広州 かさこワールド

・2005年5月15日 広州新国際空港は世界一最低な空港だ!

中国・雲南省・大理という素晴らしい町を訪れるために、
残念ながら何の見所もない広州に行きも帰りも乗り継ぎ一泊せねばならなかった。
広州はご存知の通り、大規模な反日デモが起きた都市である。
みどころはないが、経済都市としての位置づけは重要で、
ビジネスマンや日本企業にとっては関係の深い都市ではあるが、
得てしてこのような性格の都市に観光客は用はない。

さてこの広州の玄関口ともいうべき国際空港は、
中国が国際社会における経済成長国家としての玄関口としての威信をかけた、
大金かけたすんばらしい真新しいものが2004年夏にできた。
上海にできた新空港よりも規模がでかく素晴らしい。
まさに高度成長する中国の国家をかけての対外アピールの場なのだ。

その空港、確かにきれいだし、でかいし、広いんだけど、
実は信じられないぐらい最悪だった。


何か。ハードなインフラはそろっているのに、ソフトはまったくダメなのだ。
できたばかりのために日本のガイドブックにこの新空港の情報がほとんど載っていないので、
参考にされるとよいだろう。
また別に広州なんかに用はねえよという人にも、この空港の実態を知ることで、
高度成長しながら反日デモが起きてしまう中国のアンバランス感の正体が垣間見えてくるに違いない。

1:世界一高い空港レストラン

(左:市内の2元=30円の水餃子/右:広州空港内レストランの58元=870円水餃子 photo・yuko)

世界一をめざしてきれいな空港作ったのはいいんだけどね、空港内レストランの値段が詐欺だ。
まず行きに私は国内乗り換えで空港内にある中国レストランに入ったんだけど、
このくそまずいどうしようもない水餃子が58元(約870円!)。
行っておくけどね、私は同じ日に広州市内の食堂で、
これよりはるかにおいしくて量も多い水餃子を2元(30円)で食べてきたんですよ。
まったく同じ食い物が30円と870円。
空港が高いのはわかるけど、これはあまりにひどすぎるだろう。
中国ではあり得ない値段ですよ。

帰り、私は国際ターミナルの方で朝食を食べようと思った。
そしたらやっぱりひどいんだ、これが。
コーヒー1杯なんと40元(600円)!
ちなみに中国でチェーン展開しているルノアールもどきのコーヒーは1枚18元。
大理の観光客向け喫茶店が1杯18元。

コーヒーもさることながら、朝食の料金はさらに法外だ。
トーストと卵料理のついた西洋式ブレックファーストがなんと83元(1260円)!
ここはレストランだったので、もっと安そうなファーストフード的な店構えのところがあったので、
そこに行ってもコーヒーはやはり40元で、まずそうなハンバーガーセット(ドリンクなし)が98元(1470円)!
もう、ほんとバカですね、ここまで来ると。
朝6時30分頃だから乗客はみんな朝食とりたいわけですよ。
しかしこのあるまじき値段の高さに西洋人も日本人も中国人もみんな、
店に入って値段をみてやめていってしまう。
ビジネスチャンスを完全に逃してる。
そりゃそうだよ、誰がこんなバカ高くてまずいものに金出すんだよ。

ちなみに空港内にある売店も半端なく高いので注意したい。
市内で買えば1元(15円)のミネラルウォーターのペットボトルが空港ではなんと15元(225円)!
もうほんと中国という国家のバカさ加減を広州に来た多くの外国人に曝け出している、
実にどうしようもない空港なんです。

ちなみに最近、成田空港に行っていない方はご存知ないかもしれないが、
日本の空港のレストランが「まずくて高い」時代はもう過去のものとなっている。
マックやコンビニなどもあり、レストランも駅ビルに入っているような外食チェーンで、
最近ははるかによくなっている。

2:両替のひどさ
行きも帰りもひどいめにあった。
両替所、つまり銀行がやっていないのである。
行きは空港に22時30分過ぎに着いた。
成田空港で中国元の両替ができなかったので、当然、この広州で両替しようと思った。
ところが、どの銀行も閉まっているのである。

国際ターミナルの銀行が閉まっているので、えんえん20分空港内を歩いて国内ターミナルまでいったが、
そちらの銀行もクローズ。
おいおい、中国元、両替できずに、どうやってナニするんだよって話ですよ。
ここは海外から多くのビジネスマンが訪れる中国の玄関口ですよ。
たとえばウルムチとか大理とか地方空港でそりゃ外貨両替は閉まっていてもできなくても文句はいわないけど、
経済しかない広州ですよ。上海とか北京で困った覚えはない。
それが中国一を誇る新空港の実態なんです。

クレジットカードで引き出せるキャッシュディスペンサーもない。
空港直結の空港ホテルもまだ建設予定らしくない。
結局、どうしたか。
かろうじってやっていた旅行案内所に行き、そこで事情を話したら、
そこの係員がいってみれば「闇」で両替してくれた。
1万円が700元。
ひどいレートですよ。正規のレートは1万円=780元。
80元(つまりは1200円!)もぼったくってる。
信じられますか?
それでもこのように両替してくれたから助かったんだけど、
経済国際都市広州の空港に、海外から飛行機が到着する時間に、
外貨両替がやってないってこんなバカな空港ははじめてみましたよ。
外見は立派な国際空港なのに中身が伴っていない。
まさしく今の中国そのものですよね。

ちなみに帰りもひどかった。
あまった中国元を再両替しようと思ったら空港員がやっている専属の両替所に案内された。
朝早いせいもあり銀行ではなく、この簡易両替所でやれというのだ。
ここでもレートも詐欺みたいなものだった。
500元渡したのに3000円。は?6000円ぐらいになるんじゃないのかな?
しかしあっという間の出来事だった。
ぼったくりの闇両替じゃないですよ。場所も係員も間違いなく空港職員で、
ここで間違いなく外貨両替をしている。
それがこのぼったくりよう。レシートもなく、私はあまりのぼったくり過ぎに、
私がお金を渡し間違ったのかと思ってしまったぐらいだ。
っていうかね、インドとかエジプトとか闇両替でぼったくって儲けてやろうって国なら、
空港職員を装ってみたいなことは考えられるけど、国家権力が極めて強い中国ですよ。
対外貨に関しては国家管理で極めてきっちりした管理が行なわれており、闇両替商なんてやったら、
速攻つかまるでしょう。そういう国でこの実態。
私は開いた口がふさがらなかった。

広州新空港はクズですね。メンツだけこだわって中身がともなっていない、
精神分裂気味の今の中国人を現したような空港です。みなさん、気をつけてください。

・2005年5月23日 反日デモが起きた広州に降り立つ
反日デモなんかまったく感じさせず、広州の人は親切だったな・・・。

目的地は雲南省の大理なのだが乗り継ぎの関係で広州経由、行き帰りともに広州泊となる。
広州は経済都市であって見るべきところもないし、私の旅行欲をそそるものはなかったし、
また反日デモの激化があったために、空港ホテルに泊まって町に出るつもりはなかった。
ところが広州の国際空港は2004年夏から新設移転されたためか、
空港隣接のホテルというのがどうもないらしいということと、
反日デモ後の中国政府の過剰ともいえるデモ統制と、
情報統制により一般市民の多くがデモを知らないといったこと、
またもろもろの情報を考えた上で、「町に行っても大丈夫そうだな」と思い、
空港ホテルなんてつまらんことをせず、せっかくだから町に出て朝ぐらいは散歩しようと思ったのだ。

空港から車で10分ほどの距離にあるホテルに宿泊することに。
夜23時30分到着。
ホテルの窓から眺めると、こんな時間にもかかわらず、
ホテルの隣の広場に屋台街があって大変賑わっている。
ひとまず、水もないので水だけでも買わなければと外に出る。
ちょっと恐る恐るといいつつ「ニコン」のカメラをぶらさげていく。

屋台街でミネラルウォーターを買う。2本で4元(60円)。
しかし困ったことに100元札しかない。
このような場合、中国では拒否されることが多い。
にもかかわらず嫌な顔せずつり銭を集めてくれた。
もちろんぼったくりなんて心配もない。
待っている間に、なぜか別の物売りの若い男がにっこり私に微笑みかける。
つり銭をもらった後、写真を撮ってもいいかといったら快諾してくれる。

反日デモか・・・

われわれが日本人に見えたかどうかはわからない。
しかし、われわれにとっても親切だった。
テレビで映し出されるセンセーショナルなデモの様子もまた現実なら、
この屋台街で出会った広州の人もまた1つの現実なんだよな。
なんだか、デモのニュースばかりが先行して、互いに過剰なイメージばかり持ってしまって、
でも、そこに行けば、普通の人と人とのつながりがある。
そんなことを大切にしたい。

翌朝、大理に行く前にホテルすぐそばにある市場を散策した。
活気ある市場。生き物も結構売られている。
ここで広州の人は毎日の生活を普通に暮らしている。

帰りも広州乗り継ぎ泊だった。
同じホテルに泊まり、近くの食堂に行った。
片言の中国語で注文を頼む。
親切な店のおばちゃんがいろいろとすすめてくれる。
片言の中国語にも理解をしめしてくれて、注文を理解してくれようとする。
中国の食堂でこんな親切はあまり味わったことは少ない。

広州に着いた時に思ったこと。とってもベトナムに似ているなということだった。
年中暑いし、そのせいか景色も人柄もなんとなく似ているような気がする。

反日反日とそればかり騒がれていたし、もちろんそれも事実なんだけど、
僕がわずかばかりの間に出会った親切な広州の人たちも忘れたくはない。
まあ、不便な空港でえらいぼったくりにあったことも事実だけどね。

・広州写真