食の上海 かさこワールド

食べ物天国・上海のお話。上海にいってたっぷり食べ歩きを楽しんでくださいな。

・上海蟹


上海といえば「上海蟹」と即答するぐらい、日本人の間では「蟹」が有名だが、
上海の人は蟹のシーズンである秋にしかやっきになって蟹を食べないという。
しかし日本人に季節は関係ない。
いつ何時いっても「上海蟹を食う」ことが旅行の大きなイベントごとになっている。
まあそれはともかく、かくいう私も取材のために上海蟹を食べにいくことにした。

上海の中心地・南京東路の一本裏手にある場所に「蟹王府」という蟹レストランがあったので、
ここに行くことにした。
なんと店に入ると日本語メニューがあることにびっくり。
しかしこれは非常に便利ではあるが、「上海蟹」を頼むには単に「上海蟹1つ」といえばいいわけではなく、
重さを指示しなければならないので、日本語メニューがあっても筆談になる。
ウエイターはもちろん日本語を話せない。
重さを書いていってもらって、とにかく一番安いのを注文した。
一番軽い225gでそれでもなんと180元(2700円)!だから驚きの価格である。
まして中国の食物価を考えれば「超」高級料理であることには間違いない。

しかし、日本の蟹を想像してはいけない。
上海蟹ははっきりいって小さい。
左の写真を見てわかるとおり、非常に小さい。
はっきりいって日本の蟹を食べるように足の身を食べようとしても、足にはほとんど身がない。
そういう意味で、とにかく「蟹」好きの日本人ではあるが、
日本の蟹と比べて上海蟹を考えると失望することになる。
まったくの別の食べ物として考えた方がいい。

足に身がないとするとどこを食べるかというとほとんどみその部分である。
うらっかえしにしてぱかっと甲羅をあけると、オレンジ色をしたみそが出てくる。
これがまったく日本の蟹とは違い、すこぶるうまいのだ。
とにかくこの少量のみそを格闘しながら、むしゃぶり食べる。
ちなみに私は日本の蟹のみそはどうもあまり好きになれず、ほとんど手をつけないが、
上海蟹のみそはほんと「別物」で実にうまい。

量は見てのとおり少ないが、取りにくいこともあって、
格闘して時間が過ぎてしまうといつのまにか腹いっぱいになったような錯覚をして、
後で腹が減るという見事な図式になるわけだが、
まあ、蟹チャーハンとかそういったもの食べて腹をふくらませるのがよいだろう。

はっきりいってかなり高いし、日本の蟹のような期待はできないけど、
まあやっぱり上海に来たからには上海蟹を食べねばならないと思う人は、
かなり高額だが上海蟹を食べても一興といえば一興。
価格重視派の諸君は、呉越人家にいって蟹ラーメンを食べると、上海蟹気分を格安で味わえる。

・上海ラーメン探訪
<1>「エビカニ」麺の呉越人家
上海といえば「上海蟹」を連想する人も多いようだが、
地元の人は上海蟹はシーズン(10〜11月)にしか食べないという。
しかししかし、何も上海蟹だけが蟹料理じゃない。
さまざまな蟹料理があるので上海蟹にこだわらず、蟹を食べたい。

そこでおすすめなのがこの呉越人家の「エビカニ」麺だ(38元=約550円)。
エビと蟹の身がふんだんに入ったとろっとしたあんかけのようなものを、
透き通ったさっぱりスープとそば風の麺にかけて食べるのだが、
これがもう実に最高にうまい!
スープは日本のラーメンのようにこってりどろどろしていずに、
スープとしても飲めるような薄い塩味のさっぱりスープで、
麺はどちらかというとそばに近い感じの細麺。
そこにエビカニ身たっぷりのあんかけと一緒に食べる、
このなんともいえない絶妙な味は、ほんと最高です。

ちなみにここは麺屋として非常に上海では有名らしく、
10元(150円)ぐらいからさまざまな種類の麺があり、
また市内に支店も多いので、みつけたらぜひ入って麺を食べてみましょう。

<2>なぜか大人気の味千ラーメン
日本と中国のラーメンというのはまったくといっていいほど違うわけだが、
日本の熊本から進出した味千ラーメンが中国人に大人気。
上海一の繁華街・南京東路の中心地にあるんだけど、
日本人ではなく中国人でいついっても満席で繁盛している様子。

味は完全に日本のラーメン。
熊本ラーメンっていうのかな、とんこつでくせのある味。
注文したのは一番ノーマルな味千ラーメン15元(約220円)。
まあ上海にある日本のラーメンでは味はいいのではないか。
熊本ということだったが、そんなにくせはないし。
日本にあったら別に何度も行かないだろうが、
上海で「日本の」ラーメンが恋しくなったなら、ここがいいだろう。
ただし15元と結構いい値段をとる。
どうせなら地元の食堂に入って中国の麺を味わってほしいな。

<3>辛そうで辛くない、さっぱり麺・小紹興酒店
酸酢面といったかな(3.5元=約60円)。
※中国では「麺」ではなく「面」です。
出てきたのは真っ赤なスープ。
いかにも中国らしそうな、とびきり辛いだけのスープと思い、
おそるおそる食べてみたのだが、これがなかなかさっぱりしていて、
そんなに辛くなく、なかなかいけるお味。
さっぱり坦々面という感じなのかな。
麺とのマッチングもよく、具はそんなにないが、
適度に辛味の効いたスープと麺だけでごはん感覚で充分いける。
それになんたって、この安さ。
やっぱり中国っていいよな。

<4>行かないでください・銀座かねふく
日本の雑誌やテレビでやたら紹介されているが、
まったくたいしたことのない新天地。
そこにある映画館があるビルの下に日本料理店がある。
ここで味噌ラーメン、なんと22元(約300円)もする!
ものを頼んだのだが、まあ味はひどい。
よくある海外の日本料理店の失敗作というか、
まずかろうが日本っぽければいいというような確信犯なのか、
まったく何の料理なのかがわからない。
22元も出させるのだから、
それなりにまっとうなラーメンを出してほしい。
22元という値段は、北京の地元の北京ダック屋で1人前の北京ダックの値段相当。
それでこんなまずいラーメンを出しているのだから、犯罪的だな。