| なかなか! ★★★★ |
「海の上のピアニスト」「耳をすませば」「グリーンマイル」「ライフイズビューティフル」「シンドラーのリスト」
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「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」
いやー、実におもしろい!というか奥が深い!
というよりこの映画、ぜんぜん子供向きなんかじゃない。
むしろ大人が楽しめるようによくできている映画だ。
最近つまらん映画ばかりという方、ぜひおすすめしたい。
いきなりなぜクレヨンしんちゃんの映画を?というと、
かさこワールド愛読者の方からメールをいただいたからだ。
クレヨンしんちゃんの映画はおもしろいので、ぜひかさこさん、見てくださいと。
それで見たらその人のおすすめ通り、見事におもしろかったというわけだ。
数あるしんちゃん映画の中でレンタル最新作を見た。
この映画、ほんとすごいっすよ。
読者対象は30〜50歳ぐらいじゃないか。
この年代が見てもピリッときます。
最後の一場面なんかとってもよくって、ほろっと泣いてしまえるシーンまである。
というか、子供が見てもあんまりわからんじゃないかな。この映画。
(ここからネタバレ注意)
ユニークな舞台設定なんですよ。
「20世紀博」という古き良き日本の時代を再現したテーマパークができ、
それに大人たちがはまってしまい、遊びほうけてしまうというもの。
子供たちは置き去りにされ、大人の子供の立場の逆転現象が起きる。
21世紀になって日本は腐りきった社会で、
希望も未来もなく、ただ物欲で心を満たすだけ。
ならば高度成長時代の古き良き日本社会を復活させようじゃないかと、疑似世界を作り出す。
そんなテーマパークにはまってしまった大人を、
しんちゃんたちが助けに行くわけだけど、
すごくいいシーンが、大人が過去を回想するところ。
田舎の子供時代。上京して東京で働き出した新人時代。
恋人ができ、結婚し、そして仕事で毎日大変ながらも、
子供ができ、その成長とともに喜びをかみしめながら日々を送る生活。
確かに今の日本社会は腐っているかもしれないけど、
大人には家族という大切なものがある。
それをほっぽり出して過去の追憶にしがみついても何も生まれないことに気づく。
だからこの映画のターゲットは30〜50歳ぐらいの人なんだよね。
きっと子供に連れられた大人たちにメッセージを送っている映画なのかもしれない。
子供には20世紀の古き良き時代の話はわかりにくいだろう。
もちろん、そんなすごくいいテーマなんだけど、
しんちゃん節は健在で、すっごいくだらないギャグとかが満載で、
あっはっはと笑えるシーンもふんだんに盛り込まれている。
その辺の巧みさが実にすごいんだよね。
5ツ★ではなく4ツ★にしたのは、幾分、テーマの結論がはっきりしすぎていること。
もっとぼやかしても十分伝わってくると思うけど、
その辺は子供もわかるようにはっきりさせたからだろうか。
いずれにせよ文句なしの素晴らしい映画です。
県庁の星
早速レンタルで借りてきました織田裕二主演「県庁の星」。
とってもいい映画です!ぜひみなさん見てみてください。
<ほんのちょっとネタバレ注意>
「こんなにうまくいくかよ」みたいな批判もあるかもしれないし、
ちょっと微妙な男女関係により過ぎているような気がしないでもないけど、
役所の腐敗を改革しようってことを訴える映画作品として、
現実の批判だけでなく希望を、よくしていこうよという、
そういう肯定的なメッセージは大いに評価されるべきだと思う。
前向きにこの作品を捉えて、
一歩一歩でも、政治や社会や企業がよくなるよう、
一人一人が何かをしていけるよう喚起させるという意味でも、
絶望ではなく希望を描いたのは、
どっかの主人公を殺してしまう映画よりはるかにマシだと思う。
といってもこの映画、かなりのリアリズムに貫かれている。
最後の最後で「ちょっとやり過ぎだよ」と思ったら、
しっかりゆり戻しがあるし。
ただ一人の男が役所の出世にこだわり続けてきて、
でもそれが不条理な政治的圧力で潰された時、
そして厳しい民間に放り出されていろいろな経験を積んだ時、
人は変われるもんだなあという意味でも興味深い。
キャストも非常にいいし、セリフもはっとするものが多い。
とてもおもしろく見れる映画だと思う。
とはいえ、やっぱりこうはいかないよな、
っていうかこれよりもお役所って、というか政治・官僚・企業の癒着って、
安倍晋三を見ればわかるけど、ほんともっとえぐくてひどいんだなと思うと、
映画にあるようないい奴ストーリーでストレス発散して、
現実の不正から目をそらすことになっては意味がないし、
現実は相当手ごわいんだよなと思う。
そんなことまでいろいろ考えさせられる映画だけに、
ほんといいです。おすすめできます。
見る価値あります!
クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡
クレヨンしんちゃんの映画の中でも最高級におもしろかった!
「オトナ帝国」に次ぐ名作ではないか。
といってもオトナ帝国のようなシリアスなテーマ性はまったくない。
とにかくバカバカしくて、爆笑連発なのだ。
しんちゃん映画でよく出てくるのが「オカマ」キャラなのだが、
今回のオカマキャラがしんちゃんと実によく意気投合していて、
その辺の掛け合いというかやりとりがすごくおもしろい。
5分に1回ぐらいは必ず笑えるシーンがあるぐらい、
とにかく笑い満載の映画で、ほんと見ていて楽しかった。
笑いに飢えている方はぜひ。
「オトナ帝国」とはまったく違う方向性の作品だけど、
もしかしたらこれぞしんちゃん映画の真骨頂なのかもしれない。
そのぐらいイチオシの作品です。
・海の上のピアニスト
テロを予感させる、現代社会への強烈なメッセージ映画
1999年に作られたこの映画。
いろいろな見方があるだろうし、
一生を船の上で過ごしたピアニストという特異なストーリーに目がいきがちだが、
この映画の核は、最後のシーンの10分ほどの凝縮されている。
彼は一度ニューヨークで下船しようと思った。
しかし目の前に広がる高層ビル群が乱立するニューヨークの街並みを見て、
下船するのをやめ、そして一生を船で過ごす決意をした。
船が廃船になり、爆破されることになったとしても…。
彼はなぜ下船しなかったかを最後のシーンでこう語る。
「あそこには終わりがない。すべてはあるが終わりがない。
そこでどうして生きられる?
鍵盤は88しかない。鍵盤は無限ではない。
ピアノを弾く人間が奏でる音楽が無限なのだ。
しかし(ニューヨークは)無限の鍵盤だ。終わりがない。
行き着く先が見えない。あれは“神のピアノ”だ」
足るを知るというかな。
有限の自然の中で無限に生きる人間。
しかし現代社会は違う。まるで無限の社会を作り出そうとしている。
いったいどこまでいったら「経済成長」なのか。
いったいどこまでいったら「繁栄」なのか。
それにゴールはないんだろうか?
毎年右肩上がりでないといけないんだろうか?
天才ピアニストが下船しなかったあの高層ビル群が乱立するニューヨークは、
まさしく現代社会の象徴的街並みで、
「終わりがない」人間の飽くなき欲望を端的に現した街だ。
それを彼は「神のピアノ」と皮肉でいうわけだが、
まさしく世界貿易センタービルこそ、神を愚弄する「バベルの塔」だったわけだ。
つまり終わりがない人間の飽くなき欲望の象徴。
しかしそれは2001.9.11、見事に破壊された。
「神のピアノ」はテロリストによって、
アメリカの無謀さ・無作法さを警告するかのように、あとかたもなく消し去った。
「終わりのない」街に「終わり」をつけた。
だからあのテロは、ある意味では、非常に「素晴らしい」出来事だったのだ。
人間(アメリカ)の無謀さを嘲笑うエポックメイキング。
しかしそれをもアメリカは自分のいいようにすりかえて、
またしても罪のない多くの人間を殺す理由にすりかえた。
ビンラディンとサダムフセインたった2人の男を見事に(わざと)取り逃がし、
アフガニスタンでもイラクでも無実の人々を殺し続けている。
アメリカよ、この映画を見た方がいい。
君らのやっていること、テロの意味、現代社会がめざすべき道、
アメリカはアメリカという限られた大地で自分のことだけをやっていればいい。
神のごとくふるまって、世界へと足を伸ばすから変なことになるのだ。
つまりそういうことをこの映画は伝えようとしている。
無限の街で人間は生きられない。
船なら船という自分の限られた環境の中で、精一杯無限に生きればいい。
それこそが人間の人生だと。
ちなみにこの映画はイタリア人監督によって作れられている。
やはり傲慢なアメリカ人にはこんな映画は作れないだろうな。
制作されたのは1999年。
この時からすでに世界各地のいろいろな人たちが、
現代社会はこのままではいけないということを予感していて、
しかもそれがまさしくニューヨークのテロを予想するかのような、
映画になっていることは注目に値する。
誰もがうすうす感じていたことが、2001.9.11に起きただけのことだ。
さてさてそういう意味でこの映画は大変素晴らしいのだが、
なぜ最高評価の5ツ星ではなく4ツ星なのか。
その辺は純粋な映画批評としてのスタンスを失っていないわけで、
確かにこのような現代社会への強烈なメッセージは素晴らしいのだが、
それが出てくるのは最後のシーンの10分だけなのだ。
それまでの110分間の、船上のピアニストと変人ぶりと天才ぶりのシーンを見ていると、
一体この映画は単なる変わり者のおもしろストーリーだけなのかなと思ってしまうからだ。
ただそれだけだったらそんなにおもしろい映画ではない。
ジャズピアニストとの対決シーンは確かにおもしろかったが、
他のシーンはとりたてておもしろいわけではない。
むしろ船の上でのピアノ演奏シーンばかり出てくる単調さはぬぐえない。
唯一の恋に悩むシーンも、それほど大掛かりなものではなく、
それはそんな話もありましたよ程度の話であって、
その女性とさまざまなシーンが繰り広げられるというのには程遠い。
もちろんこの前半の110分間の単調さを見せることによって、
最後の10分の陸地批判が生きてくるわけだが、
もうちょっと前半110分間におもしろおかしい物語を挿入しないと、
正直いって飽きてしまう感がある。
そんなわけで映画のおもしろさとしては4ツ星にとどめているわけだが、
ほんと、最後のメッセージは、船上のピアニストだからこそ、
説得力のあるものとして観客に伝わってくる効果となっている。
ちなみにDVDで借りてきたので監督インタビューも見たのだが、
やはりこの点を強調したいがために作った映画だといっている。
世紀末で行き詰まる現代人の生き方を、
船上という定点を持った人だからこそ冷静に分析することができるみたいな、
そういう映画作りをめざしたということで、
監督の意図はしっかり最後のそのシーンに組み込まれていて、
何がいいたい映画なのか、そしてそのメッセージが今の社会に当たっているかという
2点においてきちんと的を得ていることから、非常に評価できる映画である。
くそったれブッシュ!
この映画を見て「船上のピアニストがいった言葉と今のアメリカ」という題で、
原稿用紙10枚の感想文を書きなさい。
そうしたら君が何をすべきかが多分わかってくるはずだと思う。
・夏休みのレモネード
“なんちゃらプロジェクト、グランプリ受賞作品”というくだらんたれこみはいい。
そんな肩書きを必要としない、非常にいい作品でした。
ぜひ見てみてください。
ちょっと素直すぎるというか、テーマが当たり前すぎるとか、
そういった稚拙さを感じないでもないけど、好感が持てるよい作品。
「僕の神さま」を思い起こさせるようなストーリー。
まだ8歳の子供が大人の教える「宗教」というものがわからなくって、
素直にまっとうに反応してしまうところから物語ははじまる。
学校のシスターから「地獄行き」という叱られ方に真剣になった男の子が、
「天国に行くためにはどうしたらいいか?」ということをいろんな人に聞いた結果、
「ユダヤ人を改宗させること」という結論に達し、ユダヤ教会に乗り込む。
キリストとユダヤ。
単なる子供の宗教ごっこから、宗教の本質、
つまり、それは何に祈ったっていい。
「いいこと」「正しいこと」をするための方法の違いなんだってことを、その子供が教える結果となる。
ま、よくあるテーマだし、最後のシーンでそれを、
8歳の子供がそういう言葉で宗教を語りきってしまうかという問題はあるにせよ、
神なき時代、宗教勘違いの違い、宗教がいまだに争いになる時代状況を考えると、
このようなテーマを、宗教とは何たるかをわからず、
特定宗教にこだわるあまりに本末転倒なことをし続ける大人にはいいメッセージだとは思う。
ただこの作品のいいところは、単なる宗教論ではないところ。
そこに家族という問題がいろいろな形で入ってくる。
特にかたくなな高卒で消防士の親父と、
これから勉強して医者になりたいという子供との言い争いっていうのは、
古くて新しいテーマというか、いつの時代にもつきないテーマだ。
親父のコンプレックスやこだわりやプライドもわかるし、子供のいい分もすごくわかる。
そこにうまく母親が仲介し、家族がいい方向にいく。
どんな家族にだっていろいろな問題はあるけど、そういう自浄作用が働くもんだよな。
ま、今の日本ってのは家族から崩壊してしまっているから、
ほんともう心のよりどころがないというか、絶望的な状況だけど。
そういう意味で単なる子供の宗教ごっこから宗教の違いの無意味さを語るだけではなく、
家族の理想像みたいなものもここに織り込まれていて、
非常にほのぼのとして安心してみていられる映画です。
ま、それだけに僕のようなものにとっては、
ちょっとストレートすぎるというか、そんなにうまくいくか?とか、
そういう疑念を抱かないわけではないけど、それでも実によくできた作品で、おすすめできる映画です。
・フラガール
ほんとよかったのは、惚れ惚れするぐらい見事な俳優陣。
最近、人気とりのためか、ろくに演技もできない、
クズタレントを多く使う傾向にある邦画&TVドラマだが、
この出演陣、見事です。
これぞ、映画、これぞ演技。
見ていて安心できるし、
みんなキャラにがっちり合っているから、
感情移入ができ、ストーリーに入っていきやすい。
私が特に好きな人が出ているわけではないけど、
松雪泰子、豊川悦司、蒼井優、この3人の演技はほんと素晴らしい。
何が素晴らしいって役になりきって、まったく違和感がない。
かつ、すごくいいのは、
この3人のタレント人気にあやかろうって作り方をしていないこと。
必要以上にこの3人の誰かをピックアップすることもなく、
ストーリーの中でそれぞれを描いている。
だから嫌味じゃないし、自然に見れる。
ストーリーは圧倒的にいい。
これはかつての実話。
実話だから説得力がある。
映画をむりやりおもしろくするための、
変なストーリー展開とかない。
だって実話なんだから。
ストーリーがしっかりしていて、俳優が見事に演じれば、
どんな映画だっておもしろい。
逆にいえば、ストーリーがむちゃくちゃで、
演技ができない俳優(というかタレント)映画が、
いかに多いかということだろう。
ほんと久々におもしろい映画だったんで、
ぜひレンタルで借りてきてみるといいと思います。
・シンドラーのリスト
195分にもおよぶ長編で、全編ほぼモノクロ映画なんだけど、素晴らしかったですよ。
ナチス・ドイツ時代のユダヤ人迫害における実話物語なんだけど、
「戦場のピアニスト」の映画の作りとしての情けなさから比べると、実によくできた作品。
「戦場のピアニスト」の物語の実話性を描く中途半端さとは違い、
ドキュメンタリー映画としての作り込みは素晴らしい。
過去の時代にあった実話性と映画のドキュメンタリー性を出すために、モノクロにしているんだろうし、
「戦場のピアニスト」のように、ただだらだら長いだけでなく、
物語の展開の仕方はうまいので飽きさせないし、
歴史を映画の何気ない1コマで語るカットが多く、
実に効果的に、人類が忘れてはならないテーマをうまく描き出している。
ユダヤ人迫害というだけで、ものすごく重いテーマなので、
そんな暗い映画を見たくはないし、
そんなこと悪いに決まってるってわかってるから、わざわざ見たくないし、ましてモノクロで長編だし、
もっと楽しい映画を見たいっていう人も多いだろうけど、
ただ暗く重いだけの映画ではないので安心してみて大丈夫だ。
というのも「戦場のピアニスト」と決定的に違う点は、主人公をドイツ人に設定していること。
主人公をユダヤ人に設定すると、どうしても迫害される悲惨さだけが延々と続く結果になってしまうんだけど、
この「シンドラーのリスト」は、ナチスの軍部にもうまく取り入りながら、
自分の利益も追求しながら、それでいてユダヤ人を助けたという、
極めて難しい立場の人間を主人公にしたところがよかった。
だから一方的に残虐なシーンだけ見せられて、いかにナチスが残酷だったか、
という見せ方よりも、説得力がある。
やや美談に過ぎないかという危険を感じて★印を1つ減らしたが、
実際、彼のおかげで助かった人たちを、最後にカラーで登場させるというシーンは、
彼の功績を間違いなく証明するものだ。
あの時代、どういう動機からドイツ人の彼が危険を犯して、
大金はたいてユダヤ人を助けたのかといった点だけが、
どうにもこの映画からは読み取れなかったが、
彼のやったことの素晴らしさはほんとすごいと思う。
あういう暗黒時代にあってもうまく渡り歩いて希望を少しでも広げた手法は、
実際的なやり方として記録に留めておくべきものだろう。
そしてまたこの映画で1つの注目すべき点は、
残酷極まりないナチスの収容所の所長の微妙な心理を描いている点だ。
ナチスが悪くても、所詮現場にいるドイツ人たちだって、
国に逆らったら自分が殺されるから命令通りに従っているという、
そういう点を忘れてしまったら、歴史の教訓になりえない。
そういった意味で、この残虐所長の微妙な気持ちの揺れ動きを描いた点は、
単なるナチス=悪、ユダヤ人=善という枠からはみ出して、
なぜこんな時代になってしまったのかを読み解く鍵といえるだろう。
いずれにせよ「戦場のピアニスト」「シンドラーのリスト」と立て続けにみて、
政治の歯車が1つ狂うことでいかに恐ろしい時代になるか、
しかもそれがはるか昔の話ではないこと、
そして今、ブッシュという21世紀のヒトラーの登場で、
実はまた恐ろしい時代のはじまりが予感されていること、
身体的コミュニケーションの喪失と、戦争世代の死によって、
再び戦争が起る可能性が高いということを考えると、
こういった過去の歴史を見つめなおす映画がますます必要とされるように思う。
我々若い世代は戦争を知らない。
知らない世代は平気で戦争を起こす可能性がある。
だからこそ戦争世代の記憶を記録化した映画が、必要とされるのではないかと思う。
・グリーン・マイル
またしても私に負けず劣らず?!毒舌親友から紹介された映画「グリーン・マイル」。
洋画嫌いだった僕が「ショーシャンクーの空に」で開眼し、
こんなおもしろい映画があったのかと喜んで、
最近映画をやたら見るようになったわけだが、
この「グリーン・マイル」もそれに匹敵するだけの素晴らしい映画に思えたんだけど・・・。
まあ、まずほんとこれは素晴らしかった点から話そう。
スターウォーズだのハリポタなど見ている場合じゃない。
これは絶対おすすめ映画であることには間違いない。
なんというかな、この感動は。
やっぱり主人公の看守主任の行動に尽きるんだな。
この映画でよかったことは、彼が単に人間味あふれる行動だけで突っ走った美談ではなく、
現実の立場・職務という大きな壁の範囲内の中で、最大限の行動をしたという点だ。
理想論をかざして現実にありえもしないヒューマンドラマは、
残念ながら一時の快楽になるかもしれないけど、
この重くのしかかった現実社会を解決する糸口にはなり得ない。
ここからは映画のストーリーを話してしまうので、まだ見ていない方は読まないように。
何をいいたいか。
無実の罪で捕まったジョン。それを知った主人公がそれこそ彼を逃がしてしまい、
しかも彼もおとがめがなくて、めでたしめでたし物語にはしなかったということ。
これが現実主義に裏打ちされた素晴らしい物語だったという点だ。
確かにジョンは無実にもかかわらず処刑されなければならなかったし、
その処刑をしたのはまさしく主人公だったわけだけど、
主人公もそしてジョンも現実の枠組の中で、
しかも自分の意志をきちんと貫き通しながらも、その運命を引きうけた。
別に僕はハッピーエンドが嫌いで悲劇が好きだといっているのではない。
主人公の立場にしては相当やばいこともしたし、
彼はできうる限りのことをやった。
そしてジョンはこれ以上生きていることは辛いといった。
だから彼が処刑されてもそれは悲劇ではない。
それこそがこの物語のいわばハッピーエンドというか当然の結末だったといえる。
この「グリーンマイル」と「ショーシャンクーの空」は、
いわば「無実の人を殺してしまう現実社会の不正義さ」をテーマといえば同じに見えるが、そうではない。
2つの映画で決定的に違っているのは、ショーシャンクーの空にで捕まってしまった人は人間だったが、
このグリーンマイルは人間ではなかった(生き物を生き返らせたり病を一瞬にして治してしまうのだから)という点だ。
つまりグリーンマイルのジョンは確かに無実だったかもしれないが、
彼はこの世界では特異な存在というかフィクショナルな存在だった。
だから彼が無実にもかかわらず処刑されてしまったことは、
ショーシャンクーのテーマである「無実の人を殺してしまう不正義」というのとはわけが違う。
だから彼は処刑されてもおかしくはなかったし、処刑されてしかるべきだった。
というのもこの映画は彼が無実なのに処刑されてしまったことをテーマにしているではなく、
人間社会に渦巻く様々な醜さを、いわば純粋善の神の使いたるフィクショナルな存在の彼によって、
あぶりだすことが大きなテーマだった。
だからこそ絶対にありえない彼の魔法が許されるわけであり、彼が処刑をのぞんでも常人の人間ではないから、
致し方がなかったのだ。
そしてむしろジョンの存在によって、人間社会の醜さを少しでも何らかの形で良くしていこうと団結する、
主人公と筆頭とした看守たちの勇気ある行動によって、
こんな醜い社会であっても、少しずつ何かから始めるべきだという、そういうメッセージだったのではないかと思う。
だからこの映画はジョンが処刑されても素晴らしい映画だったのである。
しかし、というかであるからこそ、
ラストシーンはジョンの処刑と涙する看守たちの姿で当然終わるべきだった。
にもかかわらず、老人の回想ということでプロローグに出てきたいらん老人を再び登場させ、
しかもそこで回想が終わりましたよというちょっとしたラストではなく、
10分近くもいらん老人がああだこうだ述べる。
彼がいうのは、ジョンを処刑してしまった罪で、愛する人の死を見送らねばならない、
長寿という罰を与えたのだという、まったく見当違いのラストシーンが加えられてしまった。
これはいかんですよ。これこそ犯罪ですよ。
せっかくの映画が台無しじゃないですか。
そんなテーマで話を進めてきたんじゃない。
彼はジョンを処刑したことによって大きな悲しみを感じたかもしれないけど、
一生背負う「罪」は負ってはいない。
そんなテーマじゃないんですよ。これまで何時間もやってきた話というのは。
だから老人の回想シーンなんてまったくいらないし、
この映画のテーマからすれば、ジョンの処刑が終わった時点で終わるべき。
しかもラストでしらけさせるのは、60年前のネズミが生き残っていて、
それを老人がこっそり飼っているという話。
これもいらんよー。そんな話じゃないじゃないですか。
この映画は何を伝えたかったのか。
そう考えたらラストにネズミはいらないわけです。
彼は生命の尊さの象徴としての話の途上でのアクセントであって、
ラストに出てくるべき使命は帯びていないはず。
もうほんとなんでこんなくだらんラストをつけたのかな?信じられん。
まだそれが2、3分で終わる老人の回想ラストなら、
処刑が終わって主人公の悲しみに僕も涙してしまう感動が残ってるからいいんだけど、
最大のクライマックスを終えた後に、テーマを捻じ曲げるような、
というかむりやりあとから違うテーマをくっつけたような話を延々10分近くもされてしまうと、
せっかくの感動が薄れちゃうじゃないですか。
もうまったく信じられん。
まあまあそれはともかく、他に気になったのは、
知事のコネで入った看守のクズ野郎パーシーと、
どうしようもない問題児である殺人犯の2人を殺してしまったことだ。
確かに彼らは許しがたい。
でもあんな風に人間に絶対悪の役柄を作ってしまって、
そいつらが殺されてしまえばいいんだというのは、
ちょっと危険な発想のような気もするし、またはなして絶対悪の人間なんているんだろうかという問題もあるし、
現実的にあんなにうまく憎いと思っている人が2人もあっさり死んでくれるだろうかという、
現実からは乖離した部分は、くだらんラストがなくとも気にはなっていた。
その意味ではショーシャンクーの見た後のぐっとくる感じよりは減点かなという気はした。
でも絶対この映画、おすすめです。
見方は最初と最後の老人の回想シーンを見ないこと。これにつきますね。
・レオン
いやー、素直におもしろい!
ほんとこういう作品っていいですね。
映画の世界に引き込む力、
視聴者に「次どうなっちゃうんだろう」って思わせて、 ストーリー展開に注視させる力、
映画(物語)を作る上で当たり前のことなんだけど、
ほんとよくできていて思わず時間を忘れて見入ってしまう。
こういう映画がいっぱいあればいいのになと思う。
この映画で何よりよかったのが、12歳の女の子というヒロイン。
これが成人女性で、殺し屋の主人公と恋に落ちる・・・みたいな、
ありきたりでわざとらしい設定だと、非常に映画の焦点がぼける。
12歳の女の子だったからこそ、この映画をおもしろくさせているというかな。
それともう1つおもしろかったのは、悪役であるはずのドンが、
麻薬取締局の人物であるという点。
この立場のアイロニーがまた映画の味を深めている。
僕にはわからないが、どうなんだろう、
ここに出てくるさまざまなシーンっていうのは、アメリカの現代社会の節々を描いているのかな。
もしそうだとするなら、ほんとアメリカの都市社会が抱える問題っていうのも、
非常に深く大きいなと思わざるを得ない。
こういう素直に普通におもしろい映画っていうのを期待してるんだけど、
最近の評判作ってなんではずれるのか、不思議でならない。
レオンはおすすめです!
・七人の侍 黒澤明監督
いやー、素晴らしいですね!!!
実に素晴らしい。
黒澤映画をはじめてみたけど、ほんとよくできてる、素晴らしい映画です。
これからどんどん黒澤映画を見ていこうかなと思えた作品でした。
絶賛してるんだけど、なぜ5ツ星ではないかという話から。
長い。
200分ぐらいか。
後半は長さはぜんぜん感じないんだけど、
はじめの1時間がやたら長いし、ちょっとこの映画、どうなのかなと思ってしまう。
長くしなくても描けるテーマなんだから、もっと短ければよかったなという点でマイナスした。
でもほんとすごくいろいろ考えさせられる映画だった。
舞台となっているのは百姓とか侍が出てくる古い時代なんだけど、
すごく現代社会と見合わせて見ることができる。
百姓が国民というか「一般大衆」で、侍が政治家か官僚といったところか。
百姓出身の侍が百姓のずるさを吐露する場面がある。
そこにすべてが詰まっているなと思った。
貧乏そうなふりして、実はなんでも物は隠してあって、
白い米もあれば、酒もあれば、とにかくなんでもある。
百姓なんて自分のことしか考えず、びくびくしているけど一番ずるいみたいな。
なるほど、そうなんだよなとこの映画をみてしみじみ思った。
野武士に攻められるから侍を雇ったのに、その侍をはじめまったく歓待しなかったりとか、
みんな自分勝手なことばっか考えていて、村全体がどうなるかってことなんかより、
自分がかわいくて仕方がない。
まるで、今の日本国民じゃないか。
どんな時代も「大衆」というのは実に愚かなんだと。
でも大衆がただ愚かだということだけで終わってしまったら、
事実の一面しか描いていない、単なるテクノクラート主義になっちゃうんだけどそうじゃない。
百姓のずるさを指摘した侍は、「でもな」といって侍の卑劣さをいう。
やりたい放題、食い荒らし、村を襲い、人を殺し、女を犯し、などなど。
そういう侍がいるから、ずるい百姓が生まれるんだみたいなことをいうわけです。
どっちが先に生まれるかは別にして確かに今の社会そのものだと思う。
国民年金を払えといっている政治家自身が払っていない。
だから大衆は堕落するんだ。
いや、そんな政治家を選ぶ大衆も悪いわけだし、
結局、政治家ってのはその大衆レベルの代表でしかないから、
大衆のレベルが低い国にはそれなりの政治家しかいないわけですよ。
そんなことをまず考えさせられた。
単にテーマはそれだけじゃなく、
戦時という状況下の若い男と女の性といったことも実に際だっていたし、
弱小村を守るべく七人の侍がいろいろと奮闘する姿は深いテーマなど考えなくとも、普通におもしろいし、
百姓の生き様とかずるさとか、功名にあせる侍とか、いろいろな多層な面をみさせてくれる。
そして最後、村人たちが音楽を奏でながら農作業をするシーンがほんと最高だよな。
戦時という非常事態には侍という「軍隊」が活躍するわけだけど、
平和な世の中になり、日常に戻ってしまえば、
食べるものそのものを作って働いて生きている百姓が輝いて見える。
それを代弁して侍の大将が「勝ったのは百姓だ」というわけです。
ま、そんなこといわなくてもシーンで終わっても十分だなとは思ったけど。
この「七人の侍」は舞台は古いし、モノクロ映画で古いけど、
人間社会の普遍的なありさまを描いているからこそ、名作と評価され、
今みてもおもしろいと感じられるのだろう。
ほんと、実に素晴らしかったですよ。
・ライフイズビューティフル
映画「ライフイズビューティフル」を見た。
映画批評にも毒舌な僕に、「かさこでもこの映画はおもしろいはず」と、
これまた映画批評に毒舌な友人に勧められ、毒舌な彼がおもしろいというなら、
ある程度信頼できるだろうと、借りてきたのだ。
(ある程度といったのは、彼を信用していないのではなく、
映画の好みには個人差があるということで、あえてつけた)
しかし思いに反して、僕好みの映画ではない、
どこにでもあるくだっらないコメディ映画ではないかと、
前半首をかしげながら眺めていた。
しかも、とんちんかんな主人公があっという間に美女をさらったかと思うと、
その10秒後には、子供ができた幸福な家庭に何年かがスキップされてしまって、
さらに「この映画いったい何なんだろう?」と首をかしげていた。
しかしその単調でくだらない前半は、単なるこの物語の核心の、
プロローグにしか過ぎないことがわかる(ちょっとプロローグが長いような気もするが)。
劇的にシーンは変る。
ユダヤ人ということで強制収容所に連れていかれてしまうのだ。
この映画が素晴らしかったのは、そういった戦争の悲惨さの中でも、
子供に希望を持たせつづけるために、巧妙な嘘をついて、なんとか明るく振舞う主人公の姿だ。
悲惨なものを悲惨と描くのは簡単なこと。
しかし悲惨だからこそ、いつか「ゲーム(戦争)は終わる」と信じて、
滑稽なまでに明るく振舞う主人公の姿が人に感動を呼び起こす。
しかし見ていて一抹の不安がよぎったのは、
このままうまいことこの一家だけ助かってしまうのではないかということである。
そうなってしまったら、この映画が扱っている重いテーマが、
現実の悲惨さから遊離した単なるハッピーエンドな観客迎合映画になりかねないと…。
でも結末は違った。
単なるハッピーエンドでもなく、また最近増えてきた、
それこそみんな殺してしまってどうしようもない悲惨な結末で終わらせる方法でもない。
ネタばれさせたくないので詳しく結末は書かないけど、
僕の期待を裏切らない、素晴らしい結末で締めくくった。
現実の悲惨さと希望をともにあわせもたせた結末。
それこそが空想主義に彩られたハッピーエンド物語でもなく、
悲惨さで打ちのめして観客を泣かせて満足させる悲劇物語でもない、
現実主義に裏打ちされていながら、でも希望と夢を忘れさせない。
結末がこんなによかった映画もなかなかないだろう。
というわけで映画批評の「ライフイズビューティフル」としては、
前半部分の単調さで途中で見るのをやめてしまわず、
また映画のテーマを勘違いさせるかのような予告編に惑わされず、
最後まで見れば実にいい映画だったというのが、僕の評価だ。
バティニョールおじさん
いやーすばらしかった!久々に映画見てよかったなって思った。
くだらん映画ばかりで、そういう映画に限って誇大な宣伝していて、
意外といい映画が知られていない現実。
いや、ほんと、これ、いいですよ。おもしろいです。
フランス映画でレンタル専用。
私はこの映画のことはまったく何も知らなかった。
ただ「子供が主役の映画は比較的はずれない」という仮説を確かめるべく、
パッケージに子供がうつっているのを探していて発見した映画だ。
しかも、フランスではアメリよりも入場者数が多かった非常に話題の映画という太鼓判もあり、
100分と短いこともあって借りてみることにした。
この映画は、パリ、フランスにおける第二次大戦中のナチスによるユダヤ人迫害問題という、
非常に深刻で暗いテーマを扱っているのだが、描き方が実にうまい。
ただなんでもかんでも深刻さだけを強調するわけでもなく、
かといって喜劇にしてしまっておもしろおかしくしただけでもない。
監督自身が「喜劇でもあるし悲劇でもあり、主人公にも善の部分があり悪の部分がある」
と特典映像のインタビューでいっているように、
ここにはそういう両極のバランスを非常にうまく取り入れて、
かといって映画として客を飽きさせない魅力的な作り方をしている。
ガイドブックの仕事で、チェコ、ハンガリー、ポーランドを取材したので、
随分とその国の映画を見たが、ほとんどといっていいほどユダヤ人問題の映画ばかり。
もちろん忘れてはならない大切な問題なんだけど、
同時代に生きていない享楽社会に生きる私たちが映画として見るためには、
構成に工夫がないと、ただの教科書的映画になってしまったり、
なんでもかんでも善悪をはっきりさせてしまうような、かえって現実と違った形になってしまいがちなんだけど、
この映画はほんとうまいこと描いている。
はじめは喜劇的というかコメディ的タッチが強いんだけど、
「ありえないよな」みたいなすべてうまくいってしまうみたいなこともなく、
子供が出てくることもありまた大人の勘違いもあり、
いろいろな予想だにしないトラブルが出てくることも、
物語にのめりこませることがうまく、リアリティの完成度が高くなっているなと思う。
ほんと、さらっとしている映画だけど、
いろいろなところにスパイスがきいていて、すごくいろいろなことを考えさせてくれる、
非常にいい映画だ。
このような素晴らしい映画があるんだから、
くだらん映画ばかりを誇大宣伝している場合じゃないよなと思う。
このようないい映画に出会えるからこそ、
くずを恐れず、私は映画を見続け、くずはくず、いい映画はいい映画と評していきたいなと思う。
ミシシッピ−・バーニング
人種差別問題を見事に描き出した、考えさせられる映画。
それをくどくどと描かず、
頭はいいけど起点のきかない若手エリート捜査官と、
ベテランで人の機微もわかるが、少々強引な年寄り捜査官のコンビで、
問題を追及していくストーリー性と仕掛けで、先がどうなるんだろうかと、
ハラハラしながら見れるのが映画としての完成度が高いことを証明しているな。
1964年ミシシッピ−州で公民権運動家が3人殺された事件をもとに作られた映画。
同じ人間にもかかわらず、肌の色でいわれのない差別をする信じられない社会。
アメリカの「自由と正義」はどこにもない。
レストランから水のみ場まで、すべて「ホワイト」と「カラード」に分けられるといったことにとどまらず、
白人至上主義集団KKKが市民の支持を集め、
黒人に対して暴力的な排斥行動に出る。
しかも町中がKKK組織に汚染されているので、
保安官から裁判所まで要職はKKKに握られているので、公平な捜査や裁判がまったく行われないというひどさ。
たとえばドイツのヒトラーのように、独裁者が自分の支持基盤を維持するために、
ユダヤ人排斥を利用するといった手法なら、その独裁政権が倒されればいいわけだけど、
このアメリカのように、市民意識にしっかり差別感情が当たり前のように根ざしているというのは、
本当に始末が悪い。
ようは社会の問題とかフラストレーションとかいろいろな不平不満を、
すべて黒人が悪いということにして、彼らを排斥することで、
自分らの不満のはけ口にし、かりそめの団結と秩序を維持するという、きわめて陰惨な方法。
いわば小さな集団で誰かターゲットとなるいじめ対象者をでっちあげ、
みんなでいじめることで、それ以外、本当は仲良くないもの同士が団結し、
組織内の不満を封じ込め、問題を隠蔽するという仕組みと同じだ。
それを社会としてやってしまう。
しかも肌の色が違うという理由でやってしまう。
もともとインディアンを追い出して後からのさばった白人どもが、
なぜえらそうに差別などして白人社会を主張するのか。
その根本的な国家成立事情から思えば、
白人だろうが黒人だろうが何だろうか関係ないだろうと思うのに。
たとえばミシシッピーの町が何千年も白人という一民族が住んでいたところに、
この2、3年のうちに黒人移民が流入し困っているというのなら、
差別意識が生まれても致し方がないと思うけど、
白人だって土着じゃないだろうがと思うと、このような差別が日常化している、
アメリカ社会の差別意識の異常性は大きな問題だなと思う。
この事件からもうすでに40年近い年月が過ぎているわけだが、
アメリカの差別意識はなくなったのだろうか?
ラブアクチュアリー
いやー、実に素晴らしい映画。よくできてます。
こういうさりげなさで描いた愛の物語の方が、大仰な設定やあり得ない夢物語より、
よっぽども心にすっと入ってきますね。
ほんと、よく作りこまれたいい映画です。
特に、冒頭が最高。
ここにすべてのメッセージが織り込まれている。
「世の中に嫌気がさしたら、ヒースロー空港の到着ロビーにいけばいい・・・
ここには愛があふれている。崇高な愛でもなくニュース性もないが・・・
“9月11日”の時のメッセージは「憎しみ」や「復讐」ではなく、
「愛」のメッセージにあふれていた・・・」
そういう日常にある、一人一人のささやかな愛をこの映画は見事に描いている。
またところどころに入れてあるユーモアもイギリス映画らしく、安心して楽しめる。
こういう映画は絶対にアメリカじゃ作れないだろうな。
とってもいい作品です。
ノーマンズランド
すばらしい反戦映画!
いや、こういう描き方で反戦を描いた映画をはじめてみた。
ほんと、すばらしいです。
何がすばらしいか。
まず人がわんさかいっぱい死んだり、戦闘シーンがいっぱいあったりはしない。
そういう戦争の「悲惨」という見せ方をしていないんだけど、
すごく戦争の無意味さを感じさせてくれる、その描き方が実にうまい。
舞台はユーゴスラビア内戦。ボスニア対セルビア。
中間地帯の塹壕に取り残された3人の男。
ほとんど舞台はそこだけ。
その3人で戦争の無意味さを見事に表現している。
どちらが悪いかという口論。
互いの知り合いがいるという共通項。
そして互いに生き残るために助け合うムードになるかと思いきや、
疑心暗鬼から、そして消えない恨みから、
一瞬の隙をついた行動。そして・・・。
両軍の戦争の無意味さもさることながら、
国連軍の無意味さに焦点を描いた映画をはじめてみた。
現場を無視する事なかれ主義の国連上官。
かぎつけたメディアのおかげで、救出が展開される。
しかしそのメディアも、センセーショナルな映像を撮るために、
上からいろいろ注文をつけられ、兵士の気持ちを考えない取材行動。
単に両軍の戦争の無意味さだけでなく、
戦場での国連軍の役割やメディアについての行動の問題を指摘したすばらしい作品。
おすすめの映画なので詳しい内容は避けますが、ぜひ見てみてください。
・スティング
エンターテインメント映画の古典的名作
いやあ、実にいいですよ。
作りはね、すっごい古いし、ストーリーだって目新しくない。
でもね、映画らしいっていうか、楽しませる映画としての原点がつまっているというか。
おすすめできる映画です。
最近のアクション映画はやたら総工費何億円だの、過激なCGやらセットやらなど使って、
ようは金まかせ映画でなんもたいしたことがないんだけど、
この映画、全然金かけてないと思うし、
豪華なセットを使っているわけでもないし、派手な演出があるわけでもないけど、十分見入ってしまうことができる。
単純明快なストーリーなんだけど、はっとさせられ、
「なるほど、そうだったのか」と思わせる驚きのシーンが2ヶ所あった。
これから見る人のためにネタばれはしたくないから詳しく書かないけど、
そういうシーンがあるっていうのはいいですよね。
最近の映画ってやたら気をてらうっていうか、
見ている方はこうあって欲しいっていうストーリー象があるわけで、
それを時折裏切ることは必要なんだけど、
必要以上にいや不必要にストーリーの結果を予想されないように、
ストーリーをねじまげ、殺しちゃいけない人を殺すことによって興味をひかせる手法が、
最近の映画に多々見うけられるけど、そんなことしなくたっていいんだよね。
そういう意味でこの映画のストーリーはよくできている。
まさかっと思わせる意外な場面があってもストーリーの核から外れることはないし。
強いてこの映画の難点をいうなら、
はじめ悪役だと思った人物がいつのまにか主人公になっちゃうんだけど、
最初の導入部分を見ていると、はじめのうちは主人公に感情移入できないというのがある。
もっと導入を工夫してすぐに主人公側で視聴者が見れるような工夫をすべきだ。
あとこの映画は純粋なエンターテインメントであって、何か奥深いテーマやメッセージがあるわけではない。
そういう意味では残念ながら僕としては5つ星はつけにくい。
・最高の反戦・反米映画「マジェスティック」
いやー、久しぶりにあたりましたね。いい映画に会えましたよ。
「ショーシャンクーの空に」「グリーンマイル」の監督だけあって、まったく外れなかったな。
ただ両2作に比べると、はるかにメッセージ性が強い点はいいのだが、
映画の作りとしては多少、作り物ぽさを感じてしまう点がマイナスだけど、十分な映画ですよ、これは。
アメリカを愛するがゆえの「反戦」「反米」映画で、そういう意味では非常に説得力を持っている反面、
戦死者の犠牲を英雄視してしまうところなど、アメリカそのものを完全否定できない物足りなさはあるが、
それはまあ仕方がないだろう。というか、これだけやってくれれば十分だよ。
遠い過去のような「戦争」っていうのが僕にはなんだか非常に近い将来に起こりうる身近なテーマのような気がして、
戦争を知らない世代だからこそ、戦争の悲惨さとか現実みたいなものをこういう映画で知る必要があるし、
また、「プライベートライアン」のような過去の一戦争の賛美的な歴史懐古としての戦争映画ではなく、
イラク戦争、アフガニスタンン紛争などに堂々と殺戮をくりかえす今だからこそ、
「マジェスティック」のような映画は、非常に強い社会へのメッセージ性を持つ。
はじめの30〜60分ぐらい、ちょっとどうなるか心配だった。
このままこんなつまらないままで行くのかな・・・と。
しかし徐々にこの映画の本領を発揮していく。前半つまらないからといって投げ出してはだめだ。
大統領から戦死者のために送られた記念碑を前に、
下手な街の楽隊がアメリカ国家を演奏するあのシーンが忘れられない。
「国家」のためにどれだけの人々が犠牲になったのか。
それが果たして正義なのか。
アメリカ国歌とアメリカ国旗、映画でも登場人物に語らせているように、
「民主主義の国」であり「自由の国」であるはずのアメリカが、
北朝鮮やナチスなみの専制政治をしているさまが見事に明らかになる。
そこで苦しむのは国民だけ。
その犠牲となった人たちを「悲しみの街・ローソン」に凝縮させ、象徴させている。
いつもバカをみるのは国民で、政府や国家のおえらい政策のために犠牲になっていく。
あのバカスピルバーグの「プライベートライアン」は戦争を描いていながら戦争をまったく描いてないんだけど、
この映画は戦争シーンはなくても最もよく戦争の本質を描いている。
戦争の悲惨なシーンを超リアルな映像で再現しなくても(プライベートライアン)、
多くの若者を戦争でなくした「悲しみの町・ローソン」を描いたこの映画の方が、
はるかに戦争の悲惨さを訴えているではないか。
それが映画ってもんだ。
いい映画はネタばれさせたくないので、ストーリーの詳細は書かない。
前半はつまらんが、それも後半につながる序章だと思って、
まあポテトチップスなんか食いながらてきとーに見流してもらえれば、
僕のいった「アメリカ国歌が流れるシーン」あたりから、ぐっとこの映画のテーマに近づいていき、
後半は時間を感じさせることなく、おもしろく楽しませてくれる映画だ。
スピルバーグの特撮?
あの成金野郎はこの監督の映画をじっくりみて、映画を一から勉強しなおした方がいいんじゃないか。
スピルバーグのやっていることは小室哲哉が一人でマスターベーション的に、
聴衆を忘れてキーボードを何台も叩いているようにしか思えない。
・おもいでぽろぽろ
夏になると、なぜか宮崎駿映画がみたくなる。
(この映画は宮崎駿は一応プロデューサーという肩書きで、 監督・脚本は違うが、ジブリ作品ではある)
それもなぜか今、大人になっても楽しめる。
それはきっと、子供の頃の心を思い起こさせてくれるからだろう。
2時間映画で、はじめの1時間はちょっと焦点がぼけていて、 何がいいたいんだがわからない映画だった。
子供の頃を振り返る、大人になった女性。
自分の子供を振りかえるようで懐かしいシーンもあるが、
だからなんなんだという点がさっぱりわからなかった。
しかし、この主人公の女性が、
(多分、30歳過ぎぐらいかな。親からは早く結婚しろと言われてるんだけど、
なかなか踏みきれなくて、かといって仕事がどうしてもしたいわけではないという、
まさに今の都会にいる20代後半から30代前半の女性を体現している)
夏の休暇を10日間もとって「海外旅行」ではなく、
わざわざ本当の故郷ではなく、田舎に行きたいという理由で、
山形に到着し、農作業を手伝うところから、テーマとしっかり結びつき、 おもしろくなっていく。
都会生活に疲れ、夏休みは農作業を手伝う休暇を楽しんでいる今時の女性。
「田舎は素晴らしい」「自然に囲まれていい」「東京はごみごみしていて住むところじゃない」
と、田舎賞賛、都会批判を繰り返している彼女に、思わぬ言葉が突き刺さる。
「そんなに田舎が好きなら、ここに住んでくれないか」
この言葉で彼女は気づいてしまうのだ。
自分がいかにうわっつらの「農作業ごっこ」をし、
単なる一時的な「田舎暮らし」を楽しんでいるに過ぎないということを。
田舎や農業や自然を褒められるのは、ここに住んでいるわけでなく、
たまの休みに来て楽しんでいるだけだということを、
田舎の人に見透かされていたことで自己嫌悪に陥る。
見事なテーマだなとこの時、感心した。
ほんと、そうなんだよね、今の20代後半から30代前半の人たちって(僕も含めて)。
便利さや効率さを享受しながら、何か失ったものを求めて彷徨っている。
じゃあ、便利な都会暮らしを捨てて、便利な電子機器を捨てて、
田舎暮らしができるかっていったら到底できない。
だから一時的な「レジャー」気分で田舎やアジアの旅を楽しむ。
都会や東京を罵倒しながら、必ず戻ってくる。
そんな世代がまさに高度成長後に生まれた僕らの世代なんだな。
僕らの親の世代は「田舎暮らし」に戻れるわけですよ。
なぜならもともと田舎で暮らしていたわけだし、今より不便な生活を小さい時にしているから、
高度成長を合言葉にみんな田舎から東京に出てきて都会暮らしをしてきたけれど、
こうして高度成長を達成した後に得たものの虚しさを感じた親の世代は、
早期退職制度を利用してがっぽり退職金もらって、
今なら年金もとりっぱぐれないだろうから年金ももらって、
自分の田舎に帰って田舎暮らしすることはできる。
都会の便利な生活を失っても、自然に囲まれた農作業は親の世代にはできる。
でもこの映画の主人公のように、僕らの世代はできない。
できる人もいるかもしれないけど、ほとんどできない。
たまにいって農作業手伝っていい気分になることができるけど、
それが毎日、何十年もそういう生活をしろっていったら絶対にできない。
なぜなら僕らはもう生まれた時から都会暮らしで、都会の便利なものに囲まれていたから。
だから逆にいえば、田舎から出てきた親と違って、都会暮らしでの苦労はしない。
親がパソコンのキーボード叩きに苦労し、インターネットやメールを使うのに苦労しても、
僕らの世代はそういったものに小さい頃から慣れ親しんでいるから、
新しいものがでてもすぐに使いこなせるようになる。
だからこそ、逆に田舎暮らしでの知恵がないから途方にくれてしまう。
映画では、女性が再び田舎に戻って暮らす決心をする。
もちろんそうできればめでたしめでたしなのだが、実際にそうすることができる人はごくわずか。
決心したとしても、成功するかどうかはわからない。
最近、僕は思う。
僕らの世代は田舎や外国に「失ったもの」を求めて逃げ出しても、そこに住むことはできない。
でも都会で生まれ育った僕らにしかできないことはあるはずじゃないか。
田舎者の親がつくった金ばかり追い求めてきた都会社会ではなく、
生まれた時から都会暮らしをしてきた僕らの世代のための住みよい都会づくりがあるんじゃないか。
それを未だに田舎者で時代遅れで高度成長の過去ばかりにしがみついている、
ばんばん建築物しか作るしか能がない世代に任せているのはいけないんじゃないか。
僕らの世代がすべきことは、自分たちのためにも、
都会を田舎にすることでも、都会を逃げ出して田舎暮らしをすることでもないはずだ。
まあそれで最近は「田舎暮らし」ではなく「スローライフ」だの「スローフード」だのって言葉が、
流行っているわけだが、まあそういった何かしらのキーワードを手掛かりに、
少しでも都会を住みよい町に作り変えていかなくてはならないんだろうけど、
残念ながら為政者はすべて貧しいから出発している世代の人たちだから、
いつまでたってもの物の豊かさばかりを求めてる。
物の豊かさが当たり前だった僕らの世代が、精神的な豊かさを得られるような、
社会づくりをしていかなくてはならないんだと思う。この都会でね。
(ただそれにはやはり世代間問題が大きな壁となっている。
そういった社会改革はかさこ内閣でしばしば提案してきたが、
そういったことを実現するためには、高度成長時代の世代たちが邪魔になる)
映画の話に戻ろう。
ほんとよくできてるなと思うのは、主人公像だよね。
本当に今、こんな女性(もちろん男性)がいっぱいいる。
仕事をして働いているがその仕事をどうしてもしたいわけじゃないけど、すごく嫌なわけでもない。
何かやりたいことがあるわけでもないけど、なんとなく今の生活には不満がある。
でもだからって思いきって自分の人生を180度転換するような決断はできない。
それなりの生活が送れてればいいやという気持ちがないわけではない。
結婚もそう。
結婚しなくないわけじゃないけど、なんとなくいつまでも結婚を先延ばししていたい。
結婚してしまって発生するさまざまな責任問題を回避し、
いつまでも身軽なモラトリアムを享受したい。
でもだからといって金遣いが荒いわけじゃないし、遊びまわっているわけでもない。
適度に遊び、適度に仕事し、適度に恋愛し、適度な人生を送る。
でもそれにどこかで不満を感じているが、それに気づかないようにしている。
それを自分自身で1つ1つ真剣に考えていったら、自殺するか海外逃亡するぐらいしか、
生きる道がないぐらい、今の社会では選択肢がないから。
この映画の主人公のように、今、よくいるのは、バリ島とかネパールとかタイとか、
昔ながらの生活が残るどこか懐かしいアジアの特定の場所を、女一人で何度も訪れる女性がいる。
そんなにそこがすきなら住めばいいと思うんだけど、それは嫌なのだ。
でも日本や都会の文句ばかりをいい、その土地を褒めそやす。
それを聞いている現地の人はなんてわがままなんだと思うわけですよ。
こっちは田舎で農業して毎日大変な思いをして暮らしてる。
それをたまにきて遊び気分で農作業とか手伝って、わがもの顔に村を歩いて、
自分の故郷のごとくの気分でいる。
でもそうすることができるのは、日本という都会でとんでもない金を稼いでいるからじゃないかと。
ちょっと前に、そんな女性のドキュメンタリーをやっていた。
もう30代後半の独身女性で、一度バリ島に旅行したのをきっかけにはまってしまう。
そこで仲良くなったバリ人男性と恋愛をするが、相手は明らかに金目当てと気づき、
でもそれでも別れたくないから貢いでしまうみたいな。
でもそんな時、その金をせびるバリ人と別れて、今度は自分に優しくしてくれる、
結婚しているバリ人男性を本気で愛してしまう。
今度はその男性に会うために、日本ではOLをし、休みになるとそこにいく。
そんな生活をしていたために、いつのまにか日本での婚期を逃し、次第に焦り始める。
それで今度はそのバリ人男性と結婚できないかという話になる。
一夫多妻制だから別に彼が結婚していることは関係ないのだ。
バリ人男性が周囲を説得し、日本人女性を第二夫人に迎えることを了承させようとするのだが、
それを周囲が認めたのは、大きな法事があった時に、そのお金(日本円にして約2万円)を彼女が融通したからだ。
それで結婚が決まり、彼女は日本に帰り、結婚準備をする。
すると彼から電話で家の改装費に50万円振り込んでほしいと話がくる。
そんな話が何度もかかってくるようになり、実は彼も金目当てだったのではないかと疑いはじめるが、
すでに彼女のお腹には彼の子をみごもってしまっている・・・
そこでそのテレビ番組は終わってしまったが、まあよくある話だなと思う。
海外や田舎に、都会生活にないものを求めて、一時的だったものを永久化しようとした時に、
それはそれでいろいろな綻びが見えてくる。
特に海外の場合は、顕著だ。
比較にならないほどの圧倒的なお金を日本人女性がもたらすことになるのだから。
セックスというおまけつきで。
そんなわけで、この映画は前半はつまらなかったが、後半のその1シーン、
田舎暮らしを迫る周囲とそれで自分の反省しなおす今の女性というその1点が非常におもしろく、
いろいろなことを考えさせられる映画だったので、 少々過大評価気味だが4ツ星をつけた。
ぜひ若い女性にこの「おもいでぽろぽろ」を見てほしいな。
アメリ
この手の映画は私に合わないのではないかと思って見たが、なかなかよかったです。
ちょっと腑に落ちない点もいくつかあるものの、
全体のテーマ、全体のつくりとしては非常によくできた作品です。
僕がおもしろいと思ったのは、この作品に貫かれているテーマ、
つまりは、「豊かな」歪んだ現代社会に生きるがゆえに、
屈折した精神しか持ち得ない、ある種の現代病に犯された人々を、
見事に、滑稽に皮肉に描いている点だ。
人形にしか愛着を持てないアメリの父、
一歩も家を出ず絵を書き続けるアパートのじいさん、
亡くなった夫の何十年も昔の手紙だけにすがりつくアパートのおばさん、
喫茶店で過度な嫉妬ゆえにストーカーまがいの監視をする男、
スピード写真機のゴミを収集する男、
そして世界と社会とうまく調和しえないアメリ、などなど、
ここに出てくる人々はまさしく現代社会の心の病、心の歪みを持った、
われわれを代表しているかのような人々ばかりだ。
その中でアメリという女性を主人公にすえ、
彼女が自分の殻から脱し、世界と社会と調和していく姿を描いていくのがこの作品。
本来ならもっと早い年齢で社会調和を覚えるはずが、
大人になってもいつまでたっても自分の世界に閉じこもり、
社会と一体となって暮らすことができないからこそ、
アメリのような主人公が誕生するわけで、それはまさしく今の先進国の投影図でもある。
5つ★にせず4つ★に下げたのは、
アメリが男性といともかんたんにつきあえるようになり、
それであっさりと社会と調和してしまうという結末がなんとなく腑に落ちなかったからなのだが、
ほんと、今の日本でもそうだけど、まともに男女間のつきあいができない若者が増えている。
結構、いい歳になっても今まで一度もつきあったことのない人が多いし、
その影響か結婚年齢も遅れ、さらには結婚できない中年世代も増えている。
世界と社会と一体となって生きていく1つの重要な指標が結婚し子供を育てることであり、
これがまさしく社会学説の結婚淘汰説(結婚できない人間は人格に問題があるという説)に由来しているわけだが、
そういったことで考えると、今の世の中、つきあったこともない、結婚もできないという人の増加が、
まさしく社会と調和しえず、妙な犯罪を起こす原因になっている。
そういう現代社会の歪みに引きずられてしまった、現代病に犯された人々を、
フィルターがかった画面とアイロニーに満ち溢れた音楽で見事に描き出した作品がこのアメリで、
このような映画が単なる恋愛映画としてではなく、
現代社会の病理を描いた作品としてヒットし多くの人に支持されているのであれば、
まだまだ現代社会も捨てたもんじゃないなと思っている。
・踊る大捜査線2
「猫の恩返し」という史上最低の映画にあたってしまったので、口直しにおもしろい映画をみたくなった。
テレビで「踊る大捜査線」のスペシャルをやっていて、思わずはまってしまい、
よしいっちょ映画でも見に行ってみるかとまんまとフジテレビの戦略にはまり、
このかさこさんが、わざわざ映画館にお出ましとなったわけである。
いや〜おもしろかったですよ。最高ですね。
たかだかテレビドラマの映画なんてとだいぶ心配していたけど、ほんとおもしろかったです。
おすすめですね。くだらん洋画を見るより「踊る〜」ですね。
ここからなるべくネタバレしないように批評を書くつもりだが、一部なんとなくわかってしまうかもしれないので、
ネタバレがいやな方は読まないように。
たかだが刑事ドラマじゃねえかという人もいるかもしれないけど、
これまえの刑事ドラマと一線を画しているのが、徹底した日本の警察組織批判だ。
今回の映画もキャリア・ノンキャリアを中心とした日本の警察官僚主義の欠点を見事に曝け出している。
事件を通して、その警察のお粗末ぶりをうまく描き出した作品としては本当に最高だ。
これを見て、政治は警察の組織改革に乗り出した方がいい。
舞台は今の日本、今のお台場、今の警察で、
時折ユーモアをまじえながら、時折メッセージをまぜながら、うまく物語をすすめている。
ほんと時間を感じさせない映画で、次どうなるんだろうかとのめりこましてくれる。
ただやはり事件そのもののおもしろさというより、警察内部の矛盾や常識のなさを描いた作品だけあって、
今回の犯行動機やその設定は、見終わった後、よ〜く考えてみるとちょっと無理があるかな、
と思える部分もあるが、まあそんなことも感じさせない映画としてよくできていると思う。
別にテーマは事件のおもしろさじゃないからね。
この映画が大ヒットしているのなら、現実の日本の警察も変わって欲しいものだが、とつくづく思う。
警察に限らず、日本の官僚主義はほんとひどい。
そのくせ、税収不足のこの深刻な事態に自分らのいいように金を無駄使いしてるんだから、
ほんとやになってしまう。
官僚の制度疲弊が日本社会の足を大きく引っ張っている今、官僚を民営化した方がいいと思うな。
警察なんかよりセコムの方が信頼できる時代っていうのがもうすぐそこまできているわけだし。
もちろん公共性という観点から、完全な民営というわけにはいかないだろうけど。
ちょっと映画から話がそれたが、あとこの映画でほんといいなと思うのは、無理やりのラブシーンがないこと。
洋画だとどんな映画にもほとんどといっていいぐらいラブシーンやキスシーンが入ってくる。
別にそんなのこの映画の本質的なテーマと関係ないのにと思っても、
こじつけのように男と女の物語をいれてしまう。
イスラム圏の映画みたいに、みんな禁欲的な生活を強いられているから、
映画をみたい理由はキスシーンがあるかないかみたいな、そんな社会じゃないんだから、
不要な男女のラブシーンは要らないと思う。
その点、この「踊る〜」にはそういったことがないからほっとする。
そういう風に持っていくことはいくらでもできるんだけど、
そうしちゃうとせっかくの映画がなんか台無しになっちゃうっていうか、
やっぱり日本人的感覚にはどっちつかずだけどいい感じの2人みたいなことで終わっていて、
あとは映画のストーリーで見せるって方が、映画として自然だと思う。
ということで、素直におすすめできる映画ですのでどうぞ安心してご覧ください。
・耳をすませば
ナウシカやラピュタ、もののけ姫や千と千尋といった、物語のファンタジー性はなく、
現代日本をそのまま舞台にした作品だが、非常によくできた好感できる作品。
中学生を主人公に、進路や恋愛をテーマにした物語。
非常に現代に即した、しかもありきたりなテーマを描くのは、逆に非常に難しいことだと思うが、
過剰過激でもなく、かといって印象に残らないわけでもなく、
考えさせられるんだけど、見た後にこう前向きになれるような、
素晴らしい作品に仕上がっている。
進路を考え迷う小・中・高校生にぜひ見せてあげたい作品。
こんな作品を僕もその時期に見ていれば、
その時もっと進路を前向きに考えられたんじゃないかなと思う。
主人公の進路を決められない焦り。
好きなことを見つけて寝る暇も忘れて没頭する姿。
それを一つの形にしてはじめて自分に何が足りないか、
自分が今何のために勉強するかを捉えることができ、高校進学を前向きに考えられるようになる。
図書カードでの出会いなんて、非常になつかしいモチーフで、
ほんと今は何もかもがコンピュータ化、デジタル化されてしまい、
もちろん多くのメリットはあるにせよ、それと代償に失ったものは大きい。
京王線沿いの公団住宅に住む、4人家族の一般的姿を描いているだけに、
テーマとしての現実性と訴えかけるものは非常に大きい。
ファンタジー性、空想性をかきたてる作品もさることながら、
身近な社会を舞台にこんな作品が描けることは称賛にあたいするが、
平成ぽんぽこの大失敗などを考えると、やっぱり難しいんだろうな。
舞台が現代社会になると妙に生生しさが出てしまう恐れがあり、
それならアニメでしかも映画で見る必要性はなくなってしまう。
やはり舞台を架空にして、そこで繰り広げられる物語から、
現代に通じるテーマを訴える手法の方が、楽なのかもしれない。
そういう意味ではこの「耳をすませば」はおすすめ映画です。
・紅の豚
もう何度見たことだろうか。
くだらん洋画が多い中、宮崎駿映画の大半は何度見てもおもしろい。
この違いは決定的だな。
久しぶりに見返して、紅の豚評を書こうと思う。
外見上は格好悪い豚が主人公というのは結構おもいきったことをやったなという感じ。
下手をすると失敗しかねない可能性があるんだけど、
この豚がどんどんいい味出してくるし、また豚であることで、
愚かな「ニンゲン」社会の批判を巧妙に行っているのもまたおもしろい。
ただやはりこの「豚」の主人公だけでなく、宮崎駿の真骨頂である若い女の子の登場により、
(ここでは飛行機を設計した女の子)
俄然、話がおもしろくなる。
またある意味「悪役」でもあるカージスも、単なる悪役ではなく、
絶妙なユニークさを持ったキャラクターで、おもしろい。
この辺が、単なる悪VS善との戦いにしない日本映画のおもしろさなんだろうな。
ただ「天空のラピュタ」「風の谷のナウシカ」のような、
圧倒的なスケール感と奥深いテーマ性を秘めた宮崎初期映画と対比してしまうと、五つ★はつけられない。
ただ十分スマッシュヒット作品としては申し分なく楽しめますよ。
久しぶりに見返して思ったのは、もっとファシズム時代のイタリアという社会問題性を出して、
シリアスにしてしまって、そのテーマ性を追求し、
毒を出してもよかったのかなという気がしないでもない。
ま、今のぐらいのバランス(豚がふっと発言する程度)がもしかしたらベストなのかもしれないが、
そういう作り方ができないこともないと思う。
93分とちょっと短いような気もするが、
これは昨今のくだらん洋画の上映時間のやたら長いものへの慣れのせいか感じたことだろう。
本来はこのぐらいの長さでコンパクトにまとめる方がおもしろいのかもしれない。
ま、そんなわけで、おすすめできる作品です。
インファナル・アフェア
いやー、おもしろいですね。素直に。
さすが、香港映画。
誰が一体誰のためにどんな意図で行動しているのか、
見ながらハラハラするスリリングな映画。
しかもそれを100分程度とコンパクトにまとめてる。
ちょっとあっけない結末には残念だけど、その前に一ひねりしてあって、
これがなかなか効果的。
実におもしろい作品です。
これをハリウッドでブラピでリメイクするそうだけど、
果たして原作のこの映画を越えられるとは到底思えないな。
ブラピなんて屁にもならない。
この作品の主演、アンディ・ラウのアジア人ならではの格好良さを再現できるとは思えない。
この映画はアジアならでは、香港ならではの映画だからこそおもしろいんだと思う。
・24 シーズン4
今回も全体的には素晴らしい作品と評価できるのだが、
これまでの作品とは違うテーマ要素が強く、
また、これまでのテンポ展開とも違ったところもあり、
いい意味でも悪い意味でも、見た後になんともいえない後味が残る作品だった。
全24話、ほぼ一挙に見てしまえるおもしろさはある。
でも「24」で私が最高傑作だと思う「シーズン2」に比べると、
回を重ねてきた4シリーズ目ということもあって、
多少いろんな意味でぶれてきた過渡期的作品かなあという思いもぬぐえない。
・・・ここからネタバレ注意・・・
通貫しているテーマとしては非常にいいと思うんだよね。
アメリカの横暴に対するイスラム勢力のテロの「正当性」。
そういった大事件の最中であっても、一人一人の家族が抱える問題の大きさ。
この2つが同時進行することで、物語の現実性と広がりを持たせている。
前回あたりから際立ってきたこの2テーマをさらにはっきりさせた感があった。
いや、若干、家族の方にウエイトが置かれすぎてしまって、
肝心の世界情勢におけるアメリカの横暴とテロの連鎖は、
若干、後退してしまった感があって残念。
やはり、2001.9.11テロから4年も過ぎると、記憶が風化する、
それがドラマにも現れているのかもしれない。
アメリカの横暴を皮肉ったテーマは前半、実によく描けていた。
1巻目の国務長官と「バカ」息子のやりとりなんかは実におもしろい。
アメリカの面子と世界正義にこだわる国務長官の父親に対して、
「アメリカの威信にこだわるのは病的執着」と見事にバカ息子が看過している。
そういうやりとりを随所に混ぜ込むことで、今のアメリカの滑稽さが浮き彫りになってよい。
今回、非常によかったのは、国務長官の処刑。
処刑に失敗したにもかかわらず喜ぶテロリスト。
実はネット中継でアクセスを集中させることで、
原子力発電所の遠隔操作装置のパワーに変えるという2段階の目的は実におもしろかった。
今回の度重なるテロの波状攻撃でよかったのは、
すべてアメリカ政府そのものの武器を利用している点。
原子力発電所の遠隔操作装置を利用してのテロとか、
アメリカ政府が持っている最新鋭戦闘機、核弾頭など、
ようは持っていることによる危険性を利用したテロという観点はおもしろいし、
現実のアメリカ社会における警鐘にもなるだろう。
そんなわけで、前半は非常に展開が早くて実によかったのだが、
後半、エアフォース1追撃以降が極端にだらけた展開になっていて、残念だった。
前半は次々とテロが起き、またそれを防ぎ、すぐ捕まえるというスピード感があったにもかかわらず、
なぜかテロの首謀者マルワンだけことごとく、あり得ないぐらい逃してしまい、
それで後半ずっと引っ張るのはかなり矛盾を感じてしまう。
もっと次々とテロリストの親玉を出していってもよかったのではないかと思う。
特に最後、核弾頭が発射されたというのに、初期的な手がかり探しに戻ってしまうあたりが、
せっかくここまで何話も見てきたのに興ざめだった。
そんなこと、もっとはじめにどうにかなっただろうと思ってしまう。
後半ですごくおもしろかったのは、
ジャックの恋人の夫の命をとるか、それともテロの秘密を握る容疑者の命をとるか。
その場面でのジャックの冷静な判断なんだけど狂気的行動っていうのが、
非常にみものでおもしろかった。
このドラマは矛盾点をあげていけばキリがない。
あまりにおかしい設定も数多くある。
ただそれを上回るストーリーのスピード展開で補っているからおもしろいんだけど、
後半スローペースになってしまうとそのあらが見えてきてしまう。
前半の手に汗握る感じとは違って、
あっけなくエアフォース1が追撃され大統領が重体になってしまうとか、
核弾頭が発射されまず防ぐのが不可能なはずなのに、
最後あっさり防がれてしまうとか、非常にバランスを欠いていた。
そして最後の終わり方があまりにはかない。はかなすぎる。悲しすぎる。
せっかくテロを解決した1日が終わったっていうのに、
ヒーローとなるべき彼が追われる立場になってしまい、
別人にすりかわって国外逃亡なんて、そこまで妙な「リアリティ」は求めていない。
普通に考えて、テロを救ったまぎれもないヒーローなんだから、
最後はもう少しまともな終わり方にして、そういう不吉な展開は、
最後の2、3分ぐらいで次のシリーズにつなげるのはいいと思うけど、
テロが解決したのに30分ぐらい悲しすぎる話をやっていると、
これまで感情移入してきた物語が急にふっと離れてしまう。
もうちょっと終わり方を考えてほしかった。
ま、いずれにせよ全体的にはかなり楽しめる作品であることには間違いない。
ただなんとなく、もうそろそろシリーズとしての限界が出てきたかなという感じがしないでもない。
これまでのシリーズの繰り返しになりつつあるからだ。
シーズン2のような明確なテーマを持った作品ならぜひ次も見たいと思うが、
そうでないと、まあおもしろいはおもしろいんだろうけど、
ただテーマと登場人物を変えただけの繰り返し作品に過ぎなくなってしまうだろう。
24(トゥエンティーフォー)シーズン1
今、すでにシリーズ3作目がレンタル開始となっている、
話題の24(トゥエンティーフォー)を遅まきながら、やっと1をすべて見ました。
まあ普通におもしろいです。
映画の中の物語が24時間(1日)を描いたもので、
1話1時間(映画の時間は1話40分だ!)で24話あるという長丁場ではあるが、
すぐに次を見たくなるようなストーリー展開で、
また1話40分と非常に短いので、思ったより長さを感じさせず、見ることはできた。
すごくすすめられる映画ではないが、暇だったら絶好の暇つぶしになる、
エンターテイメント映画であるとは思う。
おもしろかったんだけど、よくよく考えてみると、
すべて辻褄があっているのだろうかとか、
はっきりいってこんなこと、実際にはありえないよなとかいう、
あまりに無防備で勝手な行動が多いことに、
途中、何度かくじけそうになったけど、
誰が犯人なのかとか、事件の真相は何なのかということを知りたい一心で、見させられてしまう。
この映画評として最も適切な言葉は「ずるい」である。
私がこの映画を見る前に、ある人がすべてを見終えていった言葉なんだけど、
まさしくこの映画の感想を端的に表しているなと思う。
見させられてしまう「ずるさ」。
あり得ないしおかしいんだけど、でもついつい最後まで見てしまわないと気がすまない「ずるさ」。
そんな映画だ。
ゲロッパ
映画辛口批評家・井筒監督の映画。
パッケージを見て、私の好みの映画ではないかなと思って、
借りずにいたけど、おもしろいと聞いて借りてみた。
いやー、おもしろいです!いいですね。
こういう映画を見るとほっとしますね。
つまらない映画を見せられた落胆がなく、
素直におもしろくって、映画みてよかったなと思える。
とってもいい映画です。
はじめのとっかかりと、最後、どのあたりで終わらせるか、
ちょいその部分だけがややわかりにくいかなという点で、
5ツ★にはしませんでしたが、文句なしに人に勧められる映画です。
ぜんぜんテーマとしては重くないし、でもかといって単なるコメディでもない。
役者それぞれの個性を生かした独特の世界観と、
あと泣けるところもあり、おっと思うような人も出ていて、
すごくよくできている映画です。
おもしろいのでネタバレは控えます。
それにしても主人公の常盤貴子の演技はさすがだな。
パッチギ!
井筒監督作品。
よくできている、というのが感想かな。
できすぎ感が強すぎて、ちょっとダイナミックさに欠けるというか、
ストレートさに欠けるというか。
いろんなところにいろんな種をいっぱい仕掛けて、
じわじわわからせるという感じなんだんだろうけど、
逆にそれがわからなさみたいなものになりかねない。
見終わってぜんぜん悪い気はしないし、すごくいいんだけど、
強烈に印象に残るようなシーンとか、
ストーリーを単純明快に説明しろってことが、
見た後にすっと忘れてしまうような、そんな作品なんだな。
うまく作りすぎていてエッジが欠けてしまっているのか。
何なんだろうな、この妙な物足りなさは。
日本と朝鮮。とってもタイムリーでかつずっとこれまでも問われ続けてきた問題を、
すごくニュートラルな主人公の視点を使って、
それも音楽を通して、すごくさわやかに描いていて、
そこにいろいろな意味を含ませているのはとてもいいけど、
もっとズバッとやってもよかったんじゃないかなという気がする。
まあでもさすが井筒監督。
この作品を見りゃ、しょうもないハリウッド映画をくそみそにいうのも納得だな。
ローレライ
おもしろいです。
第二次世界大戦の日本を舞台にした映画だけど、
国家とは何かとか戦争とは何かとか、深く考えさせる内容にはなっていないけど、
エンタテイメント映画としての完成度は高く、退屈しない。
キャストもいいし、山あり谷ありのメリハリもあるし、
素直に見ていておもしろいと思える映画です。
ただローレライの正体がちょっと強引というか、きもいのと、
潜水艦のCGがあまりにもお粗末で、もうちょっとリアルっぽく、
ちゃんと作れよとは思う。
ヴェロニカ・ゲリン
実話だけにすごい、おもしろい。
ここからネタバレ注意・・・
1996年アイルランドであった実際の話。
女記者が犯罪組織の実態を取材によって暴いていく。
彼女は死んでしまうのだが、
無駄にはならず、麻薬撲滅につながる法が施行されるなど、
一人の記者の活動が社会を見事に変革したのである。
映画としても見ていておもしろく、実にスリリング。
ほんといい映画です。
ただ私は一ライターとして思うのは、
自分の死をかけてまで危ない組織の実態を暴きたいとは思えないな。
死んで法が変わったからいいけど、
それを本人は知ることはできないし、
家族もいくら国民から英雄視されたところで、
彼女は帰ってこないのだから。
メゾン・ド・ヒミコ
いいですね、この映画。
4ツ星は少し甘いかもしれませんが、
非常におもしろく見れる映画です。
あわてて新作で借りて見るほどのおもしろさではないですが、
何か暇な時に、ちょっとおもしろい映画を見たいなという時には、
ちょうどいい映画だと思います。
・・・ここからネタバレ注意・・・
一番好感を持てたのが、安易なハッピーエンドの結末にならず、
かといって悲劇の結末にもならず、
人間の矛盾とか感情とかに沿った最も適切な結末だったこと。
ゲイのかっこいい男(オダギリジョー)と、
その恋人が父であった娘(柴咲コウ)が、
父の死を契機にくっついちゃうのか、と思いきや、
やっぱりゲイだから性的に女性に興味はもてなかった。
それで悔しくって柴咲コウは女ったらしの専務と関係を持ち、
かつゲイの老人ホームを立ち去ってしまうわけだけど、
互いの心のつながりは変わらず、
恋人としてではないけど、大事な友人として、
最後、再び彼女が老人ホームに戻ってきて、
オダギリジョーをはじめ、ゲイの人たちと仲間として付き合っていく。
そういう結末がすごくよかった。
あっさりゲイが娘と付き合うようになってしまう結末であれば、
なんだよ、結局、男と女かよ、って話になっちゃうけど、
そうしなかったことがすごくリアリティがある。
かといってまったく縁を切ってしまうという結末にはならず、
ゲイだろうがなんだろうが心のつながりは変わらないというところに落とし込んだところが、
実に現実的なストーリーで、性別とか性癖とかって、
もちろんそれはそれで重要な要素だけど、
その前にみな一人の人間同士の付き合いなんだよなってテーマがじんとくる。
そうしたことを随所随所にうまく描いている、非常によい作品です。
逃亡者・木島丈一郎
おもしろい!いいですね。映画になった「真下正義」よりはるかにいい。
踊る大捜査線番外編ドラマ。
残念ながら「弁護士・灰島」に比べたら、
底も浅く、わかりやすい単調な映画だけど、
寺島進のキャラを生かしたエンターテイメントとしてはなかなかのできです。
・・・ここからネタバレ注意・・・
欲をいうなら、もうちょっと「誰が敵で誰が味方なのか」を、
複雑にしてほしかった。
あとは逃走劇も「そんなのありかよ?」的な、
あり得ないシーンもいくつもあったので、
もうちょっと工夫というか論理的に納得のいく感じにしてほしかった。
まあそれでもいいできです。素直に楽しめる作品。
幸せのかたち ★★★★
実話に基づく、実におもしろい物語。
貧困から自分の努力で運命を切り開く、
見事なサクセスストーリーは、
安心して見ていられる、外さない映画。
黒人が主人公なので、
もともと貧困なのかと思ったらそうではなかった。
あやしげな医療機器販売でボロ儲けできると思い、
それに投資したことから転落人生がはじまる。
これを見ていると日本のこの手のビジネス・投資話で、
借金苦にあえいでいる人も多いんじゃないかなとも思う。
もしこれが実話でなければ、
「いくらなんでもこんなうまくはいかねえだろう」
と突っ込みを入れたかもしれないが、
これが実話というのだからほんとすごい。
夢をあきらめない強い想い。
どん底生活でもあきらめない姿勢。
機転のきいた対応とちょっとした工夫。
死に物狂いで何かをやりとげる行動力。
勇気を与えられる実にいい作品です。