ギタリスト・長田秀人 かさこワールド メリログ応援サイトトップ

・ギタリスト・長田秀人インタビュー(2007.5.10up)

メリログ・ギタリスト、長田インタビュー
バンド、メリディアンローグのギタリスト、
長田さん(24歳)のインタビューを行いました。
メリログメンバー3人の中では、
最も発言の少ない“目立たない”存在に「徹している」彼の話は、
ボーカル涼さん、ドラマー海保さんの2人に比べて圧倒的に露出が少ないだけに、
ファンには興味深いことと思います。
また、個性の強いメンバー2人には負けない、
音楽に対する想いや経験があるので、
まだ何者でもないけど何者かをめざしたい若者にとっても、
興味を惹く内容だと思います。(2007.4.25)



●1:路上ライブで3万稼いだ高校時代
メンバーで唯一、地方出身で、現在は上京して一人暮らしをしている長田氏。
出身は静岡県御殿場市。
静岡の中心部からかなり離れた場所で、
むしろ東京・神奈川の方が近いぐらいの場所だが、
とはいえ東海道本線ではないため、さすがに通勤圏とはいかず、
いわば関東と東海の間に挟まれたエアポケット的な場所だ。
“中途半端な”場所といってもいいかもしれない。

そんな彼がギターをはじめたのは中学生の頃から。
本格的にバンドを組んではじめたのは高校生の時からだ。
高校は進学校のため軽音楽部はなかった。
なんとしても音楽をやりたかった彼は、
音楽をやりたい学校仲間を集めて、先生にかけあう活動をしていた。

「学校に軽音楽部を作る活動のリーダーとして、
会議室にずらっと並んだ先生たちの前で、
なんとか軽音楽部を作ってもらうようプレゼンしていたりしたんですよ」
ライブでの印象から受ける彼とはまったく違うイメージだろう。
おとなしそうで他のメンバーと違い、
音楽に対するアツイ想いをプレイ以外ではほとんど見せないだけに、
高校の頃から音楽に駆ける想いの強さと行動力には感心した。
ホントに音楽が好きで、そしてやりたいんだなと。

残念なことに軽音楽部設立は認められなかったものの、
外バンドとして活動することになる。
意外なことにその頃は、ギターだけでなく、
ドラムもボーカルもベースも一通りやった。
「いろんな人とバンドを組み、友達の家で練習したりして、
地元の一軒しかないライブハウスでライブをやってました」

いろいろな楽器を弾き、いろいろなバンドを組む中で、
彼が高校時代最も長く続いたバンドが2人組のユニットだった。
ちょうどその頃、「ゆず」や「19」が流行っていて、
アコースティックギターのユニットを結成した。
作詞はボーカルが、作曲はギターの彼がしていた。
「御殿場から静岡に出て路上ライブをやったりしてました。
その時、1日のライブで最高3万円稼いだことがあるんですよ」

お金を入れる缶をおいて路上ライブをやっていた。
御殿場から静岡に出るというのはある意味では「上京」に近い。
御殿場という「田舎」から高校生の2人が、
「みくりあ」というかつで御殿場を意味した地名をユニット名にして、
静岡という「都会」に出て路上ライブを行い、
3万円稼いだことがあるというのは、
かなりの実力がなければできないことではないだろうか。
「その日はファミレスに行って稼いだお金で、
テーブルいっぱいに料理並べて喜んでました(笑)」

思えばメリログが路上ライブで下積みをして飛躍を遂げたが、
メンバーでいち早く路上ライブを行い、
その感触をつかんでいたのは長田氏だった。

「本気で音楽をめざすなら路上からやるべきだと思います。
ライブハウスってある意味、ジコマン(自己満足)に過ぎない。
来てくれる人もライブ好きの人ばかりだし。
だから趣味のバンドで終わっちゃう。
でも音楽で食っていきたいなら、路上で一般の人に聴かせて、
それで受け入られるかどうかを試すのが重要だと思います」

ライブハウスでやればライブ好き、音楽好きの人が来てくれる。
でも路上では必ずしもそうではない。
自分たちから“いい音楽”を投げかけない限り、見向きもされない世界。
だからこそ路上ライブは、プロをめざすなら必要不可欠だと考えるのだろう。

●2:ギタリスト優秀賞が音楽の道への確信に
彼は高校まで御殿場で暮らし、
推薦で拓殖大学政経学部に入学を機に上京。
といっても拓殖大学の1・2年生は八王子キャンパスのため、
「東京」とは名ばかりの、ある意味では御殿場に似た多摩で、
一人暮らしをはじめることになった。

音楽で食っていきたいと漠然とした想いを抱いていた彼が、
音楽の道を志すきっかけとなったのが、
ティーンズ・ミュージック・フェスティバルだった。
ゆずや19の影響でアコースティックギターをしていたが、
やっぱりエレキギターの方が好きだなと思っていた彼は、
大学生になってからはエレキギターでバンド活動をしていた。
リーダー格だった彼は御殿場のバンド仲間を八王子に呼んで、バンド活動をしていた。
そして大学1年生の時に静岡大会に出場した。
バンドは入賞したなかったものの、
個人賞で最優秀ギタリスト賞を受賞した。

「ギタリストとしてこの先もずっとやっていきたいという想いが、
人に認められたことで確信に変わりました」
単に夢を語り、夢をめざすだけなら誰でもできる。
でもそれを行動に移さなければ意味がない。
大会に出場し、結果を残した彼は、
音楽の道、それもギターでの道をこの時に決めたのだ。

メンバーの考え方の違いなどもあり、そのうちバンドは解散に。
大学で軽音楽部に入ったものの、上下関係が厳しく、
音楽関係以外で気を使うことが多いのに違和感を覚えていた。
「音楽をやりたくて軽音楽部に入っているのに、
音楽をきちんとやれない状況に、
『俺はこんなことしたいために軽音に入っているわけじゃない』って思い、
軽音楽部を辞めることにし、外バンドでの活動をメインにするようにしました」

一口に「音楽をやる」といってもみなそれぞれ動機が違う。
大学での単なる暇つぶしなのか、本気で音楽の道をめざしたいのか。
部活ごっこのような本質のない活動に、
音楽で成功したいと思っている彼は肌に合わなかったのだろう。
その後は、ライブハウスのメンバー募集などを見て、
いろんなバンドを渡り歩くことになる。

●3:本気でプロをめざすメリログとの出会い
そんな彼が転機となったのが、2003年、大学3年生の時のこと。
ライブハウスのメンバー募集でメリログを知ったのだ。
「メンバー募集のチラシが他と違ってかっこよくって、応募してみたんです」
そこで彼がメンバーと会って感じたのは、
今までのバンドにはない「本気度」だった。

「『音楽で食いたい』って言うだけの人はいくらでもいたし、
いくつもそういうバンドを見てきたけど、
本気で音楽で食おうと思って行動しているバンドはメリログがはじめてだった。
メリログにギタリストとして参加し、プロ志向のある彼らと、
音楽をやっていきたいと思ったのです」

彼が入った後、ギター、ドラマーがやめ、
ボーカル涼、ドラマー海保、ベース川之上、ギター長田の4人体制となる。
(現在はベースが脱退し3人体制)

「人間的にもこいつらすごいと思ったはじめてのメンバー」と彼が言うように、
自分とは違った個性がメンバーにあった。
「ここまでこだわるかというほど、とことんつめる涼さんの姿勢や、
いろんなアイデアに富み、行動力があり顔が広い海保さんの姿勢は、
ほんとすごいと思います」
3人別々にインタビューして思うのは、メリログメンバーは、
実に三者三様だということ。
似ているようで似ていない。似ていないようでどこか似ている。
音楽でプロをめざす姿勢は誰もが共通しているが、
その表し方が違い、それぞれの役割がまったく違う。
作詞作曲を手がけ音楽を作るボーカル涼。
営業活動やライブでのアイデアなど行動力に富むドラマー海保。
そして、淡々とギターをこなす長田。
「みんなが違う個性を持っているので常に刺激を受けます。
いい意味でメンバーをライバル視できて、
音楽的に切磋琢磨できてるんだと思います」

●4:大学3年ですべて単位を取得し、音楽生活へ
「音楽で食いたいと思っていたんで、
卒業後しばらくはアルバイトしながらの苦しい生活を覚悟してました。
でもいきなりそんな生活に切り替えるのは難しいと思ったんで、
大学3年生で全部単位をとってしまって、
大学4年生から慣れのために、音楽とアルバイトの生活をはじめたんです」

仕送りのある大学4年生のうちに、音楽とアルバイトだけの生活リズムを作っておき、
卒業後に備えるという彼の計画的な行動をしていたことを聞いた時、
本気で彼は音楽で食っていくことを考えていたんだなと思った。

就職したくないし、音楽は楽しいし、
バイトでもそれなりに食っていけるからみたいな、
惰性でのフリーターではない。
よくフリーターについての議論であるけど、
しっかりした目的を持って、その夢のためにフリーターになる人と、
何もやることもなく就職したくないからフリーターになってしまう人と、
2タイプいるが、彼は前者のタイプだ。
夢が叶うかどうかという結果はもちろん大切だが、
フリーターになったプロセスの違いは、
フリーター論や若者論を語る上で欠かせないことだと思う。

●5:親を思う気持ち反面、母親の理解から音楽の道へ
大学卒業を前に、音楽の道に進む決意をし、
そのためのフリーター生活慣らしを行っていた彼だが、
このまま音楽の道を進むか、それとも就職するか、
一瞬だが迷いはあったようだ。
「大学に進学までさせてもらって親に悪いなという気持ちがどこかにあったので。
でも自分が本当に何をやりたいのかって考えたら答えは明確でした。
後悔したくない。音楽の道を選びました」

彼の父親はとても厳格な人だという。
大学に入れた息子が就職もせず、
食えるかもわからない音楽の道へは相当プレッシャーがあったことだろう。
彼は次男で2つ上の兄がいるが、兄も父親似。
地元の金融機関で働くまじめな人。
彼への風当たりは相当強かったに違いないと思うが、
母親が彼の性格を理解し、応援してくれた。
「昔から何かを“つくる”仕事をしたかった。
そんな自分の適性を母親が理解してくれたことが大きい」

今では父親の理解も得られ、東京で音楽をめざす彼を応援してくれてるという。
「父親も僕の活動に理解を示してくれて、
今では母親より熱い応援してくれています(笑)。
そんな親にはいつも感謝の気持ちを込めて、
毎年誕生日には必ずプレゼント贈ったりしています」

何だろう、最近、親に迎合する子供が増えたような気がする。
昔は親に反対されようが逆にそれがバネになったりして、
いい意味でわが道を行くというか、親離れ子離れができていたと思うんだけど、
少子化の影響なのか、親が子供にべったりすぎるのか、
自分の希望より親の気持ちを考える「優しい」子供が多いせいなのか。
親のことを考えて進路を変えてしまう若者も多いのではないか。

もちろん親を大切に思うことが重要だけど、
なんでもかんでも親の言う通りにすることで、
親も子離れできず、子も親離れできず、
いつまでたってもどちらも子供みたいな、
自立ができない人が多いのではないか。
ただ両親双方から反対されたらそれはそれで不幸なことだけど、
父親と母親の役割がうまく分化すれば、
長田氏のように夢への道を選び取れることができるんじゃないか。
夢が成功するかどうかではなく、
本人があとで後悔をしない人生を考えた時、
親が子供の足を引っ張らず、子供も親を過度に気にせず、
自分にとって幸せとは何かを考えてほしいと思う。

●6:自分なりのギタースタイルを求めて

ギタリストとしての彼の腕は、メンバーが何より認めている。
涼さんは作曲を完全に作り込む中「ギターだけはまったく入れず、長田にまかす」
といっているように、ギターのフレーズは長田氏がつけている。
「涼さんが作った曲を聴いて、
はじめに感じたインスピレーションを大事に、
ギターのフレーズをつけていくんです。
音楽やっている人にはわかると思いますけど、
曲が呼んでるフレーズっていうのがあるんですよね。
それを弾いて曲につけていく時って、
神が降りてきたみたいな感覚なんです」

曲が呼んでいるフレーズを再現するには、
「初動を大切にする」ことを心がけているという。
曲を聴いたはじめの印象から受けて奏でるフレーズこそ、
その曲に最もふさわしいものなのではないか。
「弾こうと思えば何パターンでもできてしまうけど、
最初の感覚が一番いいんじゃないかと思っています。
行き詰った時には理論に立ち返ってつけることもありますけど、
ほとんどは感覚ですね」

そんな彼がめざしているギターのスタイルは、「ギターに感情をこめる」こと。
「ギターソロを聴いただけで泣いてしまうような、
そんなギターが弾けたらといつも思っています」

とはいえ、ギターの自分なりのスタイルができたのはつい最近だという。
「メリログに入ってしばらくは、自分のギタースタイルが何か、
模索していたと思います。
ギターのフレーズを聴いただけで『長田のギターだ』っていわれるような、
そんなスタイルを確立したいと。
メリログ4枚目のアルバム『アクアリウム』あたりから、
自分のスタイルができてきたと思います」

彼のギターへの飽くなき向上、それは、毎日欠かさない練習だ。
言ってみれば練習の虫。
「結局、何にしてもそうだと思うんですけど、
日々の積み重ねに尽きると思うんです。
毎日コツコツ10分でもいいからやること。
それが最終的には結果につながる」

彼は高校時代、バスケ部に1年間いた。
その時、彼は部屋にバスケットリングをつくって、
100本シュートを決めなければ寝ないと決めたという。
自分がこれと決めたらとことんやり抜く姿勢が、
彼のギターの技に磨きをかけている。
当たり前のことと言ってしまえばそれまでだが、
誘惑も多く豊かな社会で、継続して努力することは、
言葉で言うほど簡単ではないはずだ。
実際にそれをやるかやらないかで、その差はどんどん開いていく。

●7:思いつきで九州へ旅に出る
4枚目そして5枚目のアルバム「マクロポリス」で、
自分のギタースタイルを確立できたと思った彼だが、
2006年の夏、どこかで行き詰まりを感じ、
突如、九州へ旅することを思いついた。

「単に本場の九州ラーメンが食べたい!っていうのが、
はじめの動機だったんですけど、
ギターにも何か行き詰まりを感じていて。
ギター1本手にして5日間、福岡旅行に行ってきました」

野宿したりマンガ喫茶に泊まったりしながら、
毎食のように本場の安い九州ラーメンを食べて感動していた傍ら、
福岡の路上はどうなっているか興味があり見に行った。
「弾いている人のところに飛び込みで参加してセッションしたり、
路上でがんばっている多くの人を見て、いい刺激になりました。
俺もがんばらなければって思い、東京に帰ってきました」

せっかくの一人旅。
何か日常とは違うことをしたいと思い、
御手洗という場所に行って滝に打たれてくるなど、
妙な(笑)、非日常体験をしてきたという長田氏。
一見するととてもそんな活動的には見えない彼だが、
内に秘めたエネルギーと、思い立ったらすぐやる行動力を、
彼は持ち合わせていた。

「最近、思いついたことはすぐやろうって決めているんです。
『後でやればいい』って思うと、後回しになってしまい、
結果、やらなくなってしまう自分の性格がわかっているので」

成功する人には必ず行動が伴っている。
ぷらっと九州に行ったり、その場でセッションに参加したり、
考えるよりまず行動すること。
行動すれば何かが起きる。
行動を厭いながら、愚痴だけは立派な若者が多いだけに、
彼のそのフットワークの軽さは見習うべき点だと思う。
彼は行動を心がけるようにしているのは、
弱いもう1人の自分に負けてしまえば、
そこで成長はとまってしまうという危機感があるからだろう。

●8:ライバルは他人ではなく常に自分
「いつも自分と戦っている」という長田氏。
「わりと自分を“いじめる”のが好きなのかも」というように、
自分にハードルを課し、苦しい思いをして、
それを乗り越えた時の快感をどこかでいつも求めていた。
「自分の中で常にもう1人の自分がいて、
コイツには絶対負けたくないって思っている」
自分と戦っているそんな性格に時折、嫌気がさす時もあるというが、
それを乗り越えた時に見えてくるものがあるから、
やり続けることができる。
何でもラクして何かをしようって発想ではなく、
何かを成し遂げるためには、苦労は避けて通れないという彼の考え方が、
ひたむきな音楽への姿勢となって表れている。

自分との戦いという言葉が出てくるとは意外だった。
得てして若いうちは、自分より目に見える他者を、
ライバル視したり、比較することが多い。
それが悪いわけではもちろんないが、
下手をすると、井の中の蛙になってしまいかねない。
近くにいる低い相手をライバル視し、
それよりよければ大満足みたいなことになると、
成長がとまってしまう。

多分、どんなことでもそうなんだと思うけど、
最終的には自分に勝つか負けるかですべてが決まるような気がする。
自分がどれだけ成長し、掲げる目標に近づけるか。
その原点こそが、自分が自分に負けないこと。
豊かな社会の今、自分の追い込み、自分との厳しい戦いをしなくても、
そこそこの満足やそこそこの快感は巷にあふれている。
そんな状況の中で、ひたむきに自分と戦うことができるか。
若者が夢ややりたいことが持てないのは、
もしかしたらこうした社会状況も大きいのかもしれない。

でもそんなことでは味わえない、自分との戦いをはじめれば、
大きな満足や大きな快感を得ることができる。
たとえばイチロー選手とかトップアスリートって、
自分に課すハードルが高く、どこまでも自分との戦いを続けることで、
常によりよいパフォーマンスを出すべく進化している。
誰かに勝てばいいということではなく、自分に負けないこと。
それはとても大事なことだなと、
長田氏の言葉から改めて考えさせられた。

●9:社会的なことを求めている時代
長田氏から見たメリログの魅力とは何だろう。
メンバーである彼に自身のバンドの魅力について聞いてみた。
「他のバンドと決定的に違うのは詞だと思うんです。
社会的なメッセージを含んだ詞に、
共感してくれる人が多いんじゃないでしょうか。
社会的といっても直接的ではなくって、
涼さんの書いてある詞はすごく深い。
読んでもすんなりとわからない、
深く読んでいって解読していくような詞。
それがリスナーにとって、
社会について考えるきっかけになっているのではと思います」

まさに長田氏の言う通りだなと思った。
暗喩隠喩を巧みに用いた、わかりそうでわからない、
独特の詞の世界は、今の社会の問題を、間接的に巧みに描いていて、
それを音楽という聴き心地のよいものから耳にし、
それを解読していくような楽しみがメリログにはある。
だからやみつきになるファンが多いのかもしれない。

「恋愛を歌ったバンドはいくらでもある。
でももしかしたら社会的なことって、
すごく今の時代に求められていることなのかもしれません。
でもそれがあんまりない。
だからメリログを好きになってくれる人が多いのかもしれません」

それは私がホームページを更新していても思うこと。
意外とといったら失礼かもしれないけど、
今の若者はすごく日本の将来、自分の将来に不安を持っていて、
実はすごく社会の問題に目を向けている。
でも政治や社会について発言すると、変に浮いてしまうことあり、
またそんなまじめな話題を振りかざすことがはばかられる。
でも実際はすごく興味があり、ニュースや新聞を見ながら、
日本の社会を憂いている。
そうした気持ちを汲み取る形で、
私の毒舌社会批評であったり、メリログの社会的な詞であったり、
はたまたミスチルの社会的なメッセージに共感する人が多いのかもしれない。
かつての時代のように、政治社会運動のような、
集団主義による社会的活動の実効性にどことなく愛想をつかしている今の若い世代が、
心の中にしまっている社会的なことに共振する音楽や文章に、
一人、共感するというスタイルが意外と多いのかもしれない。

メリログにおいてはギタリストの役割に徹している彼だが、
今、次期アルバムに向け、作曲もやっているという。
メリログの曲はすべてボーカルの涼さんが手がけているだけに、
彼が作曲という話を聞いて驚いた。
「涼さんの書いた曲にギターをつけてていくのも、
ものすごく楽しいことですけど、
今、自分でも作曲したいなって気持ちがわいてきて。
次期アルバムに採用されるかわかりませんが(笑)、
何曲かつくって次のミーティングの際に持っていく予定なんです」

思えば、2007.3.21のワンマンライブで披露した新曲「スターフライト」は、
これまでのメリログにはないアップテンポのノリのいい曲だった。
「今までこのような曲調はバンドとして敢えて避けていたんですけど、
そろそろこういう曲をやってもいいかな」とボーカル涼さんが言っていたが、
今までにないメリログの曲が増えてくる過程の中で、
バンドの曲として採用されるかどうかは別として、
長田氏の作った曲が、いい意味でバンドに刺激を与え、
いろいろな方向性、可能性を導くきっかけになるかもしれない。
次期アルバムがますます楽しみになった。

●10:“ギターヒーロー”をめざす
今は音楽一筋、ギター一筋の彼だが、
何かとはまりやすい性格で、1つのことをはじめると、
それに熱中するタイプのようだ。
「小学校の時は映画好きで毎日のように映画を見ていました」
大好きな映画の1つ「バックトゥーザフューチャー」は、
200回以上は見ていて、セリフをほぼ暗記してしまうほどというから驚きだ。

「昔からテレビとか映画に影響されやすくって、
それを見たらまねてやってみることが好きだった」
テレビで戦隊ものがあれば自分でマントを作ってやってみるなど、
映像のモノマネが好きだったという。

映画「バックトゥーザフューチャー」を見て、
かっこよさそうだと思ってやってみたのがスケボー。
「スケボーで学校に通学するシーンとかかっこよくて、
まねてやってみようと思って。
でも難しくって挫折しました(笑)」
そんな彼が映画から次に目をつけたのがギター。
主人公がギターで弾いているのを見て、これまたかっこいいと思い、
「映画のシーンを見ながら見よう見まねで覚えていったんです」
ちなみに彼はマンガを描くことにはまっていた時期もあるようだ。
「中学の頃、結構マンガを描いていて、雑誌に投稿したりしていたんです」
ただそのうち、マンガはあくまで趣味、
ギターの方が「本業」という区分ができ、
彼はギター、音楽にはまり、今に至っている。

「いつか自分が人から憧れられる存在になりたい。
あいつがギター弾いているから、俺も弾こうって思ってもらえるような」
小さな頃、彼が映画やテレビの中の“ヒーロー”に憧れ、
彼がギターをめざすことになったように、
まるでその恩返しのために、自らの夢に託す。
「俺がギターヒーローになって、
ギターの魅力を多くの人に知ってもらい、
ギター人口をもっと増やしたい」
ギタリストらしい彼の夢は、
メリログの中で活かされるギターサウンドとなって、
いつか必ず花開く時が来るのではないか。
それまでのプロセスを見届けていきたいなと思っている。

●おまけ:バイト先のレストランで名物料理を発案?!
大学4年の時からはじめたアルバイトは、
レストラン&バーの厨房で料理をつくること。
実は、彼、なかなかの料理好きで、
音楽以外の夢は「料理店のオーナーになる」というほど。
音楽活動への理解が深いアルバイト先の店長の理解もあり、
もうこの店でアルバイトを続けて3年が過ぎている。

料理好きの彼が実はこの店のランチの名物料理を発案したという。
「夜しかやっていなかった店がランチもやることになって。
もともとステーキ中心のメニューだったんですけど、
ランチなのでハンバーグがいいんじゃないかなと思ったんです」
彼が開発したオリジナルハンバーグは、
たまねぎを先に炒めず、生のままこねて一緒に肉と焼くことで、
シャキシャキ感のある食感に仕上げただけでなく、
何度聞いても教えてくれなかった、ある隠し素材を入れることで、
おいしいと評判になり、ランチの名物料理になったという。

「音楽のことしかしていない俺にとって、
音楽以外で体を動かして料理を作ることは、
ものすごくいい気分転換になっています」
音楽生活を支えるためのアルバイトといえど、
それが自分の好きなことかどうかは、
音楽にも影響してくるのではないか。
音楽が第一だから、アルバイトは金を稼げれば何でもいいというスタンスではなく、
好きなことにこだわり、着々と自分の道を歩む姿は、
何かとてもすがすがしい気持ちにさせられた。
自分の好きなものがはっきりしていて、
それに向かってがんばっている人は、
金がろくになくても、生き生きと、そして輝いてみえるんだなと。


●ライブ情報!
2007年5月12日(土) 四谷アウトブレイク
Indies Live Event「ORGASM VOL.88」

開場 17:20/開演 17:50
前売 \2000/当日 \2500(+1Drink\500)
(出演)メリディアンローグ/Humans oul/
オルタードシステム/フウマ/有刺鉄線/Hybrid+
(サポートベーシスト・山守拓人が参加します)
(サポートキーボード・Kenji(GLASS TOP)が参加します)
写真撮影で私もライブ会場におります。
ぜひみなさんもよかったら見に来てください。

●メリディアンローグ公式サイト
http://meridianrogue.com/