洋館 かさこワールド

全国各地の洋館めぐり。

・2008年4月7日 すごいテーマパーク!名古屋の明治村





日本にこんなすごいテーマパークがあったとは知らなかった!
重要文化財10棟ほか、
主に明治時代に建築された貴重な歴史建築物が、
なんと60以上も集まったテーマパークというか博物館がある。
名古屋の犬山市にある明治村だ。

早速、日曜日に日帰りで行ってきたんだけど、とにかくすごい!
まあそりゃそうだろう。
はりぼての作り物が並んでいるわけではなく、
全国の古い建築物を移築・復元したものだから、
まがいものじゃないし、スケールも実物通りだし、
もちろん外から見るだけでなく、
内部も見れて、教会、学校、役所、監獄、郵便局、商店などなど、
すべて当時のままに再現されているからだ。

しかもただ貴重な建築物が遺跡みたいに並べられているわけでなく、
一部の建築物の中では、
雰囲気に合った食事処や喫茶室やバーや商店があったりする。
建築物見学だけでなくここで食事もできて、
それなりに遊べる場所になっている。
園内には昔の市電が走っていて乗車もできる。

よく昔の町並みを再現した場所って他にもあると思うけど、
「えっ、これだけ?」ってな感じで、
あっけなく終わってしまうものが多い。
しかしここはなんたって60棟以上もあるから1日十分楽しめる。
全部回ると1周なんと7kmもある。
立地も湖が目の前の山肌に作られた場所なので、
自然も多く、花も多くて散歩しているだけでも気持ちいいのもうれしい。

昨年から洋館をテーマに撮影している私にとって、
これほど素晴らしい場所はない。
全国各地に残された洋館を求めて撮影しているんだけど、
やっぱり古いものは防災上の問題や耐震性の問題、
また経済効率性の問題もあって、
古くて貴重だからというわけでは残しづらく、
どんどんなくなっている。

それは仕方がないと思うんだけど、
明治村のような残しておける場所が存在すれば、
まとめて古いものを保存でき、
それでお客さんを呼べるので一石二鳥だと思う。

明治、大正、昭和初期の洋館や和洋折衷建築物って、
今、見てもすごい斬新で新鮮なデザインなんです。
最近の奇をてらった妙なデザイン建築物なんて目じゃない。
色づかいとか模様とか、
全体のバランス感覚とかが素晴らしい。
それでいて、どこか親しみやすさがあって、
かつユーモアもあってすごい人間味のある建物だなという気がする。

最近のっぺらぼうな人間が多いのは、
ひとえにのっぺらぼうなビルやマンションなど、
味気ない建築物が増えているからじゃないかとも思う。
心の豊かさを取り戻すには、
住まいのデザイン的豊かさを取り戻す必要があるんじゃないかなと。

まあそれはそれとして、
この明治村はそんな面倒くさいことを考えなくても、
家族連れでもカップルでも普通に楽しめる場所。
もしよかったら一度行ってみてください。
とにかく広くてすごいので。

名古屋駅から土日は直通バスが出ていて1時間程度。
もしくは名古屋から犬山まで行き、そこからバスで30分程度の場所。
私のように東京から日帰りできなくもないし。

私が今回撮影した、
和風建築をのぞいた40棟以上の写真は、
あらためてみなさんにお見せする機会があると思うので、
そのタイミングになったらまたお知らせします。

明治村ホームページ
http://www.meijimura.com/

・2008年4月5日 桜&洋館おすすめスポット



桜も見れて洋館も見れる、
都内のとってもいい場所を2ヵ所ご紹介します。
デートスポットとしても最適です。


●神田川桜並木&鳩山会館の桜並木(江戸川橋)




地下鉄有楽町線江戸川橋駅下車すぐのところには、
神田川沿いに桜並木がずらり!
多くの人はここだけで花見を終えてしまうけど、
江戸川橋から少し歩いたところに、
鳩山会館という素晴らしい洋館がある。
この洋館まで上がっていく坂道がずっと桜並木になっていて、
ここもまたきれい!

桜並木を登ったら、鳩山会館を見学しよう。
1891年(明治24年)につくられた元総理大臣・鳩山一郎の邸宅を復元したもの。
そんなに広くはないが、貴族的な洋館内部にいると、
非日常空間にタイムスリップした感じ。
1階にはソファーやバルコニーに椅子がおいてあるので、
ちょっと一休みすることもできる。

・鳩山会館
開館日:火曜日 〜 日曜日
開館時間:10時 〜 16時
料金:500円
住所:東京都文京区音羽1-7-1
交通:有楽町線江戸川橋駅下車(出口1a)徒歩7分
http://www.hatoyamakaikan.com/


●旧岩崎邸&庭園と上野公園



上野公園の桜は確かにすごいが、人出もすごい。
上野公園に花見に行ったついでにぜひ訪れてほしいのが、
旧岩崎邸&庭園だ。

旧岩崎邸は1896年(明治29)年に完成したヨーロッパ式邸宅なのだが、
クラシカルな内装が実にすごい!
結構広いし、中の重厚感がなんともいえない気品さがある。

さらに洋館だけでなく、和館もあって、
ここで和菓子付きお抹茶が500円で楽しめる!

庭園はただっぴろくてやや殺風景だが、
桜の木があって、ゆっくり見れる。
庭園のベンチで洋館を見ながらゆっくりしてもいい。
一風変わったデートにいいと思います。

・旧岩崎邸&庭園
開館時間:9時〜17時
料金:400円
住所:東京都台東区池之端1-3-45
千代田線「湯島」(C13)下車 徒歩3分
銀座線「上野広小路」(G15)下車 徒歩10分
大江戸線「上野御徒町」(E09)下車 徒歩10分
http://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index035.html


・桜写真

・2007年10月8日 横浜洋館めぐり写真/はかねこ写真






横浜の洋館めぐりをしてきました。
その写真をアップしました。
・桜木町から
神奈川県立歴史博物館〜横浜市開港記念館〜神奈川県庁本庁舎

・港の見える丘公園に行き、
イギリス館、山手111番館

・そこから元町公園方面に歩き
山手十番館、エリスマン邸、ベーリックホール

・イタリア山庭園に行き
、 ブラフ18番館、外交官の家
そして石川町駅に戻るコースです。

日本にもこんな珍しい建物が、結構残っているんだなと楽しみながら、
気持ちよく散歩&撮影ができましたので、よかったらみなさんもぜひ。

・2007年11月12・13日 京都めぐり
京都には観光名所がいくらでもあり、逆に多すぎてとまどってしまう。
何を見ようか、どうしようかと。

しかしテーマを決めて旅行をすると、
今まで見えなかった風景が見えてきて、
そこに新しい発見が生まれる・・・

京都の洋館めぐりをしてきました。
なんでまた京都で洋館なんかをと思うかもしれないけど、
古い都ゆえ、古い洋館建築が結構残っている。
その中で別に洋館好きじゃなくても、
京都観光の穴場スポットとして楽しめる場所を2つ。

1つはアサヒビール大山崎山荘美術館。
京都から大阪方面の列車に乗って約15分。山崎駅から徒歩10分。
さすがに京都駅から離れると観光客は少ないけど、ここなかなかいいです!

まず美術的な意味でいえば、モネの睡蓮が展示されてます。
そして館内がとってもいい雰囲気。
大正から昭和初期にかけて作られた洋館は、
レトロな雰囲気ですごくいい。
そして2階には展望テラス喫茶もあって、そこからの眺めもいい。
紅葉時期ももしかしたら結構きれいなのかも。

穴場スポットの2つ目は、京都府庁舎旧館。
明治末期に作られた立派な洋館というか議事堂はすごく立派。
内部は当時の面影を色濃く残し、
まるでタイムスリップしたかのような異空間。
日曜日でしたが、内部は自由に見学できます。
もちろん、こちらも観光客は皆無です。

・2008年3月10日 弘前(青森県)に行ってきた





今日は函館から日帰りで弘前(青森県)に行ってきました。
なぜわざわざ北海道から本州へ?と思うかもしれないが、
函館からは札幌に行くより青森の方が時間的に近いから。
昨日で函館の主要スポットを回ってしまったので
あまった1日、札幌にでも行こうかと思ったのだが、
函館から札幌まで特急で3時間以上。
ところが青森までは2時間以内で行けてしまう。

というわけで今日朝7時に函館駅から特急に乗り、9時前に青森着。
津軽ラーメンを食べた後、青森から電車で30分、弘前へ。
弘前には素晴らしい洋館や教会があるのでいろいろと撮影してきた。

神戸しかり。横浜しかり。
洋館あるところにはうまい洋食あり。
弘前で洋食屋のおいしいハンバーグランチを食べ、
再び青森経由で函館に戻り、今しがた家に帰ってきた。

さて北海道ー本州を青函トンネルで往復したわけだけど、
なんと今週の木曜日、3/13には青函トンネル開業20周年とのこと。
全長53.85kmのトンネルは未だに世界一だそうだ。
青函トンネルは新幹線が通れるよう整備済みで、
北海道新幹線開通悲願のアナウンスが何度も流れていた。

それにしても弘前は観光するにはすごくいいところかも。
世界遺産の白神山地への拠点となる町だし、
洋館以外にも弘前城のある公園は桜の名所らしく、
夜には津軽三味線ライブをやる居酒屋がいっぱいあるらしい。

・2008年1月13日 古くて新しいものを見直す旅〜長野県松本へ行ってきた



昨日は日帰りで撮影のため松本へ。
松本といえば国宝松本城だが、
ぜひそのついでに見ていってほしいものがある。
日本で最も古い小学校の1つといわれる、旧開智学校だ。

明治9年に新築されたというこの小学校。
何がいいかって、学校なのに、
なんともちゃめっけのあるイラスト入りなのと、
不思議なデザインの外観である。

なんともいえない、この愛らしいというか、
ふざけた子どものイラスト。
それが堂々と校舎の一番目立つところにある。
ふと、中央アジア・ウズベキスタンのシルクロード要衝地、
サマルカンドの神学校を思い出す。
こちらは世界遺産でやはり学校にもかかわらず、
人間と虎を合体させたユーモラスな絵が、
目立つ位置に描かれているのだが、それに似ている。
※世界遺産連載コラム:サマルカンド↓
http://www.josep.jp/?mode=show&act=magazine&category=4&page=225

なぜこの建物が変わっているか。
和風と洋風が混じった擬洋風建築だからである。
明治の文明開化。
鎖国していた日本に急速に入ってきた西欧文明。
西欧に追いつかなければならないという、
国内外からのプレッシャーのもと、
“皮相上滑りの開化”(『現代日本の開化』夏目漱石)をしていくわけだけど、
ある意味ではそんな日本の当時の時代状況を物語っているのが、
この擬洋風建築だろう。

表面上、外見上、制度上は西欧文明を取り入れなければならない。
でも精神も内面も西欧の考え方に馴染まない。
そこで生まれた和洋折衷案が、
このような不可思議な建物を生み出したのだろう。
当時、外国人のために建てられた、
完全な西洋館、異人館とは一線を画しているのが見て取れる。
こうした時代背景を物語る建物ゆえ、重要文化財に指定されている。

旧開智学校は松本城の北側、
松本城から歩いて10分もかからずいけるので、
ぜひ城だけでなく旧開智学校も見るとおもしろいと思う。

昨年は、工場・コンビナートと団地・路地裏・商店街を撮影した。
ともに昭和という時代を象徴するものであり、
近年の再開発によって急速に失われているもの。
ある意味ではノスタルジーを感じるものだ。

昨年末からテーマにしている洋館、擬洋風建築物などは、
昭和のもっと前、大正や明治だったりするわけだけど、
昭和より古いにもかかわらず、洋風ゆえか、
古いけど新しいというか、
ある意味、今のデザインにも通用するような、
斬新さを持ち合わせている。

時代や歴史は所詮繰り返し。
何か過去のものを模倣し、学び、
それが廃れるとその前の時代のものがまた流行ったりする。
昨今のJPOPに見られる一時代前の再結成バンドの多さなんかは、
一度飽きられたけど、時代をじゅんぐりしたら、
今聴いたら意外と新しいじゃんみたいな、
そんな風潮に似ていなくもない。

どんなことでもそうなんだけど、
未来に必要とされる新しいもののヒントって、
まったくのゼロからの発想なんじゃなく、
過去にあったものを徹底して見直すことにあるんじゃないかな、
なんて思ってみたりもする。

そんなわけで、単なる懐古趣味ではなく、
新しい何かのヒントがあるのではと思い、
古くて新しい洋館撮影を今後もしていきたいと思ってます。

おすすめ書籍、「現代日本の開化」が収録されている、
夏目漱石の講演集「私の個人主義」↓


・2008年4月11日 東京郵便局を保存しろというバカな議員や評論家・建築家
洋館・和洋折衷館を撮影している私だが、
東京駅目の前にある東京中央郵便局をそのままの場所で保存せよという、
愚かな議員や評論家、建築家がいるというニュースに驚いた。

東京中央郵便局を取り壊して高層ビルを建てる話が持ち上がったのは、
郵政民営化が行われたからだ。
これまで民営企業としてのコスト意識もなく、
税金を払う必要もなく公営企業として営業してきた郵便局だが、
民営化の議論が焦点になった際、
非効率経営の代表例としてメディアで取り上げられたのが、
この東京中央郵便局である。

ほんとメディアってのはいい加減だなと思うのだが、
民営化前まではこの東京中央郵便局の建物を取り上げ、
「東京駅前の一等地にありながら5階建てのビルなんてもったいない。
もしここに高層ビルを建て、上層部を賃貸すれば、
それだけで年間数億円の収入になる。
だから郵政は民営化すべきだし、
もったいない使い方をしている古い東京中央郵便局は、
建て替えるべきだ」と主張していた。

ところが今になって今度は取り壊すな、である。
なんでも1930年代に建てられた貴重な建築物で、
どこの誰だか知らないがどっかの欧米人が、
この建物を絶賛したこともあったという、
極めてあやふやな報道をしていた。

この貴重な東京中央郵便局を今のまま残すべきだとほざいているのは、
建築家のみならず超党派の政治家連中もいるという。
今日、このニュースをやると、
コメンテーターは一様に「古いものは保存すべきだ」と、
もっともらしいけど最も愚かなことをいい、
唯一、ヤミ金対策弁護士だけが、
「民営化された私物の建物を他人がとやかく言うべきではないし、
別にここになくても移築して保存すればいいじゃないか」と、
まさに建て前だけでなく本音のヤミ金世界に対峙している、
現実主義的法律家らしい真っ当な意見を言っていた。

結論から先に言うが、東京中央郵便局を、
洋館博物館・明治村に移築して保存するのが最も望ましい方法だと私は思う。
貴重な建物だから東京駅前の一等地に、
いつまでもここだけ古い建物を取っておけというのは、
コスト意識のない愚かな理想論者が言うことである。
もしどうしてもこの東京駅前で保存したいというなら、
その保存するための莫大な費用と高層ビルを建てないことによる損失分を、
おまえら議員や評論家や建築家が金払えという話だ。

東京中央郵便局の目の前にある東京駅は、
今、戦前の姿に復元しようと補修工事が行われている。
私はこれには大賛成だ。
経済効率性から考えれば、東京中央郵便局と同じように、
高層駅ビルを建てればいいという話になるかもしれないが、
はっきりいって東京中央郵便局と違って、
東京駅の建築は実に美しい。
外国人観光客も非常に多い東京駅の玄関口が、
高層ビルではなく、このような趣きある建築物の方が、
観光名所としても十分メリットが見込める。

一方、東京中央郵便局は建築学上貴重なのかもしれないが、
はっきりいって洋館を撮影している私ですら、
あの建物は撮りたいとも思わないし、すごいとも思わない。
地味だしおもしろみがないからだ。
そんな建物なんだから貴重なら、
移築して保存すればいい。
明治村などまさにうってつけだ。
このまま古い建築物のまま、中央郵便局として営業して老朽化するより、
明治村博物館でしっかり保存してもらった方が、
建物にとってもはるかにいいだろう。

私は2007年10月に発売した写真集「団地・路地裏・商店街」では、
趣きある、昭和的香りが残る街並みを撮影した。
そして今、明治、大正、昭和初期に建てられた、
趣きある洋館などを撮影している。

そんな私でも、すべてをそのままその場所で残せというのは、
どんなに素晴らしい建物であっても、
どんなに貴重な建築物であっても、
無謀なことだと思っている。
はっきりいって古いものが貴重というなら、
一切、新しい物は建てられなくなる。
日本中、江戸時代の建物で、
貴重だからその場所で保存せよなんて言われたら、
逆に新しくて素晴らしい建築物も生まれなくなってしまう。

なんでもかんでも古いから貴重だから残せというのは、
もっともらしいスローガンだが、実はまったくのナンセンスだ。
昭和的街並みは素晴らしいから、建て替えず残せといったところで、
耐震性、防災上の問題、住人の住環境の問題、衛生問題など、
様々な問題がある。
すべて古いものを残していたら、新しいものが建てられなくなってしまうんだから、
何をどこにどう残すべきかを考えて発言すべきだと思う。
その意味で、東京駅の古い駅舎は、補修して安全上に配慮した形で、
やっぱり東京駅そのものの場所にあることに意味があるんだろうけど、
東京中央郵便局は、移築して保存したって何の問題もないわけだ。

古い建築物には学ぶべき点も多い。
古いものから学ぶべきことは多い。
でもだからといって古いものをそのまま残せというのは、
バカの一つ覚えもいいところだ。

それにしても政治家もマスコミもなんでこんなにバカなんだろう。
一昔前まで、非効率利用で高層ビルを建てろと平然といっていたくせに、
民営化した途端、これだ。
もし震度5ぐらいで中央郵便局の壁でも崩れてけが人が出たら、
今度は「なんで建て替えなかったのか」と糾弾するのだろう。

別に私はなんでもかんでも経済効率性優先って言っているわけじゃないし、
古いもので保存すべきは保存すべきだと思うけど、
東京中央郵便局のことはほんと解せないな。