のどかな世界遺産リゾート・ハロン湾〜ベトナム旅行2004 かさこワールド

1:ベイビュー・リゾートホテル
<1>
見事にバス代をぼったくられたことで、もう1つ「騙されたのではないか」と心配していたのが、
ハイフォンからハロン湾までの所要時間であった。
ガイドブックには2時間半と書いてあったが、あのぼったくり女は1時間半といっていた。
船で行くのをやめてミニバスにしたのは、時間が大きかった。
とにかく明日にはハノイに戻らなければならないので、
少しでもハロン湾に長くいたいという思いもあって、バスに変更したのだ。
所要時間まで嘘をつかれている可能性もあるよなと心配だった。

しかしそれは嘘をついていなかった。
(逆にいえば、ニンビンーハノイのバスの所要時間同様、
ガイドブックの情報がまた大幅に間違っていたということになるが、
まあそれはよくあることだから仕方がない。
ガイドブックを全面的に信用する方がバカだし、
実際より所要時間を短めに書かれると困るがそうではないし、
このような国は、道路が整備されたとか高速道路ができたとかいうことで、
すぐにこの手の情報は変わってしまう可能性があるので)

1時間ほどするとハロン湾が見えてきた。
「世界遺産」という肩書きがついてしまったから、
たいそう観光客で賑わっている観光地化された場所かと思っていたけど、
すごくのんびりとして、すごくのどかな、
港町ハイフォンなんかに比べたらはるかに田舎で、
いい意味で「活気がない」、静かなリゾート地的雰囲気だった。

世界遺産となっている海に浮かぶ奇岩群がいいかはわからないが、のどかな雰囲気の町はとても気に入った。

<2>
ハロン湾の町、バイチャイに着いたのが11時頃だった。
個人旅行なのでホテルはとっていないから、新しい場所に着くとまずホテル探しである。
ホテルそのものの設備や値段もさることながら、その町のどのロケーションに泊まるか、
というのが旅行では非常に重要になる。
それによって町の印象も違ってくるし、行動範囲も行動の仕方も変わるからだ。

バイチャイで泊まるとしたら3つの選択肢があった。
1つはバスターミナル付近。
ここで泊まれば、明日ハノイに戻る時も便利だし、
今、バスを降ろされても、すぐにホテルが見つかる。
そして、湾を隔てたもう1つのハロン湾の町、ホンガイ行きのフェリー乗り場に近いというメリットがある。
ただし、町の中心部ではないので、店が少なそうであることと、
観光するハロン湾クルーズの発着所や人形劇が行われている場所が遠いというデメリットがある。

2つ目は町の中心部。
レストランとか店が多いので何かと便利そう。ホテルも多い。
ただしバスターミナルと観光する場所の間にあり、
どっちに行くにもバイクタクシーを利用しなければならなそうだ。
(実際にはどちらも歩ける距離だった)

3つ目は観光する場所に近い場所。
すぐに観光できるというメリットがあるが、
バスターミナルから遠いことと、町の中心部からも離れているので、
ホテルもレストランも少なそうというデメリットがある。

さあて、どうしようか。
でもきっとこんな風にホテルをどこにしようかなんて、自分で現地で決めれるのが楽しいんだろうな。
まあそれを面倒と感じる人もいるだろうけど。

どの場所にしても一長一短だなと思いながらも、どこかに決めなければならないわけで、
バスの中では、一番面倒ではない、バスターミナル付近を考えていたのだが、ちょっとした思わぬことが起きた。
僕はどこで降りるべきか、バイチャイの町の様子をバスの窓から注視していたのだが、
町の中心部と思われるべき場所で、バスがとまり、
車掌さんが「あんたらもここで降りた方がいい」みたいなゼスチャーをとったのだ。
中心部でもいいかなという迷いもあった僕にとってはありがたいアドバイスで、
バスターミナル付近でホテルを探すことをやめ、町の中心部付近でホテル探しをすることにした。

ミニバスを降りると目の前に郵便局があり、その通り沿いに店やホテルもあり、
町の中心部らしく便利そうな場所だった。
すぐその脇にはビーチが広がっていて、その先にハロン湾の山々が見える。
もっと観光客で賑わっている町かと思ったら静かなので驚いた。
バスを降りても客引きは少なく、暇そうにしていたバイクタクシーが何人か声を掛けてきただけだった。
まだ昼間ということもあるので、ホテル探しに時間をかけられるので、
ガイドブックに載っているホテルに限らず、この目で見て良さそうなところにしようと思った。
1人、ホテルの客引きがいたが、時間に余裕があるので、相手にしなかった。

せっかくだから海が見えるホテルがいいなーと思う。
郵便局の隣に海が見えそうなホテルはあったが、
10階建ての中級ホテルといった感じでかなり高そうだ。
それになんとなくあたたかみが感じられない。
ゲストハウスというかミニホテルみたいなところがいいんだよなと思い、
そのさらに向こうにある、ちょっとした丘に建てられた、
海がばっちり見えそうなミニホテルをあたってみることにした。

<3>
ホテルに向って坂を登っていくと、見たことのある男が。
そう、バスを降りた時にホテルの客引きをしていた男だった。
互いに笑いあう。
客引きは「なんだ、うちのホテル、探してたんですか」みたいな笑みを浮かべ、
僕も「いやいや、むげにあんたの誘いを断ったけど、あんたのホテルだったのか」みたいな笑みを浮かべ、
そういった互いの気持ちが言葉ではなく表情で伝わる。
そういう瞬間ってのがすごく旅のおもしろいところなんだよなー。

そんなわけでその客引きの男が部屋を案内してくれる。
坂の上に2軒ホテルが並んでいて、彼いわく、
「1軒は安いホテルで1軒はいいホテル。
いいホテルのいい部屋から見てください!」ということになった。
いいホテルのいい部屋か・・・高いんじゃないかなと心配していたが、
彼が「嫌だったら次に安いホテルを見ればいい」というので仕方なくついていくことに。

ホテルの最上階っといっても3階なのだが、長い階段を登っていく。
最上階で唯一、海が見える、
多分このホテルで一番眺めのよい部屋に連れていってくれた。
「どうです?すごいでしょう。ハロン湾が一望できるし」
確かにその通りだった。眺めは最高。

「ほら、部屋に隣接したこのスペースもあなたたちのものです。どうです?」
部屋から眺めがいいだけでなく、
その隣にある広々としたバルコニースペースがすごくよかった。
ちょっとしたリゾートホテルに来たような気分だった。

でもこのホテルでは一番いい場所の部屋だ。きっと高いに違いない。
いいところだけど高ければパスだなと思い、案内されたのをいいことに、
このすばらしい部屋に泊まれなくても、
写真だけとりあえず抑えておこうなんて思っていて、
「高いんじゃないの?」とおそるおそる値段を聞く。
こんないい部屋を見せられたら、高い値段でもOKしてしまう自分が恐かったこともある。

「12ドルです」
「12ドル?!」
「2人で12ドル?それとも1人12ドル?」
「2人で12ドルです」


うっそだろうー。この部屋がたった12ドル?
彼はカタコトの英語を話していたが、なんかしゃべり間違いしてるんじゃないかと、
そのことばかりが気になっていた。
あとで値段でトラブルのは嫌なので、確認のためにノートに数字を書いてもらう。
確かに12ドルだった。

「OK!OK!」
いやー、この部屋に12ドルならすごくいいなー。ラッキーだな。まさか泊まれるとは。
値段交渉をしている僕を尻目に、妻はどうせ高いから泊まれないんだろうと思っていたのか、
バルコニーから写真をしきりに撮っていた。
妻にここに泊まることになるというと驚いていた。
しかも12ドルで。
※ニンビンやハイフォンで泊まったホテルより安い値段だった。

ちょっとしたリゾート気分を味わえる、眺めのよい部屋に泊まれることになり、大いに満足したのだった。

ただ、話に続きがある。
さらにこの客引きはハロン湾クルーズの船の手配もどうかとたずねてきた。
思ったより安く泊まれたこともあるし、この後できればすぐクルーズに乗り出したいということもあって、
この人にまかせることにし、そのクルーズ料金が1人25ドルだった。(4時間コース)
ちょっと高いような気もしたが、まあ、ホテル代金を安くしてくれた分、
ここで多少、高い金を払ったとしてもとんとんだし、
ホテルで手配すればわざわざ乗り場に行く手間も省け、
そこで交渉する必要もないので、彼の手配にまかせることにした。

2:シーフードの宝庫(1)
ハロン湾の楽しみシーフードである。
港町であることからハノイなどに比べて比較的安く、新鮮なシーフード料理を楽しめるという。
海岸沿いにはいっぱいシーフード料理レストランがあった。
なんか雰囲気としてはバリ島のジンバランとかに似ているような気もした。

クルーズ前に昼食を取る。
町の中心部近くのレストランに入る。
同じようなレストランが並んでいるのだが、店員が店前で声を掛けてくれた店にした。


「世界遺産」の観光地のせいか、英語メニューもあって助かった。
クルーズまで時間もないし、シーフードをたらふく食うのは夕食にとっておくとはいいながら、
たのみたい料理がいっぱいある。
エビ&カニ入り麺2つ、エビ入り春巻1つ、フライドポテト、ミネラルウォーター1本を注文。
この麺がね、すごくおいしかった。
さっぱりしていてきしめんみたいな感じでつるつるっといけて、そこにエビとカニが入っている。
ベトナムの名物料理でもある春巻をはじめて食べたが、おいしかったが、
日本で食べたものとは違い、皮がぱさぱさしていて、ちょっと僕には抵抗があった。
全部で10万ドン(約700円)。豪華なランチだった。

3:ハロン湾クルーズ


ハロン湾には2000あまりの奇岩が浮かび、景勝地となっている。
そこを船に乗って見て回るクルーズが観光の目玉となっている。
この写真のような船に乗ってクルーズに出掛ける。
20人ぐらいは乗れる船を貸し切りである。
乗組員は3人いて、1人は女性で船が動くやいなや、
早速みやげ売りをはじめたが、あまりしつこくなく、
僕らがまったく買わずに船の外に出て写真ばかり撮っているので、
途中、海の途上で別の船におみやげごと乗り移っていった。

まあ、それはともかく、まさしく中国の桂林の「海」版といった感じ。
桂林は狭い川の両岸にまさしくへんてこな形の山々が連なっていて、
中国イメージにぴったりのところなんだけど、
ハロン湾は川ではなく海だし、山というか岩の規模もでかいので、
スケールが大きな分、繊細さに欠けて見えてしまうというデメリットはあるが、
まあこれはこれでなかなか楽しい、海の航海だと思う。




シーズンオフなのか、町にも観光客は少なかったし、
クルーズ船は大量にあまって暇しているようだったが、
それでもあちこちに大小さまざまな観光船がはしっていた。

クルーズのコースは決まっているらしく、
4時間コース、6時間コースがあったが、
そんなにたいして違わなそうなので4時間コースにすることに。
町を離れて30分ぐらい走ると、小さな島というか岩に上陸した。






世界遺産のフラッグがたなびく島に上陸。
ここは鍾乳洞になっているらしい。
入場料を払って中へ。
鍾乳洞がすごいというより、
こうして海から見ていた奇岩の内部に、
自然の力でこのような風変わりな鍾乳洞を作り出している、
そのこと自体に感動する。
鍾乳洞自体はそれほど大きくなく、
20分もあれば見てしまえる。












鍾乳洞観光を終えると、奇岩に取り囲まれた湖のような場所に、
ボートの家のようなものが続々と現れる。
これは観光用なのか、本当に生活しているのか、
それともその両方なのかなんとも定かではないが、
こんなところにこんなもんがあるのかーと妙に感心していると、
なんとその1つに上陸することになるので驚いた。

この船と提携している「家」があるようで、
2人の乗組員はのんびり休憩していた。
それにしても観光用であろうとも、
こういう場所に降りれるというのはおもしろいよなー。
単なる自然遺産ではなく、そこに人の生活というか匂いが感じられるってのは、
単に「美しい景色」というだけではないのでおもしろいなと思った。





驚いたのは家の隣に生け簀があって、そこにカニやら魚やら、さまざまなものがいたことだ。
この中で好きなものがあれば注文すると、ここでシーフード料理を出してくれるというわけだ。
なるほどそのようにして商売をしているのかーと思いながら、
昼食はいっぱい食べたし、なんかここで食べるのも落ちつかないし、
しつこく頼めといってくることもなく、乗組員とだんらんしているので、見学だけにとどめた。



この海上「家」に少し休憩した後、再びクルーズがはじまる、
と思いきや、少しはしると今度はまた別の家に船を寄せた。
するとそこから早口の英語をしゃべる女性が出てきて、
この船を下りてなんちゃらってところに、
小舟で連れていってあげるから、
10ドルよこせということらしい。

さすがは「世界遺産」。
続々と金のかかるトラップが仕掛けられているのだなあと、
妙に関心しながら、とはいえ、
ここまできてそれに乗らないのもなんだし、
料金交渉するにはあまりに早口のさばさばした女性なので、
面倒になって10ドルでOKした。

漕ぐのはその子供と思わしき人。
2人を乗せて世界遺産の大海をボロ小舟で行く。
一体どこにいくのかと思いきや、
奇岩の中に行けるところがあって、
そこにつれていってくれた。
奇岩に囲まれた小さな湖みたいなところに、
奇岩の洞窟をぬけていく。
そこがね、外界と遮断されていて別世界みたいだった。
別に景色が素晴らしいわけじゃないけど、映画「紅の豚」の秘密アジトみたいな場所があって、
そこだけ別個の空間と静けさが広がっていて、なんだかそれがとてもよかった。
そんな場所を2つばかり訪れて、再び母船へと戻る。

そんなさまざまな「トラップ」というかオプショナルツアーを終え、
再び奇岩を行きながら、町へと戻っていく。
海から町をみると、巨大なホテルだけが異様に目立つが、
まだまだ大型リゾートホテルは建設中のものばかり。
あと3〜4年たつと、ここはものすごいリゾート開発された場所に、
なってしまうだろうなと思った。

そんなわけで4時間コースのクルーズが終了した。
ものすごい景勝地というわけでもないし、
すごいビッグイベントというか観光の目玉があるわけじゃないけど、
雰囲気を味わうにはとてもいいと思う。
時間があれば、貸切ではなくもっと安い団体クルーズなどがあるに違いない。
まあ海の散歩をする気分でクルーズするとよいと思う。

4:ハロン湾・夜の楽しみ
ハロン湾クルーズを楽しんだ後、
ここにある観光地らしい夜、楽しめる場所へと向う。
海岸沿いに作られた「ロイヤル・アミューズメント・パーク」である。
どこの国でも「テーパパーク」というのは、
たいしたことがないと相場が決まっていて、
ここも昼間、バスから様子を眺める限り、
しょうもない博物館だのギャラリーだの、公園だのがあるだけで、
よっぽどビーチのままの方がよかったのではないかという場所なのだが、
1つここでは見るべきものがある。
夜、水上人形劇と民族舞踊ショーが行われているのだ。




水上人形劇はハノイで見るつもりでいたが、ここで見られるならラッキーだ。
民族舞踊が見られるというのもうれしい。
入場料は10万ドン(約700円)と非常に高いが、
夜、ハロン湾でやることもないし、
水上人形劇と民族舞踊が見られるのなら、
行ってみる価値があるかなと思った。

劇は夜暗くなってからはじまる。
広い敷地のテーパパーク内にはほとんど人がいなかったが、
水上人形劇の会場にはそれなりの観光客がいた。
あんまり大きな感動はなかった。
(ハノイで見た方の水上人形劇の方がやはりすごかった)
まあでもついでに見れたのだからラッキーとしよう。

次に民族舞踊が行われる会場へと移動する。
ここにはかなりの観光客が押し寄せてきた。
台湾人か中国人の団体客がものすごいうるささで会場は大賑わいだ。
中国パワーはすごいなと思う。
とにかくあちこちショーがはじまる前だというのに、写真を撮ったりおしゃべりしたりで大騒ぎなのだ。




約1時間ほど、さまざまな民族舞踊ショーを見ることができた。
朝鮮系の衣服に身をつつんだ舞踊もあれば、
まるでバリ島のような舞踊もあれば、
中国チックな雰囲気の舞踊もあれば、
農民の男女をコミカルに描くものなどさまざまだった。
どれが「ベトナムらしい」のかわからないが、
さまざまな国の影響を受けてきた国だということがよくわかる。
水上人形劇よりこちらの方が見応えがあった。






5:シーフードの宝庫(2)
民族舞踊を見終えて、ハロン湾の楽しみ、シーフードの夕食をとることにする。
海岸沿いの通りにはシーフード料理店がいっぱいある。
英語メニューがあるところもあるので非常にありがたい。



店先にはカニや魚が入った水槽がある店が多い。
カニは注文しなかったが、カニ&エビ入りチャーハン4万ドン(約280円)と、
白身魚のフライ35000ドン(約245円)、オイスター(カキ)4万ドン(約280円)を注文。
日本円で考えると安いと感じるかもしれないが、食事一品に3万ドンとか4万ドンというのは、
現地の物価感覚からすれば相当高い。
でもまあとにかくうまかった。
食事の楽しみもあるし、夜、舞踊の楽しみもあるハロン湾は観光するにはおすすめの場所だなと思って、
当初予定にはなかったハロン湾に来たことに大満足した。

6:ベトナムの朝食

ベトナムの朝食は、他のアジア各国と違って、パンとコーヒーが食える数少ない場所だ。
フランス統治時代の影響か、フランスパンが日常の生活にありふれているし、
ベトナムコーヒーがあるので、コーヒーは小さな町でも飲める。

他のアジア国に行くと、大都市にあるファーストフードやそれこそスタバは別にすると、
なかなかコーヒーを飲もうと思っても飲める場所もなく、
パンを食おうと思ってもパンを売っている場所が少ない。
その意味ではベトナムのパンとコーヒー環境は、非常にありがたい。