちの目線でみるんだけど、
最後になると、それが微妙に変わっていく。
結局、社会に文句いったってドラッグに溺れたって何一つ解決しない、
どころか友達はどんどん死んでしまったりするわけで、
「出世、家族、大型テレビ・・・」という「幸せ」を追い求めてみようかという、
心境変化した主人公の目線で改めて、今の自分の「豊かな」生活を見なおす契機となる構成は、
非常にいいと思った。
・太陽の雫
ハンガリーに住むユダヤ人の3世代を描いた物語。
3時間と長いこと、3世代が多分、同じ主人公、同一人物が演じていることなど、
ちょっと映画として見にくい部分はあるが、
この映画の画期的なことは、単にヒトラー時代のユダヤ人だけを描かず、
その前の世代から描いたということだ。
それによって、単にナチス政権下でのユダヤ人虐殺うんぬんという、
お決まりパターンの映画ではなく、
それ以前から、目まぐるしく変わる政治体制によって翻弄される、
民衆、その代表としてのあるユダヤ人家族ということで、非常にテーマがしっかりしていて、
いかに政治体制によって人生が翻弄されてしまうかという、
いつの時代にも通底したテーマを3世代描くことにより、見事に映し出している。
ホテルヴィーナス
スマップ、くさなぎ君主演、みんななぜか韓国語という映画。
ウラジオストックで撮影したというモノクロの映像が非常にいいなと思っていたので、
レンタル開始されると早速借りてきた。
映像は非常によくできているなという感じ。
特にモノクロにしたのは大正解だろう。
というのも最後の10分ほどはカラーになるんだけど、
映画の雰囲気がまったくでていない。
モノクロにしたことで、何らかの理由を抱えて「逃げて」きた人たちの心象風景と、
見事にマッチし、非常にいい雰囲気を出している。
ただ映像に関しては非常によく考え、丹念に作っているのが、
すごくわかってしまうというか、できすぎてしまっているというか、
崩れがないというか、そのせいもあって若干ダイナミズムに欠ける嫌いはある。
ストーリーにしてもそこで語られる人生訓にしても、
そんなにたいしたものではないんだけど、
撮影場所の町並み雰囲気とモノクロ映像のマッチングがすばらしいので、「雰囲気」で見れる映画だ。
なかなかいいと思う。
ストーリーや人物設定をもっと深く掘り下げること、
それと、雰囲気とシーンで見せるトーンはそのまま残しつつ、
あまり直接的な人生訓を多様するより、もっと映像でそれを表すようにすること、
そうすればこの映画はさらにすばらしい映画になるだろう。
・リトルダンサー
アメリカ映画ではなく、イギリス映画のせいか、
舞台はイギリスの片田舎町の日常なんだけど、話に深みがあってなかなか良かった。
「バレエは女の子がやるもんだ」
そんな固定観念から、本当はバレエをやりたいのにやれないでいる11才の主人公。
でもそのうちバレエに惹かれ、固定観念を捨て、周囲に内緒でバレエのレッスンに女の子に交じって参加する。
才能を見込んだ先生がロンドンのバレエ学校のオーディションを受けることをすすめ、
見事に合格して才能花開くダンサーになる。
まあこれだけだったら、単純なサクセスストーリーでおもしもなんともないわけだが、
ここにそっと絡み合っているのが、町の炭坑閉鎖のストに関わっている父と兄の問題。
そして母を亡くして男手に育てられたということだろう。
あくまでメインテーマ−は「リトルダンサー」にあるわけだが、
ダンスが象徴する意味は、閉鎖に腐りむやみやたらにストを起こし、
酒ばかりのんだくれて苛立っている男たちに、新しい生き方を考える契機となっていることだ。
バレエに反対していた父が、子供の夢に理解を示し、子供のために無益なストを辞める姿は感動的だ。
互いに理解することなく、母の不在で対立しあっていた父子が、
オーディションに合格し、公園でじゃれあってる姿は、一つのこの物語のエピローグといってよかった。
本当はこの場面で終わらせればいいものを、映画につきもののしょうもない「●年後」を付け加え、
成人した主人公が晴れの舞台で活躍する姿を父が見るといったシーンは、何か押しつけがましく、不要な気がした。
なぜならこの物語の核は、成功することではなく、
固定観念に縛られず新しい生き方を積極的に模索してくことにあるからだ。
だから極端な話、オーディションに不合格でもいいわけだが、
さすがにそこまでやってしまうと暗い話になってしまうので合格は致し方がないとしても、
成功シーンを最後に付け加えることは、物語の核をねじまげてしまうことになりかねない。
とはいえ全体的にはなかなかおもしろい作品だった。
ダンスや炭坑を今の自分の何かに置き換えて考えてみれば、極めて意義深い作品になるだろう。
またおまけとして、バレエをやる主人公に近づいてきた、
友達のオカマちゃんもなかなかいいキャラクターをしていて、物語に一つのアクセントをつけている。
ジョゼと虎と魚たち
妻夫木主演の映画。
前半1時間はとってもよかった。
このまま行けば5つ星かなとも思っていたが、
後半1時間、ちょっとぶれたかな。
ってことで3つ星どまりですが、まあなかなかよかったです。
セカチューなんかよりもいいかもしれない。
<ここからネタバレ注意>
ストーリーは、足が不自由な障害者の女の子と出会い、
彼女とも別れてその女の子とつきあうんだけど、
結局、別れてしまいもとの健常者の彼女とよりを戻すという話。
はじめの1時間、すごくよかったのは、
恋愛感情までいかず、健常者がなかばもの珍しさで障害者に手を差し伸べるんだけど、
時にそれが余計なおせっかいであったり、時にその一時的な行為が傷つけることもあって、
楽しい大学生活を送る主人公と障害者の生活ギャップとの中で、
いろいろ模索していくのが、
単なる理想論的な描き方じゃなくって、現実にありえそうな心情の揺らぎを描いていたから、
すごくおもしろかったのだと思う。
ただ後半1時間、彼は足の不自由な女の子を選び、その子と同棲するようになるんだけど、
普段の生活の葛藤とかではなくって、旅行に行った時の楽しい思い出だけ描いて、
あっという間に「彼女と別れてもとのさやに戻った」ということで終わってしまうのが、
どうにもあっさりしすぎていて、まあそうとしか描きようがないとは思うんだけど、
どうもなんだかすっきりしない描き方だなと思ってしまう。
この手の話は結末が難しい。
足の不自由な女の子とこのまま仲良く結婚することになりましたと描けば、
現実にはあまりない嘘みたいな美談になっちゃうし、
かといってその女の子と別れて普通にまた健常者の女の子とつきあいはじめましたといわれても、
う〜ん、みたいなことがあって、どっちの結末にせよ、
文句が出てしまいやすいストーリーではある。
ただ最後まで描く決断をしたのなら、
ああいう非常に無責任なというか、あっさりした結論だけどんと見せられても、
なんとも後味の悪い感は残ってしまう。
「別れはあっけない」という一言で終わりにしてしまってるけど、
本当にそうだろうかとか、
元の彼女に戻ったのに、その彼女の前で、
不自由な女の子と別れたことで泣くだろうかとか、
(泣くんだったら一人で泣くと思うなとかね)
そういう最後のつめを難しいからといってばさっと描写をきってしまって、
はいこうなりましたというのはちょっとどうかなと思う。
まあ結末がなんにしろ、とにかく後半1時間は余計だった。
前半1時間のストーリーでそこに絞ってそれぞれの心の葛藤を中心にしながら、
そこを膨らませて1時間30分ぐらいの映画にした方が、
完成度は高かったんじゃないかなと思う。
ただね、セカチューみたいな映画なんか見るんだったら、
よっぽどこっちの方がおもしろいし考えさせられることも多いことは確かだろう。
深呼吸の必要
とてもいいです。素直に見れる映画。
沖縄を舞台にした映画で、はじめの1時間はほんと何も起こらない、
たださとうきびをかっているだけのシーンばかりなのですが、
まったく退屈さを感じさせなくて、見入ってしまう、
そういう映画の撮り方ができるってすばらしいですよね。
ただ意味不明にシーンだけをつらつら続けて、それで偉そうに芸術ぶって、
一部の深読みする人にしかわからないような描き方じゃなく、
何も起こらないけど時間を忘れて見させる技術は非常にすばらしいです。
その後、多少の出来事がやっと起こるんだけど、
多少抑え目にはしてるんだろうけど、ちょっとやりすぎかな。
そんなにいろいろ無理な大事件を起こさなくても、
ささいな小事件の連続でも十分この映画の魅力は伝わるでしょう。
ちょっとわざとらしいと気になってしまう部分がいくつかあった。
あと後半、無理にタイトルに縛られ、深呼吸する様子がたびたび出てくるんだけど、
はっきりいってあれはいらん。
何気なく長澤まさみさんあたりが深呼吸する。
もうそれだけでこの映画の伝えたいことは伝わりますよ。
意外と長くて2時間。でも十分楽しめます。
マイリトルラバーの曲も非常にいいです。
ま、私はライブで聞いたこともあり、
マイラバの音楽がよかったのでこの映画をみようと思ったほどですから。
それにしても沖縄病患者はいっぱいいるんだよな。
そういうことを肯定もせず否定もせずうまいこと描いていた、
非常にいい映画でした。
交渉人・真下正義
期待していたわりにたいしたことはなかった。
ビデオでよかった。映画館で見なくって。
1:謎がない
交渉人と犯人のかけひきというものが実はこの映画、皆無に等しい。
単なるクイズごっこで、しかも簡単に当ててってしまうので、
スリルや謎解きがないのであまりおもしろいとは感じられなかった。
2:ユニークな登場人物が少ない
このシリーズのよさはおもしろいキャラ満載なところなんだけど、
今回は少なかったな。
3:犯人が結局誰だかわからない
これじゃあ・・・。
ゲーム
発想は非常におもしろい。
人生を楽しむゲームを仕掛けてくれる企業という発想が。
そして、それが実は大規模な詐欺集団で、
ゲームと思わせて金持ちの個人情報を盗み、金をぶんどろうという発想もおもしろい。
ただ、この話のポイントは、どこまでがゲームでどこまでがゲームでないか。
ゲームと思わせて単なる詐欺なのか。
誰が仕掛けられたプレイヤーで、誰がゲームとは関係のない意志で動いているのか。
そしてクライマックス、ゲーム主催者側があわてた「ふり」をし、
主人公が弟を殺してしまい、自殺してしまう・・・ところが・・・
正直、全部、最後にゲームなんでしょってことで、
そのオチが予測できてしまうので、クライマックスの弟殺しも自殺もなんとも思わなかった。
そんなことより、どこかからか、ゲームじゃない部分が入っていたという設定にした方が、
おもしろかったような気がする。
全部ゲームだよといわれてもなんか感動はないよな。
ゲームと現実が入り混じり、すべてがゲームとして仕掛けることができなかった、
その人間の予測不可能性みたいな、そういうストーリーの方がよかったような気がする。
クライマックスは「どうせゲームなんでしょ」と気取られてしまうのも難点だな。
・アンナと王様
中高生向け教育映画として評価
19世紀タイを舞台にしたタイの国王と英国人家庭教師の物語。
最大の評価すべき点はこの2人が心を通じ合わせながらも、
一度足りともキスをしなかったこと。
安直なラブストーリーではなく、もっと奥深いテーマがひそんでいることを、
キスすらさせないことによって証明させた。
ラストエンペラーしかりこの映画しかり、
どこか、東洋の奇妙な風習や国王を舞台にした映画にすれば、
それだけでことさら東洋神秘主義にあこがれが深い西洋人に、
受けるのではないかと思える節がないこともないが、
タイの雑多な街並みや荘厳な王宮はそれなりに見応えがある。
大人には映像や実地を見ている可能性が高いのでなんともいえないが、
中高生に異国や歴史に興味を持ってもらうには非常によい映画だとは思う。
(逆にいうと大人にとってはちとありきたり過ぎるテーマかな)
英国式を貫く家庭教師とタイの風習を重んじながらも、
近代化のために彼女の意をできるだけ汲み取ろうとする国王との様々な出来事は、
まあおもしろいんだけど、大人には想像されうる範囲で目新しさはないものの、
思わず見入ってしまった盛り上がりのシーンは2人の男女が愛の為に公開処刑されねばならなかったこと。
このシーンは非常によかったですよ。
何がよかったかって、単に人道主義を標榜する英国人家庭教師VSタイの風習を重んじる国王という図式ではなく、
国王自身もこの処罰に胸を痛めている。
しかも英国教師が余計なことを口挟まなければ、この開明王はあとで違う処置のしようがあったにもかかわらず、
王の面目を潰されてしまったがために、逆にそれを守るために処刑せざるを得なかったという、
こういった為政者の本意とは裏腹であってもしなければならない苦悩みたいなものを、
見事に描かれていて、このシーンは大人でも感じ取れる非常にいいテーマ設定であった。
あとは思わぬ裏切りとか、教育の必要性とか確かにおもしろいはおもしろいのだが、
やはり大人にはちと簡単に過ぎるトリックかなという気がしないでもない。
だからこそこの映画は中高生に見せたらいいですよ。
きっとこの映画から汲み取るべきさまざまなテーマがあるはずだから。
・プリンスオブエジプト
単なる子供向けのアニメではなく、大人も十分に楽しめる示唆に富んだ作品。
エジプトを舞台にし、モ−ゼをモチ−フにしたもの。
実写とアニメを合成した壮大な遺跡郡は、圧倒的な迫力があった。
スト−リ−は、多くの民衆を犠牲にして巨大な神殿を建設する王と、
それに反対して民衆の解放を訴える拾い子の弟の対決が軸に展開していく。
この作品を見て思ったのは、いつの時代も為政者の横暴は何千年も昔から、全く変わっていないのだなということ。
為政者の権力を誇示するために民衆をこき使い、莫大な税金を投入して巨大建造物を作る。
今の日本だって同じ過ちを繰り返してるじゃないか。
公共事業と称して、莫大な税金を意味のない巨大施設につっこみ、
その見返り(賄賂)を発注先の建設業者からもらいうけている。
天下り、賄賂、利権、権力誇示など、何千年前の教訓が生かされていない。
これで「成長」だとか「進歩」だとか騒いでいる社会がちゃんちゃらおかしい。
それに闘うべく登場した長野県知事の田中康夫氏の苦戦を見ればわかる。
無駄な公共事業をストップさせようとすると、今まで甘い汁を吸ってきた輩から猛反対を受けるのだ。
建造物だけにとどまらず、たとえばあの2000円札なども無駄な一つだ。
2000円札を、あなたは何度見掛けましたか?
自販機でも使えない、めったに見ることのない流通しない紙幣のために、無駄な作業や無駄金がどれだけ使われているか。
単なる為政者の権力誇示でしかなかったのだ。
映画は、神の啓示を受けたモ−ゼによって、民衆は圧政から解放されるが、
果たして今の世に、モ−ゼの化身は現われるのか?
日本のモ−ゼは、今のところ、田中康夫氏や石原慎太郎氏(またはかつての東京都知事青島氏)といった、
一部の県政知事に限られている。
巨大な建造物や無駄な権力誇示をしない国政レベルでのリ−ダ−はいつ現われるのだろうか?
マスコミなどで呼び声高い田中真紀子氏が現代のモ−ゼたりうるのか?
日本に巨大公共事業をばらまいた田中総理の娘しか頼る人がいないという、日本政治界の人材の貧困さを思う。
作家出身者ががんばってるだけに、やっぱり次代はかさこ総理しかないかな。
・となりのトトロ
田舎暮らしーそんなブームのはるか昔、
わけあって田舎に引っ越してきた家族と、その子供の物語。
大人には見ることのできない「トトロ」や「ネコバス」ー
それは「自然」や「神」と言い換えていい。
もちろんこの映画は大人向きではなく、子供に楽しめるようなストーリーでとどめているが、
そこには十二分に都市型社会で疲弊しきった大人たちへの、
警告的メッセージを読み取れることができる。
現代社会が失ったものの数々。田舎にはまだそれが残っている。
病気の母など非常に暗示的だ。
もちろん、ここではそのことに触れられていないが、
都市に住むゆえに病気になってしまった母のために、
環境のよい、自然の多い、のんびりした田舎へと引越してきたと、考えてもおかしくはない。
滑稽な神トトロ。
神を抹殺してしまった現代社会への大いなる警告の物語として、
バカな大人たちにもうちょっとわかりやすいように、
子供用のトトロではなく、大人用のトトロを作って欲しいものだ。
単なる子供が楽しむ映画としてではなく、
大人が見てもそれだけ隠されたメッセージを読み解くことができる。
スタンドバイミー
非常にいい映画でしたよ。
「空気を伝える映画」っていうかな。
子供たちの精神面での悩みみたいなものを、
ある種のイニシエーション(通過儀礼)的冒険談を通して見事に現し、そして人間的に一歩成長する。
明確なメッセージ性ではなくどんな社会にもどんな国にも通用するような、
普遍的日常テーマを見事に描き出している。
しかも長すぎず短すぎずのちょうどよい90分程度でまとめていることも、
映画を見た後に変な物足りなさや変なだるさを感じさせない。
映画の醍醐味的なテーマ&ストーリーだと感心した。
でもなぜ3つ星なのか。
決定的にいけないのは結末だ。
※ここから先はネタバレになるので、ネタバレがいやな人は読まないでくださいね。
子供時代の話で十分なのに、なぜわざわざ小説家の回想録にする?!
それって自分が作家であるってことの名を売りたいがためだけじゃないか。
せっかく冒険談が終わってそれぞれの道に進むっていうラストシーンに、
いきなりおっさんがワープロに文字をうち込んでる姿なんて、まったくいらない。
こんなもん、映画とは何の関係もないどころか、品位を落としている。
回想録にするだけでもしらけるのに、さらにしらけさせるのは、
主人公の大親友を回想録で殺してしまうこと。
おいおい、いいじゃないかそんなことしなくたって。
もしかしたら、このストーリーを書いた原作者は、本当にそういう体験があって、
親友の死をきっかけに昔の話を思い出して書いたのかもしれない。
でもそれは作者の思いであって、視聴者の思いではない。
視聴者の中では子供時代の登場人物で完結しているわけで、
彼らが何十年後かに小説家になっていようが、なにかで殺されたかなんて聞きたくもない。
よりによって主人公と親友が握手を交わす、そのシーンで終わればいいのに、
その親友を殺すってほんと映画としては最低。
原作者のノンフィクションなのかもしれんが、
映画化する時に監督は不要なんだからきればいいだろうに。
ほんとその2点が映画を決定的にぶちこわしにしている。
あともう1点いうならば、
主人公はおもしろい話を書く小説家志望の男の子なんだけど、
野宿中に話した彼の作り話はまったくおもしろくないどころか、きもわるい。
みんなゲロはいたってシーンでそれをみせるって、ブラックユーモアにすらならない。
おもしろい話をする主人公のイメージが台無しだ。
ほんとそれ以外はいいテーマを扱ってますよ。
時代が違っても国が違っても抱えてる問題って、
人間の愚かさっていうか、変わらないんだなって。
親のこととか、勉強のこととか、子供の時の悩みとか。
特に象徴的なのは兄の死。
それにとらわれている家族と残された子供に愛情を向けない親。
こういうところから社会のすさみってものが生まれてくるんだな。
まあそれにしてもアメリカ映画らしいところは、
子供でもナイフとピストルが出てくるってとこ。
銃社会のひずみだって端的に表現してる。
だってみていて、あのくそったれ野郎なんか、銃で撃ち殺してしまえ!って思っちゃうもん。
人間って意志の弱い情けない存在だから、
銃という圧倒的な殺傷能力を持ったものを日常にあふれさせているってやっぱ問題なんだよな。
グッド・ウィル・ハンティング
とてもいい映画でした。
ものすごいいいとはいわないけど、よくできた、見て損はしない映画。
ぐっときたのは親友が主人公にかけた言葉。
俺たち(悪友)と同じように、何十年先もこの工事現場で働いていたら、
親友としてまじでぶっ殺すみたいな意味の言葉だった。
親友として、主人公との別れは辛いけど、
親友だからこそ主人公のもてる才能を充分活かして旅立ってほしいという思い。
このシーンが中でもすごくよかった。
あと、ずっと不思議だったのは、なぜ彼女と別れてしまったのかについて、
ずっとセラピーを続けた先生が分析した言葉でなるほどとやっとわかった。
「自分が捨てられる前に捨ててしまう。それが防御本能」
なるほどなと思った。
それでなぜ主人公が絶対に今も彼女を愛しているのにもかかわらず、
「愛していない」といって別れたのかが明確にわかった。
確かにそういう心理っていうのはすごく納得できる。
単にスラム生まれの孤児が、ものすごい才能を持った天才で、
その才能を見込まれて立身出世するサクセスストーリーではなく、
過去の忌まわしい体験から自分の殻に閉じこもっているところから、
真に自立するきっかけをつかむという話が実に好感が持てる。
とてもよい作品だと思う。
中高生とかに見させたらすごくいいのかもしれない。
解夏
ロスから日本に帰る飛行機の中で見た。
僕はあまり機内で映画を見る方ではないが、邦画だったので見る気になった。
(日本語なので見やすい)
それと大沢たかおが出ていることが決めてだった。
「深夜特急」の彼を見て以来、彼の演技がとても好きになった。
失明してしまう病気にかかったというありがちなストーリーで、
はじめの20分間はほんと映画の作り方が下手というか、
まったくナンセンスな映像が流し続けられる。
もっとうまく構成すれば、というか普通に構成すればいいのに。
あやうく映画を見るのをやめそうになった。
(しかも舞台がモンゴルになったり東京になったり、長崎になったりして、
何の映画がはじめさっぱりわからなかった)
しかし結果的に見て非常によかった映画だった。
ストーリーは普通で、よくありがちなパターンだけど、
大沢たかおと石田ゆり子のコンビがとてもよく、素直に見れた映画だった。
さだまたしの歌もいい。
さだまさしは単体で聞くと結構厳しいんだけど、
映画の主題歌とか教習所のVTRのBGMとか、
何か特定のテーマに沿った映像と一緒に流されると非常にぐっとくる。
ちなみに私は中学の頃、さだまさしの曲が確か10曲ぐらい入ったカセットテープを、
結構何度となく聞いたことがある。
「夢の吹く頃」?だったか、これも何かの主題歌か何かになっていてそれで聞いたのがきっかけだ。
映画は前半部分の情けない構成をのぞけば全体的に素直に見れるし、
決して観客を裏切らない安心できるストーリーなので、よかったと思う。
ただし冒頭に書いたように退屈な機内で見る映画というのは、
よほどのことがない限り、退屈なのだからよく見えるものだ。
その点、お金を出してこれを見ようと思ってみるレンタルビデオや映画館で見る映画評価とは、
幾分プラスに作用している可能性はあるけどね。
キッズリターン 北野武監督
普通にいい映画でした。
北野武監督作品にしては珍しく、本人が出ていない、主人公が死なないなど、
変わった点はあるけど、でもほんと安心して見れる映画です。
高校生のそれぞれのその後を描いた作品で、
2人のその後だけでなく、その周辺の人々を何気なく書きこんだのが、非常によかった点。
もしそれがなければ非常に単調になった恐れがあるから。
ストーリーは極めて平易で、よくある話なんだけど、
それゆえに、自分と同じ視線で見れるのがよい。
営業マンになったある2人(主人公ではない)が文句をいってやめてタクシー運転手になったものの、
そこも所詮はサラリーマン、所詮は組織で、似たようなしがらみを背負う様子など、
まあわかりやすいけど、そうなんだよなーとしみじみとわからせてくれる。
歴史は繰り返されるというと大げさだけど、
いつの時代でも同じようなことが繰り返されることを最後のシーンでうまく描いているし、
好感の持てる作品。
ただ幾分、物足りなさも感じた。
主人公の2人とも同じように成功し同じように挫折するんだけど、
その辺に起伏をつけないと、なんか非常に「作られた」作品ぽくなってしまうし、
ストーリーの先が読みやすくなっちゃうし。
もしかしたらボクサーの方は、成功させて、
成功したなりの苦悩みたいなものを描いても、それはそれでよかったのかもしれない。
まあそんな風によくばると良くないのかもしれないけど。
ぼくらの七日間戦争
確か高校生の時に見て、すごくおもしろかった覚えがあり、
テーマ性のしっかりしない「中学生」をテーマにしたバトルロワイヤルを見たら、
急に懐かしくなって、久しぶりに見た。
かつて見た時の感動はあまりなく、まただいぶ前に作られた映画だけに、
時代錯誤的な印象を受けないこともないが、
テーマ性のしっかりしないバトルロワイヤルなんかに比べたら、
はるかにしっかりしたテーマに基づいた中学生をテーマにした映画だ。
運動靴と赤い金魚
イランを舞台にした映画。
普通にいいです。
イランの暮らしみたいなものも雰囲気がよくわかるし。
特によかったのは貧富の差。
貧乏で運動靴一つ買えない一家が苦労してるんだけど、
「お屋敷街」には豪邸が建ち並び、
そこで即席庭師として大金もらうんだけど、
インターフォンすらよくわからないという、
そういう差みたいなものが挿入されていたのが非常によかった。
このシーンがあるからこそ、
運動靴1つのために子供2人がいろいろなことをする様がより輝いて見える。
結果としても非常によかった。
予定調和的に3等にはならなかったんだけど、
お父さんがお屋敷街で稼いだお金で、
息子と娘2人に運動靴を買ったことがちらっと映される。
非常によくできた映画でした。
エイミー
カンヌジュニア映画祭グランプリというふれこみと、
子供が主役ということで外れはないのではと思って借りてきた。
うん、なかなかいいですよ。悪くない。
テーマもいいし、町の雰囲気とかキャラクターとかうまく描けていて、
じわっと伝わってくる感じでいい。
ただもうちょっとうまく描く余地もあるような気がする。
ストーリーを惹きつける構成が多少弱いのかな。
テンポのメリハリとかカットの仕方とか撮り方を、
ほんのちょっと工夫すれば4つ★にはなるんじゃないかな。
まあ見て損はないと思います。
クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦
いや〜、切ない。切なすぎる。
クレヨンしんちゃん映画の中ではかなり異質の作品。
なんともいえない涙涙の感動物語です。
ここからネタバレ注意
しんちゃん一家が現れたおかげで、戦に勝ってしまう春日。
ところが、ハッピーエンドで終わるかと思いきや!!!
又兵衛が鉄砲で殺されてしまうのだ。
これはあまりに非情な結末・・・。
しかし、これでいいのだと思う。
美談を美談にしない、現実を嘘で塗り固めない、
ワンパターンの映画とはまったく違う、
無意味な死で映画を盛り上げない。
さすがはクレヨンしんちゃん、恐るべし。
ここで又兵衛を殺すとは・・・。
しかし、すべてはこれでよかったのだと思う。
でなきゃ、歴史が嘘になっちゃう。
あの最後の一点、彼を殺さずハッピーエンドで終わらせたとしたら、
この映画の価値は台無しだっただろう。
戦争がどうのとか殺し合いがどうのとか、そういう崇高なテーマは別にさておき、
彼があそこで死んでしまったこと、それがじ〜んと心にしみてくる。
そこではじめて映画の意味を考える。
ほんとよくできた素晴らしい映画です。
しかし、子供にはキツイかな〜。
いや、大人の「嘘」を見抜いている子供映画だからこそ、
この結末がよかったのかもしれない。
社会のリアルを伝えるために。
クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦
全体的にはちょっと間延びした作品だなーという感じだが、
後半の数分間とラストのブリブリざえもんのシーンは最高。
「救いのヒーロー」をテーマにしたもので、すごく考えさせられる。
それを笑い飛ばして見れるから、この映画というかしんちゃん映画はすごい。
(ここからネタバレ注意)
ブリブリざえもんの大冒険と題したその1シーン。
「宝の山」に宝探しに行くブリブリざえもんは、
途中、困っているレースクイーンとOLに出会うのだが、
宝探しで先を急ぐために無視するのだが、助けてといわれて「しぶしぶ」助ける。
その2人からはお礼にチケットとか居酒屋での引換券をもらう。
その後、3人目の少女が現れて助けを求めるのだが、
この少女はお礼に何かチケットなどを持っていなくって、
「お礼もないのに助けられるかバカヤロー」といってブリブリざえもんは通り過ぎてしまうのだが、
仕方がなくしぶしぶ助けてあげる。
この辺の「救いのヒーロー」に対する現実感のある本音を、
かわいらしいキャラでずばっというから実におもしろいわけで、
でも助けたことによる感謝の言葉が宝だったことに気づくっていうのは、
すごく自然にすっと入ってくる。
大人の偽善をしんちゃんやユニークなキャラでズバッっというところが実に爽快なわけで、
でもそれが批判だけに終わらず、理想はあきらめない姿勢がすごくいい。
全体的にこの映画はキャラが多すぎて、かつ舞台を世界に広げすぎて、
そのせいで散漫になってしまって、前半は笑いのシーンも少なく、ちょっと退屈なんだけど、
このブリブリざえもんの1シーンとそしてラストは圧巻だ。
そのためだけにでも見る価値はある作品だと思う。
クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード
現実と非現実の連続性があり、見やすい作品ではある。
やや平板な感じはあるけど、しんちゃん節があちこちにちりばめられていて、
素直に笑って楽しくみれる作品。
考えさせられるといったテーマ性はないけど、
次どうなるんだろうと見ていけるみやすい作品です。
クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ
基本的には子供向けかなという感じ。
無論、しんちゃん節炸裂で大人でも楽しめないことはない。
映画に吸い込まれてしまうとか、
しんちゃんが好きになった女の子が映画の人だったとか、
すぐに読めてしまうあたりがちとつらいかな。
クレヨンしんちゃん ブリブリ王国の秘宝
これも基本的には子供向け。
ただクレヨンしんちゃん版「ラピュタ」映画みたいな感じで、
結構楽しめることは楽しめる。
ミスティック・リバー
ネタバレ注意
えっ、犯人があの人なの?というおもしろさは最高なんだけど、
結局、無実なのに殺されてしまった彼は、
物語をおもしろくするための生贄に過ぎず、
残り仲良し2人組の本編とはまったく関係のない、
ハッピーエンドな結末はいかがわしいし、はっきりいっていらない。
むしろ昔の友人を悲しむぐらいの方がいいんじゃないのか。
昔の車に乗った話もエピソードとしては非常に弱いし、
無理やりそれに今を合わせようとするのも強引。
そんな話がなくても、この物語は刑事モノとして普通におもしろいのに。
ニュースの天才
これがアメリカで起こった実話という1点を知る意味だけですごいが、
素晴らしいテーマを題材にしながら映画の構成は最悪。
なぜもっとシンプルにかつきちんとテーマを生かした映画づくりができないのか。
有名雑誌の記者が事実をでっちあげ記事を書き続けたという話で、
実際にアメリカであったというから驚き。
彼は記者ではなく小説家になるべきだったのだろうが、
一記者が捏造して話をつくってもバレナイで、
記事が世間に広がってしまうという恐ろしさはすごいと思う。
スクラップ・ヘブン(邦画)
★★★
オダギリジョーが出演している映画なんだけど、
彼が出ているだけで話がたいしておもしろくなくても、
彼の演技が素晴らしくキャラクターも魅力があるので、
おもしろい映画と錯覚してしまうが、
この映画そのものはちょっと微妙。
うけるところもあるし、テーマもわかるし、
映像も凝っているし、おもしろい部分もあるんだけど、
ぐさっとくるような感動とか、考えさせることとかがなくって、
だからどうしたの?といってしまえば、それまでとはいえなくもない。
もうちょっとストーリーなのか展開を工夫すれば、
見違えるような作品になるような気もするけど。