映画クレヨンしんちゃん かさこワールド

大人が見てもチョーおもしろい映画クレヨンしんちゃんの全作品論評。
中にはあまりおすすめできないものもまじっているので、
私のおすすめから見てみて、ぜひしんちゃんワールドにはまってみてください。

おすすめ!!
★★★★


「嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」「暗黒タマタマ大追跡」

なかなか!
★★★
「嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」「嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード」
「嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ」「 ブリブリ王国の秘宝」

「電撃!ブタのヒヅメ大作戦」「ヘンダーランドの大冒険」

いまいち
★★
「嵐を呼ぶ!ジャングル」「爆発!温泉わくわく大作戦」「雲黒斎の野望」
「アクション仮面VSハイグレ魔」
くず

「伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ大進撃」 「踊れアミーゴ」 「歌うケツだけ爆弾」 「金矛の勇者」


しんちゃん映画の名作「戦国大合戦」が実写映画化!

■クレヨンしんちゃん映画全16作上映順・時代区分
<そこそこ楽しめる初期作品時代:1993-1996年>
△1:アクション仮面VSハイグレ魔王(1993年)監督:本郷みつる
○2:ブリブリ王国の秘宝(1994年)監督:本郷みつる
△3:雲黒斎の野望(1995年)監督:本郷みつる
○4:ヘンダーランドの大冒険(1996年)監督:本郷みつる

<原監督により生まれ変わるしんちゃん映画:1997-2000年>
◎5:暗黒タマタマ大追跡(1997年)監督:原恵一
○6:ブタのヒヅメ大作戦(1998年)監督:原恵一
△7:温泉わくわく大決戦(1999年)監督:原恵一
△8:嵐を呼ぶジャングル(2000年)監督:原恵一

<しんちゃん映画・超黄金時代:2001-2004年>
◎9:オトナ帝国の逆襲(2001年)監督:原恵一
◎10:戦国大合戦(2002年)監督:原恵一
○11:栄光のヤキニクロード(2003年)監督:水島努
○12:夕陽のカスカベボーイズ(2004年)監督:水島努

<しんちゃん映画を侮辱する暗黒時代>
×13:ブリブリ3分ポッキリ大進撃(2005年)監督:ムトウユージ
×14:踊れ!アミーゴ!(2006年)監督:ムトウユージ
×15:歌うケツだけ爆弾(2007年)監督:ムトウユージ
×16:金矛の勇者(2008年)監督:本郷みつる

「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」
いやー、実におもしろい!というか奥が深い!
というよりこの映画、ぜんぜん子供向きなんかじゃない。
むしろ大人が楽しめるようによくできている映画だ。
最近つまらん映画ばかりという方、ぜひおすすめしたい。

いきなりなぜクレヨンしんちゃんの映画を?というと、
かさこワールド愛読者の方からメールをいただいたからだ。
クレヨンしんちゃんの映画はおもしろいので、ぜひかさこさん、見てくださいと。
それで見たらその人のおすすめ通り、見事におもしろかったというわけだ。

数あるしんちゃん映画の中でレンタル最新作を見た。
この映画、ほんとすごいっすよ。
読者対象は30〜50歳ぐらいじゃないか。
この年代が見てもピリッときます。
最後の一場面なんかとってもよくって、ほろっと泣いてしまえるシーンまである。
というか、子供が見てもあんまりわからんじゃないかな。この映画。

(ここからネタバレ注意)

ユニークな舞台設定なんですよ。
「20世紀博」という古き良き日本の時代を再現したテーマパークができ、
それに大人たちがはまってしまい、遊びほうけてしまうというもの。
子供たちは置き去りにされ、大人の子供の立場の逆転現象が起きる。

21世紀になって日本は腐りきった社会で、
希望も未来もなく、ただ物欲で心を満たすだけ。
ならば高度成長時代の古き良き日本社会を復活させようじゃないかと、疑似世界を作り出す。

そんなテーマパークにはまってしまった大人を、
しんちゃんたちが助けに行くわけだけど、
すごくいいシーンが、大人が過去を回想するところ。
田舎の子供時代。上京して東京で働き出した新人時代。
恋人ができ、結婚し、そして仕事で毎日大変ながらも、
子供ができ、その成長とともに喜びをかみしめながら日々を送る生活。
確かに今の日本社会は腐っているかもしれないけど、
大人には家族という大切なものがある。
それをほっぽり出して過去の追憶にしがみついても何も生まれないことに気づく。

だからこの映画のターゲットは30〜50歳ぐらいの人なんだよね。
きっと子供に連れられた大人たちにメッセージを送っている映画なのかもしれない。
子供には20世紀の古き良き時代の話はわかりにくいだろう。

もちろん、そんなすごくいいテーマなんだけど、
しんちゃん節は健在で、すっごいくだらないギャグとかが満載で、
あっはっはと笑えるシーンもふんだんに盛り込まれている。
その辺の巧みさが実にすごいんだよね。

5ツ★ではなく4ツ★にしたのは、幾分、テーマの結論がはっきりしすぎていること。
もっとぼやかしても十分伝わってくると思うけど、
その辺は子供もわかるようにはっきりさせたからだろうか。
いずれにせよ文句なしの素晴らしい映画です。

クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡
クレヨンしんちゃんの映画の中でも最高級におもしろかった!
「オトナ帝国」に次ぐ名作ではないか。
といってもオトナ帝国のようなシリアスなテーマ性はまったくない。
とにかくバカバカしくて、爆笑連発なのだ。

しんちゃん映画でよく出てくるのが「オカマ」キャラなのだが、
今回のオカマキャラがしんちゃんと実によく意気投合していて、
その辺の掛け合いというかやりとりがすごくおもしろい。
5分に1回ぐらいは必ず笑えるシーンがあるぐらい、
とにかく笑い満載の映画で、ほんと見ていて楽しかった。

笑いに飢えている方はぜひ。
「オトナ帝国」とはまったく違う方向性の作品だけど、
もしかしたらこれぞしんちゃん映画の真骨頂なのかもしれない。
そのぐらいイチオシの作品です。


クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦
いや〜、切ない。切なすぎる。
クレヨンしんちゃん映画の中ではかなり異質の作品。
なんともいえない涙涙の感動物語です。

ここからネタバレ注意

しんちゃん一家が現れたおかげで、戦に勝ってしまう春日。
ところが、ハッピーエンドで終わるかと思いきや!!!
又兵衛が鉄砲で殺されてしまうのだ。
これはあまりに非情な結末・・・。

しかし、これでいいのだと思う。
美談を美談にしない、現実を嘘で塗り固めない、
ワンパターンの映画とはまったく違う、
無意味な死で映画を盛り上げない。
さすがはクレヨンしんちゃん、恐るべし。
ここで又兵衛を殺すとは・・・。
しかし、すべてはこれでよかったのだと思う。
でなきゃ、歴史が嘘になっちゃう。

あの最後の一点、彼を殺さずハッピーエンドで終わらせたとしたら、
この映画の価値は台無しだっただろう。
戦争がどうのとか殺し合いがどうのとか、そういう崇高なテーマは別にさておき、
彼があそこで死んでしまったこと、それがじ〜んと心にしみてくる。
そこではじめて映画の意味を考える。
ほんとよくできた素晴らしい映画です。

しかし、子供にはキツイかな〜。
いや、大人の「嘘」を見抜いている子供映画だからこそ、
この結末がよかったのかもしれない。
社会のリアルを伝えるために。



クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦
全体的にはちょっと間延びした作品だなーという感じだが、
後半の数分間とラストのブリブリざえもんのシーンは最高。
「救いのヒーロー」をテーマにしたもので、すごく考えさせられる。
それを笑い飛ばして見れるから、この映画というかしんちゃん映画はすごい。

(ここからネタバレ注意)
ブリブリざえもんの大冒険と題したその1シーン。
「宝の山」に宝探しに行くブリブリざえもんは、
途中、困っているレースクイーンとOLに出会うのだが、
宝探しで先を急ぐために無視するのだが、助けてといわれて「しぶしぶ」助ける。
その2人からはお礼にチケットとか居酒屋での引換券をもらう。

その後、3人目の少女が現れて助けを求めるのだが、
この少女はお礼に何かチケットなどを持っていなくって、
「お礼もないのに助けられるかバカヤロー」といってブリブリざえもんは通り過ぎてしまうのだが、
仕方がなくしぶしぶ助けてあげる。

この辺の「救いのヒーロー」に対する現実感のある本音を、
かわいらしいキャラでずばっというから実におもしろいわけで、
でも助けたことによる感謝の言葉が宝だったことに気づくっていうのは、
すごく自然にすっと入ってくる。
大人の偽善をしんちゃんやユニークなキャラでズバッっというところが実に爽快なわけで、
でもそれが批判だけに終わらず、理想はあきらめない姿勢がすごくいい。

全体的にこの映画はキャラが多すぎて、かつ舞台を世界に広げすぎて、
そのせいで散漫になってしまって、前半は笑いのシーンも少なく、ちょっと退屈なんだけど、
このブリブリざえもんの1シーンとそしてラストは圧巻だ。
そのためだけにでも見る価値はある作品だと思う。

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード
現実と非現実の連続性があり、見やすい作品ではある。
やや平板な感じはあるけど、しんちゃん節があちこちにちりばめられていて、
素直に笑って楽しくみれる作品。
考えさせられるといったテーマ性はないけど、
次どうなるんだろうと見ていけるみやすい作品です。

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ

基本的には子供向けかなという感じ。
無論、しんちゃん節炸裂で大人でも楽しめないことはない。
映画に吸い込まれてしまうとか、
しんちゃんが好きになった女の子が映画の人だったとか、
すぐに読めてしまうあたりがちとつらいかな。

クレヨンしんちゃん ブリブリ王国の秘宝
これも基本的には子供向け。
ただクレヨンしんちゃん版「ラピュタ」映画みたいな感じで、
結構楽しめることは楽しめる。


クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶ!ジャングル
★★
しんちゃんギャク満載パターン映画でもなく、
シリアスな現代社会批判でもなく、
なんとなくありきたりなストーリーが流れていく、
普通の子供映画になってしまっていて残念だった。

クレヨンしんちゃん爆発!温泉わくわく大作戦
★★
温泉Gメンという発想はおもしろかったが、
あとはそんなにおもしろくなかったな。
ストーリーも平易だったし、しんちゃん節のギャクも少ないし。

クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望
★★
しんちゃんギャク満載パターン映画でもなく、
シリアスな現代社会批判でもなく、
なんとなくありきたりなストーリーが流れていく、
普通の子供映画になってしまっていて残念だった。

クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王
★★
クレヨンしんちゃん映画記念すべき第一作なんだけど、
完成度はイマイチだったな。
多分、数年前、しんちゃん映画に期待してこれを見て、
「しんちゃん映画はつまらない」と思ってしまったかもしれない。
ですので、みなさん、この映画からくれぐれも見ないように。

クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ大進撃(2005年)

最新作はサイコーにつまらなかったなー。
時間なかったのかな。手抜きかな。ひどいな。
もったいないなー。しっかりつくってほしいよなー。
せっかくのクレヨンしんちゃん映画が台無しです。
半数以上はしんちゃん映画サイコーにおもしろいですが、
この映画からもしみたら「かさこさんの嘘つき!ちっともおもしろくない!」っていわれるだろうな。
これ、大人がつまらないだけじゃなく、子供もつまらなかったんじゃないかな。
多分、しんちゃん映画最低映画だと思う。
絶対みないように。

クレヨンしんちゃん 踊れアミーゴ(2006年)

ほんとひどい。ひどすぎる。
くずという言葉では表しきれないほどのくず作品。
絶対見てはいけない。
過去の素晴らしいクレヨンしんちゃん映画を侮辱する作品。
こんなひどい作品、どうやったら作れるんだろう?
ほんとひどいね。

クレヨンしんちゃん 歌うケツだけ爆弾(2007年)

しんちゃんとシロと友情と家族愛はいいが、
それを描くにしてはあまりにもお粗末でかつつまらない、
意味不明でしんちゃん節もなりをひそめたどうしようもないストーリー。
一体、しんちゃん映画のおもしろさはどこへ行ってしまったのか。

仏の顔も三度まで。

これでしんちゃん新作映画3回こけた。
こんなくだらん映画を作るのは、
過去の素晴らしいしんちゃん映画に対する侮辱以外の何物でもない。
これ以上、しんちゃんブランドを傷つけるようなことはしてほしくない。

クレヨンしんちゃん 金矛の勇者(2008年)

前3作よりマシだが黄金時代にははるか遠く・・・
史上最低のしんちゃん映画前3作よりは、
はるかにマシです。
監督・脚本が変われば、これだけ映画が変わるという証拠。

ただ残念ながら、過去の素晴らしいしんちゃん映画の数々、
かつての黄金時代と比べたら、
かなり期待はずれの作品ではあります。

「オトナ帝国」「戦国大合戦」を筆頭に、
「暗黒タマタマ」「ヤキニクロード」
「夕陽のカスカベボーイズ」「ブリブリ王国の秘宝」
「電撃!ブタのヒヅメ大作戦」「ヘンダーランドの大冒険」・・・

これらの作品に比べてしまえば、
残念ながら本作も最悪期を脱したとはいえ、
かなりつまらない作品です。
これ見るなら、過去の作品をもう1度見た方が、
はるかにマシです。

早くおもしろいしんちゃん映画、
復活してくれないかな〜。