安土城写真

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天下人の夢の跡
全国各地に腐るほど城がある中で、
ぜひおすすめしたいのが、安土城跡(滋賀県)だ。

ここは城跡であって、復元された城や天守閣はない。
見るところといえば、
山入口から天守閣のあった山頂上へと向かう石段と石垣ぐらいしかない。

ただ私が各地の城を巡る中で、もっとも感慨を覚えたのが、
立派に復元された城ではなく、この安土城跡だった。

天下統一を夢見た織田信長。
破竹の勢いで目の前にまで迫っていた夢の、
拠点ともいうべきこの城は、
当時としても破格の、トンデモ仰天するほどの威容だったという。
今ものどかな田園地帯が広がる一角に、
琵琶湖を望む小高い丘陵=安土山を、1つの城塞にしたてあげ、
24mの石垣の上に高さ30mあまりもの、
五層七重の天守閣をつくり、
まさに世間を見渡す天下人気分だったことだろう。

天守閣は残っていなくとも、
行けばその規模のすさまじさに驚く。
私はてっきり山入口から、
大手道という石段をのぼりきって、
それで城跡は終わりだと思っていたが、
のぼりきってはじめて、
そこからがやっと城の入口にたどり着いたに過ぎなかったのだ。

これほどの威容を誇る安土城ができて、
わずか3年後に、本能寺の変という思わぬ謀反で、
道半ばで織田信長は死亡。
せっかくの安土城も焼失してしまったのだ。

江戸が東京として今、日本の中心地であるように、
本来ならこの安土が今も日本の中心地であっても、
おかしくはなかったわけだ。

ところが今の安土は、姫路〜大阪〜京都〜米原をつなぐ、
関西圏の大動脈の新快速は停車せず、
普通しか止まらないため、
1時間に2本しか電車が来ない田舎駅。
駅前にはたまに来る観光客のための、
レンタサイクル店が数軒あるのみ。

安土山の周囲はのどかな田園地帯。
城跡に残るのは石垣や石段のみ。

なんて歴史は“いたずら”で“非情”なんだろう。
かつては時代の最先端をゆく名城が建つ、
新首都ともいべき日本一の殿様が住む城と城下町が、
今や荒れ果てた小さな山と田んぼぐらいしかないことを、
目の前につきつけられた時、
どんな立派な城を訪れた時よりも、
当時のイメージが身に迫ってきて、
感無量の想いが湧き上がってくる・・・。

武将萌えもいいし、城ブームもいいが、
ぜひ見た目だけ立派で中身がテーマパーク化した、
ちんけな城を訪れるより、
この安土城跡を訪れることをおすすめします。

ちなみに安土駅の隣には近江八幡駅があり、
こちらには古い町並み、水郷めぐりができる、
とってもいい場所なので、あわせて観光するとよいかと。

さらにもっといえば、近江八幡から船に乗って、
琵琶湖最大の島・沖島もあり、
ここはノラ猫天国のとってもいい島でもあります。

関西の観光といえば、
京都、大阪、奈良、神戸ばかりに注目が集まり、
時に、観光客だらけ、渋滞、ホテル不足、
値段が高いレストランばかりの「京都観光」に集中しがちだけど、
京都から電車でちょっと行ったお隣の、
いつもすっ飛ばされてしまいがちな、滋賀の琵琶湖周辺は、
感慨深い観光地が多くてよいかと思います。

観光客が多くてうんざりする京都より、
のんびりした滋賀は穴場でいい場所かと思います。

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