| 最高! ★★★★★ |
「ギルバート・グレイプ」「千と千尋の神隠し」「ショーシャンクの空に」「天空の城ラピュタ」「風の谷のナウシカ」 |
・ギルバート・グレイプ
最高の映画!
いや、ほんとすごい。
すごすぎる。
これぞ映画だ!って感じ。
ほんとにね、すごい映画は言葉にならないですよ。
バカな映画ほど書くことはあるんだけど、
すばらしい映画はすばらしいというほかない。
これまで見た映画の中で最高評価を与えてもいい、最高傑作の映画ですよ。
この「ギルバート・グレイプ」は。
この「毒舌批評」のかさこさんもね、家でDVDを見てたんだけど、
ラストシーンが終わって、キャストの名前が出てきても、一歩も動けなかった。
いやあこんなことってショーシャンクーの空と千と千尋以来3度目の快挙ですよ。
前半部分を見ていると、こんなに奥深い映画になるとは思わなかった。
まあ単なる知的障害児とそれを取り巻く家族、特に兄の苦悩みたいなことだけかと思いきや、
いやいやそんなありふれた、どこにでもあるような、
単なる同情でお涙頂戴するような映画じゃあない。
現代人の心の闇・・・
あまりに深い。
それは表層にはほんのちょっとしかかいまみえない。
それを見事にあのちっぽけな小さな田舎町の人間模様から描き出している。
そう考えると、知的障害児は単なるメルクマールであって、それが主題ではない。
確かに彼は狂っている。
でもそれは彼じゃない。
普通に生活している誰もが、現代という社会の中で、
どこか1本ねじが抜けてしまったかのように狂っている。
突然、自殺した父。ショックで一歩も動かず怪物になりはてた母。
何かがおかしい妹。おかしな葬儀屋。
不倫する人妻。それにまったく気づかない夫。
ちっぽけな何もない田舎町に巣食う、得体の知れぬ人間の心の闇。
それを助長するかのように、まるで現代社会の救世主かのように現れる、
機能的で効率的なスーパーマーケットの人気ぶりと、
プレハブで簡単お手軽に作れるファーストフード店の記念すべき開店。
いかにもアメリカ的な、まるで北朝鮮の金正日を称えるセレモニーかのような、
表層的な喜びのシーンであることに、まったく自分たち自身が気づかない人たち。
その開店が何を意味するか。ますます心の闇は表層の便利さと比例するかのように深くなっていく。
主人公のギルバート・グレイプの心の葛藤は、何事も簡単に考える現代人からみると、
はがゆいほど古典的な考えの持ち主なのだが、彼だけが唯一、定点を失わずに、
闇と真向から戦っている人物に思える。
しかしそんな彼も「マイライフ」を考えた時に、
一瞬、弟の世話をやめてしまったその時、悲劇が起こった。
そして彼はその後に弟を本気で殴ってしまうのだ。
「エンドローザ」と名付けられた、まるでこの世の果てとも思える、
このちっぽけでどうしようもない町を出ようと思ったが、彼は出ることができなかった。
そして家族を捨てることもできず、戻ってくることになる。
不倫の人妻も恋した女性も旅立ってしまうにもかかわらず、
彼はたとえちっぽけなさびれた町で、知的障害児の弟の世話のために、人生が終わってしまおうとも。
彼はそれを「マイライフ」として選び取る。
恋した女性をとめることもせず、彼女が1年に1回だけ来るのを待つだけになったとしても。
主人公が弟の世話をするという行動が象徴していることは、
つまりは現代人が狂っている人間の心の闇を、
正面から抱え込む勇気を持つべきだということを示しているのだと思う。
人間には弱さも悪さも醜さも、いろんな矛盾を抱え込んでいきている。
そこから逃げてもだめだし、それに目を背けてもいけないし、
それを忘れ去ろうとしてもだめだ。
人間が人間である以上、矛盾を抱え、様々な問題がある社会だとしても、
まずそれを今の現状と捕らえて、それを背負って前向きに生きていける勇気。
この映画監督はそんな人間の目に見える心の闇を、
狂った知的障害児で暗喩しようとしたのだろう。
そして亡くなっていく人々。
不倫妻の夫がなくなり、不倫妻は立ち去り、
そして劇的なのは、人生に前向きになったかに見えた巨体怪物の母の突然死。
「古い家」を母とともに燃やすシーンは、何か現代の闇を振り払うかのような、
この映画でも大きな転換点となるシーンでもある。
そしてまた1年が立ち、兄弟は変わらぬ生活を過ごしているというラストシーンに「戻る」。
それが心の闇を背負いながらも前向きに生きようとする現代人の手本であるかのように。
というわけで、ほんとこの映画は深いですよ。すごいですよ。
派手な演出もなければ莫大な制作費なんて使ってないし、
有名俳優で塗り固めて箔をつけている映画なんかでもない。
昨今のバカみたいな金使い映画や奇異なストーリーを嘲笑うかのような、
正真正銘の「映画」ではないか。
金をかけなくても、へんてこなストーリーにしなくても、
派手な演出がなくても、有名俳優がいなくても、
現代人の心に響くメッセージ性さえしっかりしていれば、
それこそたいした機材や金がなくてもこれだけのすばらしい映画が撮れるっていう、
映画のお手本みたいな映画だよ、これは。
ほんとこの映画はすごすぎて、僕の文章ですばらしさは語り尽くせないほど。
見ればわかるけど、ほんとここにはいろいろなことが凝縮されている。
感じ得ない人には何の映画だかわからないかもしれないけど、
このテーマの深さと描き方の巧妙さは、すごく心を深くうつことでしょう。
でも思うんだな。
この映画の舞台となっているアメリカの田舎を見ると。
今のアメリカの横暴や社会の歪みが深刻なんだなと。
でもそういう問題意識を持って気づいているアメリカ人がいるんだなということが、
ほんと救いではある。
※知的障害児演じるのはなんとレオナルド・ディカプリオだという。
アイドルみたいな情けない今のディカプリオと違って、
多分子供だったからできたんであろう、天才的な演技だったな。
現代のアメリカ社会の病理を見事に描き出した最高傑作!「24・シーズン2」
素晴らしい!
シーズン1の単なるエンターテイメント映画とはまったく次元が違う。
シーズン2のストーリーを描いた作家は素晴らしいな!!!
なぜアメリカが戦争するのか、アメリカの政治・経済・社会・国民の現実と病理を描いた、
血迷えるアメリカ国民すべてに送る最高の反戦映画であり、最高のメッセージ映画だ。
マイケル・ムーアの「華氏911」のような直接的なドキュメンタリー手法より、
アメリカ国民に今、アメリカが犯している過ちを端的に伝える方法としては、
この「24シーズン2」の方がはるかにわかりやすく、見事に描いて、しかも楽しめる、本当に素晴らしい作品だ。
ぜひ見て欲しい。
この作品を見れば、アメリカ社会の不可解な行動や現代アメリカ人が何たるかをよく理解できるだろう。
さて、ここからネタバレ注意。
アメリカのロサンゼルスで核爆弾テロが計画されていることがわかり、
初の黒人大統領パーマとCTU(テロ対策ユニット)のジャックバウアーが軸になって、
捜査、対応を続けていく。
核爆弾テロを計画実行した男(サイエド・アリ)は、中東人。
ところが、核爆弾テロを実行した裏には、アメリカ人の手引きがあった。
黒幕は、カスピ海の石油企業のアメリカ人。
テロが中東諸国の支援で行われたという偽造証拠を作らせ、
アメリカ政府が中東戦争をするように仕向けて、
自分たちに莫大な石油利権を得ようと考える。
ほんと、これはまさしく、大量破壊兵器があるとでっちあげ、
アルカイダと関係があるとでっちあげ、国連や他国の牽制を省みず、
何が何でも戦争をしたい、今のアメリカを彷彿させる設定だ。
戦争を起こしてぼろ儲けできる企業は、実に用意周到に各所に手を回す。
核爆弾を持ち込ませるよう、政治家、大統領側近、FBI、CIAなどを買収し、
実際に核爆弾テロを起こさせ、現大統領に開戦させるように仕向ける。
ところが大統領およびCTUのバウアーがテロ捜査でその真相に近づき、
中東諸国への報復攻撃を躊躇していると、
大統領の側近を買収して仕組ませ、現大統領が不適格である証拠を編集し、
権力ほしさや現大統領に不満を持つ副大統領や閣僚、政治家を煽動し、
合法的な手段で大統領を解任させ、何が何でも戦争をしたい副大統領に大統領代理を務めさせる。
核爆弾テロと中東諸国を関連づける偽造証拠を追うバウアーの捜査妨害をさせるために、
副大統領がCTU幹部を買収し、真相を追う捜査官を排除する・・・
莫大な石油利権、政治権力をえさに、政治、司法、警察などが、
本来の国益を考えず、地位や金や権力に目がくらんで、次々と戦争を起こさせるような方向になっていく。
これがまさしく、今のアメリカですよ。
これこそまさしく、911テロを分水嶺とした、アメリカの政策の実態ですよ。
私は911テロに対して、絶対にアメリカ人そのもの、アメリカ政府そのものが手引きし、
テロを起こさせ、報復戦争を起こさせ、それで軍事産業を筆頭としたさまざま企業が儲けをたくらんでいるといってきたが、
まさしくそのようなことがアメリカで起こりうるということを、
フィクションとして見事にこの作品が描いている。
そして、さらにこの作品が優れているのは、アメリカ国民がこのような事件が起きた時、
どんな対応をするか描いていることだ。
テロが起きると、アメリカ国民の多くが「中東系の仕業」と考え、
アメリカに住む中東系住民を迫害しはじめるのだ。
アメリカの国民のその愚かさを見事に描いているのは、
捜査に協力し、偽造証拠を運んでいる中東国の捜査官が、
偽造証拠を消そうと躍起になっている黒幕連中ではなく、
アメリカ国民に「ターバン野郎!」といって襲われるシーンだ。
彼らは単なる小市民。テロに乗じて中東系の人を見つけては襲い、金を奪うという、
これこそ、アメリカの政治家や利権企業のみならず、
国民そのものの愚かしさの象徴だ。
テロが起きるとすぐ中東と結びつける。
これこそ、戦争を後押ししている、ブッシュに投票するアメリカ国民の愚かなる心情がここにある。
テロの恐怖に日常的におびえる国民。
テロが起きると自爆自棄になり犯罪を犯す国民。
テロはすべてアラブ系の仕業だと思い込む国民、思い込ませるマスコミ、政治家。
それに乗じた利権企業。
国民心情が報復攻撃を望み、だからこそ報復攻撃をする大統領が信頼されるという構造が生まれる。
だからこの作品に出てくる、事の真偽を見極め、戦争を最終手段としか考えない大統領が、
合法的なクーデターによって解任させられてしまうという事態になる。
まさしく、アメリカ国民の愚かさの塊がこのようなことをさせているのだ。
この作品に出てくるパーマ大統領と捜査官バウアーは、事の善悪をしっかり見据えようとする、
いわば、アメリカ国民が実は心の底で願っている、
「本当の正義」に満ち溢れた、こんな大統領、こんな捜査官がいてほしいと願っている、
理想像的スーパーマンだ。
しかし、現実は、アメリカ国民の多くは、長期的大儀的目標より、
目先の金や権力や地位や自分の保身のために、誤った行動をとっている。
そういったアメリカ社会の病理構造を見事に描き出し、曝け出し、
そして最後は理想の大統領と理想の捜査官が、スーパーマン的働きで、
アメリカの誤った方向を救い、無実の人を殺さず、
真にアメリカに平和と自由と幸福をもたらすハッピーエンドでしめくくる。
まさしく、今、アメリカがのぞんでいるのは、
パーマ大統領のような人であり、バウアー捜査官のような人なのだろう。
しかし、この作家は、現実を見据えている。
それは理想論であって、アメリカの現実ではないと。
最後のシーンは、戦争をしない大統領を嫌う大いなる黒幕が、
大統領の暗殺事件を起こすところで終わっている。
アメリカの病理の深さをとことん国民に突きつける、悲惨な現実的な結末を目の前に見せるのだ。
ほんと、この作品は素晴らしい。
相変わらず、おかしな設定は随所に見られるし、
(たとえば偽造証拠は、キプロスで会話したことにしてるんだけど、
テロを起こしたアリはベルリンにいたといっており、
何も危険を冒してテープの偽造を暴かなくても、アリの旅券を調べれば簡単に分かること。
また信じられないことだが、テロ対策を行う専門部署のCTUが、
実にあっさり、CTUそのものが爆破されてしまうという、
テロ対策組織の特殊部隊としてはあり得ないこととか)
今回まったく事件と関係ない捜査官バウアーの娘のどうしようもない騒動とかはいらないし、
そういう無駄なシーンもあるんだけど、
(なぜ娘のしょうもないシーンを挿入するかというと、
アメリカ国民の理想のファミリー主義に訴えるため、最後のシーンで父娘の再会と家族愛を描くために、
いわばアメリカ国民の視聴者を喜ばせるためのものと思われる)
全体的に通底されている現代アメリカ社会の病理を描き出したメッセージは、
しっかり伝わってくるので、文句なく5ツ星にした。
なぜ、アメリカは戦争をするのか。
911テロ後の、尋常ならざるアメリカ社会の病理とは何か。
なぜ、好戦的なブッシュが選ばれるのか。
その答えの一端が、この24シーズン2に見事に描き出されている。
・2007年4月23日 おすすめ映画「デスノート」から犯罪と刑罰を考える
映画「デスノート」前編・後編見ました。
とても興味深い映画です。
おすすめ映画です。
GWなどに時間がある人は見てみるとよいと思います。
私的にはまだ結末が先延ばしされている前編の方がおもしろく、
後編は考えさせられましたが、結末に説得力がなく、
なんとももどかしい想いをしましたが、
それでもおすすめできる映画です。
あと、これは個人的な感想ですが、
主演の藤原竜也の芝居がかった下手な演技が目に付きますが、
ストーリー、テーマが素晴らしいので、それには目をつぶって見れると思います。
<ここからネタバレ注意>
デスノートとはノートに名前を書いた人が死ぬというもの。
そこでそれを拾った警察官僚志望の正義感あふれる大学生が、
重大犯罪を犯しながら無罪放免になっている犯罪者たちを、
次々に殺していくというもの。
映画でもあったけど、これについて世論が二分するわけです。
犯罪者を殺してくれるなんて素晴らしい。
実際、そのおかげで犯罪率が減っていると。
一方では、そんなの大量殺人と変わらない。
そいつこそ重大犯罪者として捕まえるべきだと。
私はこれは非常に興味深いトリックだなと思った。
もしこの世にデスノートが存在し、
重大犯罪者「だけ」を次々と殺していったら、
私は彼を支持するだろうし、彼を正義だと思うだろう。
実際にはそんなノートは存在しないわけだけど、
現実社会は裁判制度があり、人が人を裁いている。
いわば裁判や警察がデスノートというわけである。
ただこの映画で最も重要な問題提起だと思うんだけど、
実際には凶悪犯罪者が加害者保護に偏った法律制度のために、
殺された被害者の人権は無視され、加害者がのうのうと生きながらえ、
挙句の果てはまた犯罪を犯すというとんでもない事態が起こっている。
この映画の結末はそれでも法律に頼るべきだというが、
この映画の構成ではなんら説得力がない。
むしろ、デスノートで犯罪者を殺すことが正義だという結末にした方が、
「本当にそうだろうか」と考える契機になったような気がする。
最近、死刑廃止論が活発である。
特に「先進国」では人権的に見て人が人を裁き、
死に追いやるということは許されないという。
それは極めてもっともらしいが、そんな許されてはいけない行為、
すなわち人が人を殺すという行為をした人間を許すというのは、
大いなる矛盾だと思う。
この議論をすると、死刑廃止論者からいろいろと意見があり、
多分、際限のない議論ごっこになってしまうと思うが、
私が死刑廃止なんてとんでもないと思っている一人だ。
人を殺した人間がいなくなれば死刑は廃止すればいいが、
人を殺す人間がいる以上、それと同等の償いをさせるのは当然だと思う。
映画デスノートを見ていると、多分、死刑廃止論者が作った映画なんだと思う。
もっともらしいけどそれで犯罪はなくなるのか。
犯罪者を殺したデスノート所有者は死刑に処すべきだという議論自体が、
まさにそれと大いなる矛盾を犯しているわけだけど、
目の前の犯罪に目をつぶり、無残な犯罪被害者に目を向けない人間が、
人権だのという論議をするのがなんともおこがましいと私は思う。
ただホント思うのは、今の裁判、警察のいい加減さである。
冤罪はばんばん起こってしまっているし、自白強要も堂々と行われ、
手抜き捜査やお粗末捜査があまりにも多すぎる。
もちろんそれがすべてではないだろうけど、
多分、今の警察組織を抜本的に作り直さない限り、
こうした腐敗構造はいつまでたってもなくならないだろう。
よっぽど税金でセコムなり警備会社に頼んだ方が、
おかしな捜査が起こらないんじゃないかと思うぐらいひどい。
だから死刑廃止論が堂々と罷り通ってしまう。
だって裁判官も警察官もいい加減だから、
そのせいで死刑にされたらたまらないと。
もちろん法律に完璧なものはないし、
裁判にも警察にも完璧なものはない。
ただ完璧じゃないから今のでいいのかと開き直り、
完璧じゃないから死刑を廃止すべきだというのは、ちょっと議論が違うように思う。
デスノートが投げかけた本当のテーマ。
それは、凶悪犯罪が行われ、
何の罪もない人が殺されたり被害にあったりしているのに、
それを野放しにしていいのかということ。
凶悪犯罪を犯した加害者の人権を考えるより前に、
犯罪被害にあった被害者の人権を考えれば、
現代社会のデスノートというべき裁判・警察・罰則を強化し、
犯罪者の厳罰化をどんどん行うべきだと思う。
市長を殺してもそいつが死刑じゃなく、
20年ぐらいでまたうろうろ社会に出てこれる社会って、
どう考えてもおかしい。
今、世の中に凶悪犯罪があふれていて、
それが一向に減らない。
犯罪を減らすためには単に厳罰化すればいいというのは、
当たり前の話だけど間違っていて、
犯罪が起きないような教育や社会環境をつくっていくのは当然だけど、
それには時間がかかるし、目の前の凶悪犯罪には対応できない。
長期的な犯罪を減らす環境整備をすると同時に、
短期的に犯罪を減らすためにはデスノートを強化するしか、
残念ながら私はないと思う。
どんなに立派なことを言ったところで、
凶悪犯罪者がいることに目を背けて、
死刑廃止なんて悠長なことを言っている場合じゃない。
ま、それは私のもともとの考えで、
このデスノートを見て、私は犯罪者への厳罰化という想いをより強くしたわけだけど、
映画を見てみれば、犯罪社会とか刑罰とか裁判とか警察とか死刑とか、
そういうことを考える非常にいいきっかけになると思う。
映画を見た結果、
映画と同じようにデスノート肯定派と否定派に分かれるかもしれないけど、
犯罪を減らしていくために何をすべきかという観点から、
問題を考えることはとても大事だと思う。
ちなみに映画では、単なる1個人がデスノートを持っているため、
それが恣意的に使われはじめ、
すなわち犯罪者だけでなく、自分の敵はすべて皆殺しというような、
無実の罪の人をあやめてしまうことになるから、
それは問答無用で犯罪者だけど、
社会の仕組みで管理するデスノート(刑罰)をつくることで、
恣意的に人をあやめることは100%は無理でも、限りなく防ぐ努力はできると思う。
今の社会の問題をうまく取り上げ、
多くの人に考えさせる契機となる本作は、
実に素晴らしい作品だ。
追記
私は死刑賛成論者だけど、
死刑が極刑とは思わない。
死刑はある意味、加害者が楽になる方法。
無期懲役で一生奴隷のように働かせ
罪を償わせる方がよっぽど極刑だと思う。
・「24シーズン5」
24時間リアルタイムで進行する大きな話題となったドラマ、24(トゥエンティーフォー)だが、
第5シリーズ目となるDVDが11月3日より全巻レンタルとなった。
今回もものすごくおもしろい!
ぜひまだ見ていない方はぜひ見てみてください!
愛国心を勘違いしている安倍晋三と、
フセインが死刑ならそれより先に死刑に処すべきブッシュ大統領、
この2名にぜひ見て欲しい映画でもある。
@絶対に見るという方はここまで読めば十分です。
私の解説は見てからまた読んでもらえれば。
A多分見ないだろうという方は16時間のドラマのテーマについて、
・・・ここからネタバレあり・・・を読んでいただければ見た気分になれます。
Bどうしようか迷っている方は、下記ネタバレなし感想を読んでいただければ。
・・・ネタバレなし感想・・・
もうシリーズ5回目。
ドラマで起きている1時間を1話にして24話12巻の大作であるが、
「そんな長いの見れないよ」と手を出しにくい方も多いかと思うが、
その心配は杞憂に終わるだろう。
出し惜しみなく事件や陰謀はどんどん進行していくから、
時間の長さをまるで感じさせない。
ちなみに実際にはDVDは1話40分なので、
全部見るのに24話24時間も必要はなく、その2/3の16時間である。
「16時間でも長い」というかもしれないが、
私はあまりにおもしろすぎて、
後半12話8時間はぶっとうしで見た。
そのぐらいとにかくおもしろい。
アメリカ政治の光と闇をテーマにしているテーマ性の良さが、
おもしろさの秘訣ではあるが、
いろんな事件がどんどん進行していく娯楽映画としても十分楽しめるので、
重く構えて見る必要はまったくない。
はじめにネタバレなしで感想を書いておく。
1〜8話ぐらいまではね、
「相変わらずすげえなあ」「出し惜しみしないな」と、
テンポの良さに感心していたものの、
どうしても次の話を今すぐ見たいというほどでもなく、
わりと2話ずつぐらいで見るのを止めることができた。
それが半分ぐらい話が進んでいくうちに、私はある疑心暗鬼に捉われはじめる。
「結局、これまでのパターンの焼き直しじゃないのか」
それだったら見る必要はない。
登場人物を微妙に変え、テロリストを微妙に変え、
前作前々作の同じ繰り返しなら、
何度でもこのシリーズはつくれるだろうが、そんなもの一度見せられれば十分だと。
しかし後半。話はとある方向に向き始めた時、
私はシリーズ5をみくびっていたことを知った。
すごい。すごすぎる。これは前回の焼き直しなんかじゃない。
これはこれで十分見る価値のあるテーマを有しているなと。
終盤戦なんかはもう目が離せない。
月曜日の夜でまだ平日がはじまったばかりだというのに、
しかもかなり眠かったのに、どんどん目が冴えてきてストーリーに引き込まれていった。
私は映画を見て涙することはないが、
終盤戦は思わず涙腺を緩ませてしまうシーンが続出だった。
ここからネタバレあり※要注意
24の基本構図は、テロリスト対CTU(テロ対策ユニット)で、
CTUの主人公ジャックバウアーが次々とテロを防ぎ新情報を追い、
事件の核心に迫っていくというものである。
そこにアメリカ内の政治権力闘争や各国利害が加わり、
さらには大きなテーマの1つである「家族」と「人間の弱さ」が、
事態を複雑化していくのがまたおもしろいのだが、
黒幕に見え隠れするのは、軍事産業、石油利権、国外テロリスト集団などである。
このシリーズもこうした構図は変わりないのだが、
決定的に違うおそろしい事実がある。
・・・ネタバレ要注意・・・
現政権の大統領が事件の黒幕というとんでもないことをテーマにしているのだ。
これだけ読むとアメリカ人の誇大妄想癖にありがちな大げさな作り話と思われがちだが、
この映画を見ると大統領という権力を握った人間が、
悪いことをしようと思えばいくらでもできるということがはっきりとわかる。
しかもその動機はあくまで「愛国心」だからたちが悪い。
今回、大統領が黒幕でテロを仕組んだ動機は、
単に金儲けでも名誉でもさらなる権力欲でもない。
石油利権を確保しなければ、「エアコンもつけられなければ車も乗れない」という、
石油消費大国としての強烈な危機感からくるものである。
アメリカが繁栄するためには、なんとしてでも石油を確保しなければならない。
しかしアメリカの国益だけを世界に押し通すことはできない。
そこで大統領自らテロを仕組むことによって、
石油利権確保の口実を作ろうというものだ。
※まるで存在しなかった大量破壊兵器で派兵し、
無実のイラク国民多数を虐殺したどこかの大統領の話のようである。
大統領が自分の陰謀を隠そうと思えば、
簡単に人殺しができるし簡単に軍を動かせる。
ポストや金をえさにいくらでも人を買収できる。
そのおぞましさにはぞっとする。
幸いにしてそのおそろしい陰謀はCTUの英雄ジャックバウアーの手で暴かれるわけだが、
愛国心と国益を盾に、大統領がその気になれば、
いくらでももみ消しができるというのは実におそろしいことだと思う。
しかもその大統領を背後で指示しているのは、
石油関連企業連中らしい。
アメリカには軍産複合体といって、戦争をすることで軍事産業が儲かるので、
政治家・官僚・軍事産業が結託した利権集団があるらしいが、
どうも最近の24を見る限り、軍事産業より石油関連企業が、
他国から石油をぶん取るために、政治家に支援を行い、
戦争をけしかけているような構図が多い。
それだけ石油資源枯渇問題に危機感を抱いているのだろう。
こうした問題は現実のアメリカ政治をトレースしたものといっていいだろう。
24のシナリオを書いている人は、真の愛国心があり、
9.11テロ以降の間違った方向での愛国心に警告を発しているように思う。
それは日本にも当てはまることではないか。
北朝鮮への危機感から、どうも政府は「美しい」という名の、
「間違った愛国心」を植えつけようとしているのではないか。
9.11テロ以後のアメリカで明らかになったように、
国を守るためには、
@普段の行い(通常の外交態度)が大切。
それがきちんとしていれば他国から恨まれるようなことはない。
Aテロにはテロ(戦争)で歯向かったところで、
さらなる報復の連鎖を生むだけで、
対テロ戦争はむしろ治安を悪化させた。
ということが明確になった。
こうしたアメリカの愚かさを見れば、
北朝鮮の危機を煽ることで、国民に強制的に(法律的に)愛国心を強要し、
著書では靖国参拝賛成といいながら、中国に対しては参拝するかどうかを明言しないという、
ダブルスタンダード的な対応で、海外からの疑心暗鬼を招き、
さらには、目には目をの論理で、核には核をという論議になるのは、明らかに失政の踏襲ではないか。
「24」は愛国心や国益を盾に、偏狭なナショナリズムに各国が舞い戻り、
第三次世界大戦になるような危機への大いなる警告ではないか。
人間、悲しいかな、グローバルな社会になればなるほど、
自分のアイデンティティを強固にするために、
民族主義や地域主義やナショナリズムに逃避する。
今、世界が問われている。
国益という名のマネーゲームのために、
限りある資源をあらゆる手段を使って争い合うことの愚かしさを。
それを教えてくれるのが24だと思う。
・華氏911
政治家の巧妙さ、国民の愚かさ、そして戦争の悲惨さを、
心に突きつける最高映画
私は少し心配していた。
「ブッシュを批判する者の溜飲を下げさせるだけの映画だ」という批評が気になっていたからだ。
私は2ヶ月前、アメリカでこの映画をすでに見ている。
言葉はほとんどわからかったが、でも映像はすべて見る限り、
銃問題をテーマにした前作「ボーリング・フォー・コロンバイン」より、
映画の完成度もドキュメンタリー性も落ちているかもしれないという懸念と、
確かに「偏った」映画と批判されても致し方がない部分があるかもしれないなと思っていた。
あらためて日本語字幕付でこの映画を見るにあたって、
もしかしたらそれほどたいした映画ではないという感想を抱いてしまうのではないかという心配がよぎっていた。
しかし、あらためてこの映画を見て、
しかも日本語字幕付のおかげで内容もある程度理解でき、
この映画はやはり非常に素晴らしい作品であり、
またここで取り上げられたテーマは、単にブッシュ批判にとどまらず、
人間の政治、経済、軍事、つまりは人間社会全体の問題にも通づるものがあり、
今を生きる多くの人間、特に「先進国」に生きる人々は、
この映画を忌避せず、しっかりと見届け、監督ムーアに賛成するとかしないとか、
そういう次元の低い問題にこだわらず、今の社会問題を考えるべきではないかと思った。
・戦争の悲惨さ
この映画では、まず無実のイラク国民を殺し続けることを問題にしている。
一部、報道になったが、米軍兵士がイラク人を虐待している事実もさることながら、
ムーアはもっと根底意識に迫っている。
イラクにいる米軍兵士が戦車内でCDをかけながら砲撃しているという事実だ。
「この音楽を聴くとぶっ殺してやるという気持ちになってノッてくる」みたいな発言をしている、
米軍兵士のインタビューがある。
また米軍兵士は口々に本物の人殺しという戦争にうれしそうに「スリルがある」と答えている。
米軍兵士にとってはこれは人殺しゲームなのだ。
そういう感覚で一方的な虐殺を行っている(もちろん一部だが)。
そしてもう1つ、これはわれわれ日本人の感覚には盲点かもしれないが、
イラクに派遣されて殺された米軍兵士の遺族の悲しみだ。
単に戦争の人的被害は、イラク国民だけではなく、アメリカ国民そのものにも及んでいる。
「何のための戦いなのかわからない」戦争に駆り出されて、殺されてしまう若い米軍兵士。
そしてそれにより悲しみを背負う遺族たち。
戦争の悲惨な輪は、自らの国民にも跳ね返ってくることをムーアは描き出すことで、
単にイラク国民が殺されてかわいそうだという「同情」論ではなく、
それは自分自身の人生や家族にも不幸を招くものだということを描き出している。
・不況をネタに貧困層をイラクへ
経済不況で失業率がどうしようもない過疎化の町のウルトラC対策として、
このイラク戦争を契機に軍隊募集を行っている。
滑稽なのはある町ではスカウトまでいることだ。
駐車場や学食や道端で、軍隊に入らないかと誘う軍人。
失業率17%以上の町で、軍隊に入れば給料ももらえる、学費も援助されることをエサに、
軍隊に引き入れ、イラク任務を押し付ける。
その一方で、イラク戦争に賛成している上院議員の子供たちは、
軍隊に入っている人も多いにもかかわらず、1人しかイラクに派遣されていないという事実。
ムーアがその矛盾した事実をつきつけ、
議員たちに「戦争に賛成ならその手本をみせるべく、あなたの息子をイラクに派遣してはどうか」と、
議員たちを直撃するが、誰もそんなことにのるはずもない。
結局、政治家たちは、戦争賛成といっても自分の血を流すことはしたがらず、
戦争で莫大な利益を得ることに夢中になっているのだ。
・テロという恐怖心を煽り、戦争を賛成させるマインドコントロール
アメリカ国民は「テロ」の影響で完全に狂ってしまっている。
政府がひっきりなしに「テロ警戒レベル」を上げたり下げたりして騒ぎ出す。
到底テロなど起きそうもない小さな町にまで名指しで「テロ警戒」を呼びかける。
すっかりアメリカ国民はテロ脅威におびえてくらす始末。
それを巧みに利用し、国民を政治家のいいように操っている状況が、
911テロ後に現出している様子が見事に描かれている。
しかも恐ろしいことにあの「自由」と「民主主義」を標榜するアメリカは、
911テロを利用し、「愛国者法」なる法案を可決させ、
国民の権利を「テロ防止」という名目のもと大幅に制限できる法律を可決した。
国民の個人情報を政府が簡単に見れるようにするなど、
はっきりいって完全な独裁国家となりつつあるが、
国民は「テロの恐怖」を煽られているからそのことに何の危機意識も持たない。
まさしくこれが国民を政治家のいいなりにする巧妙な情報操作だ。
・軍事産業の莫大な利益
なぜアメリカ国民にテロの恐怖心を煽り、戦争に賛成させるか。
そこには政治家がかかわる企業の莫大な利益があるからだ。
単に兵器産業にとどまらず、石油ビジネスや復興ビジネスにもぼろ儲けできるチャンスがあり、
それが戦争を取り仕切る国の事業として企業に発注することで、
それこそ日本の政・官・財の癒着状況がこのアメリカにも生まれている。
だから企業は戦争に賛成する。
ブッシュ大統領の側近にはこういった復興ビジネスに関わる会社の人間も多いし、
ブッシュそのものが兵器産業を持っている企業グループに深く関わっている。
つまりは、国民から絞り上げた税金を、戦争で使い、その使い先が自分の企業グループに還流し、
税金を食い物にしているということだ。
すべてはそのための戦争。正義なんてどこにもない。ただあるのは金儲けだけだ。
アフガニスタンのカイザル大統領などアメリカが要職に任命した人々も、
ブッシュと関係の深い企業グループの元社員だった人間が多いということも、
実にこの問題が根が深いということを思い知らされる。
・911テロの放置
そしてこの映画では911テロへの対応をブッシュ大統領が故意にしなかった証拠が次々とあげられている。
まずテロ直後で全米中の航空機が正常な運行状況を回復していなかった9/13に、
なんとビンラディン一族のサウジ人のアメリカ出国をFBIが許可し、
いわば事情聴取なしに「わざと」逃がしている記録がしっかり残されている。
さらには事件が起きた調査委員会の設置をブッシュ大統領自らが圧力をかけ、設置を延期させたり、
テロ調査委員会の報告書を政府が「検閲」するなど、信じられない行為が起きている。
当時の調査官はブッシュ大統領に「テロがイラクと関わっている証拠を何でもいいから持ってこい」
といったそうだ。
「イラクが関わっている証拠はない」といっているにもかかわらず、執拗にイラク証拠を見つけ出せと、
ブッシュが迫ったという。
もちろん、このテロをイラクのせいにすれば、念願のイラク戦争ができ、
石油を欲しいままにできるという思惑からだ。
とにかくブッシュ政権はなにがなんでもイラク戦争をしたかった。
だからイラクに「核兵器を所有している」「化学兵器を保有している」「生物テロ兵器を保有している」
ということを捏造し、戦争に踏み切った。
そんな背景はすでに911テロの時から現れていることがわかる。
そもそも911テロの1ヶ月前に、ブッシュ大統領にビンラディンが飛行機ハイジャックテロを行うと、
FBIだかCIAが警告していたにもかかわらず、
(その書類をブッシュ大統領に渡す写真なども映画で公開されている)
ブッシュはゴルフや魚釣りに興じる始末。
911テロが起き、知らせを受けてから7分間、
ブッシュは小学校の朗読会に参加し続け、子供たちの朗読を聞き続けていたというおそるべきありさま。
911テロで亡くなった多くの被害者の気持ちからすればこんな大統領は即刻首だろう。
・サウジとブッシュの密接な関係
もともとビンラディン一族などサウジからの献金で強力に結びついているブッシュ一家。
いかにブッシュ一家が何年も前からサウジやラディン一族との関係が深いか、
ということもこの映画でしっかり流されている。
だからこそブッシュがテロの原因追求をしっかりしなかったのかがわかる。
<総論>
今回あらためてこの映画を見たが、
いかに政治家が巧妙に自分たちの権力保持と利益追求のために、さまざまなトリックを施しているか、
国民をコントロールするために「テロ」という脅しを悪用しているか、
など、この問題が実に根深く、すさまじいかを思い知らされる結果となった。
「偏った映画」などと批判されているが、じゃあ、ここで取り上げられていることに、
真正面から答えられるのだろうか。
ブッシュとサウジの関係。ラディン一族を9/13に出国させた経緯などなど。
私はあらためて911テロがアメリカ政府の自作自演によるものとの認識を強めた。
(ムーア監督は映画でそこまではいっていないが)
そもそも世界の軍事大国アメリカたるものが、同時に何機もハイジャックされ、
しかもニューヨークのビルに飛行機が突入されるまで、どこも気づかない、
どこも防げないってこと自体、非常にあやしいわけで、
しかも見事に民間人ばかりが犠牲になり、
狙われてしかるべきホワイトハウスやブッシュ大統領が無事であることを考えると、
また、このテロが起きて誰が得をしたのかを考えると、
政府の自作自演テロ説は実に信憑性を帯びてくる。
まあ自作でなかったにせよ、この映画で明かなように、
テロという「恐怖」を使って国民を手なずけ、洗脳し、
政府のいいような政策に持っていったことには間違いない。
実に恐ろしいことだと思った。
これはぜひ映画ではなく、テレビで放映し、
映画で取り上げられたさまざまな問題を解説しながらやっていくと非常にいいと思う。
というのも映画ではさまざまな複雑な問題やさまざまなブッシュ関連の人々、会社名などが、
矢継ぎ早に出てきて、事実関係を認識するのが早すぎて難しいからだ。
あとは、これは完全にアメリカ人向けに作られているアメリカ人の映画で、
私はこの映画をアメリカで見た時のアメリカ人の反応と、
今回、日本で見た日本人の反応(というかほとんどアメリカ人が反応したところに反応できなかった)
を考えると、日本で映画をやっても、せっかくの「いい」映画なのに、
あまり影響力がないのではないかと危惧している。
そもそも日本人が映画を見る動機は「泣きたい」とか「格好いい俳優が出てる」とか、
「ストレス解消」「気分よくなりたい」といった、日常からの逃避的要素が強いわけで、
「映画でわざわざ難しい、考えさせられる社会問題、しかも国内問題ではなくアメリカの問題なんて見たくない」
というのが圧倒的多数の映画視聴者の正直な感想ではないか。
現に、アメリカであれだけ大反響だった映画も、
私が見に行った8/28(公開1週間後の土曜日)にもかかわらず、
観客は半分ぐらいしか入っていなかった。
何を思ったかカップルで来ている人が多かったことも驚いたが、
あの映画がデートになるとは思えないしなあ。
そういう意味で、この映画で取り上げている重大な問題は、
ぜひテレビで特番なんかで取り上げながら、
アメリカの政治的背景、軍事的背景、経済的背景を交えながら解説しつつ、
この映画の映像を流していくといった方法であれば、
多くの日本人が「目を覚ます」契機になるのではないかと思う。
この映画で取り上げられた問題は実に重い。
単なるブッシュ批判をして人気を得ようという堕落映画ではなかったことを明言しておく。
ぜひ今、この時期に、この映画を多くの人に見てもらい、
ここで取り上げられた問題が他人事ではないということも含めて、いろいろと考えてもらいたいなと願う。
※参考までにアメリカでこの映画を見た時のアメリカ人の反応レポート(7/1つぶやきに掲載)
も下記にのっけておきます。
・「華氏911」in アメリカ
ディズニー社がブッシュのお膝元での税制優遇に影響が出ることから、
このブッシュ批判ともいえる映画の配給を断ったというニュースを以前つぶやきで紹介し、
その後、カンヌで最高賞を受賞し、一体どこで見れるのだろうかと思いきや、
アメリカで無事6月末から上映になったようだ。
ヤフーニュースによると大変な人気らしい。
取材を終えると一目散に映画館に行ったが、18時30分、19時10分はすでに売り切れ。
仕方がないので21時10分の回を購入する。
(ちなみに9.75ドル。日本の映画館より安いんじゃないか)
外国で映画を見るのははじめてだったので30分ぐらい前に再び映画館に。
するとこのソニーがプロデュースした最新設備が整い、
15のスクリーンを持つメトレオンともあろう映画館が、座席指定ではなく、長蛇の列ができている始末。
まったくハードがよくったてこういうソフト面での充実度がないと、最新設備も意味なしだよな。
ものすごい長蛇の列に現地の人もため息をついていたので、
いかにこの映画の人気が特殊かということを示していると思う。
過去の出来事ではなく、まさしく現在の政治批判したドキュメンタリー映画なるものが、
これほどの人気を集めるのは政治がショー化されたアメリカならではか。
たとえば小泉政権を批判したドキュメンタリー映画が日本で上映されたとしても、
そんなに人が入るとは思えない。
いや、この映画が日本で上映されたとしてもこれほどの反響はないんじゃないかなと思う。
ハリーポッターに列をなす日本の映画視聴者がブッシュの政治批判映画を見るとは到底思えない。
平日、火曜日の夜21時。これから2時間映画というにもかかわらず、ものすごい列。
20代後半から30代が圧倒的に多く、みなラフな格好をしてはいるが、学生には見えない。
仕事帰りに見に来たのだろうか。
男女比は半々ぐらい。友人同士で訪れているタイプが多いが、カップルで来ているのも結構見受けられる。
政治批判ドキュメンタリー映画なのになあ。
あまり関係ないのかな。
特徴的なことは黒人はほとんどいない。アジア系もほとんどいない。
町を歩いている感じの人口比率とは明らかに違い、白人ばかりである。
映画館スペースはざっと25列×30席あまりか。
にもかかわらず見事に満席である。
15分ぐらい宣伝が流れる。
日本でも最近、くだらん宣伝を少なくし、いきなり映画に入るものが多くなったように思うが、
アメリカはまだまだなのかなー。
いきなりコーラの宣伝とかやるし。
21時10分開場で本編が始まったのは21時40分。
ここからがいかにも「アメリカ」なのだが、宣伝が終わり、本編に入ろうとすると拍手が起こる。
さらにマイケルムーア監督の名前が出るとこれまた拍手が。
映画はまず2000年の大統領選挙の模様から。
ブッシュが極めて接戦で勝ったことから始まっている。
もしあの時、ブッシュではなかったら・・・と思わざるを得ない。
そして2001.9.11。
真っ暗な映像のまま、その時の音だけが流される。
これにはさすがのアメリカ人もしんと静まりかえるし、
私もこの時ばかりは、なんともいたたまれない気持ちというか、
なぜこのような世界になってしまったのかと考えざるを得ない。
実はこの事件が起きた時、ブッシュはとある小学校の朗読会みたいなのに参加していた。
事件の一報を側近が伝えたにもかかわらず、7分間彼はその朗読会に参加していた映像が流される。
またテロが起きる1ヶ月前、テロが起きる可能性をさまざまな機関が指摘していたにもかかわらず、
それに耳を傾けないブッシュという意味で、8月のアホずらブッシュのバケーション様子が流される。
ブッシュの言動にたびたびアメリカ人は、
日本でいうところの昔バラエティ番組なので、やらせの非常にわざとらしい観客笑い声そっくりなのが、
館内に何度となく響きわたる。
彼らは本当におもしろいのか、それともそういう笑い方なのか。
ブッシュのグループ企業とターリバン、ビンラディンと密接な関係であること、
911テロ後、アフガン攻撃、さらにはイラク攻撃で、
これまたブッシュのグループ企業が石油に限らず、軍事部門や派遣された軍人へのサービス企業などで、
いかに儲けているかが流される。
彼がなぜそれほどまでに戦争に固執するのか、これを見れば一目瞭然だ。
グループ企業の金儲けのためだ。
イラク戦争のかなり悲惨な映像なども流され、館内はしんとしている場面が少ないのだが、
どうもアメリカ人はあのわざとらしい笑いをするために映画を見に来ている節があり、
またマイケル・ムーア監督の手法としてシリアスなテーマも、
皮肉に笑い飛ばす映像が作られているから、結構館内はあのわざとらしい笑い声が何度も聞こえてくる。
あと非常にアメリカ的だなと思ったのは、
多分反戦的なことをいっている人のインタビューとかが流れると、それに拍手をするのだ。
テレビが友達というか映像が友達というかネットが友達というか、
バーチャルな世界と現実世界の区別が最もつかないのはアメリカ人ではないかと思った。
だから政治も戦争も殺人事件もショーとして見れるのではないか。
2時間ぴったり、とてもシリアスなテーマで、とても深刻な問題をひめた、
現政権批判、現大統領批判映画が終わると、
なんだかそんな深刻さが吹き飛んでしまうような、口笛とか拍手が聞こえてくる。
「よくぞマイケルムーア、大統領を滑稽に描いてくれたぜ!」みたいな、
バラエティー番組を見ている感覚で見た人もいたのではないかと、
過剰なリアクションをする人々から読み取れたが、それが大多数ではないので、
きっとみなそれぞれがはたしてこの国をブッシュに任せていいのかということ、
世界各地で戦争をしまくっている現政権の政策が正しいのかということを考えた、
いや考えてほしいと思った。
この映画は戦争の悲惨さをこのバラエティ好きのアメリカ人向けに、
うまくエンターテイメント化して見せている。
この映画がアメリカで大ヒットしていることの意味は大きいと思う。
クレイジーな世界をまっとうに戻すことができるのは、
もしかしたらこの映画を見たアメリカ人にかかっているのかもしれない。
しかに映画にも描かれていたように、ブッシュ支持派もいるし、
狂信的とも思える国家主義が国民に根付いていることも確かだ。
クレイジーな国、クレイジーな世界を変えられるには、
アメリカ国民自らが変わらなければならないと思う。
・現代人必見の最高ドキュメンタリー映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」
GW中の最高に注目すべきニュースは、ブッシュ政権を批判した映画「華氏911」が、
税制優遇を受けるディズニー社から配給を中止されたというものだとつぶやきで書いた。
そしてその作品が22日、カンヌ映画祭で最高賞を受賞した。
その監督の前作映画が「ボウリング・フォー・コロンバイン」である。
「華氏911」がカンヌ映画祭で最高賞を受賞したニュースを見て、
僕はレンタルビデオ屋に駆け込み、前作を借りてきたわけだ。
「映画」というか完全な「ドキュメンタリー」だが、もう無茶苦茶おもしろい。
というかすばらしい!
これほどまでアメリカ社会の問題点と真正面から向き合った作品を僕は知らない。
もう大絶賛ですね。
今、生きている人はすべて見た方がいい。
中学校の社会の授業で取り上げるべき映画ですよ、これは。
タイトルの「コロンバイン」とは、アメリカで1999年、高校生が銃を乱射した高校の名前。
その事件と監督の地元で起こった6歳の少年が6歳の少女を銃殺するという2つの事件を発端に、
アメリカの社会構造に迫るドキュメントだ。
ここでおもしろいのは、単にアメリカが銃規制をしないからだとか、
アメリカが流血の歴史が多いからというのが理由ではなさそうだということがわかるからだ。
監督自身も突撃取材をしていく中で驚くべき事実を発見する。
ほとんど銃による殺傷事件が起きないカナダでは、
1000万世帯中、700万丁も銃を持っていることがわかる。
しかもカナダではほとんどの人が玄関に鍵をかけないという事実も驚きだった。
「流血の歴史」については、ドイツしかり日本しかり、イギリスしかりフランスしかり、
大虐殺や好戦的な歴史国家は他にもあったが、現在、それらの国で銃による殺人事件は、
アメリカの比にならないぐらい少ない。
なぜ、アメリカに銃がはびこり、簡単に銃で人を殺してしまうのか。
高校生銃乱射事件で犯人が心酔して聞いていたために、
とんだ筋違いの厳しい批判を受けたハードロック歌手、マリリン・マンソンへのインタビューで、
彼はこう語っている。
「……洪水、エイズ、殺人……メディアは恐怖と消費の一大キャンペーンをつくりだす。
そしてこのキャンペーンは、人々を恐がらせることによって消費へと向かわせようとする発想に基づいている。
その恐怖心が人を銃に向かわせるのだ。」 と。
その時、あまりピンと来なかったが、その言葉を裏付けるような取材活動を監督がする。
アメリカの犯罪は実はここ10年、20%減少しているにもかかわらず、
メディアが凶悪犯罪を取り上げるのは600%だという。
しかもそのおかげで、さまざまな自己防衛グッズが大変儲かっている。
驚きなのは、近所のスーパーで銃や銃弾が売られていて、
銃も銃弾も飛ぶように売れている。
そこに9.11テロが起きて、もうあちこちぼろ儲け企業が出て、
しかもそれが政府とグルになってどんどん恐怖を煽って戦争をするから、
さらに儲かるという、政府、メディア、企業が、
アメリカ国民に「恐怖」を飢えつけることで、ぼろ儲けしている社会構造が明らかにされるのだ。
なるほど「恐怖」か。
すると、まさしく、マリリン・マンソンの言葉は至言なわけだ。
ニュースで戦争や犯罪を取り上げ恐怖心を訴えたあと、ぱっとCMに切り替わって、
その恐怖心を利用して物を買わせる。
しかもそれは単に「自己防衛グッズ」に限らず、
「口臭がくさいと人から嫌われる」とか、「いい車に乗らないと女とやれない」とか、
そういった「恐怖心」を煽って消費行動を促進させるという、
非常に全般的な「洗脳」になっているのだ。
なるほどと思った。
だから恐怖心におののくアメリカ国民はバカのブッシュを支持するのだ。
恐怖心におびえ銃を買い込み、簡単に人を殺す。
それはアメリカ国民の行動でもありアメリカ国家そのものの行動でもあるのだから。
またなぜ凶悪犯罪が起きるかについて「暴力映画」だの「テレビゲーム」だの「アニメ」だのに責任を押し付ける人にも、
この映画で一定の考察をしている。
暴力映画が好きなのはカナダでもそうだし、暴力ゲームを生み出しているのは日本だけど、
カナダも日本も銃による殺人事件は極めて少ないと。
やはりそういったことを考えても、アメリカの異様な社会の原因は、
恐怖心を駆り立て、消費行動を煽り、それによってぼろ儲けしている、
メディアであり政治家であり軍事産業であり、全米ライフル協会であることを、
見事にこの映画で描き出している。
もう何度も何度も見返して、メモをとってみたい映画。
絶対みるべし映画でしょう。
「華氏911」も早く見たいなと思う。
「ホテル・ルワンダ」
久々の文句なし5ツ星映画!
ほんと素晴らしい、最高、感動、そして感慨深く、
いろいろなことを考えさせられる最高傑作映画です。
今、新作でレンタルになっていると思いますので、
ぜひ借りてみてみてください。
(ここからネタバレ注意ですが、
ネタバレして見ても楽しめる映画だと思います)
この話が実話であることにまず驚く。
1994年のアフリカ・ルワンダの話。
端的にいうなら現代版シンドラーのリストといったところか。
たいした身体的違いもないにもかかわらず、
フツ族とツチ族が互いに憎しみ合い、戦い合い、
はては停戦協定が結ばれたはずにもかかわらず、
ひっくりかえり、フツ族がツチ族をこの世から殲滅させるため、
100万人以上の大量虐殺を開始する。
そんな折、外資系ホテルに勤めるフツ族支配人は、
ツチ族の妻ほか、ツチ族難民を助けるために、
ホテルを盾に孤軍奮闘する話。
部族間争いだけにとどまらず、この映画で重要な問題提起となっているのが、
国連および国際政治のあり方だ。
国連の平和維持軍は手出しできず、
少数民族の大量虐殺に米英仏を中心とした軍隊が派遣されるものと思いきや、
なんとルワンダにいる外国人だけ助けて、撤退してしまうという非情さ。
「先進国にとってルワンダは価値はない」
これがアメリカの正体だ。
世界の警察官を気取ったところで、石油があるところなど、
自分の利害にからまないエリアはまったく興味がないのだ。
民族の争いの愚かさ。
歪んだ国際政治と無力な国連軍。
そして大量に殺戮されてしまう人間たち・・・。
ほんとこの映画から学ぶべきことは非常に多い。
また最後に流れる音楽の歌詞が最高なんです。
イギリスは「United Kingdom」すなわち連合王国で、
アメリカは「United States」すなわち合衆国なのに、
なぜアフリカにアフリカ合衆国ができないのかという、
アフリカの部族間抗争を強烈に皮肉っている。
ただこの映画を見て、大量虐殺されているから、
先進国が助けるべきだとか、国連が助けるべきだという結論には、
この映画を見る限りでは違和感を覚える。
結局、この国の人たちに最終的にはかかっている。
第三者が線引きしたところで、この国自身の意味のない部族間争いをなくさなければ、
表面的に争いがなくなったとしてもまた同じことが起こってしまう。
それにこの映画を見て、フツ族が悪でツチ族が善というのも間違っているように思う。
結局、互いが互いの正義を主張しあい、互いの民族を殺しあっている限りではかわりないのだから。
そうした中で、別に崇高な理想を掲げてこの主人公であるホテル支配人が、
フツ族にもかかわらず、ツチ族を助けたわけではなく、
妻がツチ族だから妻を守りたい、子供を守りたいという思いから助けているというのも説得力がある。
彼はどちらかというと妻さえ守れさえばよく、
隣人のツチ族などほんとはどうでもよかったのだが、
状況的に見捨てることができず、それがきっかけで守らざるを得なくなったというのも、
すごくうなづける人間心理だと思う。
世界から愚かな争いをなくすためにも、
ぜひみなさんに見て欲しい映画です。
別にテーマが重いけど押し付けがましくなく、
描き方も素晴らしく、映画としてもきちんと楽しめると思います。
・JSA(韓国映画)
いや、傑作です!
南北分断をテーマにしながら、
重く描くのではなく、
実におもしろい視点から描いて、
その悲劇を訴える手法というのは、
まさに映画の中の映画!
これ非常におもしろいです。
暗くて重い戦争映画じゃないんで、見やすいし楽しめる。
ぜひ多くの方に見てほしいおすすめ映画です。
<ここからネタバレ注意>
南北境界線上の兵士が仲良くなってしまうという設定がおもしろい。
現場でにらみあっている反面、
考えてみれば同じ民族で、
現場にいる人間はお互い戦争なんかしたくないし、
自分だってそこに巻き込まれて死にたくはない。
国境警備という緊張の中で、
同じ境遇にいるもの同士が仲良くなるというのは、
突拍子もない設定とは思えず、スムーズに映画に入っていける。
24ー3(トゥエンティーフォー・スリー)
「24」のシリーズ3弾目を見た。
例によって24時間、24話あるわけだが、瞬く間に見終えてしまった。
数々のおかしな点があるにせよ、それを感じさせない圧倒的なおもしろさがあり、
私は明日、朝5時半起きで福岡に日帰り取材だというのに、
我慢できずに、最後の6話分を一挙に見終えてしまった。
そのぐらいおもしろい、おすすめ映画です。
(ちなみに最後の6話分3巻はまだ新作扱いだった)
<ここからネタばれ注意>
数え上げればキリがないほど、この映画には設定に無理がある点や、
明らかにおかしい点がわんさかある。
羅列しろといわれれば100個ぐらいあげられるんじゃないか。
そもそもシリーズ1でも2でもそうだけど、
テロ対策ユニットにもかかわらず、
指揮系統は相変わらずぐちゃぐちゃだし、人材はいないし、
セキュリティは甘いし、私情たらたらだし、
これがテロ対策組織なのかと思ってしまうが、
そんなことをはねのけるだけのおもしろさがこの「3」にはあった。
ストーリーのリアリティとしてはやはり「2」が最高傑作だが、
ストーリー展開のスピード感ではこの「3」が最高傑作だろう。
次から次へと思わぬことが起きまくり、目が離せず、
どんどん先を見たくなってしまう、もうそれだけでこの映画は最高評価だ。
1:圧倒的なスピード感
とにかくこの「3」は展開が早い。
もったいぶらないで次々とすさまじいことが起きていく。
ほんとその点が最も優れている点だろう。
24時間もの話は間延びしてしまうが、ここにはほとんど余分がない。
とにかくこの点では最高傑作の映画を作りあげただろう。
こんな映画を見せられたら、豪華キャストだけのオーシャンズ11(続編が今上映されている)なんて、
ほんとくずですよ。
2:生物テロというリアリティ
そしてもしかしたら近未来に起こりえるかもしれない、
アメリカを狙った生物テロというリアリティは、
もしかしたら「2」の核ミサイルなんかよりはるかに恐ろしい脅威であり、
現実性のあるテロだと思う。
12本あるウイルスが1本飛散してしまい、ホテル封鎖できるはずが、
一人たまたま町に出てしまっただけで、その数時間後に確保しても、
瞬く間に伝染してしまうという恐ろしさの点では、
はっきりいってどんなテロよりも脅威的だ。
911後、炭そ菌騒動があってアメリカでは圧倒的な情報統制のせいか、
情報がろくに入ってこないままうやむやにされた感があるけど、
サリンのような一過性のものではなく、
伝染する有害物質を撒き散らしたら、こんな防ぎようのない、
絶大なる効果を挙げるテロはないだろう。
3:強大化するアメリカ批判
今回の犯人は、元アメリカ政府の工作員ともいうべき人間で、
そのせいで外国で置き去りにされ拷問を受け、
これまでアメリカに忠誠を誓っていたことに嫌気がさし、
スパイを外国に派遣しテロに付けねらわれる強大化するアメリカにダメージを与えようと、
生物テロで大統領を脅し、アメリカの軍事機構を解体せよという、
実に正論的なことを物申すわけだ。
もちろん、それをテロで脅すというやり方は間違っていることを、
主人公ジャックが諭すわけだけど。
「2」でもそうだけど、この「24」を作っている制作者は、
アメリカの「真」の愛国者だ。
国を愛するがゆえに、軍事的に肥大化するアメリカを憂いている。
しかしそれを批判的な視点で描かずに、
あくまで愛国者的観点から、テロに付けねらうが、
最後は解決してよかったねという結末で終わらせるけど、
それゆえに、今のアメリカの政治でいいのだろうかと、
バカなアメリカ国民に愛国心を刺激しながら諭している良映画なのだ。
今回もそういった視点がはっきりしていて、見ていて気持ちがいい。
マイケルムーアのように真っ向からアメリカ政治を非難する映画の作り方もあるけど、
精神麻痺したアメリカ国民には「24」のような描き方がいいのかもしれない。
4:国家レベルの問題と個人レベルの問題
特に今回の「3」で際立ったのは国家レベルの問題と個人レベルの問題を、
同じ重要度で描かれていることだ。
テロだなんだと騒いだところで、一人一人にはさまざまな個人レベルの問題があり、
もちろん国家的問題も大切なんだけどそれ以上に個人にとっては個別の問題も重視してしまうという、
人間らしさというか私情をうまくこの映画に織り込ませた。
それを感動的にされるのがラストシーン。
「24」の3作中、最も素晴らしい終わり方をしたのがこの「3」だ。
私情で国家レベルに問題に対処できない小物たちの中で、
私情を挟まず、任務のために絶大なる信頼感と精神力で困難を切り抜けていくジャック。
今回はその任務のために同僚を殺し、同僚の腕をハンマーで叩き切るという荒行までやってのけた。
そんな絶大なるジャックが、すべて事件が解決した後、
一人車で泣くシーンでラストになる。
それがなんともいえないんだよね。
スーパーマンのごとく一人大活躍していたジャックも、
一人の人間として、それに耐えていたんだということがよくわかる。
大統領からどんなにほめられても、一人、涙が耐えなかった。
それがスーパーヒーローでありながら一人の人間であるというリアリティを思い知らしめてくれる。
最高のラストシーンだった。
アメリカのくそくだらんスーパーヒーロー映画とはわけが違う。
5:ミシェルの大活躍
「1」も「2」もそんな強靭な精神力の持ち主はジャックだけだったのだが、
今回ジャックと並んで大活躍したのがミシェルだった。
女性が厳然としたあの勇ましい姿は実にかっこよかった。
きれいだしね。
夫や周囲の女性が情けないだけでにミシェルが一人際立っていて、
ジャックと並ぶ双璧になる勢いだったのが非常によかった。
6:トラブルメーカーの雑魚どもが一層された
今回も必ずストーリーをややこしくさせて、
「早くこいつこそ殺すなり終身刑にしてしまえ」という腐れキャラがいて、
そいつらが現れる度に混乱してしまうんだけど、
今回、一層されたことは特筆すべきことだ。
ほんとは前作辺りで処理されるべきだったんだけど、
今回もまた引っ張り出してきて「またかよ」感があったんだけど、やっと消えてくれた。
ニーナとシェリー・パーマーの2人が今回消えた。
<気になる点>
ただどうしてもちょっとこれはおかしいのではという点をあげておきたい。
・黒人大統領の精彩のなさ
わざとそうしてるんだろうけど、らしくない。
前作だったら絶対にそんなことをするはずがないあの大統領が、
情けない決断ばかりする。
本来なら彼のキャラが取るべき行動は逆なのに、
とことん今回は逆をやらせた。
多分、今回は全キャラに「人間の弱さ」みたいなものをテーマとしていたからだろうけど、
あの黒人大統領だけは前作のキャラを考えてもそのままさせてほしかったな。
ま、矛盾点や気になる点は多いにせよ、
とにかく圧倒的なおもしろさで、辛口批評の私でも文句なしの5ツ★でした。
おすすめです。
・千と千尋の神隠し
<1>
今話題の宮崎駿監督の最新作「千と千尋の神隠し」。
あれほどマスコミがバカ騒ぎするほどの大作とは到底思えないが、
個人的には大いに期待していた映画だったので、「もののけ姫」を見に行って以来久しぶりに映画館を訪れた。
宣伝が一切なく、いきなり映画が始まったことに好感を持つ。
(僕が映画館にあまりいかず、しかも毎月のように騒ぐ洋画を見にいかないのは、
とにかく宣伝があまりに大仰で誇大すぎるからだ。
騒げば騒ぐほど、宣伝すれば宣伝するほど、その映画のうすっぺらさが見透かされるからだ)
宮崎駿作品には「平成ぽんぽこ狸合戦」で痛い目にあっている。
あんな史上最低の映画をわざわざ映画館で並んで金払って見て損したという苦い思い出があるから、
その他の作品が良くても、最新作を見るときには緊張する。
その嫌な予感が出だしで漂った。
現実の日本を舞台にし、しかも主人公の父母が登場したからだ。
しかもなぜか無意味にも、普通の家庭なのに車が左ハンドルというのも気になった。
「これは失敗か?」と懸念したが、すぐにその心配はなくなった。
日常世界から非日常世界へ。
ファンタジー作品の非日常性を高めるためには、現実社会の大人が登場してはいけない。
すぐに父母は消え、少女を中心とした物語が展開した。
続々と登場する奇妙なキャラクターに、不可思議な舞台が登場すると、
日常という胡散臭い世界から一転して、映画は別世界へと移行した。
(まだ見ていない人のためにストーリーあかしはしません)
<2>
アニメだからこそできる独特のキャラクターに、アニメ映画としての完成度を感じる。
不可思議なキャラクターが入り乱れる奇想天外なストーリーに引きずりこまれていく。
主人公を少女にすることによる、人間としての未熟性ゆえの成長していく姿と、
常識にとらわれない、信じられない度胸と心の強さ。
単純に正義と悪、味方と悪役が分かれていないからこそ、話に深みがある。
(洋画がつまらないのは単純に正義役と悪役を振り分けてしまうからだ。
未だにアメリカ映画は、どんなに最新技術や莫大な金を使っても、ストーリーは西部劇と変わりない。
ヒロインがいて正義の味方がいて悪役を倒して救う。
何が良くて何が悪いかわからない時代に、単純な勧善懲悪話は必要ない。)
残念ながら、「天空の城ラピュタ」や「風の谷のナウシカ」のような、
冒険物語としての壮大性は失っているが、ファンタジー性は文句ない。
「もののけ姫」ほどテーマが臭わないのは好感材料の一つ。
テーマ性を強く打ち出してしまうと、逆にしらけてしまう。
現実にはありえない非日常世界をテーマを押し出すことなく描き出すことで、
逆にその話の奥に潜む様々なことを深く考えさせられる。
はじめは父が「バブル期に作られたテーマパークの残骸だろう」という非常に生々しい発言をするが、
これははっきりいっていらない。
ただその文言をのぞけば、全体的にはファンタジー性が強く漂い、
日常世界を忘れた異次元へとタイムスリップさせてくれる。
大人には見えない世界。子供にしか見えない世界。
そこに大人社会が忘れた大切なものがあり、そこにこそ世界の真実がある。
主人公が元の世界に戻るために試される精神力の強さだ。
求められる力とは物理的な力ではなく、精神的な心の強さなのだ。
舞台がなぜか懐かしい古い日本の光景を思い起こさせる。
やはり私たちはどこかで社会の理想郷を、21世紀の未来社会ではなく、
昔のニッポンを想定しているのかもしれない。
・ショーシャンクの空に
いよいよ公開される期待の新作ハリーポッター第二弾!!!
さてさてそんな子供騙しとマスコミおべんちゃらの前に、この作品を見るがよろし。
「ショーシャンクの空に」
映画批評も書評もラーメン評も社会評もすべて「厳しく批判ばかり」という印象が強いつぶやきかさこだが、
意外とそうでもない。
いいものはいいって大絶賛します。
いやあ、この作品、これまでの27年間の人生の中で感動した映画のベスト3には入るな。
すごい、すごい、すごい!ぜひ見てください、この作品。
話題ばかりが先行して中身のない最近の映画界にドロップキック!って感じですよ。
ほんとすごいよ、これは。
もう何年か前の作品だからビデオレンタルで見れますよ。
つまらない作品ほど書くことはあるけど、おもしろい作品ほど書けないですよ。
というのもストーリーばらしちゃつまらんからさ、せっかくこれから見る人が。
だからストーリーの詳細については触れずに、この作品についてお話しましょう。
洋画はあまりに外れが多く、かつあまりに多すぎて、どれを借りたらいいかわからず、
まずレンタルで借りてくることのない僕が、これを借りようと思ったきっかけは、ミスチル。
ミスチル今年発売のアルバム「IT'S A WONDERFUL WORLD」のなかの「one two three」という曲の中で、
「ビデオに撮った『ショーシャンクの空に』見てからは もっともっと確信に近いな
暗闇で振り回す両手もやがて上昇気流を生むんだ」という歌詞があったから。
ミスチルのこの歌詞を理解するためには、この映画を見てみなければならないと思って、
なかなか借りられていて見れずにいたものだった。
いい映画を見た後というのは、終わってからのスタッフ紹介字幕が出ても、
なかなか席を立つことができずその画面から離れられない。
映画館で見たわけではなく、うちで見たわけだが、あまりに感動しすぎて、その字幕をずっと見入っていた。
(ちなみにつまらないものを見た時はその逆で、時間の無駄だったと一刻も早く席を立ちたくなる。
ハリポタの時はまさにそんな感じだったな)
牢獄という特殊な社会の中の、様々な矛盾や人間関係、楽しみ、苦しみ・・・
刑務所の意味、罪と罰、裁判・・・
日本の現在進行中の問題、名古屋刑務所で信じられない実態とシンクロする部分も多い。
そういう状況下での希望を持って運命を切り開くということ。
これは並大抵のことじゃない。ほんとすごいですよ。
でもこうやって世の中の明るみに出て問題が表面化する場合はいい。
多くの場合、社会の様々な信じがたい不正や歪みは隠され、
まじめな人間がいかに犠牲を強いられているか。
でもそこであきらめず、できうる限りの努力をし、
不正を正していくことが、真に公正な社会への第一歩となるのだろう。
桜井君がこの映画を見て「暗闇で振り回す両手もやがて上昇気流を生むんだ」と言った意味は、
どんなに醜悪な社会の中でも、自分のできうる限りのことをすれば、
いつかいい方向に向っていくんだということだったんだ。
僕もそれを信じて、自分の活動を微力ながらも続けていきたいなと思った。
今の社会ってほんとどうしようもないじゃないですか。
名古屋刑務所の問題にしても何にしても。
でもそれじゃ本当はいけないんだってことをみんなにまず知ってもらうために、
つぶやきで批評ばかり書いている。もちろん良い対案つきで。
でもそんなことをしていてもあまりの無力さに、時々ほんと虚しくなってくる。
必死になって書いたところで所詮社会という圧倒的な壁は崩されない。
いくら理想論をふりまいても圧倒的な現実が押しつぶす。
だったら自分も現実に迎合して、批判なんかしてないで、
それこそ取材もしないでうまいラーメン店紹介する、コマーシャリズムの手先と化した方が楽だし儲かるわけじゃないですか。
でもそれじゃあいけないんだ。
自分がおかしいと思ったこと、あきらかに社会がおかしなことをしているということ、
それを訴えていくことが今はいかに虚しいことでも、
あきらめずやっていくべきじゃないか。
もちろんひとりよがりではいけないし、ただここに書いているだけではどうにもならない。
僕の基本は「まじめな人が損をしない社会を作りたい」その一点。
そのために自分が何をするか、何ができるか。 それに尽きると思うんですよ。
歪んだ現実社会に立ち向かい、希望を勝ち取ったこの「ショーシャンクの空に」を見て、
僕も希望を捨てちゃいかんなと思った。
まあこれは僕の感想であって、こんなに堅苦しく考えなくても、
ほんと借りてきて見るだけで、おもしろいというか大感動というか楽しめますよ。
この映画、超おすすめです!!!
名古屋刑務所の人も含め、刑務所で働く人間は絶対に見なあかんよ、これは。
ソナチネ
これぞ映画!北野武は天才だ!!
いやー、すごいですね。
すっばらしい映画。
ほんといい映画ってのは言葉にならないですね。
ほんと、よかったです。大満足の映画。
シーンの積み重ねでストーリーを語れる映画。
ガチャガチャしたストーリーがあるわけではなく、
むしろ単調なほどの沖縄での毎日が描かれているんだけど、
ストーリーを描かなくても、ちょっとした1シーン1シーンを描いていくだけで、
その奥にあるいろんなテーマがうちからこみあげていくような、
実にすばらしい映画ですよ。
会話も少なくわりに静かなシーンが多いし、
派手な演出も名ばかりのキャストも莫大な制作費をかけるわけでもなく、
見事に感動する映画をつくりあげている。
くだらん映画をつくってるハリウッドの監督どもは、
たけしの爪の垢を煎じて飲んだ方がいい。
僕は久しぶりに映画を見て心から笑った。
別にコメディ映画なわけではないのだが、
ほんとツボにはまるおもしろいシーンがあって、映画を見ながら一人で笑ってしまった。
よく映画館なんかでは、いかにも「観客さん笑って下さいよ」という受け狙いシーンで、
観客はそこで笑わないとつまらない映画を見ていることに気づいてしまうから、
みんなあわせたように笑ってみせるんだけど、もうぜんぜんそんな次元の低い笑いじゃない。
すごく素直におもしろくって笑えてしまうシーンがあって、
逆にそれがなんだか人間の愚かさだとか切なさだとか悲しみだとかを際立たせている。
すごく考えて作りこんでいるんだけど、それがちっともわざとらしくない。
こういう描き方もあるんだなと感心させられてしまうほど、
実に巧みに実に人の心に沁み入るようなシーン作りがされている。
北野武は歴史に残る偉大な監督だよ。
今は同時代に生きているからその偉大さがわからないけど、
死後何年たっても日本で、いや世界でもすばらしい名監督の一人として、
歴史に刻み込まれる監督だと思う。
そのぐらいすごい。
いや、もう、見るしかないですね。この映画。
絶対おすすめです。
・ぼくの神さま
「シックスセンス」で天才子役として注目を浴びた子供が、
この映画にも出ているという情けないひっぱりではなく、この映画はほんとすばらしかった。
どんな映画かはまったく知らなかったけど、
ずっと前からレンタルビデオ屋のすみに置いてあったこの映画がなんとなく気になっていた。
ただこの「天才子役」の出演のせいで、
ただそれだけを話題にするくだらん映画ではないかという思いが、ずっと借りるのをためらわせていた。
しかしパッケージ裏の説明をみると、
ポーランドを舞台にしたナチスドイツ占領下におけるユダヤ人迫害の物語と知り、
ポーランド取材に行き、アウシュビッツにも行った僕としては、
これは借りねばと思って借りてきたのだ。
ナチ占領下のユダヤ人迫害をテーマにした映画は結構多いとは思うのだが、
下手をすると「ユダヤ人=善」「ナチス=悪」という、
単純な善悪二分論的ストーリーになってしまうと、
訴えかけるもの、考えさせられることが少なくなってしまうし、
下手をすると「かわいそう」的な、自分が彼らよりは絶対に優越的な立場にあるという、
見下した「同情感」による「感動」のはき違い映画になりかねない。
(これは障害者をテーマにした映画もしかり)
しかし、この映画、すごく考えさせられること、訴えかけてくるものが、
直接的な「ユダヤ人迫害」シーンを扱っていないだけに、
よりリアルにその行為の影響力の広さを考えさせられるのだ。
「子供は大人の映し鏡」
そんな映画だ。
ポーランドの片田舎に預けられたユダヤ人の子供と、
そこに住む子供たちの物語を中心にしているんだけど、
単純にその「ユダヤ人の子供」がいじめられるなんていう話ではまったくない。
「戦争」や「迫害」といったことがわかっているようであまりわかっていない、
でも大人の行動からなんとなくその異常な社会状況を感じ取った子供たちが、
その中でどう生きていくかということがすごくよく現れている。
特に「宗教ゲーム」からはじまった「イエスごっこ」。
7才のトロという子供が「世界平和」のためにこの「イエスごっこ」に、
奇怪なまでにのめり込んでいき、
その異常行動はある意味ではカリスマ的な神性を帯びてくる。
そのあまりに痛々しい行動が、社会の歪みをダイレクトに反映させている。
(ちなみにシックスセンスの天才子役の演技なんかより、
このトロを演じる子役の演技の方がはるかに素晴らしい)
またユダヤ人を強制収容所に連れて行く「汽車」と、
この田舎の町に住む子供たちのかかわりも、実に興味深い。
汽車から飛び降りて逃げ出すユダヤ人とそれを見にいく子供たち、
そして逃げたユダヤ人を脅して金品を奪い取る子供・・・
あまりに衝撃的なシーンは、ユダヤ人を脅して金品を奪い取る子供を、
ある子供が銃で殺してしまうところだ。
確かに悪いことを続ける子供を許せない気持ちはわかるが、
小さな子供がまるでナチがユダヤ人をいとも簡単に銃で殺してしまうように、
ためらいもなく銃で人を殺してしまう行動のバッググランドを考えざるを得ない。
この子供たちの世界に1つの広がりを与えているのが、教会の神父とのかかわりである。
中盤に出てくるシーンで、僕が印象を受けたところが、
神父がパンの端っこは祝福していないから食べていいとユダヤ人の子供に勧めた時に、
その子供が「僕らは祝福されていない端っこなんですか?」
みたいなセリフをいう場面だ。
神父は誰もが神に祝福されているというが、
祝福されていない人々もいるというユダヤ人の子供の言葉が、
あまりにリアルに戦争当時の現実を語っている。
祝福されていない端っこという言葉がすごく印象に残った。
さてさてこの「端っこ」がキーワードだと思った僕だったが、
なんと原題をよくみるとそれは当然だった。
邦題は「ぼくの神さま」だが、原題は「EDGES OF THE LORD」。
まさしく「神の端っこ」ということがテーマなのだ。
神は人類を祝福してくれるはずなのに、祝福されない人種がいる。
それがまさしくタイトルに現れている。
邦題の「ぼくの神さま」というタイトルだと、
むしろ異常行動により神性をまとった子供「トロ」を主人公にした映画という想像が働く。
まあそれはそれで外れてはいないし、
思いあがった天才子役より、この映画で圧倒的に演技がひかり、
かつ社会の歪みを特殊な感覚により宗教的悟りに至る、
この映画で最も重要な役割である「トロ」を主人公にする見せ方もあるとは思うんだけど、
原題と邦題のあまりに開きにちょっと問題だよなと思わざるを得ない。
やっぱり「端っこ」という言葉がこの映画では常にテーマになり続けているし、
だからこそ主人公が「トロ」ではなくユダヤ人の子供になるわけだし。
でもほんとこの映画はすばらしかった。
社会の歪みをもろに影響を受けてしまった子供たちの思想や行動。
そして神性をまとったトロが、最後に近いシーンで、
自ら強制収容所行きの汽車に乗り込んでしまう、あの輝かしいまでの異常行動は、
罪深き社会の奥深さを感じずにはいられなかった。
・絶対みるべし!「冬のソナタ」1
どれだけ「冬のソナタ」がおもしろいか、
私は5巻から10巻までの6巻12話、12時間を、
金曜日の夜20時から、翌日土曜日の朝10時まで、ぶっ通しで見てしまいました。
恋愛ドラマですよ、ただの。
それ以上の深さもテーマもない。
だけどすっごくおもしろい。
物語の展開の早さとシーソーのように揺れ動く心と、
それが周囲の人々にさまざまな形で波紋を広げていく。
恋愛を巡る中に2つの謎があることが、この物語をさらにおもしろくしている。
ただ正直いって、8〜10巻あたりの終わりに近づくにつれ、
7巻までのおもしろさよりちょっとトーンダウンしてしまう。
「え〜、そんなことないでしょう」というシーンが増えてきて、
ちょっと納得いかない部分が多く、ラストもすごく気に食わないんだけど、
でも7巻までのおもしろさはほんとすごい。
私がこれだけ熱中してみてしまうというおもしろいドラマははじめてじゃないかな。
絶対におすすめです。
さてさて、抽象的な記述をしてきたのは、ネタばれを防ぐため。
ここからネタバレ的な話になっていくので、ご注意を。
10巻全20話もあるけど、結局すべての物語は1巻の1、2話、
高校時代の物語すべてに含まれている。
ほんとこの最初の1巻だけでもおもしろい。
だっていきなり初恋していた人が死んじゃうんだから、もうびっくりですよ。
でも結局、彼がなぜ初恋の女性から逃げ出したか、その秘密が、あとの巻でも尾をひくことになる。
破れた写真、勘違い、しかし隣に写る男性の姿・・・
しかし彼の父親は誰かということが物語の大きな焦点になるのだが、
最後に大どんでん返しがあり、これにはびっくりしてしまう。
しかしそのどんでん返しがあるにもかかわらず、
彼女はフランス留学というわけのわからぬ逃げの一手を敢行してしまい、
彼もまたアメリカに帰るというわけのわからぬ逃げの一手を敢行してしまい、
結局、その結末はまた3年後に持ち越されてしまう。
これは余計だよな。
それから兄弟か否かということで恋愛を終局するかどうかという点でいえば、
チェリンがいったように愛し合ってるんだから関係ないように思える。
戸籍上の問題はないのだから、それで別れるなんてちょっと不自然だな。
あれだけ愛し合ってるんだったら突き進んで欲しいと思う。
でないとなんかすっごく不自然な感じがする。
それにしてもうまく恋愛を描いている。
完全に自分の気持ちを押し付けるだけの一方通行的恋愛の、チェリンとサンヒョク。
お互いの心が通じ合うことが恋愛なのに、
一方的に自分の気持ちを押し付けることに終始し、そのために卑劣な手段や嘘をついたりもする。
こういう現代人がいかに多いかってことを見事に描いている。
はっきりいって彼らはストーカーの一歩手前だよな。
ドラマに主演しているペ・ヨンジュンが日本に来て大騒ぎになったけど、
男の私が見る限りでもドラマの役柄の良さもあるけど、彼は格好いいなと思う。
日本に来た時のなよっとした感じではなく、ドラマに出ている時の、
しっかりしているけど優しさがあるあの表情はほんと素敵だと思う。
ドラマのロケ地が人気なのだそうだが、その気持ちはわからないでもない。
私ですらドラマを見てみたら行ってみたいと思うし。
それだけいい場所を選んで撮影されているという点もある。
「冬のソナタ」という圧倒的なおもしろさを持ったドラマ1つで、
韓国ドラマブームに火をつけたし、韓国語ブームにも拍車をかけたし、
ちょっと落ち気味だった韓国旅行にもブームが戻ってるんだろうし、
さまざまな経済効果というか社会的影響があったことは間違いない。
私も思わず、「冬のソナタ」の全話ストーリーと出演俳優のインタビューやプロフィールが載っている、
「韓国TVドラマ」と「韓国ドラマガイド・冬のソナタ」という2冊の雑誌を思わず買ってしまったほどだ。
私がミスチルインタビュー雑誌や旅行誌以外に雑誌を買うことは極めて珍しい。
そのぐらいおもしろいということだ。
このドラマを通じて見えてくる、韓国の恋愛観や家族観も参考になる。
儒教的影響力の強い韓国における親の大切さ、
どこまで今の韓国の実情を表しているかはわからないが、
結婚前の恋愛関係においては、キスさえもためらわれるような雰囲気がある。
(セックスなどとんでもないといった感じ)
アメリカ的欲望資本主義が蔓延し、性の自由化が進行していることも、
現代日本における離婚の増加や我が子に対する愛のなさ、
犯罪の少子化、親殺し、子殺しといった、あらゆる家庭崩壊の遠因になっているんじゃないかと思う。
そういう意味では、韓国も経済成長とともに性の自由化に伴う問題発生は時間の問題だと思うけど、
根強い儒教思想の定着が、犯罪防止や社会の治安維持に、
一定程度の役割を果たしているのではないかと推測される。
ま、このドラマを見ていると、
「こいつが悪いからこんなことになるんじゃないか!」と何度もいろんな人のことを思うんだけど、
とにかく最後まで熱中して見させるおもしろさがあるので、ぜひ見てみてください。
私が絶賛するドラマなんてそうないですから。
・踊る大捜査線1
さてさて夏休み大ヒット映画で、「踊る大捜査線2」がおもしろいと紹介したが、
それにはまって、今テレビの初回からビデオで借りてきて見てるんだけど、
映画版1を借りてきてみたが、いやー、すごいですね!
この夏公開の2なんかに比べて数倍こっちの方がおもしろい!
よかった。2から見て。
もし1から見ていたら、2をあんなにおもしろいとは思えなかったな。
さてさて1と2の比較という意味でここからネタバレになりますので、見ていない方は注意。
1のおもしろさ、その1。事件のおもしろさ。
2には事件自体のおもしろさが少し欠けていた。
「新しい組織」とか「リストラされた社員」だとか「ようなし」というメッセージだとか、
正直いって事件のからくりはあまりおもしろくはなかった。
別に事件はなんでもいい。犯人VS警察という構図のおもしろさではなく、
現場VSキャリア組という構図がこの映画のテーマであり、おもしろさだからだ。
しかししかし、1は事件そのものも非常におもしろいし、はっとさせられた。
それに現場VSキャリアの構図もしっかり盛り込まれ、
しかも最後の思わぬシーンでさらにはっとさせられる!
ここからもろネタバレだが、2は深津絵里が犯人に打たれるんだけど、
そんなことより1の織田裕二の刺された方が、あまりに唐突で、予想もせず、
しかも犯人ではなく犯人のお母さんという、非常に現代社会の病理を現していた。
もうそういう意味で2より圧倒的に1の方がおもしろい。
僕は2から見たから良かったけど、もしかしたら映画1のおもしろさを見て、
それと同様の期待をしていると、もしかしたら、
「なんだ、2もおもしろかったけど、前作の方が良かった」って感想を抱く人、多いんじゃないかな。
ほんと読書にしても映画にしても見る順番を間違えると大変なことになる。
「かつて標高四千メートルの、これ以上青くしようのない真青な空の下で暮らした。
あれ以来、下界に降りて、いかなる土地に行っても
空が濁って見えるという宿病を背負ってしまいました。」
メメント・モリ〜藤原新也著より
つまりこれを映画におきかえると、最もおもしろい映画をはじめに見てしまうと、
それを基準に「おもしろい、つまらない」を考えてしまうから、
他の映画がたいしたことないように見えるという可能性がある。
そういう意味で今回は2から見て1を見たおかげで、
先に標高の低い空(映画2)から見て、次に標高の高い真青な空(映画1)を見たから、
両方おもしろかったと思えたんだろうな。
この藤原新也の言葉はほんと身にしみてよくわかる。
ラーメン探訪をしていても、味噌一とか青葉とかおいしい店の味をすでに知ってしまっているから、
その後、多少おいしい程度では感動できないんですね。
それ以上、おいしい味を先に知ってしまっているから。
ま、そんなわけで、踊る〜2の方を否定はしないし、あれはあれでおもしろかったけど、
1の方がはるかにおもしろかったので、1を見た人はあまり期待しすぎて見にいかない方がいいかもしれんな。
ほんと1は、このかさこさんが泣きました。そんぐらい奥深くおもしろかったな。
・弁護士・灰島秀樹
踊る大捜査線シリーズで、昨年の映画「真下正義」「室井慎二」の、
あのとんでもないできそこない映画にがっかりし、
所詮はフジテレビが儲けるために、主役(織田裕二)なしで映画化しただけだと思っていたのだが、
さらにその亜流ともいえる「弁護士・灰島秀樹」が10/28にテレビでやっていたのだが、
素晴らしい最高傑作ドラマだった!
こんな素晴らしい作品こそ映画化すべきなのに。
ゲーム好きで金がすべての凄腕弁護士。
室井慎二では悪役的な感じとして登場したのだが、今回は彼を主役にしたドラマ。
ほんとこの作品がおもしろいのは、
徹底した社会のリアリズムに基づいて、最高の皮肉をきかせながらも、
機械にはなりきれない人間の弱さとか醜さも見事に描いていることだ。
・・・ここからネタバレ注意・・・
千葉県の田舎を舞台に、
・国と国会議員と県議会議員
海洋博覧会というハコモノ巨大プロジェクトで儲けようともくろむ。
・地元住人
環境保護を目的に海洋博覧会開催反対。
・プロ野球球団を買収した若手IT企業社長
ここにテーマパーク建設予定だったのに、
国から横槍が入ったので、海洋博覧会を潰したい。
そこでIT社長が博覧会潰しのために、報酬1億円で灰島弁護士に依頼。
ここでおもしろいのは、それぞれどの人たちも自分の利害しか考えていないこと。
それがありありと描かれていることだ。
・環境保護反対といいながら、国からの賠償金をせしめたいだけの住人
・地元住人に協力するふりをしながら、テーマパークのIT社長とつるんでいる議員
・何が何でも海洋博覧会を実施したい国会議員とその取り巻き
・報酬額で寝返る弁護士
単に国のハコモノ行政批判だけにとどまらず、
単に「環境保護」という「正論」を押し付けるのではなく、
そこに取り巻く人間の本心の醜さ・本音をこれほど巧みに描いた作品は見事だと思う。
そして、金がすべて、ゲームに勝つことがすべての灰島弁護士が、
母の面影を感じた石田ゆりこに「ほの字」になってしまい、
報酬額より彼女の思いの実現のために奔走したかと見せかけて・・・。
最後は、灰島弁護士が国の弁護をして、
縮小案という折衷案を提案し、地元住人の飲ませることで、報償額2億円をせしめるという、
見事な立ち回りで終了する。
・現実にはあり得ない美談で終わりにしないリアリズムへのこだわり。
・勧善懲悪的な単なる二元論ではなく、そこに渦巻く様々な思惑をあぶりだしていること。
・ゲームオタク・金がすべての弁護士にも人間としての弱さがあること。
本当に見事な圧巻作品という他はない。
こんな素晴らしい作品をテレビの特定時間に放送するという、
相変わらずの時代錯誤なフジテレビのやり方は愚かだなと思うが、番組制作力は素晴らしい。
ネットテレビでやるとか考えればいいのに。
ちなみにウィキペディアによると、このモデルとなったのは、
名古屋騒擾の「愛・地球博」であるらしい。
天空の城ラピュタ
もう何度となくみたこの映画。
また見たくなって借りてきて見たが、ほんと素晴らしい。
上映されたのは1986年だが、これほどの最高傑作映画を、
以後、見たことがないといっても過言なほど、素晴らしい作品だと改めて思った。
1:単純な「善悪二分論」ではない点
この映画のおもしろさのヒケツは、アホなアメリカ映画のように、
善玉と悪玉の単純二分論による戦いになっていないことだろう。
「悪」であるはずの海賊は、途中から主人公たちと行動をともにするようになるし、
「善」であるはずの政府軍隊が主人公たちを圧倒的な力で追い掛け回す。
ところがその政府も一枚岩ではなく、
何もしらないただの軍隊とラピュタ人の生き残りであるムスカとは、
行動をともにしていながら、まったく目的も違い、最後には仲間割れをする。
こういう複雑な人間関係が見ていてすごくドキドキさせるし、ストーリーの奥深さを感じさせる。
2:ファンタジー世界の作り込みのすごさ
ストーリーは現実にはない「空想」の世界でありながら、
その世界の作り込みがしっかりされているので、
嘘くささを感じさせず、どっぷりその世界にはまりこんでいける。
ラピュタにまつわるストーリーの作り込みもしっかりしているから、
まるで現実世界のどこかにそのような話があってもおかしくないんじゃないかと思わせるぐらい、
映画の世界観がしっかりしているので、自然に見れる。
これはほんとすごいですよ。
3:テーマのすばらしさ
テーマもほんといい。
圧倒的な科学の力を持ったラピュタ帝国の島、
それでいて不思議と島は「自然」や「動物」や「心」を大切にしているさま。
シータが「なぜ滅びたか」について、古い歌を持ち出し、
しっかり根を張らなければ生きていけないという言葉。
パズーとシータの少年少女ならではの、純粋な冒険心や「愛」や勇気。
すごくテーマは深いんだけど、そういうことを感じさせずスカッと見れる心地良さをあわせもっている。
4:場面の多様性と音楽のよさ
実にいろいろな場面が出てくるのも特徴。
パズーの町、列車で逃げるシーン、地下鉱山、軍隊の要塞、海賊船、ラピュタなど、
それぞれの舞台がそれぞれの魅力を持ち、場面の多様性が飽きさせない。
それに基づいて効果的に使われている音楽もすばらしく、映画のシーンによくマッチしている。
5:総論
とにかくすばらしい。
ほんとにいい映画ってぐたぐたこうして書く必要がない。
何度も見てストーリーを覚えてしまっているのに、
またハラハラドキドキしてのめりこんで見てしまう。
この魔力は一体なんだ?
映画としての完成度、ストーリーやテーマの作り込みのすごさが、
見るものをその世界にどんどん惹き込んでいくんだろうな。
見終わったあと、あまりのおもしろさに、
こんなおもしろい映画と他の「多少」おもしろい映画を、
同じ5つ★ランキングにしていていいんだろうかと疑問に思わせるぐらい、この映画はズバ抜けておもしろい。
大人も楽しめるけど、子供が見たら夢を持たせることができる映画だなと思った。
私の頭の中の消しゴム 韓国映画
素晴らしい!
私は映画で泣いたことはありませんが、
この映画みて、涙を必死でこらえなくてはならないほど、
素晴らしい映画です。
ネタバレできるだけしたくないんで、具体的なことは書きませんが、
おすすめです。ぜひ見てください。
この映画みて、主演している男優も女優もどっちも素晴らしい演技。
韓国映画界の層はあついなとか思いました。
難しい役柄をわざとらしくなく、見事にはまっていて、
ぐっと映画の世界に引き寄せてくれる、素晴らしい演技でした。
シュリ
★★★★★
素晴らしい!
韓国で空前の大ヒットをした理由がわかる。
南北分断というテーマの重さを見事に描いている。
ぜひ見ていただきたい、おすすめ映画。
<ここからネタバレ注意>
この映画で最もよかったのは、
テロの動機である。
北朝鮮の特殊部隊が韓国に侵入し、
液体爆弾を盗んでテロを計画するんだけど、
その最終目標が、なんと南北両大統領の暗殺。
単に北朝鮮が韓国をのっとるという話ではなく、
南北分断になっているのは、北朝鮮の政治家も悪いという、
だから両政治トップを抹殺しようというのが実に斬新だ。
特殊部隊のテロ首謀犯がこう語るのが印象的だ。
「北朝鮮では、草や土まで食っている。
娘たちはたった100ドルで国境の売春街に売られていく。
南北交流サッカー試合なんかやったって意味がない」
韓国の豊かさと北朝鮮の貧しさ。
南北統一悲願の気持ちは変わらないけど、
その意味するところが両国民にとってまったく違う。
テロは阻止されてしまうけど、
もしテロが成功し、金正日とおぼしき人間が抹殺されれば、
北朝鮮人民の塗炭の苦しみは解放されるきっかけになったんじゃないか。
やり方はあきらかにまずいが、
そんな気がする。
そう考えると、特殊部隊が何もわざわざ失敗する危険性を犯して、
わざわざ韓国に侵入してテロを起こすより、
北朝鮮内で金正日を暗殺し、クーデター起こして、
南北統一した方がよっぽど成功率高いような気はするのだが、
まあそれはさておき、ほんとにおもしろい映画です。