西塘 かさこワールド

・西塘夕景

上海から青浦経由で、水郷村の西塘(シータン)へ。
夕方の風情ある景色を中心にしながら、
シータンの町を写真で紹介していきます。

ホテルが決まり、早速、西塘を散歩することに。
西塘の新しい街側から一歩踏み入れると、
時代劇のセットにきたかのような、古い街並みが現れることに驚く。
最近、観光人気の水郷村で、あまり観光客が訪れない「穴場」シータンといいながら、
観光客向けのレストランやお店も意外に多いことは多いのだが、
それより何よりそこで暮らす生活臭があちこちから漂い、
羨ましいような、ノスタルジックな郷愁に似た気持ちを誘う。

現代社会が忘れ去ったもの・・・
不便な古い街並みだけど、心を落ちつける何かがここにある。

ちなみにこの後、僕らは、周庄、同里、角直など、
そのほかの水郷村を回ったが、振り返ってみれば、この西塘(シータン)が一番良かったかな。

上海からアクセス不便だけど、おすすめしたい町です。
ぜひ日帰りではなく、ここに泊まって町を楽しんでもらいたい。
泊まることによって下記の写真にあるような、日帰りでは出会うことのできない、夕景や夜景を楽しむことができるから。
日帰りではなんてことのない町も、泊まることによって旅の思い出は間違いなく一段と深くなります。
観光名所をどれだけいったか、まるで数を競うような、通り過ぎるだけの、記憶に残らない旅ではなく、
いつまでたっても記憶に残る、思い出に残る、心に残る旅をするなら、
日帰りではなく水郷村に泊まってほしいなと思います。


写真左:水郷村が広がるすぐ裏手には、普通の近代的な新しい町がある
写真中:新しい街側からこのような細い路地を行くと・・・↓
写真右:古い街並みが残された水郷村が現れる

そして古い街並みからぱっと開けた場所にでると、
このように水路を中心とした水郷村の全貌が現れる。
これがよくガイドブックに掲載している「水郷村」イメージ。
その前に、上記3点の写真のような前段階があることを伝えることで、
水郷村の特定イメージだけでなく、
水郷村の平面的なイメージをつかんでもらえたらなと思う。
夕方はなかなか絵になる風景です。









観光名所ではあるのですが、
それよりなによりここで暮らす人々がいる。
そんな暮らしの匂いがするので、
とっても新鮮に街を見ることができるのでしょう。

なんでもかんでも機能的効率的近代的な、
ひらべったい空間の都市社会に住む僕らにとっては、
水郷村のような、ある種、ここだけで完結しているような、
小さなコミュニティが、不思議と懐かしく、そして羨ましく思えるのでした。
もちろん、今の社会から考えれば、不便なことも多いし、
もしかしたら「時代錯誤」かもしれないのだけれど。




でももうあと何年かしたら、
ここで生活する人はいなくなり、単なる観光名所とだけになってしまうかもしれません。
そうなったら、いくら古い街並みが保存され、美しい街並みであったとしても、
そこに息吹を吹き込む暮らす人々の魅力が抜け落ちたものになってしまうでしょう。

でも、高度成長の「嵐」は着実に水郷村にも押し寄せます。
子供を撮れなかったのもそのせいかもしれない。
ここで生活する若者にとっては、こんな不便な古色蒼然とした村に住むより、
最新ブランドや最新機器がそろう上海などで暮らしたいと思うのは、 「当然」の時代の流れなのでしょうから。
でもこうして、その行きついた先の経済大国・日本の若者が、
失われたものをここに求めてさまよっていることも忘れてはいけないことだと思います。

もちろん、僕らはもうこのような水郷村の生活を、
羨ましく思ったとしても、暮らすことはできないのしょうが。
すっかり都市社会の汚濁に「洗脳」され、静かな街では満足できない「精神」になってしまっているのですから。


写真左:水郷村でも中国らしく、欠かせない生活の足は自転車なのです
写真中:上海の町でも高度成長の影響か、自転車からスクーターへの移行が進んでいる
写真右:水郷村の狭い路地をいくのはリアカーや自転車タクシーまでなんです。到底、自動車なんか入れっこない。
でも自動車がない社会というのは、不便だけど、非常に落ちつきがあるような気がする


水郷村の古い街並みにはこうして「古鎮特産」名物があちこちに売られている。
写真真ん中の、青豆は西塘ならではの名物らしく、店先で観光客を呼びとめ、試食させてくれる。
私も写真撮りたさにじっと眺めていると「食ってけ、食ってけ」と、
かなり執拗にいわれて、この青豆を食べてみた。
しょっぱくって、なかなかうまい。単独ではしょっぱすぎる感じがして、
お酒のつまみとして、ビールなんかと食ったらなかなかいけるのではないか。

ちなみに小さな袋づめでわずか1元(15円)である。
上海の町や空港なんかでパンダチョコやパンダクッキーを買うぐらいだったら(30〜50元ぐらい)、
西塘特産・青豆なんかをみやげに買っていった方が、喜ばれるし安いし、旅の話のタネになっていいかも。

写真右は、これも特産でチマキ。いろんな種類のチマキがある。
観光客が食べ歩きするにはなかなかいいのではないかな。


写真左:これまた西塘特産のお土産もの、ちょっとグロテスクなスペアリブみたいなものか。
このスペアリブ土産物屋は結構あちこちにあり、朝早くから夜遅くまでやっている、かなり営業熱心である。

ちなみに他の水郷村にはこれとまったく同じ物があり、
名称は違えど、それぞれ特産として土産物としてあちこちで売られている。

写真右:水郷村の特産料理としてレストランなんかでもよくある魚料理。
こうして洗濯もする水路でとったと思われる魚が洗面器にぽこっといてある光景をよく目にするが、
新鮮な魚を食べている日本人にとっては、あまり感動はないか。

海のない内陸国なんかは魚自体が貴重だから、
川や湖でとれた魚が肉なんかより結構な嗜好品になっていて名物料理かなにかになったりしてるんだけど、
日本人的感覚からいえば、好んで食べる魚料理のレベルには達していないものが多い。
ま、話の種に1つ食べてみる程度かな。

中国の場合は、高度成長にともなう、近くにある工場からの排水だとか、
かなりあやしげな洗剤だとか、そういった体に有害なものが水路に垂れ流されている可能性を否定できず、
そういった面からもあまり好んで食べたくはないかな。
昔の時代のように、水路はきれいではないのだろうから。

西塘、夜の街並み。
提灯がライトアップされていて実に幻想的な雰囲気になる。
暗くなると一部のレストランをのぞいてほとんどの店は閉まってしまう。
レストランも結構早く、19時に行ったが最後の客で、
19時30分ぐらいからは片付けがはじまる。

太陽の明るさ、自然の摂理に従った生活をすれば、
自然と夜は早く寝て、朝早く起きるという健康的な生活パターンになる。
それがきっと心のゆとりや生活の真の豊かさと直結しているのかもしれない。
深夜まで騒がざるを得ない都市社会のわれわれ世代は、
そういう意味では「便利」なのかもしれないけど、
かわいそうな世代なのかもしれない。
自然の摂理に伴う喜びや健康を失ってしまう生活を、
「当たり前」としているのだから。




写真左:夜、水郷村のレストラン。夜はまた雰囲気が違い、日帰りでは味わうことのできない情緒を楽しめる
写真右:ここでは「自慢」の魚料理は頼まなかった。
スープ(2〜3人前)、チャーハン(2人前)に、肉料理1品、野菜料理1品で、2人で30元(450円)である。
やっぱり中華料理はうまいな〜。
こうして水路すぐそばの水郷村にあるレストランで食べたから余計、おいしく感じたのだろう。
料理のうまさは、料理そのもののうまさだけでなく、店の雰囲気や店員の態度など、すべてが影響するのだから。

ちなみに僕らの料理が出し終わると、もう店じまいらしく、店員も奥でみんなで食事をしていたのだが、
喧嘩なのか、じゃれあっているのか、ものすごい口論がずっと続いていた。
そんなBGMも中国らしくて、またよろし。