世界で最も美しい町、プラハ かさこワールド 写真貸出

・チェコとハンガリーにおけるグヤーシュの違い
さてさてハンガリーのスープ文化に慣れた私がチェコにいってスープを頼もうとすると、
これがほとんどない。
チェコにもグヤーシュがあるのだが、ハンガリーのようにスープとしての料理ではなく、
パンにつけて食べるビーフシチュー的なメイン料理としてのグヤーシュなのだ。
チェコといえばビールというぐらい、ビールが食事に欠かせないのだが、
ビールを出す居酒屋兼レストランのビアホールでは、
ビールとグヤーシュという組み合わせがゴールデンコンビらしい。

チェコ人に聞くところによると、ビールとグヤーシュ、グヤーシュとビール。
これは必ずセットだ、とのことだ。
ハンガリーのスープ文化に慣れた私にはスープがなくって、
しかもシチューのごときさらっとしたものがメインになってしまうと、
食った気がしないし、あとでお腹が空いてしまうのだが、
だからこそチェコ料理にはビールが欠かせないのだと思う。


私はビールを飲んでも1杯しか飲まないが、彼らはグヤーシュやつまみ的料理で、
ビールを何杯も飲むことによってお腹を膨らましているのだろう。
ビールでお腹が膨らむから本来スープ料理がパンをつけてメインになってしまうのだろうし、
逆に料理が乏しいからビールでお腹いっぱいにしているのかもしれないし、
いずれにせよこの国では食事はビール中心に考えられている。
そのぐらいビールがあちこちで飲め、食事に欠かせない当たり前の存在になっている。
ちなみにビールは100〜150円ぐらい。
思うに、ミネラルウォーターを頼むのとたいして変わらない値段だ。

誰かが非常に興味深いことをいっていたのを思い出す。
「ワイン文化のあるところは料理がおいしく、ビール文化のあるところは料理が発展しない」。
確かにそうかもしれない。
ワインはビールと違ってがぶ飲みするものでもないし、
(最近の日本人は居酒屋でビール感覚でワインを飲むが)
ワインは料理に合わせて何を飲むかが決まってくるところからしても、
ワインは料理を引きたてる補助的な役割に過ぎないのだが、
これがビールとなると、ビールを飲んでしまうと料理の方が補助的な役割に回ってしまう。
ハンガリーとチェコの料理の違いはこの辺にあるのかもしれない。
ハンガリーはワイン文化、チェコはビール文化だ。

・安くてうまいビール天国チェコ
チェコでは100〜150円ぐらいでうまいビールが飲める!
私は酒が強い方ではないが、チェコでは結構、ビールを飲んだかもしれない。
ま、チェコ料理がまるでビールのサブであるかのように、
あまり量が多くなくつまみみたいな存在が多いので、
ビールという主食を頼まないと腹が減ってしまうということがあったからかもしれないが。

チェコがいかにビール王国であるかは、
あのバドワイザーのもとになったのが、
チェコビールであるという事実1つをあげればわかるだろう。
町のあちこちにビール居酒屋「ピヴニッツェ」があり、
ビールを飲みながら食事をとることができる。
ビールの銘柄は実に豊富でいろいろな種類があり、
スーパーなどにいくとビール瓶ケースの山が何種類も連なっているが、
私が何軒かピヴニッツェに入った印象だと、そんなに店では種類は置いておらず、
各々の店で1〜3種類の銘柄を選んでおいているようだ。
チェコビールの代表銘柄としてはピルスナービールと、
バドワイザーのもとになったブデェヨヴィツェ・ブドヴァルがあり、
私はビールの味はよくわからないが、非常におおざっぱな目安としては、
ピルスナーがキリンで、ブドヴァルがアサヒスーパードライといった感じか。

あと特徴的なことは、銘柄が1つしか店に置いてなくても、
大概、普通のビールと黒ビールの2種類がある。
黒ビールがこれだけ一般的な選択肢と流通しているのだ。
ほんとかどうかわからんが、チェコ人ガイドさんいわく、
普通のビールと黒ビールを両方混ぜて飲むのが一番うまいといっていた。

ビールの値段が100〜150円と非常に安いこともあって、
ツーリストだらけのプラハのピヴニッツェの食事メニューはそんなに高くない。
一品500〜800円ぐらいで注文できる。
これは店がないエンプティ・シティ、ハンガリーのブダペシュトとは対照的なことだ。
ブダペシュトには1品1000円以上する高級レストランばかりで、
庶民的なレストランというのがほとんど見当たらず、
かといって店も少ないので、なくなく高いレストランで、
食事をせざるを得ないという事態に何度も遭遇したし、
レストラン取材でもブダペシュトの方がはるかに値段が高い店が多かったが、
チェコではリーズナブルな店が多いのにはありがたい。
この値段の違いはかっこつけのワイン文化中心のハンガリーと、
庶民的なビール文化中心のチェコという酒の格の違いにあるのかもしれない。

写真:どのメニューも99kc(約500円)というレストランが、観光の中心地でもある。
ツーリスト向けレストランは高いところばかりのブダペシュトとは大違い。