おもしろい本 かさこワールド かさこamazonレビュー

作家&写真家かさこが読んでおもしろかった本をご紹介します!

●2008年のおすすめ本!
■様々な著者作品
・さまよう刃 東野圭吾

被害者の親が加害者に復讐する・・・。
凶悪犯罪や犯罪の若年化が問題になる中、
少年法や、加害者保護に偏った法のあり方について、
この本が投げかけるテーマは実にタイムリーで考えさせられるもの。

小説として読んでもこの先どうなるのか、
先を読みたくて読み進めてしまう、興味深い内容となっていて、
一挙に読んでしまった。
特に今、裁判員制度とか死刑制度が問題になっているので、
ぜひ読んでほしい作品です。



・ラッシュライフ  伊坂 幸太郎
はじめて伊坂作品読みましたがいいです!
何がいいかって、わかりやすいし、
読みやすいし、おもしろい。
小説にありがちな、気取った小難しさとかないし、
わけのわからないいっちゃってる感じもないけど、
でもちょっと現実から遊離している、
そのバランス感覚というか距離感が、
非常によく、おもしろいながらも、
どこかでしっかり考えさせられる、実によくできた小説です。



・サウスバウンド 奥田英朗
前半はやや単調だが、
中盤からどんどん物語がおもしろくなり、
沖縄に舞台が移るとそのおもしろさは倍加する。

とても読みやすいタッチで、
すごく軽く読めるんだけど、
ここに書かれた内容って、結構奥深い問題とかもあって、
さらっとおもしろく読めるわりに、
余韻が残るというか考えさせられる、
実によくできた小説です。

時代錯誤な過激派の父の珍言が、
今の社会を痛烈に批判する至言に思えてくる。

とてもおもしろく、おすすめです。



・白い砂丘 長野慶太
仕事と家庭と人生を考える最高傑作。
企業をめぐる派閥抗争をベースに
そこに入り組むさまざまな登場人物が、
エゴや出世欲、その他多くの非合理的な感情によって、
企業の命運や人生の進路を変えていく物語を描いた、見事な作品。

働くこととは何なのか。
出世とは何なのか。
企業とは何なのか。
人生とは何なのか。

そうしたことを考えさせる、実に奥深いストーリーに
あっという間に読み終えてしまった。
すばらしい本でした。



・ウルトラ・ダラー 手嶋龍一
国際情勢をめぐる問題に、
様々の立場の人間が入り乱れ、
それぞれの利害でうごめいていく様相と、
単なる偽札づくりにとどまらない、
問題の広がりはなかなかおもしろい小説だった。



■海堂尊作品
・チーム・バチスタの栄光 海堂尊

病院を舞台にした小説なんですけど、
トーンが重くないのですごく読みやすい!
軽妙なタッチで描くミステリーと、
ユニークなダメっぽいキャラが出てくるのが、
これまたおもしろい。
前半はやや単調ですが、後半からぐっとおもしろくなります。
文庫本が出ているので、安くて読みやすくておすすめです。

・ブラックペアン1988 海堂尊
「チームバチスタ」がおもしろかったので、
この著者の作品を今年は読みまくりました。
ほとんどの作品が同じ病院を舞台にした作品で、
かつ登場人物もダブっているのもあるので、
読みやすいのですが、
そのなかでも一番おもしろかったのがこの作品。
評価的にはチームバチスタよりこちらの方がおもしろかったです!



■真山仁作品
・マグマ 真山仁

真山仁といえば「ハゲタカ」の著者。
「ハゲタカ」がおもしろかったので、
その前作に書いた「マグマ」を読んだんだけど、
これまた実におもしろい!

環境によい発電とは何なのか?
原発という神の禁じ手に絡む利権や、
様々な利害関係のなかで、
真実が捻じ曲げられていく。
そんななか地熱発電企業の再生というのが、
この話にテーマになっている。
社会問題提起型の考えさせられる本です。

・ベイジン 真山仁
ベイジンとは北京のこと。
北京五輪開催に合わせて、
世界最大の原発がスタートするのだが・・・、
というもうこれだけで実におもしろいテーマ。

2008年は何かと中国が問題となったが、
近未来シミュレーションとして、
この本を読んでみるといいと思います。

・虚像の砦  真山仁
テレビ局ー広告代理店ー政治家ー官僚による、
情報操作と権力闘争を描いた見事な作品!



■楡周平作品
・再生巨流 楡周平

秀逸の企業小説!
逆境に追い込まれたサラリーマンが、
斬新なアイデアを実現していくための、
企業内外の様々な交渉を描いていく、
実におもしろい内容で、あっという間に読み終えました!



・無限連鎖 楡周平
ここに書かれたテロはすごい。
単に無差別に大量殺戮するテロではなく、
国民生活をじわじわと痛みつけるテロ。
それも生物兵器や原子力発電所破壊などではない。
こんなテロが起こったら・・・
実にリアル世界にも起こりうる恐ろしいテロを予感させる、
すごい内容でした。



・フェイク 楡周平
はじめはやや単調だが、中盤から物語がいろいろと展開してきて、
終盤に盛り上がりを迎える、楽しめるエンタメ小説。
それでいてこの小説にちりばめられている、
ホステス、サラ金、競輪、株、 企業恐喝といったディテールも実社会を知るのにいい知識。



・クーデター 楡周平
平和ボケの国民、平和ボケの日本というけれど、
その平和ボケなるものが招くものは何なのか。
昨今の不甲斐ない政治家連中の国家運営が、
招く危機とはいかなるものなのか。

今の日本社会の危機はどこにあるかを突いた、
強烈な社会問題提起的な内容を、
見事に近未来シミュレーションとして仕立て上げた良書。
ある意味では、地下鉄サリン事件を思い起こさせないこともないけど、
単なる「テロ」ではなく「クーデター」というほど、
大きな政治的メッセージが内包されている。



■経済・金融本
・投資戦略の発想法2008 木村 剛著

投資をはじめる前にぜひ読んで欲しい本。
もしこの本を読んでいたら、
金融危機が起きて株価が下がっても大丈夫だっただろう。

投資をはじめる前に、
1:家計簿をつけなさい
2:節約しなさい
3:貯金しなさい
4:仕事のスキルを磨きなさい
5:住宅ローンはやめなさい

上記5つをやってそれで余ったお金、
なくなってもいいお金を投資しなさいと。

こんな真っ当なアドバイスをしてくれる投資本は、
なかなかないです。
ぜひ読んで欲しい1冊。

・ドルの崩壊と資産の運用―通貨制度の崩壊がもたらすもの ジェームス ターク著
ドル崩壊という大仰なタイトルで煽るだけで
中身がない本とは一線を画し、
なぜドルが崩壊するのか、
アメリカ経済の現状分析およびかつての歴史を振り返り、
いかにして通貨が崩壊していったかを、
詳細に書いているので非常に説得力があるし、勉強にもなる。



■かさこ2008年の作品
・トンデモ偉人伝・臨終編

歴史上の偉人たちがどんな最期を遂げたのか。
どんな死にざまだったのか。 臨終の言葉は何だったのか。
古代から現代まで36人の偉人の臨終を描いたのが、
「トンデモ偉人伝・臨終編」(彩図社、笠虎崇著)。
偉人たちの気になる臨終をぜひこの本でチェックしてみてください。



・写真集「洋館・洋風建築」
日本に現存する明治・大正・昭和初期に建築された、
洋館・擬洋風洋館を650カット以上収録。
この撮影を始める前、洋館なんて特に興味はなかったのですが、
あちこち行くうちに、その魅力に虜になってしまいました!

不思議で斬新な建築物は、
見ていておもしろいし、非日常空間へと誘ってくれる、
いわば「旅」みたいなもので、
洋館に興味のない方もデートなどで、
近くの洋館を訪れてみるとよいと思います。

書店であったらぱらぱら見ていただき、
興味があったらぜひ購入していただければありがたいです。