世界で最も美しい町、プラハ かさこワールド 写真貸出

・アリバイ写真がいらなくなったわけ
昨年オーストリアに行った際はあちこちで子供を見かけ、
随分、子供写真を撮ってきたけど、
今回のチェコ・ハンガリー取材ではほとんど子供を見かけなかった。
子供の写真はチェコで3人、ハンガリーで1人しかない。
そのうちの1枚。

プラハのレストラン奥にあるインターネットカフェに入る途中のこと。
わりにきちっとした格好をした子供が3人、
レストランとインターネットカフェの間にある中庭のテーブルに座って、
誰かを待っていた。

私は取材合間のほんのちょっとの時間を利用し、
町で見かけた「インターネットカフェ」の看板をたよりに、
メールチェックをしようとしていたので、
かなりなスピードで歩いていて、彼らを通り過ぎようとしていたが、
「おっと、ちょっと待った!」と思い、
通り過ぎる手前で子供の前に戻ったのだった。

そんな異邦人が彼らの前に立ち止まったところで、
先進国ではたいして驚かれないことが多く、
この子供たちも特に私を気にかけていない。
「フォト?!」と声をかけると、
この写真に写っている子供より大きい子供がにこっと笑ったが、
「ちみではなく、まずこの子を撮りたいんだけどな・・・」とか思いながら、
大きな子供の了承を得たので、
ちょっと遠慮気味に「考えこむ」この子供を4、5カット撮影した。
彼は一瞬、目だけをこちらに向けたが、ほとんど私を相手にしてくれなかった。



彼がぶっきらぼうなので、今度は横にいる女の子を撮り、今度は笑った大きな子供を撮った。
それがこの時の撮影状況だ。
3人の子供を見返すと、私に視線を向け、時に笑ってくれた2人の子供より、
この写っている彼が気になったので、この写真を表紙にすることにした。

今回は取材もやっとデジタルになり、キチガエじみたポジフィルムを大量に持参する必要はなくなった。
しかししかし、デジタルにしてもその写真の量は半端ではない。
1枚1.5MBぐらいのサイズで撮影していて、700MBのCDに書き込んだ枚数は15枚に及ぶ。
まあデジタルなのでフィルムより気兼ねなく何枚も撮っていることもあるが、
2週間でその枚数はざっと6000枚、36枚フィルムに換算すると実に170本近い本数だ。

妻に写真を見せていると私が写っている写真はないのかと聞かれた。
ない、と答えた。
そんなに撮って自分が写っているのは1枚もないのかと驚かれたが、
最近すっかり自分が写ったアリバイ写真に興味をなくしてしまった。

以前のつぶやきでも書いたことがあるが、
私が二度目に行ったスコットランド旅行の写真を久しぶりに最近見返して、
使える写真があったらネットに載せようかと思っていたんだけど、
100枚ぐらい撮った写真の半分以上は自分が写っている写真だった。
1人で旅行してたんだけど、三脚を立ててセルフタイマーを押して撮ったものがほとんどだ。
自分入りの写真のあまりの多さに私は愕然としたのを覚えている。
ほとんど使えないじゃないかと。

数年前まであれほど自分の写真にこだわっていた私がなぜこうも変わったのか、
いろいろな要因はあると思うけど、その理由の1つは、
自分の写真を撮らなくても、自分の心象風景を写真で表現できるようになったからだと思う。
今回の子供の写真が私には気になって仕方がなく表紙写真にまでしたのは、
なんかつぶやきを今まさに書こうとしている私の姿ように見受けられてならなかったからだ。

なんだかなー政治も社会もマスコミもアメリカも、いつまでたっても愚かなることばかりしていて、
誰もがわかっている簡単なことを何一つできないじゃないか。
といって1人でいきりたっても仕方がないわけだし、どうしたもんかなあと考え込んでいる私。
でもそんな私も若造にしか過ぎない。
そんな私の心象風景がこの子供写真に乗り移っているような気がする。
ま、写真は見る人の勝手だから、これは私の想いであって、
この子供写真を読者の方がどのように見るかはそれはまた別の話だと思うんだけどね。